第1章
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今日もいつものように牢獄で1日が始まって、1日が終わる。そう思っていた。
固めのパンをスープに浸して柔らかくして飲み込んでいた時、エレベーターが開いた。
看守が30人以上。マゼラン署長にハンニャバル副署長。その他の看守長達も勢揃いしてる。
随分と厳重体制だ。一体、何の騒ぎだろう。
エレベーターの方をジッと見つめる
「ほら、歩け」
看守長に促されてエレベーターから出て来たその人を見て、思わず目を見開いた。
あまりにも、有名な人だったから
「っ、引っ張られなくても歩ける」
白ひげ海賊団2番隊船長。
火拳、ポートガスDエース
それに
「エースさん、大丈夫か!!」
七武海。海峡のジンベエ
こんなすごい人達が捕まったの?
一体、地上では何が起こっているんだろう。
考えていると、看守の1人が声を張り上げた。
「マゼラン署長!現在、LEVEL6の牢屋はどこもいっぱいで空きが無いのですがどうしましょう!!」
「そうか。なら、その女の牢屋に一緒に入れておけ」
「えっ」
『えっ』
思わず、看守と一緒に私も驚いた声出しちゃったよ。
えっ、今なんて言った?
一般人のか弱い女の子と、めっちゃめちゃ有名な海賊(1人は政府公認の海賊だが)を同じ牢屋に入れるって言った?
いやいやまさか
「何してる。そのちんちくりんの女と一緒の牢屋に入れろと言っているんだ」
完全に言ってるわ。
ただ、ひとつ言わせていただきたいが私がちんちくりんな訳じゃなくてお前がデカすぎるだけだからな。
口に出すのは怖いので言わないでいてやるけどな!!ビビリですが何か?
「で、ですが、その、彼女は囚われた理由が特殊なので、他の囚人達のように手や足の拘束はおこなってないんです。万が一ですが、火拳達の拘束を外されるなんてことは…」
「あれに海楼石の鍵や鎖を素手で壊せると思うのか」
「あ、なるほど」
なるほど、じゃねぇよ。
マゼランに納得させられた看守は、言われた通りガチャンと私の牢屋の鍵を回し扉を開けた。
その様子を見た囚人達が叫ぶ。
「よっしゃ、今だ!看守の鍵を奪うんだ嬢ちゃん!!」
「お嬢!コブラツイストだ!!」
『皆さんは私を何だと思ってるんですか!?できませんしやりませんよ!!?』
そんなことをやってる間に、火拳のエースと海峡のジンベエは私のいるこの牢屋に入ってきた。
まじですか。
看守達は2人を牢屋に入れた後、今度は彼等を壁にぐるぐると鎖で縛り付けた。
えっ、牢屋にいるのに更に縛るの!?
クロコダイルさんとか大物の犯罪者だって、手枷と足枷だけなのに。
やば。
「マゼラン署長!火拳ポートガスDエース、海峡のジンベエ。2名の拘束が終わりました!!」
「ご苦労」
そう言うと、マゼランは火拳のエースに向かって牢屋越しに話し始めた。
「数日後、海軍が迎えをよこす。処刑が来るそれまでの時間、せいぜいこのインペルダウンという地獄で自分の罪を反省するんだな」
マゼランの言葉に2人は顔を悔しそうにしかめる。
署長達や看守長達が去っていくと、先ほど騒がしかったのが嘘のように静かになった
さすがに私も空気くらいは読めるので黙っていることにした。2人から離れたところに大人しくちょこんと座る
「エースさん…!身体は大丈夫か」
「…あぁ。ジンベエ、すまん。お前まで…」
「わしのことはいい…。わしは死んでもこの戦いを止めたかった…。エースさん、あんたを救いたかった…」
うん!大事そうな話し出したし、これは空気読んで存在を消しといたほうが良さそう。
そう思って口をつぐむ。
「…クハハハ」
そんな静けさを遮る笑い声が正面の牢屋から聞こえてきた。
「シャバは随分面白しれェことになってるようだな」
フロアに低く、それでいて良く通る声が響く。クロコダイルさんだ。
「白ひげを討ち取るにゃあ、またとねぇチャンスってわけか…!こりゃぁさすがに血が騒ぐ」
彼の台詞を皮切りに、囚人達が騒ぎ始める
「俺を出せ!!あの白ひげの首をとってやる!!」
「ひゃっはー!!おもしれぇ!」
「海軍と白ひげの戦争だって!?暴れまくってやる!!出せ出せぇ!!」
囚人達が一斉に牢屋を揺すり、足踏みをする。
彼らの、奥に潜めていた血が騒ぎ出したようだ。
いつも私のくだらない話に付き合ってくれる彼等は、本当に紛れもない強者なんだと分かりきっていることを思います。
戦争、なんて聞いただけで震える私とは大違い
「ジンベエ、火拳、よぉく覚えておけ。白ひげやロジャーに勝てなかっただけで涙を飲んだ“銀メダリスト”達は、この海にゃァごまんといるんだぜ」
クロコダイルさんがニヤリと笑う。
彼らの目には一体、どんな風に世界が映ってるんだろう
分かるはずがないのに、何だかそれがとても気になった。一般人の私には到底、理解できないことなんだろうけど。