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※オメガバパロ
坂本は自宅から店に戻ると、店内に充満している濃密なΩのフェロモンに気づいた。ふわり、というよりは、まろやかに空間に溶け込んでいる、そんな微かな匂い。
それを嗅いで思い浮かべたのはJCC時代に、友人だった夢主の匂いだ。一瞬にして、鮮明にその名前がよぎった。何故彼女のフェロモンが…?と思いながら、フェロモンを辿るとシンをからかう南雲からだった。
「おまっ…、Ωのフェロモン纏ってくんなよ…!」
βのシンにも分かってしまうような濃いΩフェロモン。擦れ違ったり、話をしただけではこんなに濃厚な匂いはついたりしないだろう。ということは二人は密接な関係だと坂本は思いかける。だが、一つ引っ掛かることがありそれを鵜呑みにはできなかった。
シンは少し顔を赤らめて南雲に文句を言っている。しかし、南雲にはそんな文句さえ祝福の言葉に聞こえてしまうようで、ヘラヘラと笑っている。
「実は、好きな子が運命の番だったんだよね」
「へー、んなこともあんのか…、ってそうじゃねえ!Ωのフェロモン纏ってくんな!」
ギャンギャンと怒るシンに対して、南雲はいつもの胡散臭い笑みを浮かべながら受け流している。
そんな二人をちらりと見て坂本はいつもの席につくために二人の横を通る。確かにαの坂本でも近くを通っただけでこんなにフェロモンを感じ取れるなら、βのシンでも感じ取れてしまうだろう。
「シン君もαになれば分かるよ」
ギシリと椅子が軋む。新聞を広げそこに書かれている文面を追おうとしたが、南雲の纏う雰囲気がいつもと違う事に気付き、様子を伺う。
「焦がれて、焦がれて。やっと手に入れたんだ。少しでも離れたくない。肌で感じられないなら、こうして香りででも、その存在を全身に刻みつけたいじゃない」
ハイライトの消えた、南雲の目。
それはただの黒ではなく、深海の底のようにすべてを飲み込む昏い闇の色をしていた。いつもの飄々とした仮面の下に隠されていたαの本能、そして独占欲が剥き出しになっている。
それはいつもの飄々とした南雲とは違う。シンも坂本もそれを感じ取り、シンは少し後ずさった。坂本はそんな南雲を見て引っかかっていたことがただの疑問ではなく、現実であると判断し、シンを呼んだ。
「ルーが来てない」
「来てないんすか?!ったくアイツ……!!」
南雲の異様な雰囲気に飲まれかけていたシンはハッとして坂本の言葉を理解するとスマホを取りにバックヤードに入っていた。
店には坂本と南雲だけ。
「坂本君、夢主と仲良かったよね」
「……………」
「僕が夢主を好きだって知ってたよね」
「………………あぁ」
坂本はJCC時代、三人でつるんでいたが南雲は同じ学部で同級生の夢主をいつも見ていた。
ただし、ただの『視線』ではなかった。それは獲物を逃がさまいとする獰猛なαの視線でありながら、まるで高価な美術品をガラス越しに見つめるような、歪んだ愛着を帯びていた。
見ているだけで、決して近づかない。
話すのは、必要最低限。
じっと、ただ遠くから見つめているだけ。
まるで神様が、手の届かない偶像を崇拝するように。
あるいは。
飢えた獣が、鎖の先にある獲物に焦がれるように。
その視線には、手に入らないことへの苛立ちといつか必ず手に入れるという確信めいた執着が滲んでいた。南雲は、自分と夢主が運命の番だとあの頃から確信していたのだろう。
そして、今、その確信を現実にした。
「坂本君」
トーンの下がった声。
その声に過去を振り返っていた坂本は、血の通わない現実に引き戻された。
「邪魔、しないで」
あぁ、やっぱりそういう事か。
坂本はすべてを察し、肯定も否定もせず、南雲の言葉を受け流した。
*******
暗い部屋。
真っ暗。昼間は遮光のカーテンから微かに光が漏れていて部屋の中を映し出していたけど、今は日が暮れたみたいで、部屋の中は暗い。
頭の中を、この暗い部屋に連れられてくるまでの事が巡り、胸が張り裂けそうな程の悲しみが襲ってきて、涙が浮かんだ。
Ωである運命を呪い、必死に隠して生きて来た。やっとありのままの自分を受け入れてくれた彼と幸せになるはずだったのに。
その一瞬ですべてが塵になって崩れ去った。
するとガチャッとわざとらしく鍵が開く音がして、扉がゆっくり開く。
「あれー、目が覚めてたんだ?」
「ッ………なぐも、くん……」
この部屋の家主、JCC時代の友人である南雲君。
ポロッと浮かんでいた涙がこぼれ落ちた。
南雲は部屋に入ってくると、まっすぐ私のところまでやって来て、そっと私を抱き締めた。
