第1章
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インペルダウン
それは世界政府が所有する世界一の大監獄。世界中で暴れ回っていた凶悪な犯罪者達は、皆ここに集められる。
カームベルトと呼ばれる海王類が多く生息する海域内に作られており、脱獄は不可能といわれている。
海の中に作られている監獄は、囚人たちの懸賞金や罪の重さによりLEVEL1からLEVEL5に分けられている。
各々の階層で、囚人達は昼夜問わず拷問や労働に苦しめられているのだ。
と、ここまでが一般市民にも知り得る知識
インペルダウンはLEVEL6まで存在していた。
その多くが過去に起こした事件が残虐の度を超えた者、政府に不都合な事件を起こした事により政府から存在をもみ消された終身囚・死刑囚が幽閉されるフロア。
超大物や伝説級の危険人物が幽閉されているため、LEVEL6の存在は世間には秘匿されているのだ。
ガタンガタン____
エレベーターが動く。行き先はLEVEL6。
私が、これから幽閉されるフロアを指している。
「さぁ、着いたぞ。歩け」
看守に言われてエレベーターから出て、LEVEL6の地面を踏む。
出た瞬間、一斉に視線が自分に視線が集まるのを感じた。
少しの沈黙の後、囚人達は一斉に喋り始める。
「ヒュー!!女じゃねぇかよ!!」
「おいおい嬢ちゃん、何やってこんなところに捕まったんだよ!!来るところ間違えてんじゃねぇのか!?」
「人は見かけによらずってやつか!」
「かわいそうになぁ。慰めてやるぜぇ?こっちの牢屋来いよ!!」
「静まらんか!」と怒鳴る看守の声は囚人達には届かず、その声や内容はどんどんヒートアップしていく。
反応はせずに大人しく看守の後に着いていく。
「まったく…ほら、お前の牢屋はここだ。特別に独房だぞ」
そう言って看守は目の前の牢屋の鍵を開けた。
背後からブーブーと文句を言う囚人達の声が聞こえる。囚人達に怒鳴る看守達の声も。
牢屋に入ると、看守はすぐに鍵をかけて去っていった。このフロアに長居したくないらしい。
看守がエレベーターに乗っていったのを見送ると、私は牢屋の奥に進み、段差になっている部分に腰を下ろした。
そして一言
『どうしてこうなった』
盛大なため息を漏らして、硬い床に倒れこんだ。
「おいおいおい!寝るなよ!!」
「こっちはずっと暇してんだよ!ひさびさに新入りが入ってきたってのによぅ!!」
牢屋の外がザワザワと騒がしい。
反応する義理は無いが、私に向けられた言葉だって分かってるのに無視するのもな…。
それに、こうやってずっと悲劇の女の子ぶってても意味がないし。
そう考えて、ムクリと起き上がった。
すぐさま反応する囚人達。
「お、起きた!!」
「なぁなぁ、嬢ちゃんテメェ何やって捕まったんだ?」
やっぱりそこ気になるよねぇ。
『めちゃくちゃくだらない理由なんですけど』
「くだらないって、ここLEVEL6だぜ?相当なことやらないと、こんな場所に入れられないぞ」
『インペルダウン1アホな理由で捕まったと自負してます』
「何やったのか、むしろ気になってきたわ」
捕まった理由言ったら、俺たちと一緒にするんじゃねえ!!って怒られそう。
いや、ここの人達がどんな理由で捕まってるのかは知らないけど。絶対、私みたいな理由の人はいないだろうな
『このLEVEL6に入ってる皆様はどんな理由で捕まってるんですか?』
そう思って、興味本位で聞いたのが不味かった
「お?興味があるのか?じゃあ俺から話してやろう___」
___________
『おうぇぇええ』
「おいおい!こんなのまだ序の口だぜぇ?それでな、その男の抉り取った目の神経を…」
「待て待て!次はワシの話を聞かせてやろう!ワシは海軍10隻を沈めてだな___」
囚人達から出るわ出るわ、グロくて残酷なエピソード。その濃度の濃さと言ったらグロ映画100本を1分間に凝縮したレベル。
そしてそれを皆、嬉々として話すのだ。
この人たち絶対おかしい。
いや、おかしいのは分かってるよ。全員凶悪犯罪者だもんね!知ってる!!一般市民の私がここにいるのがおかしいんだよね!
『ねぇ、待ってほんと無理です!!吐きそう』
「遠慮すんなって」
『してないよ!?』
フロア全体がゲロ臭くなるけどいいんだな!?
ゲロの臭いは、もらいゲロって言葉があるくらい他人に伝播するけどいいんだな!?
インペルダウンは地下要塞だから換気のシステムがほとんど機能してないけどいいんだな!?
