第1章
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やばいやばいやばい!!
LEVEL2に続く階段を目指して、LEVEL3フロアを全力で走り抜ける。
LEVEL3は既に囚われていたであろう囚人もおらず、看守達も全員倒されていた。きっと先に到着したルフィさん達がやってくれたのだろう。
逃げることだけに集中できてよかった。
そう、逃げることだけに。
やばいやばいと言いながら逃げてるけど、一体何に追いかけられてるかですって?
私の背後を見てください。
……見た?
ね?メチャクチャやばいでしょ!?
私の背後から鬼のような形相で迫ってくるのは、マゼラン署長
「貴様!!それはオレの部屋のひざ掛けだろう!?何で持っている!!」
『すみませんすみませんすみません』
「すまないと思ってるなら止まれ!!」
『それはできないご相談です!!』
全力で走ってるのに、どんどん距離を詰められる。最初はすごく距離が開いてたから何とか階段を登りきって、LEVEL3フロアにたどり着くことができた。
だけど、もう限界かもしれない
…いや、諦めたらそこで試合終了だって、どっかのバスケ漫画でも言ってたじゃないか!
心で負けてどうする!
「終わりだ!!」
マゼランの大声と共に、空気が変わるのを感じる。毒の気配。
あの、囚人達を溶かした毒が迫ってくるのを感じる。
『っ……』
今でもあの衝撃な映像が鮮明に頭に残っている。
怖い
怖い……だけど!!
『っ絶対!!諦めないから!!』
背後は向かない。前を向いて最後まで走るんだ!それで毒にやられたとしても、それは
私が最後まで前を向いて生きた証拠だ!
とその時、視界の端でサラリと何かが動いた。
毒じゃ無い。もっと細かくて、キラキラした…何か。
「よく言ったじゃねェか」
誰もいないはずの、すぐ隣で声が聞こえる。
「弱虫のくせに」
次の瞬間、
グッと襟元を引っ張られ、横に移動させられた。次の瞬間、先ほど自分がいた場所にマゼランの能力で作り出された毒の竜が突っ込んでいく
あ、危なかった。
この人が横に引っ張ってくれなかったら死んでた。
……って、あれ、この声は。
バッと顔を上げると、そこにはやはり想像通りの人物がいた。
でも、何でクロコダイルさんがここに。
「呆けてる暇はねェ。行くぞ」
『えっ、うわわっ!?』
ガッと腰を掴まれて、クロコダイルさんの肩に担がれる。
そして彼はそのまま足を砂に変えて、LEVEL3フロアを飛んで移動して行く
え、あれ?わたし空飛んでる!?
そのまましばらく進むと、LEVEL2に続く階段が見えてきた。
その前で立つのは、イワンコフさん!?
「クロコボーイ!それにななしちゃん!無事で良かったわ!!さっさとLEVEL2に行くっチャブル!!」
「……言われなくとも」
そのままイワンコフさんとすれ違う。
えっ、イワンコフさん、何で階段を上らないの!?そっちは、マゼランが!!
『イワンコフさんっ!!?はやく、こっちに』
「先に行ってなさい!後から行くわ」
おカマは強いのよ。心配しないで。
そう言うと彼…彼女はニコッと笑った。
そして私達がLEVEL2にたどり着いた瞬間、その階段は階段上で待ち構えていたイナズマさんの手によって崩れ去った。
LEVEL3にマゼランと一緒にイワンコフさんが閉じ込められたということになる。
『…何で、イワンコフさん』
呆然として塞がれた階段を見つめる。
「…イワさんはお前達を含め、その他の囚人達を逃がすために、自分の意思で残ったんだ」
さぁ、行け!イワさんの思いを無駄にするな!とイナズマさんが促す。
「…行くぞ。残ったところでテメェに何ができる」
クロコダイルさんにも言われて、自分の立場を思い出す。
悲しんでいる場合じゃない。
今はとにかく自分にとっても、周りにとっても役に立つことをしなければ。
全員で協力して脱出するんだ!
『すみませんでした!切り替えます』
涙をグシっと服で拭って答える。
あと、お礼が遅くなってしまって申し訳ありません。助けてくださってありがとうございました!!
クロコダイルさんが来てくれなかったら死んでました!
感謝の言葉を伝えると、彼は「まったくだ」とため息を吐いた。
「……で?」
『え?』
「…遅れた理由はちゃんとあるんだろうなぁ?お嬢ちゃん。」
あ、あれ?なんかクロコダイルさん怒ってる?
彼の眉間には深いしわが刻まれている
『あの、その、ちょっとマゼランの部屋に忍び込んでて』
「…は?マゼランの部屋?」
『はい…』
情報を集めることができれば皆の役に立つことができるかな、と思ったので…
そう言うと、クロコダイルさんはハァとため息を吐いた。
お前、クソ弱ェくせに何危険なことやってんだって顔してる。
ほんとそれね!!あの時の自分はどうかしてたんだと思う!!
「…で、結果は?」
『あ!そうだ!見てください!!結構色々集めて来ましたよ!』
大切そうな機密書類みたいなのも盗ってきたので、見てください!
そう言って彼に渡す。
彼は、少し感心したようにその書類をパラパラとめくった。
彼は書類を見ながらも、戦利品を広げる私の様子を見ていたようで
「……宝石やら武器も入っているようだが」
またしても、何やってんだこいつ。みたいな目で見られた。
『いや!マゼランの私物の金目のものを盗んできたっていうわけじゃないですよ!?』
今となってはマゼランの財布とかから、何万か抜きとっておけばよかったかもな。
これらはもともと囚人達が収監される前に奪われた所持品みたいです。
マゼランの部屋にあったので、ついでに持って来ちゃいました。
そう言うと、周りの囚人に
「ちゃっかりしてんな!」
「案外、余裕じゃねぇか!」
「泥棒の才能あるんじゃねぇか?脱獄した後の職業は決まりだな!!」
とか好き勝手言われる。っておい、最後の奴ちょっとこっち来い。
盗んで来た剣とか銃を、まだ武器を持ってない囚人達に渡す。
盗ってきたものが粗方無くなった時、ポケットに入れたあの箱の存在を思い出した。