rkrn長編
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私は元々長次と仲が良かったわけじゃない。というか私は体力が人並み以上だったから、皆より一方前を歩いていたがそれは私が優れているのではなく、皆が私を怖がっていると知ったのは1年生の秋の時だった。
まぁ、端から見たら生意気な低学年だったと今の私が思うぐらいだからなぁ。
「こーら」
「いてッ」
2年生の夏ぐらいだったと思う。あの人が居た。ハッキリ言って血生臭かった。多分、忍務の帰りだったんじゃないかな。でも、なんか怖かった。無表情だからなのか、殺気立ってたからなのか。
「君だね、塹壕掘りまくってるってるのに元気が有り余ってるっていう七松小平太は」
「……先輩、だれ?」
「あーあ…、ケガしちゃって…。診せて」
いつの間にかケガしてて、その先輩は手早く手当てしてくれた。
「よし、これで良いよ」
「………先輩」
「あ、中在家。どうしたの?」
いつの間にかくの一の先輩の後ろに長次がいた。私は離れたかったけど、その先輩が手を離してくれなかった。でも、先生以外にこうやって触ってくれたのはいない。い[_FS_AU_SEP_]つも遊ぶだけで誰もそれ以上近付いてくれなかったから。いや、今思えば私が一線置いてたのかもしれない。
「………本、」
「あぁ、あの本が返却されたの?分かった、借りに行くね」
「ん……」
「あ、七松。塹壕を掘るより球技しない?中在家も」
そこで私はその先輩にバレーを教えてもらった。2回目に会ったのはくのたまに怒られて追われてたときだったなぁ。
「なぁ、長次!覚えてるか、あの先輩!」
「…………あぁ」
「今、どこにいるんだろうな!早く会いたいなぁ…」
ごろごろ転がりながら先輩を思い出す。伊作に聞いたら、確か梓季って名前だったなぁ…。
「でも意外にも側にいるのかもな」
時々あの先輩の甘い香りが学園の中でするときもあるし。そう言ったら長次の手がピクリと止まった。
****⑧****
「やぁ」
「あぁ!!利吉さん!」
1年生の声。
木に隠れていながら声がした方に目を凝らすと、山田先生の息子でフリーの腕の立つ忍者、利吉くんがいた。利吉くんは時々やってき[_FS_AU_SEP_]ては山田先生に実家に帰るように言っているが、山田先生も実家に帰ればいいのに…。何だかんだいって仲の良い夫婦だという話らしい、けど。
「おーい!!狼ー!!」
………誰?
視線を向けると生物委員の竹谷。だけど、私に気づいてない。木から降りて近寄って肩をたたくととても驚かれた。…あ、気配を消してたっけ。
【何か用か】
「あぁ!梓季、あのさジュンコ見てないか?」
【マムシの?】
「そうなんだよ…、孫兵の奴落ち込んじゃって……」
蛇の気配は分からないなぁ…。空を見上げると鷹が飛んで、………あ。急がなきゃ。鷹が飛んでるって事は、ジュンコが餌にされる可能性もあるわけだし……。だが、あの鷹……おかしいな、何者かの鷹か…?
【見てないが…】
「あー、くそっ。どこ行ったんだ…」
ボサボサの髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜる竹谷。ん、向こうから誰か……あぁ、尾浜か。どうしたんだ。指をさすと竹谷は振り返って尾浜を見つけた。
「おー、勘ちゃん」
「ハチ、あっちでジュンコが鷹[_FS_AU_SEP_]の標的になってるぞ」
「何ぃい!?勘ちゃん案内してくれ!」
「いや、俺は狼と……ってハチぃいー!!」
………。
行っちゃった。
さて、私はどうするか。いや、隠れていようか。………ん、気配…。
「やぁ、こんにちは」
振り返るとそこには利吉くんがいた。あれ、さっき1年生と一緒じゃなかった…?