まるで恋人にするかのように。
「ただいま」
「やだ、南雲くん…………!」
触れて欲しくなくてそう言うが、南雲君はふふっと笑うと私の首に付けられている鍵付きのチョーカーをそっと撫でた。
これがあるから私の精神はまだ首の皮一枚繋がっている状態だ。そう、これがあるからまだ南雲君には噛まれていない。
だってチョーカーは。
「はい、外れたー」
楽しそうな南雲君の声が、一瞬理解出来なかった。私を放した南雲君の手には私がしていた筈のチョーカー。晒された首が少しヒヤリとして、更に外されてしまったという現実にざぁ…と血の気が引いた。
「か、えして………!お願い…、南雲くん……!!」
震える声で懇願し、必死に手を伸ばしたが、その手を掴まれ、有無を言わさぬ力で再び抱き締められる。
「君が悪いんだよ。僕以外を番に選ぼうとするなんて…」
甘い、恋人のような声。
しかし、その手は容赦なく私の抵抗を封じた。
今回ORDERの人と大きな仕事があって、その仕事が終わったら、番になろうとチョーカーをくれた彼から言われた。でも、彼は帰って来なかった。裏でスラーと繋がっていると判断され、粛清された。繋がっているわけない、そんな筈ないと必死に抵抗したけど、一度判断されたものは覆らない。
私の目の前で彼は粛清された。あのチョーカーは彼がΩとしての私の安全を守るために彼がくれたものだったのに。
体が熱い。お腹が疼く。Ωの本能が理性を押し潰してくる。
分かってる、本当は南雲君が運命の番なんだって。でも、理解はしても感情が追いつかない。
南雲君は獲物を前にした捕食者のように、チュッと私の項に口付けた。生温かい感触が、これから起こることを示唆し、背筋に冷たい電流が走る。
まるで首を落とされる囚人が乗る断頭台にでもいるような気分だ。
そして、
「ぅあ゛っ、ッ〜〜〜!!!!」
南雲君は容赦なく私の項を噛んだ。
私の甲高い悲鳴が上がる。それは痛みだけでなく拒絶でもあった。
自分という存在が頭の先から指の先まで、熱い毒に侵されていくような感覚。南雲君のαとしての力が、私というΩの存在を上書きし、自分だけのものへと作り変えられていく。
目の前がチカチカと星が飛び、体から力が抜けて、南雲君に体を預けてしまう形になってしまった。
南雲君は思い切り歯を立てた項から溢れる血液を舌で舐め取り、噛み跡に馴染ませるように丁寧に舐め続けた。
坂本は自宅から店に戻ると、店内に充満している濃密なΩのフェロモンに気づいた。ふわり、というよりは、まろやかに空間に溶け込んでいる、そんな微かな匂い。
それを嗅いで思い浮かべたのはJCC時代に、友人だった夢主の匂いだ。一瞬にして、鮮明にその名前がよぎった。何故彼女のフェロモンが…?と思いながら、フェロモンを辿るとシンをからかう南雲からだった。
「おまっ…、Ωのフェロモン纏ってくんなよ…!」
βのシンにも分かってしまうような濃いΩフェロモン。擦れ違ったり、話をしただけではこんなに濃厚な匂いはついたりしないだろう。ということは二人は密接な関係だと坂本は思いかける。だが、一つ引っ掛かることがありそれを鵜呑みにはできなかった。
シンは少し顔を赤らめて南雲に文句を言っている。しかし、南雲にはそんな文句さえ祝福の言葉に聞こえてしまうようで、ヘラヘラと笑っている。
「実は、好きな子が運命の番だったんだよね」
「へー、んなこともあんのか…、ってそうじゃねえ!Ωのフェロモン纏ってくんな!」
ギャンギャンと怒るシンに対して、南雲はいつもの胡散臭い笑みを浮かべながら受け流している。
そんな二人をちらりと見て坂本はいつもの席につくために二人の横を通る。確かにαの坂本でも近くを通っただけでこんなにフェロモンを感じ取れるなら、βのシンでも感じ取れてしまうだろう。
「シン君もαになれば分かるよ」
ギシリと椅子が軋む。新聞を広げそこに書かれている文面を追おうとしたが、南雲の纏う雰囲気がいつもと違う事に気付き、様子を伺う。
「焦がれて、焦がれて。やっと手に入れたんだ。少しでも離れたくない。肌で感じられないなら、こうして香りででも、その存在を全身に刻みつけたいじゃない」
ハイライトの消えた、南雲の目。
それはただの黒ではなく、深海の底のようにすべてを飲み込む昏い闇の色をしていた。いつもの飄々とした仮面の下に隠されていたαの本能、そして独占欲が剥き出しになっている。
それはいつもの飄々とした南雲とは違う。シンも坂本もそれを感じ取り、シンは少し後ずさった。坂本はそんな南雲を見て引っかかっていたことがただの疑問ではなく、現実であると判断し、シンを呼んだ。
「ルーが来てない」
