skdy
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……、まただ。
私はがっくりと肩を落として、机に突っ伏した。
…フラレたのだ。しかも今回は最短の四日間で。
別に私は恋多い女ではない。高校に入学してから、お付き合いしたのは3人ほど。でも、入学して一年ほど、つまり今日までで全員にフラレた。
原因を聞きたくても、相手はいつもどこか怯えたようだったり、怪我をしていたり…。直接が嫌ならLINEで…と思って連絡したら未読無視やブロックされていた。
「私…、なんかしたのかな……」
消えそうな声でそう呟く。
今は昼休み。賑やかなクラスメイトたちのランチタイムだけど。その中に自分だけが落ち込んでいて、弾かれている様な気がして悲しかった。
今日は仲の良い友人がお休みだから一緒にご飯食べてくれる子、居なくてなお悲しかった。
一つ溜息を吐いて、財布を持ち紙パックのジュースを買いに行った。いつものジュースを買い、教室に戻ろうとしたら、賑やか声が後ろから聞こえた。
振り返って姿を確認すると、後輩の朝倉君が同じ学年だと思われる女子たちと一緒に居た。
朝倉君、朝倉シン君は不良らしい、というのはあくまで噂で聞いただけだから。私も何度か話をした事あるけど、良い子だ。
それに不良だけどいろんな人に好かれてるのは確か。この間も不良と名高い南雲先輩と一緒に居たし。その前は、中等部の女の子。
話をしたことはあるけど、率先して関わったことはない。私は視線を逸らし教室に戻ると席に座り、パックのジュースにストローを突き刺した。
今日の授業も終わって、ホームルームも終わり窓からぼんやりと帰宅していく生徒や部活に行く生徒達を眺める。その中には今日私をフッた男子生徒も混ざっていた。
……まぁ、早めに別れたからその分落ち込むのもそこまでじゃないし。いい加減未練タラタラなの止めよう!
しばらく眺めていたけど、自分にそう言い聞かせる。随分長く外を眺めていたようで、生徒はもうすっかりまばらになり、夕日が差し込んできていた。
「帰ろ………」
「もう帰るんすか?」
後ろから、声。
驚いてバッと振り返ると、そこには昼間見かけた朝倉君が机に腰掛けながら酷く楽しそうにこちらを見ていた。
「朝倉君…」
「シン、でいいすよ」
朝倉君は言った。
嬉しそうに笑うその目が、何だか怖くて私は少し後ずさった。
「俺も夢主先輩って呼ぶんで」
私の名前……。
いつの間に入ってきたのか、とか。なんで私の名前知ってるのか、とかいろいろ聞きたいことがありすぎて頭が混乱してると朝倉君は机から降りて私に近付いてきた。
「夢主先輩、またフラれたんすよね」
あまりに嬉しそうに言うから、悔しくて、悲しくて。自分の中では大丈夫だと思っていても、他人にそう突き付けられると、受け止め切れなくて涙が浮かんだ。少し俯いて、言葉を絞り出す。
「バカにしに来たの……?」
とうとう、後輩にさえ馬鹿にされるようになってしまった。
なんでフラレたのかも分からない。
連絡さえ無視され。
自分に悪い所があれば教えて欲しいのに。
それさえ、かなわない。
「俺なら、夢主先輩をフるなんてしない。
だって、夢主先輩の事好きだから」
その言葉に、時が止まった気がした。
夕日が沈んで、少し教室が薄暗い。
「傷心のところつけ込むようだけど、俺と付き合って欲しい」
恐る恐る顔を上げると、朝倉君は真剣な顔で私を見ていた。私は朝倉君を見て、少し視線を落とした。
怖いと思ったのは失礼だよね…。でも私は、朝倉君のこと何にも知らない…。
「でも私、朝倉君の事ほとんど知らないよ…?」
「これから知ってってくれれば大丈夫すよ!」
朝倉君はそう言った。その言葉に圧倒され、私は気付けば分かった、と頷いていた。朝倉君はパァッと音がしたかのように笑うと私を強く強く抱き締めた。何だかその行動が、朝倉君が年相応に見えて、可愛らしくて、笑みを浮かべてその背中に手を回していた。
抱き締められている私に、朝倉君が恍惚してるのに、目が濁っていたなんて見えていなかった。
*******
シャワーを浴び終えたシンは、先程途中まで一緒に帰った彼女と手を繋いだ手を見ていた。そして笑みが漏れた。
「俺は何でも知ってるぜ、夢主先輩」
一番最初に付き合った男は先輩の事好きじゃなくて体目的。許せなくてボコボコにしてやった。
二番目に付き合った奴は比較的まともだったけど少し脅してやったらすぐに先輩を捨てた腰抜け。あんな奴に先輩は勿体ない。
最後に付き合った奴は既に何股もかけてたクソ野郎。生きているのを後悔するほどボコってやった。
男を見る目がない陽だまりみたいな優しい◯◯先輩、俺が守ってやらないといけないんだ。
ポコンッとスマホが音を立てた。
画面を見るとそこには彼女からのこれからよろしくね、というメッセージ。そのメッセージを見てシンは、ふと笑うとスマホを手に取り返信をした。
「俺のこと知ってっても良いけど、夢主先輩さ…。
逃げんなよ」
やっと手に入れたんだ。
絶対に逃さないからな、夢主先輩。
