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「ふははははっ!我は好意が丸分かりになる吸血鬼!…あ、お姉さん目が合ったね、好意丸分かりビーム!!」
とまぁ、雑な冒頭があったけど、すぐに駆け付けてくれた吸血鬼退治人さんのお陰であまり被害は……。
被害者は私一人で済んだ。
退治された吸血鬼は「離せ!私はこの力で世界中のカップルを幸せにするんだ!」と何やら自分で自分に課した使命を叫んでいた。好意を丸分かりにされて幸せもへったくれもないんじゃ…と思いながら、私は吸血鬼退治人の人達にお礼を言って足早に友人であるロナルド君の事務所に向かった。
「こんばんはー」
そう挨拶しながら扉を開ける。ちょうどロナルド君はソファに座りながらドラルクさんが作ったであろうデザートを食べていた。アルマジロのジョン君はテーブルの上でロナルド君と同じデザートを食べていた。
「よ、よぉ…」
「こんばんは、ロナルド君」
ロナルド君とは高校時代の同級生で、今でもこうやって会いに来るぐらい仲は良い。カメ谷君や半田君達ほどではないと思うけど。
ロナルド君は昔から私に対して何処かぎこちない。
まぁ、そりゃあそうか。仲が良いとは言っても私が勝手にそう思ってるだけかも知れないし。仕方がないかな。
そう自分に毎回内心で言い聞かせていたが、今日は様子が違った。
ロナルド君が、ポコポコと手のひらサイズのハートを大量生産し始めたからだ。ジョン君は私を見てポンポンッと何個かハートを作ったが、そこまでで終わった。
え、何これ。
「ロナルド君、何やってんの?」
「何って……、ドラ公の作ったデザート食ってる、けど…」
「いや、そうじゃなくてそのハートの山ッ……!」
「ハート?」
未だにポコポコ生産されるハートを指さすけど、ロナルド君には見えないらしい。
あ、そういえばさっきの吸血鬼…。好意丸分かりとか何とか言ってたけど…。もしかして、私の好意が丸分かりじゃなくて、私が他の人の好意が丸見えになるって意味…?
「何かヤバいもんでも見えてんのか?」
「………、やっぱりなんでもない」
そう考えると、ロナルド君の未だにポコポコ大量生産されて背景がハートの山になりつつあるそれは…。私への好意ってこと?いやまさか。もしかしたら、デザート食べてるからそのせいかも知れないし。
振り払うようにぷるぷると頭を振って、ロナルド君の向かいのソファに座った。するとガチャッと私生活スペースの扉が開いた。
「おや、お嬢さん。いらっしゃい」
「こんばんは、ドラルクさん」
「ちょうどアップルパイが焼けたから、ちょっと待っていてくれ」
そう言ってドラルクさんはアップルパイを取りに戻ってしまった。ドラルクさんの料理はとても美味しいから、仕事終わりにはとても嬉しい。
そういえばドラルクさんも、ジョン君ぐらいのハートの量だったな…。まぁ、嫌われてないならいっか。
「なぁ」
「ん?」
ロナルド君が声を掛けてくる。
見てみると、ロナルド君はデザート用のフォークを持ちながら咥えていた。
「どうしたの、ロナルド君?」
ふと、ロナルド君の後ろに山と化していたハート達を見ると、ハート達がどこか萎れている。シワシワになってる。え、ハートって植物と同じで枯れるの?
「お前って、ドラ公の、事………、」
ロナルド君の声が震えてる。そして言葉を紡いでいくに連れてハートがますます枯れていく。ハートは枯れすぎて粉々になりそうだ。
というか…、私がドラルクさん事…?まぁ、ロナルド君が言いたいことは何となーく、流れ的に分かった気がした。
「うーん。まぁ、お菓子作りとか料理とか上手だし。男性で家事が出来る人は優良物件ってよく先輩言ってるし」
「おッ、俺もやれば、」
空になった皿をテーブルに置いてロナルド君はそう言う。いやぁ…、ロナルド君、家庭科の授業で結構やらかしてからなぁ。ロナルド君にお菓子とか作るのは難しいんじゃないかな。
「まぁ、優良物件だとは思うけど、相性とかそういうのもあるからね」
私は追うより追われたいからそう考えると、ドラルクさんは追ってる最中に砂になって終わりそう。
「おや、何の話をしているんだい」
すると、ドラルクさんがお盆にアップルパイが乗った皿と良い香りの紅茶を乗せて扉を開けた。
ポポポンッとハートがいくつかドラルクさんから出た。
「ドラルクさんは優良物件だけど、」
「あぁ、それでロナルド君この世の終わりみたいな顔してるの」
ドラルクさんはそう言って私の前にお皿と紅茶を置いた。とても美味しそうだけど、ロナルド君のハート達が、シワシワになりすぎてさっきの高さの半分程になっている。中にはひび割れそうなものも見えた。
「ふふんっ、やはり若造より男の魅力溢れる私の方が良いというわけだね!」
「一般論はね」
「…………ん?」
「でも、やっぱり私は性格とか、お互いの相性とか大切だと思うから。それと、ドラルクさん、男の魅力は溢れてないかな」
毒舌スナぁ!!とドラルクさんが砂と化してしまう。
この世の終わりみたいな顔をしていたロナルド君はざまぁみろ!!と言っていた。
「ま、まぁ!俺とお前、ドラ公より相性良いからな!」
耳を赤くしながらロナルド君はそう言う。見れば先程まで枯れすぎてヒビが入りあとは粉々になるだけだったハート達が潤っていた。
私は取り敢えず、目の前の美味しそうなアップルパイに心奪われながらそうだね、と返事をした。