でも挨拶されてるんだから、挨拶しなきゃな。片手を上げて声を出さずに挨拶すると、にっこり笑われた。あれか、この笑顔で街のおばさま方がやられるのか。
「一緒にご飯食べないかい?」
【もう食事は済んでいる】
「じゃあお茶は?食堂のおばちゃんと一緒に」
【………何が目的だ】
「いや、今日は父上に用があったんだ。でも、逃げられちゃってね」
どうしようかと思ったが腕を掴まれた。そのまま引きずられるように食堂に連れて行かれた。食堂にはおばちゃん以外居なかった。
「おやおや利吉くん!」
「こちらも一緒ですよ」
おばちゃんは私の名を呼ぼうとしたが慌てて狼と呼んだ。利吉く[_FS_AU_SEP_]んが椅子に座り、私はおばちゃんと一緒にお菓子とお茶を準備する。
「すまないが、あっちにとっておきの茶菓子があるから取ってきてくれないかい?」
おばちゃんがそういうから、取りに行こうか。おばちゃんの休憩部屋、の向こうの棚。確かに……美味しそうな茶菓子…。すごく美味しそう。おばちゃんも利吉くんが好きなんだなぁ。こんな高そうで美味しそうなお菓子を出すんだから。
「あぁ、すまないね。ちょっと学園長先生に呼ばれてるから2人で先に始めていておくれ」
そう言っておばちゃん、行っちゃった。私も椅子に座ってお茶を飲む。うん、美味しい。
「君はいつもあぁなのかい?」
「………?」
「女性ということを隠しているのかい?」
ガタガタと動揺が隠しきれなかった。相手はフリーの、腕の立つ忍者。バレてもおかしくはない。落ち着け私。さらさら、と筆を出して紙に走らせる。
【いつ気づいた】
「勘、かな。あぁ、大丈夫。君のことは他の城に言ったりなんてしないよ。それにしても、何故隠すんだい?」
【女は、くの一は確かに忍だ。彼[_FS_AU_SEP_]らのプライドに傷を付けたくない】
「意味が分からないんだけど…」
【女に護られている、それを知ったら彼らのプライドも、就職も、悪くなってしまう気がしたんだ】
「まぁ、女には…と思ってる輩も、城も少なくはないからね。でも、君はそれで本当に良いのかい?」
本当に良いのか………、そんなの、分からないよ。ただ、私にだってプライドはあるし、護りたいという信念はある。こくん、と頷くとふぅと溜息を吐かれた。
「君は、忍に向いてないね。……良いことを教えてあげるよ。中には私のように勘で気付く者もいるかもしれない」
【分かってる】
するとぎゃああッ!という悲鳴。何か起こったらしい。行かなくちゃ…。立ち上がると腕を掴まれた。
「女だと気付かれていなくても気を付けて下さい。男は、特に思春期の男は何をしでかすか分かりませんから」
カクンッと頷いて食堂から出た。思春期の男、かぁ…。
――――――
「こんばんは」
【こんばんは】
夜、いつもの屋根に行くと尾浜が居た。思春期と言えば、尾浜も十分[_FS_AU_SEP_]思春期だなぁ。確かに出会いから何日かしたら女の子がどうのとか言ってたけど、今じゃ女の子の陰も姿も見えないし…。
「ねぇ狼」
【何だ】
「狼は、男趣味なの…?」
【意味が分からない】
男趣味って…。
私、確かに男装っぽいことしてるけど……。
「ハチとか、三郎が……。狼には女の影が無いから、男とまぐわったりしてるんじゃないかって…」
男と…。でも、確かに私、女だから男とまぐわうかもしれないけど、女の影も見当たらないけど。いや、だとしても、あの2人は説教決定。
【違う。そんなじゃない、ただ忙しいだけだ】
「そうだよね!狼が、まさかね!今日利吉さんと一緒だったから、俺も驚いちゃって…」
思春期の男は…。
……ちょっと、確認してみようか。
【尾浜だって春画の1つ借りたり、買ったりしたことあるだろう】
「ぶっ!!狼、俺は、俺だって男だし!そりゃあ、借りて抜いたりしたことぐらい……」
うん、普通の思春[_FS_AU_SEP_]期の男。
