第1章
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『…あれ?』
ジンベエさんが解放されて牢屋を出たから、牢屋の鍵開いてる。
私は一般人だから、他の人たちみたいに手枷や足枷で拘束されてないし。
これ、ついでに私も出れるんじゃ
『………。』
いや、でも出たところで役に立たないし。それどころか足手まといになるのが目に見えてる。
エースさんを助けに行くというのに、足を引っ張っちゃいけないよね。でも…。
そんなことをぐるぐる考えて迷っていると、目の前から声をかけられた。
「おい、何してる」
『へ?』
その姿を見て目を見開く。
クロコダイルさん、だ。
今まで牢屋ごしだったから分からなかったけど、すごく背が高くて、そして存在感が大きくて圧倒される。
私、こんなすごい人とずっと会話してたんだなぁ。
そんなことを考えていると「何、アホ面浮かべてるんだ」と笑われた。
元々こういう顔です。
「出ねぇのか」
『えっと、出たいなーとは思うんですけど、私が行ったところで何も役に立たないですし』
迷惑かけるだけなので…と笑うと、クロコダイルさんが顔をしかめた。
「…本当にそれが理由か?」
ギクリ
心を見透かされたように感じた
「怖ェんだろ?地上に戻るのが」
読心術でも使えるのだろうか。この人は。
クロコダイルさんは話を続ける。
「ここに捕まっていれば、ある意味テメェは被害者でいられる。天竜人のせいで捕まった、と。周りの家族や友人、挙げ句の果てには看守達まで同情してくれるだろう」
「しかし脱獄すれば話は別だ。お前はインペルダウンLEVEL6から世に放たれた脱獄囚」
クロコダイルさんの言葉が重くのしかかる
「脱獄すれば当然、お前をここに閉じ込めた天竜人もその知らせを聞くだろう。捕まえろと命令を出す。そうなったら海軍も動かざるを得ない」
「捕まえるためにはどうするか?まぁ、理解が早いお嬢さんならお分かりだろう。懸賞金をかけてくる」
「もれなく賞金首になるというわけだ。その首を狙われたまま生きなければならない」
分かってる。
脱獄して、地上に戻ったとしても
私はもう、前の私としては生きられないことを。
「それと、もしもまた捕まった場合だ。もう前のような同情は与えられないだろう」
「地獄の洗礼を受けさせられ、手枷と足枷を付けられる。大人数の無法者たちがいる牢屋に入れられる可能性がある」
「今よりも、もっと悪い状況になるのは明白だ」
あぁ、この人は
何もかもお見通しなんだ。
『…そうです。怖いんです』
天竜人のプロポーズを断ったのは不可抗力としても、脱獄はれっきとした犯罪だ。
ここを出たら犯罪者として生きていかなければいけないのだ。
そして、私はとても弱い。
悪意のある人間に捕まったら、きっと今のこの状況よりもっと辛い目に合うだろう。
この世界、犯罪者に人権は…無い。そう考える人も多いから。
それなら、いっそこのインペルダウンにいた方が良いのではないか。
私の中にいる心の声が甘く囁いている。
『今までずっと良い子で生きてきました。悪い子になって生きていく自信が、覚悟が…ないんです』
「………。」
私の言葉を聞くとクロコダイルさんはフゥーとため息を吐いた。
呆れられたかな。クロコダイルさんみたいな強い人は、こんなくだらないこと考えたことすら無いだろうし。
少しの沈黙の後、クロコダイルさんが口を開いた。
「…まぁ、どうしても出たくねェってんなら別にいいんだがな。お前の自由だ。だが、これだけは言っておく」
彼は私の目を真っ直ぐ見て告げた。
「“良い子”でいたって、ここじゃ誰も助けちゃくれねェぞ」
『…っ!!』
そう、その通りだよ。
良い子でいたとしても、ここからは一生逃げられない。
このまま良い子として飼い殺されて死んでいくくらいなら、
私は
悪い子になって、いつか死ぬその時まで自由に好きなことをやって生きていきたい。
彼のおかげで、決意できた。
「じゃあな。嬢ちゃん」
そう言って、踵を返そうとする背中に向かって叫んだ
『っっ、わ、私も!着いて行っていいですか!?』
麦わらさんやイワンコフさんが驚いた表情でこちらを見る。
うっ、役に立たなそうとか思われそう。
……でも、ここで退いちゃいけない!
自分の思いを、ちゃんと伝えるんだ!
『天竜人のプロポーズ断ったって理由で捕まってました!一般人だし何も出来ないけれど、足手まといにはならないようにします!!』
雑用でもなんでもします。だから……お願いします!!私も連れて行ってください!
そう言って頭を下げる
「お前、天竜人のせいで捕まってたのか!俺もアイツ嫌い!いいぞ」
なんかやけにあっさり承諾されて、ガクッと力が抜けた。
『え、いいの?』
「おう」
さっき、この青いおっさんにもお前を出して欲しいと頼まれてたし。
そう言って麦わらさんが指差した先にはジンベエさん。彼は私と目が合うと軽く会釈した。えっ、イケメン…。
「よろしくな。俺はルフィ。お前は?」
そう言ってニカッと笑う彼と、数日一緒の牢屋で過ごした炎のあの人の笑顔が重なった。
『#name#=ななしです!エースさんからルフィさんのお話、たくさんしてもらいました!』
一般人なりに精一杯がんばりますので、どうぞよろしくお願いします!!