skdy
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坂本商店で働く、働き者で気がきいて優しくてカッコいい店員さん。シン君に一緒に遊びに行かないかと誘われたのが数日前。
そして今日が遊びに行く当日。
今日のために、精一杯オシャレをしました…!
シン君…、ルーちゃんとよく一緒にいるし、もしかしたら付き合ってるのかなとか、もしかしたら今日の遊びだってもしかしたらルーちゃんへのプレゼントを買いに行くためのものだったら…私、ちょっと立ち直れないかも知れないけど…。
でもそしたら、思い出作りと思って楽しむしか無いよね。(ルーちゃんには散々そんな関係じゃないヨ!?って言われてたけど、多分照れ隠しの可能性もあるし…)
待ち合わせ場所に行くと、早めに着いた…かな。シン君の姿は見当たらない。時計を見ると約束の時間までまだ時間がある。スマホでシン君にメッセージを送るとすぐに既読になり、シン君らしいスタンプがポコンッと音を立てて送られてきた。それが嬉しくて、胸が温かくなって、何かが溢れそうになる。口元がニヤけるのが分かる。周りから見たら変な人に見えるよね…、なんて思いながら頬の内側の肉を少し噛んでニヤけを阻止した。
そして少し興奮が落ち着いてくると、一つ息を吐いてスマホを鞄にしまう。
「あのー、すいません」
ふと自分に影がかかり見上げると男の人が私を見下ろしていた。少し遊んでいそうな印象を受ける、男性。キョロキョロと辺りを見渡し、自分に問いかけているのかと、自分を指さすと頷かれた。
「憩来坂商店街って何処ですか?」
お店の名前じゃなくて、商店街…?そんなに分かりにくいかな、憩来坂商店街って…。その道まっすぐ行って曲がってしばらく歩けばすぐなのに。
まぁ、でもちょっと歩くから初めての人からしたら見つけにくいのかな…。
私は憩来坂商店街行く経路を指差した。
「この道をまっすぐ行って、突き当たりを右に曲がってしばらく歩けば見えてきますよ」
そう説明すると、男性はふぅんと言って指さした方を見た。そして、目が合う。
何だか、嫌な目をしていた。なんか、品定めをするような上から下まで舐められているような、そんな目。
そして、内心自分をバカ!と罵倒した。困っている人を助けてるだけなんだから、失礼な事を考えない!
「なんか、分かりにくそう。道案内してくれない?」
「え……」
私の説明分かりにくかったかな…。でも、もしかしたら旅行者でこの辺の地理に詳しくない人からしたら分かりにくい感じなのかな。
時計を見ればシン君との約束の時間までもう少しある。商店街入り口までなら急げば約束の時間までに戻ってこれると思うし…。
「分かりました。案内しますね」
そう言おうとしたら後ろから、そっと。まるで壊れ物を扱うかのように手が回されて目元を覆われた。そして耳を塞ぐように抱き寄せられる。それに驚いてしまい「ッぅ、わ」と変な声が漏れた。
え、何?何事…?!
覆われた暗闇の中、一瞬抱き寄せる力が強くなったかと思うと、元に戻り、そしてそっと目元を覆っていた手が離れる。慌てて振り返ると、少し傷んだ金糸の髪とこちらを心配そうに深い空色の双眸が私を見つめていた。
「あ、あれ……?シン君……?」
え、ちょっと待って…。
私今、シン君に抱き寄せてもらってた…?
その事を考えたら顔が一気に熱くなった。
「大丈夫か…?変なやつに絡まれてたけど、」
あぁ!そうだった道案内をしてくれって頼まれて、
「あれ……?」
正面に向き直ると男の人は姿を消していた。
え、え…?なんで、え、何かあったのかな…?
「シン君……、男の人は…?」
「あぁ、なんか道案内はやっぱ良いって言ってどっか行ったぜ?」
頬を掻きながらシン君はそう言った。
そっか、まぁ道案内しなくても分かったなら大丈夫ってことだよね。
自分にそう言い聞かせると、あー…と言いながらシン君は少し頬を赤らめて口を開いた。
「今日も、可愛いな」
「え、」
「……何でもない。行くぞ!」
ちょっと、待って。待っ、待って待って!?
今、シン君が可愛いって…!
もう、それだけで私は嬉しくて笑みが浮かんで、先を行くシン君の隣に立って歩き出した。
「シン君も、格好いいよ」
そう言うとシン君はバッと私を見て、しばらく私を見ていたけどみるみる顔が赤くなっていった。
******
シンは物陰から自分を待つ彼女を見つめていた。
恋愛なんて苦手だから恋人なんて欲しいと思っていなかった自分に、まさか好きな女が出来るなんて思っていなかった。一般人で、笑顔が似合う彼女。
ルーからは早く告白でも何でもしロ!巻き込まれるこっちの身にもなレ!とせっつかれている。
彼女はいつもよりオシャレをしていて、それが自分のためなのだと思うと嬉しくて少しニヤけそうになる。彼女の心を読み、スマホを見るとメッセージが送られてきた。素早く返信し、もう少し自分を待つ彼女を眺めていようと思い、顔を上げたら。
男が彼女のそばに立っていた。
それだけでこめかみに青筋が立ちそうになる。距離も異様に彼女に近い。そして流れ込んでくる男の下劣な思考に、殺意が湧き上がる。
あの優しい、笑顔を彼女は向けているのだろう。
あの穢れを知らない、綺麗な瞳はあの下劣な男を映し出しているのだろう。
あの男は、彼女の優しさに付け入ろうとしているのだろう。
シンは大きく息を吸って、そして大きく吐くとそこから出て彼女に近づいた。彼女は背を向けているから気付かない。男はシンに気付いたのか意識をこっちに向けてくる。
"なんだコイツ"
それはこっちのセリフだクソ野郎。
そっと手で彼女の視界を覆い隠し、そっと抱き寄せる。自分よりも小さくて脆くて暖かい彼女の温もり。それに恍惚するが、目の前のゴミ野郎を片付けるのが先だ。そう思いシンは一度ゆっくり瞬きをして男を見た。
「ひッ、」
男はその恐ろしさに情けない、引きつったような声を上げた。陰のかかった顔に仄暗く、澱んだ、ハイライトのない深い空色が、見つめている。まるで見てはいけない深淵でも覗き込んでしまった気分だ。男は恐怖で震えも冷や汗も止まらなかった。
シンはそっと口を開き、声を出さずにそっと、
失
せ
ろ
そう言うと男は逃げ出して行った。
姿が見えなくなるまで男の背中を睨み付けていた。が、見えなくなったところで改めて彼女の温もりを感じ、ふと笑みが溢れた。
こんな、自分のためにおしゃれをしてきてくれた女に下劣な事をしようとした、何よりこの可愛い格好を俺よりも先に見たあの男、後でとっちめてやる。
驚いた彼女の姿を見ながらシンはそう胸に誓った。後日、坂本から嫉妬は程々にしろと怒られた。