それにしても、噴かな、………。
……3人か…。
【尾浜、もう部屋に戻れ】
山から、遠吠えが聞こえる。知らない忍が学園の近くにいる。1人は、近い。
「え、でも…」
毒を塗った八方手裏剣を投げる。だが弾かれることは分かり切ったことだから、続けざまにひょう刀を投げると微かに悲鳴。屋根を蹴って飛び降りるとその場所に行ったら、やっぱり忍者。耳を澄ませると、動物が駆けてくる音が聞こえる。多分、愁の子供達かな。
気配がする方に行くと1人は首元を食いちぎられ絶命、1人は狼に威嚇してる。腰から短刀を抜いて、背後から心臓めがけて突き刺して、すぐに引き抜くと首をはねた。ごろりと転がる濁った目の首、そして死体と化した肉体は狼達が持ち帰る。多分、餌かな。
………もう1つ、気配。何かが近付いてくる。
振り返りざまに刀を振るとバサッと何かが落ちた。
鷹。
違う、これじゃない。殺気に満ちた気配だったし、これじゃない…。でも、もう感じない……。
「どうした」
「山田先生、…どこかの忍が学園を調べに。人数はおそらく4。[_FS_AU_SEP_]1人は姿も見せず気配のみでしたが」
「そうか、ご苦労。……利吉から、情報が入っていてな」
どこかの忍が学園を狙っている、それを言われてもピンっとこなかった。
「私は学園長に報告する、死体は任せたぞ……と言っても、」
「もう狼達は待てませんから…」
するとツンッと狼が鼻先で手をつついた。何、と言ってしゃがむと、くわえていたそれを渡した。紙、少し唾液で濡れてる。開くと、……滲んでよく見えないけど、私の狼の名が見えた。
「じゃあ任せたよ」
「はい」
ギュッとまぶたを瞑って、すぐに開いてからさっきまでいた屋根を見た。尾浜はもう居なかった。
まぁ、端から見たら生意気な低学年だったと今の私が思うぐらいだからなぁ。
「こーら」
「いてッ」
2年生の夏ぐらいだったと思う。あの人が居た。ハッキリ言って血生臭かった。多分、忍務の帰りだったんじゃないかな。でも、なんか怖かった。無表情だからなのか、殺気立ってたからなのか。
「君だね、塹壕掘りまくってるってるのに元気が有り余ってるっていう七松小平太は」
「……先輩、だれ?」
「あーあ…、ケガしちゃって…。診せて」
いつの間にかケガしてて、その先輩は手早く手当てしてくれた。
「よし、これで良いよ」
「………先輩」
「あ、中在家。どうしたの?」
いつの間にかくの一の先輩の後ろに長次がいた。私は離れたかったけど、その先輩が手を離してくれなかった。でも、先生以外にこうやって触ってくれたのはいない。い[_FS_AU_SEP_]つも遊ぶだけで誰もそれ以上近付いてくれなかったから。いや、今思えば私が一線置いてたのかもしれない。
「………本、」
「あぁ、あの本が返却されたの?分かった、借りに行くね」
「ん……」
「あ、七松。塹壕を掘るより球技しない?中在家も」
そこで私はその先輩にバレーを教えてもらった。2回目に会ったのはくのたまに怒られて追われてたときだったなぁ。
「なぁ、長次!覚えてるか、あの先輩!」
「…………あぁ」
「今、どこにいるんだろうな!早く会いたいなぁ…」
ごろごろ転がりながら先輩を思い出す。伊作に聞いたら、確か梓季って名前だったなぁ…。
「でも意外にも側にいるのかもな」
時々あの先輩の甘い香りが学園の中でするときもあるし。そう言ったら長次の手がピクリと止まった。
****⑧****
「やぁ」
「あぁ!!利吉さん!」
1年生の声。
木に隠れていながら声がした方に目を凝らすと、山田先生の息子でフリーの腕の立つ忍者、利吉くんがいた。利吉くんは時々やってき[_FS_AU_SEP_]ては山田先生に実家に帰るように言っているが、山田先生も実家に帰ればいいのに…。何だかんだいって仲の良い夫婦だという話らしい、けど。
「おーい!!狼ー!!」
………誰?
