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「ロナルド君、ありがとう」
そう言ってアイツは俺が渡した少し大きめのテディベアを嬉しそうに抱き締めた。
付き合ってかれこれ1年近く経って、誕生日を知ったのは間近。ドラ公に誕生日にプレゼントしないなんてありえなーい、なんて言われながら慌てて欲しいものがないか電話で聞いた。ドラ公は勿論殺した。
高校時代からの知り合いでカメ谷の紹介でまた出会って、お付き合いというものを始めた。吸血鬼退治人なんてものをしてるとアイツとは完全に生活リズムが違っていて、不安にさせているんじゃないかと逆にこっちが不安になることもある。その間にアイツの心が離れて言ったらと思うと恐怖さえ感じる。
そんなアイツの誕生日。
結局依頼が入ったり、何かと吸血鬼たちがお祭り騒ぎでバタバタして。月並みだがアイツの誕生日になった0時に連絡しようとしたが、上記で上手くいかず。気付いたらもうすぐ朝が近い。
プレゼントも準備出来てなくて、フラフラになりながら昼間なんとか見つけた俺の髪の色に似た毛色と蒼い目のテディベア。その首には赤いリボンが巻かれている。
これだと思った。
買ってからこういうのを渡されたら恥ずかしくないか?とかぬいぐるみってもらって嬉しいのか?とか頭の中を悪い考えがぐるぐる駆け巡った。だが、買ってしまったものは仕方ない。
仮眠をとり、アイツに会えないか連絡すると仕事が終わったら来てくれると連絡が来た。
そわそわしながら何度も時計を見て、まだかまだかと気が急いた。そして、アイツの仕事の退勤時間が過ぎてしばらくするとアイツがやって来た。
いつもどおり、可愛い。
「こんにちは、ロナルド君」
「おう」
沈黙。
沈黙。
「………碇ゲ○ドウみたいな事になってるけど…。私、そばに立って冬月コ○ゾウしたほうがいい?」
「何でだよ!?」
机をバンッと叩いて立ち上がるとアイツは嘘だよ、とふっと笑って今日はどうしたの?と言ってきた。ドラ公とはまた違ったボケとツッコミのやり取りだが、今日のコイツのボケはありがたかった。
そばに置いてたテディベアを包んだ袋を机に置く。
「これを、その……」
「………?」
………あれ?
なんか、反応違うくね?
誕生日だからすぐに自分の誕生日プレゼントだって気づいてもおかしくはないだろ?!なんで小首傾げた?!なんでクエスチョンマーク!?あれ、日付会ってるよな?!まだコイツの誕生日だよな!?
「なんかあったっけ?」
やらかしたー。
はい、誕生日じゃないのにプレゼント渡しちゃったー。しかもぬいぐるみー。
終わった………。
コイツはクエスチョンマークをポコポコ生えさせながら近付いてきて、袋を手に取った。
「あ」
「あ゛?!」
コイツの一挙手一投足に敏感になりすぎてる俺は変な声を上げた。
「そっか、私今日誕生日だったっけ?」
…………。
……………。
コイツ………!!
「ふざけんな!!お前こっちは、」
「ありがとう。ロナルド君」
ふにゃふにゃした笑顔をコイツは俺に向けた。
高校の時からコイツのこの笑顔に、俺は弱い。
怒りの言葉の一つや二つぶん投げてやろうかとしたが、その言葉は喉の奥にしまい込まれ、沸点を超えてた怒りもシュルシュルと引っ込んでいく。
「………おう」
「開けていい?」
「……おう」
オットセイみたいだねぇ、なんて言いながらバカを言うコイツにうるせぇ、と笑いながら言う。そして、思い出す。袋の中身はテディベアとはいえぬいぐるみということを。
ガッカリしないか?このロナルド様がプレゼントしたのがぬいぐるみってことでガッカリしないか?!
内心ビクビクしながらコイツの反応を見る。
袋から現れたテディベアを見て、今度は大きく首を傾げた。
変に思われたー!!絶対、は?この年齢でぬいぐるみとか気が狂ってんの?とか思われたーー!!
「………あぁ」
「あぁ?!」
コイツはどこか納得したかのように声を上げた。俺は血涙を流して完全にアポカリプスってる。
「ロナルド君カラーだね」
「…は……?」
「銀色の毛並みに蒼い目、赤いリボン」
吸血鬼退治人の時のロナルド君カラーでしょ?と言いながらコイツは微笑んだ。………、つまりなんだ?俺は、俺の色に近いぬいぐるみを無意識で選んで渡してたのか…?
「可愛いねぇ。貰っていいの?」
「あ、あぁ……」
「ロナルド君、ありがとう」
そう言ってアイツは俺が渡した少し大きめのテディベアを嬉しそうに抱き締めた。
だが、少し気に入らないのは俺の方だ。
俺が贈っておいてなんだが、クマルド(テディベア)を抱き締めているコイツは可愛い。可愛いが、クマルドっていうのが気に食わん。
「………」
「テディベア、ふかふかだぁ…!」
「なぁ」
「ん?」
ガシッとクマルドを奪い取る。それにコイツは目を点にしているが現状を理解すると慌てて俺に手を伸ばしてきた。
「何で取るの?!」
返してよぉ!というコイツの腕を引っ張りスッポリと抱き締める。
「クマルドは俺が居ないところで抱き締めろよ。今は俺が優先」
「……クマルド……?」
「分かったか?!」
ズイッと顔を近付けてそう言うと、コイツはキョトンとして、ふふっと声を上げて笑った。そして、甘えただねぇロナルド君、と言って俺の背中に手を回した。
コイツが帰ったあと起きてたのかドラ公が「ホントにロナルド君。あの子にかなり救われてるね」とバカにしたように言ってきたからまた殺した。