と根拠を並べて説得したら止めてくれた。
案外、話のわかる人達じゃん。
若干、敬語忘れてた気がするけどスルーの方向でお願いします。必死だったんで。
深呼吸して息を整える。
『はぁ、はぁ……今まで見てきたグロい本とか映画とかが子供向けだったのかと思うくらいやばかった……』
「大丈夫か?」
『ほのかに口の中が酸っぱいこと以外は大丈夫ですね』
「「ちょっとゲロってんじゃねぇか!!」」
大丈夫。大丈夫。
出たの胃酸が少しだけだから。
海軍に捕まってから、ご飯とか満足に食べてなくて吐く物も残って無かったのが逆に幸いしちゃったね。
『ガラガラガラーベー。あー、すっきりした!』
牢屋に備え付けてある水道で口をゆすぐ。
水道とトイレは牢屋一つ一つにあるんだなぁ。
あっ、トイレに仕切りが付いてて外から見えないようになってる!良かったー!
少女の様子を見て、囚人達は首を捻る。
これが…LEVEL6に入れられる犯罪者?
「なぁ。嬢ちゃん、どう見てもただの一般人にしか見えないんだが…お前ほんとに罪人か?」
先程の囚人の1人が尋ねる。
少女は困ったように眉を下げると、再び最初に座っていた段差部分に腰掛けた。
『違う__とも言えない、よね。現に捕まってるんだし…』
さっき、この人達が捕まった理由とか罪状を聞いたんだし、ここで私が言わないと不公平だよね。
『捕まった理由、話します。でも、くだらないって言って殺さないでくださいね』
「おお」
「OK」
「大丈夫だ。多分」
『ちょっと、多分って聞こえたんですけど!誰ですか多分って言ったの!』
ははは、ジョークだよジョーク!
と愉快な声が返ってくる。
…まぁ、もういいか。多分大丈夫だ。
この人達は凶悪な犯罪者ではあるけれど、常識が何一つ通じない奴というわけではないし。
抵抗もしないか弱い女をただ欲望のままに殺すということはしないだろう。
見境なしに傷つけるのはただのチンピラだ。
ふぅ、と大きく一息ついて口を開く。
『私が捕まったのは天竜人にプロポーズされて、断ったから』
ただそれだけなの。
__________
用語解説
○天竜人
世界政府を作り上げた創造主の末裔。
現在は権力だけが暴走している状態。奴隷を使役したり、やりたい放題。
それは世界政府が所有する世界一の大監獄。世界中で暴れ回っていた凶悪な犯罪者達は、皆ここに集められる。
カームベルトと呼ばれる海王類が多く生息する海域内に作られており、脱獄は不可能といわれている。
海の中に作られている監獄は、囚人たちの懸賞金や罪の重さによりLEVEL1からLEVEL5に分けられている。
各々の階層で、囚人達は昼夜問わず拷問や労働に苦しめられているのだ。
と、ここまでが一般市民にも知り得る知識
インペルダウンはLEVEL6まで存在していた。
その多くが過去に起こした事件が残虐の度を超えた者、政府に不都合な事件を起こした事により政府から存在をもみ消された終身囚・死刑囚が幽閉されるフロア。
超大物や伝説級の危険人物が幽閉されているため、LEVEL6の存在は世間には秘匿されているのだ。
ガタンガタン____
エレベーターが動く。行き先はLEVEL6。
私が、これから幽閉されるフロアを指している。
「さぁ、着いたぞ。歩け」
看守に言われてエレベーターから出て、LEVEL6の地面を踏む。
出た瞬間、一斉に視線が自分に視線が集まるのを感じた。
少しの沈黙の後、囚人達は一斉に喋り始める。
「ヒュー!!女じゃねぇかよ!!」
「おいおい嬢ちゃん、何やってこんなところに捕まったんだよ!!来るところ間違えてんじゃねぇのか!?」
「人は見かけによらずってやつか!」
「かわいそうになぁ。慰めてやるぜぇ?こっちの牢屋来いよ!!」
「静まらんか!」と怒鳴る看守の声は囚人達には届かず、その声や内容はどんどんヒートアップしていく。
反応はせずに大人しく看守の後に着いていく。
「まったく…ほら、お前の牢屋はここだ。特別に独房だぞ」
そう言って看守は目の前の牢屋の鍵を開けた。
背後からブーブーと文句を言う囚人達の声が聞こえる。囚人達に怒鳴る看守達の声も。
牢屋に入ると、看守はすぐに鍵をかけて去っていった。このフロアに長居したくないらしい。
看守がエレベーターに乗っていったのを見送ると、私は牢屋の奥に進み、段差になっている部分に腰を下ろした。
そして一言
『どうしてこうなった』
盛大なため息を漏らして、硬い床に倒れこんだ。
