第1章
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『そういえば、これ結局なんだったんだろう』
ポケットから手に入れた小箱を出してよく観察してみる。
鎖がグルグルと巻き付いてる以外は、至って普通の小箱だ。何でこの箱を持ってきたのかと言われても特に理由はないのだが、持って行った方が良い予感がしたのだ。
まぁ、私の勘なんてあんまり当てにならないだろうけど。せっかく持ってきたのなら中身が知りたいと思うのは当然のことだと思う。
箱をくるくる回したり、箱に巻かれてる鎖を引っ張ったりしてると、それを見ていただろうクロコダイルさんに声をかけられた。
「何してやがる。貸してみろ」
『あ、はい』
この箱もマゼランの部屋から盗んできた物なんですよ。何が入ってるかは分からないんですけど、何だか気になって。
まぁ、鍵がついてて開かないんですけどね。
そう言ってクロコダイルさんに差し出す
彼はそれを右手で受け取る。
そして一呼吸する間に、箱を砂に変えた。
ザァァとクロコダイルさんの大きな手から砂がこぼれ落ちる。
『えええええ!砂になった!?』
「…テメェの頭は鳥以下か?スナスナの実の能力者だと言っただろ」
いや、覚えてますよ!覚えてますけど!!
木箱を砂にできるなんて思わなかったんだもん!!
悪魔の実の能力って本当、人間の力では考えられないくらい色々なことができるんだなぁと驚く。
あ、そうだ。
『結局、この箱には何が入ってたんですか?』
クロコダイルさんを見る。
彼は中身を見て一瞬驚いた顔をしたが、すぐに表情を戻しニヒルに笑った。
「……これだ」
そう言うと、彼は私の両手に“それ”をのせた。
『これって!!』
「良い拾い物をしたじゃねェか。お嬢さん」
『……なんでしょうか?』
クロコダイルさんには呆れられたようにため息をつかれたし、周りの囚人達は皆ずっこけた。
無知ですみません
私、これでも学校の成績は良かったんだけどなぁ。まぁそりゃ学校の勉強なんて、こういう世界においては役に立たないよね。
「おいおいおい!すげぇもの盗んできたじゃねえか!嬢ちゃん」
「それを知らないとかマジありえねぇぞお前!!」
なんかすごい馬鹿にされてるんだけど。
『すみませんね!まだまだ若造なもんなので知らないことが多いんです!勿体ぶらずに何なのか教えてくださいよ!』
失礼な囚人達に言い返していると、クロコダイルさんがため息を吐きながら教えてくれた。
「ハァ…それは悪魔の実だ」
『へー…………えええええ!?これが!?』
思わず手から落としそうになってしまった。
え、このぐるぐるした変な模様のおもちゃみたいな物体が悪魔の実なの?
「見るのは初めてか」
『そ、そりゃそうですよ…。というか、悪魔の実が現実に存在するっていうのを知ったのもつい最近なんですから』
一般市民にとっては悪魔の実なんて幻の存在なんですよ。
この世のどこかには悪魔の実図鑑っていうのもあるみたいだけど、私の町の図書館にはなかったし
「……で、どうするんだ?」
彼は口角を上げて、こちらを見やる。
えっと
『ど、どうしましょう…』
手の上に乗った悪魔が宿る果実を見つめながら、呟いた。