skdy
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私は一心不乱にスマホのカメラをシン君や坂本商店のみんなに向けていた。今日は坂本商店が参加する商店街のハロウィンイベントだ。坂本さん達は仮装しており、その姿を撮らずにいられるわけがない。
ルーちゃんは小悪魔、坂本さんは吸血鬼、シン君は狼男というラインナップ。
みんな格好良いし、可愛い。
しかもみんな顔がいいから映える。
スマホの写真フォルダをひっ迫するぐらい写真を撮って、私も葵さんに誘われて「何の仮装やろうかなぁ」なんて思っていたら、坂本さんに紙袋を渡された。どうやら私に選択権はないらしい。
…………ん?
「…………」
着替え終えて、鏡に映る自分の姿を見て、思わず溜息を吐いた。もらった衣装はファンシーでとても可愛いけれど、この格好に私が見合っているかというと、首を横に振らざるを得ない。華やかなみんなと比べると、やはり地味に見えてしまう気がした。
でも私が落ち込んだところで仕方がない。
それに、私がそんな態度をしてみんな楽しんているのに、水を差すようなことをしたくはなかった。しょんぼりした気持ちを頭を振って振り払い、葵さんと花ちゃんの前に出ると「おまたせしました」と言った。
二人は目を輝かせてくれた。
「夢主ちゃん可愛いじゃない!」
「夢主おねえちゃんかわいい!」
私に渡されたのは赤い頭巾に、ファンシーな衣装。
要するに赤ずきんの格好だ。
え、ハロウィンってお化けに扮する行事じゃなかったっけ…?確かに最近はハロウィンに仮装とか増えてるみたいだけど。
「あ、ありがとうございます…」
取り敢えず褒めてくれたのだから精一杯の笑顔でお礼を言った。ただ、心なしか引きつっている気がする。この衣装は私には可愛すぎる気がして。
そんな私の気持ちを察したのか、葵さんが近寄ってきてそっと耳打ちをした。
「これね、花とシン君が選んだのよ」
たった一言。
その一言で私の落ち込んでいた気持ちはギュンッと垂直急上昇した。
花ちゃんとシン君がこの衣装を選んでくれた…?
花ちゃんを見ると花ちゃんは少し照れくさそうに笑って、「えへへ」と笑っている。
天使かな?
花ちゃんに近づいてしゃがみ込む。
「ありがとう、花ちゃん」
お礼を改めて言うと花ちゃんは名前の通り花が咲いたような笑顔を私に向けてくれた。そして、お菓子をもらいにお店を出て行った。
そんな花ちゃんを見送っていると、こちらを凝視しているシン君と目が合った。シン君も慌てて視線を逸らす。なんだかこちらも気恥ずかしくて、少し俯いてしまう。けど、葵さんがポンッと後ろから両肩に手を置いてきた。振り返るとニコニコ笑う葵さん。何も言わないけど、何を言いたいかも何となく分かった。
ルーちゃんの方が絶対に可愛いと分かっているけど。
好きな人から"可愛い"の一言が欲しい、なんて。
一つ深呼吸して、シン君に近付く。
「シン君」
隣に並んでシン君を見上げる。シン君は照れくさそうにその肉球の付いた手袋で頬を掻いていた。
「花ちゃんとこの衣装選んでくれたんだよね。ありがとう」
そう言うとシン君は少し頬を赤らめて、ちらっと私に視線を向けた。
「…………ホントはルーが、」
「ん?」
「……夢主はルーと対の衣装が良いって言ったんだけど、それだとルーとニコイチになっちまうだろ」
確か、ルーちゃんの衣装は小悪魔だったような…。まぁ、確かに対となる衣装となれば、そうなるとルーちゃんとニコイチになるかな。
「…………夢主の隣には俺が居たいんだよ」
そう言ってシン君はそっとその柔らかいモフモフの手袋越しに私の手を握ってくれた。
確かに赤ずきんなら私がシン君の隣に立っても、赤ずきんの童話のダブル仮装とも見れるから一緒にいられる。
なんて一瞬考えたけど、少し照れたように囁きながら言って、手を握ってくれるシン君に私のキャパは一瞬にしてマックスになってしまう。
顔が熱い。
手汗かかないようにしないと…!!
手袋越しに触れる手は私よりも大きくて、ドキドキしてしまう。
「夢主ー、シンー。写真撮りたいって人来てるヨー」
ルーちゃんの声に私達は声がした方を見ると、ルーちゃんが呆れたようで、でもニヤニヤしながらこちらを見ていた。そ、そうだ!仮装しててもシン君は今お仕事中なんだから…!
離れがたいけど、お仕事中なら仕方ない…。
私は手を離そうとしたがシン君はそれを許さなかった。シン君は私の手を握ったままルーちゃんのいる方へズンズンと歩き出してしまった。
「ぁ、あの……、シン君…!」
勘違いしてしまう。
皆も。
……私も。
「いいから」
「ぇ、」
心臓がドクドクと痛いほど鳴っている。
顔から火が出そうなくらい熱い。
ルーちゃんのところに行くと商店街の人なのか、カメラを持った人が穏やかに笑っていた。
「赤ずきんと狼かー、良いね」
シン君とカメラを持った人が何やら話をしているけど私は恥ずかしいやら、先程のシン君の言葉の真意が分からず疑問符が頭の上を飛び交っているせいで、会話の内容が全く頭に入ってこない。
シン君確かエスパーだって聞いてたような、ということは私のさっき思った事も聞かれていたはずなのに、でも、もしかしたら私の心なんて読んでなくて、一緒に来いって意味で「いいから」って言ったのかもしれなくて…?
「じゃあ狼は赤ずきんにがおーってしててねー」
でもこんな近い距離で、シン君聞き逃すかな?いや、もしかしたら聞き逃していたのかもしれない、そうだ、そうに違いない。
「夢主」
手が離れる。
今更それが名残惜しくて。でも、ふと自分に陰がかかるのを感じてシン君を見上げる。
シン君が、凄く近い…。
って、え、
「ははは、ラブラブな赤ずきんと狼だね。これも良いねー」
突然の事に私は何も言えず、シン君の顔が離れていくのを顔を真っ赤にして呆然と見ていることしか出来なかった。