「おいおいおい!寝るなよ!!」
「こっちはずっと暇してんだよ!ひさびさに新入りが入ってきたってのによぅ!!」
牢屋の外がザワザワと騒がしい。
反応する義理は無いが、私に向けられた言葉だって分かってるのに無視するのもな…。
それに、こうやってずっと悲劇の女の子ぶってても意味がないし。
そう考えて、ムクリと起き上がった。
すぐさま反応する囚人達。
「お、起きた!!」
「なぁなぁ、嬢ちゃんテメェ何やって捕まったんだ?」
やっぱりそこ気になるよねぇ。
『めちゃくちゃくだらない理由なんですけど』
「くだらないって、ここLEVEL6だぜ?相当なことやらないと、こんな場所に入れられないぞ」
『インペルダウン1アホな理由で捕まったと自負してます』
「何やったのか、むしろ気になってきたわ」
捕まった理由言ったら、俺たちと一緒にするんじゃねえ!!って怒られそう。
いや、ここの人達がどんな理由で捕まってるのかは知らないけど。絶対、私みたいな理由の人はいないだろうな
『このLEVEL6に入ってる皆様はどんな理由で捕まってるんですか?』
そう思って、興味本位で聞いたのが不味かった
「お?興味があるのか?じゃあ俺から話してやろう___」
___________
『おうぇぇええ』
「おいおい!こんなのまだ序の口だぜぇ?それでな、その男の抉り取った目の神経を…」
「待て待て!次はワシの話を聞かせてやろう!ワシは海軍10隻を沈めてだな___」
囚人達から出るわ出るわ、グロくて残酷なエピソード。その濃度の濃さと言ったらグロ映画100本を1分間に凝縮したレベル。
そしてそれを皆、嬉々として話すのだ。
この人たち絶対おかしい。
いや、おかしいのは分かってるよ。全員凶悪犯罪者だもんね!知ってる!!一般市民の私がここにいるのがおかしいんだよね!
『ねぇ、待ってほんと無理です!!吐きそう』
「遠慮すんなって」
『してないよ!?』
フロア全体がゲロ臭くなるけどいいんだな!?
ゲロの臭いは、もらいゲロって言葉があるくらい他人に伝播するけどいいんだな!?
インペルダウンは地下要塞だから換気のシステムがほとんど機能してないけどいいんだな!?
と根拠を並べて説得したら止めてくれた。
案外、話のわかる人達じゃん。
若干、敬語忘れてた気がするけどスルーの方向でお願いします。必死だったんで。
深呼吸して息を整える。
『はぁ、はぁ……今まで見てきたグロい本とか映画とかが子供向けだったのかと思うくらいやばかった……』
「大丈夫か?」
『ほのかに口の中が酸っぱいこと以外は大丈夫ですね』
「「ちょっとゲロってんじゃねぇか!!」」
大丈夫。大丈夫。
出たの胃酸が少しだけだから。
海軍に捕まってから、ご飯とか満足に食べてなくて吐く物も残って無かったのが逆に幸いしちゃったね。
『ガラガラガラーベー。あー、すっきりした!』
牢屋に備え付けてある水道で口をゆすぐ。
水道とトイレは牢屋一つ一つにあるんだなぁ。
あっ、トイレに仕切りが付いてて外から見えないようになってる!良かったー!
少女の様子を見て、囚人達は首を捻る。
これが…LEVEL6に入れられる犯罪者?
「なぁ。嬢ちゃん、どう見てもただの一般人にしか見えないんだが…お前ほんとに罪人か?」
先程の囚人の1人が尋ねる。
少女は困ったように眉を下げると、再び最初に座っていた段差部分に腰掛けた。
『違う__とも言えない、よね。現に捕まってるんだし…』
さっき、この人達が捕まった理由とか罪状を聞いたんだし、ここで私が言わないと不公平だよね。
『捕まった理由、話します。でも、くだらないって言って殺さないでくださいね』
「おお」
「OK」
「大丈夫だ。多分」
『ちょっと、多分って聞こえたんですけど!誰ですか多分って言ったの!』
ははは、ジョークだよジョーク!
と愉快な声が返ってくる。
…まぁ、もういいか。多分大丈夫だ。
この人達は凶悪な犯罪者ではあるけれど、常識が何一つ通じない奴というわけではないし。
抵抗もしないか弱い女をただ欲望のままに殺すということはしないだろう。
見境なしに傷つけるのはただのチンピラだ。
ふぅ、と大きく一息ついて口を開く。
『私が捕まったのは天竜人にプロポーズされて、断ったから』
ただそれだけなの。
__________
用語解説
○天竜人
世界政府を作り上げた創造主の末裔。
現在は権力だけが暴走している状態。奴隷を使役したり、やりたい放題。