「来てないんすか?!ったくアイツ……!!」
南雲の異様な雰囲気に飲まれかけていたシンはハッとして坂本の言葉を理解するとスマホを取りにバックヤードに入っていた。
店には坂本と南雲だけ。
「坂本君、夢主と仲良かったよね」
「……………」
「僕が夢主を好きだって知ってたよね」
「………………あぁ」
坂本はJCC時代、三人でつるんでいたが南雲は同じ学部で同級生の夢主をいつも見ていた。
ただし、ただの『視線』ではなかった。それは獲物を逃がさまいとする獰猛なαの視線でありながら、まるで高価な美術品をガラス越しに見つめるような、歪んだ愛着を帯びていた。
見ているだけで、決して近づかない。
話すのは、必要最低限。
じっと、ただ遠くから見つめているだけ。
まるで神様が、手の届かない偶像を崇拝するように。
あるいは。
飢えた獣が、鎖の先にある獲物に焦がれるように。
その視線には、手に入らないことへの苛立ちといつか必ず手に入れるという確信めいた執着が滲んでいた。南雲は、自分と夢主が運命の番だとあの頃から確信していたのだろう。
そして、今、その確信を現実にした。
「坂本君」
トーンの下がった声。
その声に過去を振り返っていた坂本は、血の通わない現実に引き戻された。
「邪魔、しないで」
あぁ、やっぱりそういう事か。
坂本はすべてを察し、肯定も否定もせず、南雲の言葉を受け流した。
*******
暗い部屋。
真っ暗。昼間は遮光のカーテンから微かに光が漏れていて部屋の中を映し出していたけど、今は日が暮れたみたいで、部屋の中は暗い。
頭の中を、この暗い部屋に連れられてくるまでの事が巡り、胸が張り裂けそうな程の悲しみが襲ってきて、涙が浮かんだ。
Ωである運命を呪い、必死に隠して生きて来た。やっとありのままの自分を受け入れてくれた彼と幸せになるはずだったのに。
その一瞬ですべてが塵になって崩れ去った。
するとガチャッとわざとらしく鍵が開く音がして、扉がゆっくり開く。
「あれー、目が覚めてたんだ?」
「ッ………なぐも、くん……」
この部屋の家主、JCC時代の友人である南雲君。
ポロッと浮かんでいた涙がこぼれ落ちた。
南雲は部屋に入ってくると、まっすぐ私のところまでやって来て、そっと私を抱き締めた。
まるで恋人にするかのように。
「ただいま」
「やだ、南雲くん…………!」
触れて欲しくなくてそう言うが、南雲君はふふっと笑うと私の首に付けられている鍵付きのチョーカーをそっと撫でた。
これがあるから私の精神はまだ首の皮一枚繋がっている状態だ。そう、これがあるからまだ南雲君には噛まれていない。
だってチョーカーは。
「はい、外れたー」
楽しそうな南雲君の声が、一瞬理解出来なかった。私を放した南雲君の手には私がしていた筈のチョーカー。晒された首が少しヒヤリとして、更に外されてしまったという現実にざぁ…と血の気が引いた。
「か、えして………!お願い…、南雲くん……!!」
震える声で懇願し、必死に手を伸ばしたが、その手を掴まれ、有無を言わさぬ力で再び抱き締められる。
「君が悪いんだよ。僕以外を番に選ぼうとするなんて…」
甘い、恋人のような声。
しかし、その手は容赦なく私の抵抗を封じた。
今回ORDERの人と大きな仕事があって、その仕事が終わったら、番になろうとチョーカーをくれた彼から言われた。でも、彼は帰って来なかった。裏でスラーと繋がっていると判断され、粛清された。繋がっているわけない、そんな筈ないと必死に抵抗したけど、一度判断されたものは覆らない。
私の目の前で彼は粛清された。あのチョーカーは彼がΩとしての私の安全を守るために彼がくれたものだったのに。
体が熱い。お腹が疼く。Ωの本能が理性を押し潰してくる。
分かってる、本当は南雲君が運命の番なんだって。でも、理解はしても感情が追いつかない。
南雲君は獲物を前にした捕食者のように、チュッと私の項に口付けた。生温かい感触が、これから起こることを示唆し、背筋に冷たい電流が走る。
まるで首を落とされる囚人が乗る断頭台にでもいるような気分だ。
そして、
「ぅあ゛っ、ッ〜〜〜!!!!」
南雲君は容赦なく私の項を噛んだ。
私の甲高い悲鳴が上がる。それは痛みだけでなく拒絶でもあった。
自分という存在が頭の先から指の先まで、熱い毒に侵されていくような感覚。南雲君のαとしての力が、私というΩの存在を上書きし、自分だけのものへと作り変えられていく。
目の前がチカチカと星が飛び、体から力が抜けて、南雲君に体を預けてしまう形になってしまった。
南雲君は思い切り歯を立てた項から溢れる血液を舌で舐め取り、噛み跡に馴染ませるように丁寧に舐め続けた。