視線を向けると生物委員の竹谷。だけど、私に気づいてない。木から降りて近寄って肩をたたくととても驚かれた。…あ、気配を消してたっけ。
【何か用か】
「あぁ!梓季、あのさジュンコ見てないか?」
【マムシの?】
「そうなんだよ…、孫兵の奴落ち込んじゃって……」
蛇の気配は分からないなぁ…。空を見上げると鷹が飛んで、………あ。急がなきゃ。鷹が飛んでるって事は、ジュンコが餌にされる可能性もあるわけだし……。だが、あの鷹……おかしいな、何者かの鷹か…?
【見てないが…】
「あー、くそっ。どこ行ったんだ…」
ボサボサの髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜる竹谷。ん、向こうから誰か……あぁ、尾浜か。どうしたんだ。指をさすと竹谷は振り返って尾浜を見つけた。
「おー、勘ちゃん」
「ハチ、あっちでジュンコが鷹[_FS_AU_SEP_]の標的になってるぞ」
「何ぃい!?勘ちゃん案内してくれ!」
「いや、俺は狼と……ってハチぃいー!!」
………。
行っちゃった。
さて、私はどうするか。いや、隠れていようか。………ん、気配…。
「やぁ、こんにちは」
振り返るとそこには利吉くんがいた。あれ、さっき1年生と一緒じゃなかった…?
でも挨拶されてるんだから、挨拶しなきゃな。片手を上げて声を出さずに挨拶すると、にっこり笑われた。あれか、この笑顔で街のおばさま方がやられるのか。
「一緒にご飯食べないかい?」
【もう食事は済んでいる】
「じゃあお茶は?食堂のおばちゃんと一緒に」
【………何が目的だ】
「いや、今日は父上に用があったんだ。でも、逃げられちゃってね」
どうしようかと思ったが腕を掴まれた。そのまま引きずられるように食堂に連れて行かれた。食堂にはおばちゃん以外居なかった。
「おやおや利吉くん!」
「こちらも一緒ですよ」
おばちゃんは私の名を呼ぼうとしたが慌てて狼と呼んだ。利吉く[_FS_AU_SEP_]んが椅子に座り、私はおばちゃんと一緒にお菓子とお茶を準備する。
「すまないが、あっちにとっておきの茶菓子があるから取ってきてくれないかい?」
おばちゃんがそういうから、取りに行こうか。おばちゃんの休憩部屋、の向こうの棚。確かに……美味しそうな茶菓子…。すごく美味しそう。おばちゃんも利吉くんが好きなんだなぁ。こんな高そうで美味しそうなお菓子を出すんだから。
「あぁ、すまないね。ちょっと学園長先生に呼ばれてるから2人で先に始めていておくれ」
そう言っておばちゃん、行っちゃった。私も椅子に座ってお茶を飲む。うん、美味しい。
「君はいつもあぁなのかい?」
「………?」
「女性ということを隠しているのかい?」
ガタガタと動揺が隠しきれなかった。相手はフリーの、腕の立つ忍者。バレてもおかしくはない。落ち着け私。さらさら、と筆を出して紙に走らせる。
【いつ気づいた】
「勘、かな。あぁ、大丈夫。君のことは他の城に言ったりなんてしないよ。それにしても、何故隠すんだい?」
【女は、くの一は確かに忍だ。彼[_FS_AU_SEP_]らのプライドに傷を付けたくない】
「意味が分からないんだけど…」
【女に護られている、それを知ったら彼らのプライドも、就職も、悪くなってしまう気がしたんだ】
「まぁ、女には…と思ってる輩も、城も少なくはないからね。でも、君はそれで本当に良いのかい?」
