第1章
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「てめェが平和ボケした世界で生きてきたってのはよく分かった」
先ほどまでの話をクロコダイルさんが一言でまとめた。
はい、その通りです。ぐうの音も出ません
武器を持つのも怖くて、私は何の武器も持ってないしね!
人を傷つける道具なんて使ったことは愚か持ったことすらないんだもの。盗んできた武器とかも全部、囚人達にあげちゃった。
だって剣とか振るえないし……ましてや銃なんて撃ったとしても当たらないだろう。私が持ってるより誰かが使った方が、よっぽどいい。
そんなことを考えていると先ほどの質問___能力の使い方、に対しての答えが出たのか、ダズさんが顔を上げ少し困ったような表情を浮かべて答えた
「すみませんボス。自分も能力を会得したのは随分昔で……今は能力を出したい時は意識せずとも自然と出るもんなんで…」
「まぁ、俺も似たようなもんだからな。…だそうだ。自然に出してみろ」
『いや、無理ですよ!?』
そんな自然にポンッと出るものだったら、こんな苦労してないよ!
さぁ、出てきなさい~
私の〜素晴らしい能力~自然に~~
そう思いながら手を伸ばす。
ほぅら、出てこない。え、その動きは不自然だろって?そんなバナナ
『ううん…能力使えないし、やっぱりこの悪魔の実、偽物だったんじゃないかな』
残念、とは思うが特別落胆するわけでもない。
悪魔の実っていう存在自体が私にとっては幻のようなものだったし、過度な期待はしてなかったから
能力者になるという実感もなかったし。
まぁ、でも最後にちょっと恥ずかしさを捨てて、能力を出すような努力をしてみようかな
フゥ~と大きく息を吐く
肩幅まで足を開いて腰を落とす
両手に力を入れて構えて さぁ、皆さんご一緒に!
『クァーメェーハァー○ェー破ァアアア!!』
故郷で見ていた漫画の主人公の必殺技だ
両手を前に突き出して気合を入れて思いっきり叫ぶ。
要は気合だと思う。能力を発動させたいという気合があればいけると思ったんです。私なりに頭を使った結果がこれなんです。
クロコダイルさんやダズさんをはじめ、周りの囚人達になに馬鹿なことやってんだコイツって目で見られたけど。
気にしない気にしない。私も獄中生活でだいぶメンタル図太くなったようだ。まぁ、図太くないとやっていけないしね。
すると、両手の間から何かがポンッと出た
なんか出た
これ、は…
『…傘?』
私の手から出たのは、なんと直径1m弱の傘のようなものだった。
いやいや、傘だなんてそんな
とりあえず、それを手で持ってさして
くるくる、と回してみる。
『………傘、ですね』
「そうだな」
………。
あ、もしかしたらすごく硬い傘なのかもしれない!
期待して傘の表面を触る
程よい弾力でスベスベしてる。
うんうん、これ普通の傘だわ
『やったね!これで突然の通り雨も安心だね!!ってアホか!!』
思わずポーイッと傘を投げてしまった。こんな傘いらんわ!って思ったからなのか、床に落ちた瞬間に傘は煙のように消えた
「…どんな能力であれ、鍛え上げりゃ強くなるはずだ」
せいぜい自分の能力を使いこなしてみるんだな
そう言うと、クロコダイルさんは砂になってインペルダウンの出口へと向かっていった。
歩きながら話していたのであまり自覚がなかったが、いつのまにかLEVEL1フロアまで来ていたらしい。
うおおおお!!軍艦を奪うぞぉおおお!!
脱獄だぁあああ!
と囚人達が雄叫びをあげながら、一斉に出口の扉の方に向かっていく
インペルダウンを脱出したら、その後に待っているのは海だ。脱出して終わりではない。軍艦を奪って海を渡る必要がある。
クロコダイルさんとダズさんは軍艦を奪いに向かって行った。
でも私は、能力者になったとはいえとてもじゃないが軍艦を奪う戦力にはならない。
それだったら、と。
私は2人とは別れてルフィさん達のいる方へ向かった。ここなら怪我人の誘導とか私にでもできることはあるかもしれない。
クロコダイルさん、ダズさん
ご武運を祈ります!!
私もできることを頑張ります!