本当に良いのか………、そんなの、分からないよ。ただ、私にだってプライドはあるし、護りたいという信念はある。こくん、と頷くとふぅと溜息を吐かれた。
「君は、忍に向いてないね。……良いことを教えてあげるよ。中には私のように勘で気付く者もいるかもしれない」
【分かってる】
するとぎゃああッ!という悲鳴。何か起こったらしい。行かなくちゃ…。立ち上がると腕を掴まれた。
「女だと気付かれていなくても気を付けて下さい。男は、特に思春期の男は何をしでかすか分かりませんから」
カクンッと頷いて食堂から出た。思春期の男、かぁ…。
――――――
「こんばんは」
【こんばんは】
夜、いつもの屋根に行くと尾浜が居た。思春期と言えば、尾浜も十分[_FS_AU_SEP_]思春期だなぁ。確かに出会いから何日かしたら女の子がどうのとか言ってたけど、今じゃ女の子の陰も姿も見えないし…。
「ねぇ狼」
【何だ】
「狼は、男趣味なの…?」
【意味が分からない】
男趣味って…。
私、確かに男装っぽいことしてるけど……。
「ハチとか、三郎が……。狼には女の影が無いから、男とまぐわったりしてるんじゃないかって…」
男と…。でも、確かに私、女だから男とまぐわうかもしれないけど、女の影も見当たらないけど。いや、だとしても、あの2人は説教決定。
【違う。そんなじゃない、ただ忙しいだけだ】
「そうだよね!狼が、まさかね!今日利吉さんと一緒だったから、俺も驚いちゃって…」
思春期の男は…。
……ちょっと、確認してみようか。
【尾浜だって春画の1つ借りたり、買ったりしたことあるだろう】
「ぶっ!!狼、俺は、俺だって男だし!そりゃあ、借りて抜いたりしたことぐらい……」
うん、普通の思春[_FS_AU_SEP_]期の男。
それにしても、噴かな、………。
……3人か…。
【尾浜、もう部屋に戻れ】
山から、遠吠えが聞こえる。知らない忍が学園の近くにいる。1人は、近い。
「え、でも…」
毒を塗った八方手裏剣を投げる。だが弾かれることは分かり切ったことだから、続けざまにひょう刀を投げると微かに悲鳴。屋根を蹴って飛び降りるとその場所に行ったら、やっぱり忍者。耳を澄ませると、動物が駆けてくる音が聞こえる。多分、愁の子供達かな。
気配がする方に行くと1人は首元を食いちぎられ絶命、1人は狼に威嚇してる。腰から短刀を抜いて、背後から心臓めがけて突き刺して、すぐに引き抜くと首をはねた。ごろりと転がる濁った目の首、そして死体と化した肉体は狼達が持ち帰る。多分、餌かな。
………もう1つ、気配。何かが近付いてくる。
振り返りざまに刀を振るとバサッと何かが落ちた。
鷹。
違う、これじゃない。殺気に満ちた気配だったし、これじゃない…。でも、もう感じない……。
「どうした」
「山田先生、…どこかの忍が学園を調べに。人数はおそらく4。[_FS_AU_SEP_]1人は姿も見せず気配のみでしたが」
「そうか、ご苦労。……利吉から、情報が入っていてな」
どこかの忍が学園を狙っている、それを言われてもピンっとこなかった。
「私は学園長に報告する、死体は任せたぞ……と言っても、」
「もう狼達は待てませんから…」
するとツンッと狼が鼻先で手をつついた。何、と言ってしゃがむと、くわえていたそれを渡した。紙、少し唾液で濡れてる。開くと、……滲んでよく見えないけど、私の狼の名が見えた。
「じゃあ任せたよ」
「はい」
ギュッとまぶたを瞑って、すぐに開いてからさっきまでいた屋根を見た。尾浜はもう居なかった。