一年生
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体感的に長かった授業が終わった。
いよいよ名前は罰則を受けなければならない。
ハリーとロンは同情した目付きで、教室を出るまで何度も名前を心配そうに振り返って見ていた。
遠目から見ると薄暗い教室の中で名前は相変わらず猫背で、高い身長に涼しげな表情にも関わらず、哀愁を漂わせていた。
ハリーとロンは無償に名前が可哀想に思えてならなかった。
しかしいつまでもいるわけにはいかない。
二人は思い切って教室を後にした。
その二人の後に続き、一人、また一人とせいとwが退出していく。
教室から生徒が皆出ていくのを確認し、名前は教壇に向かった。
教壇ではスネイプが後手に手を組んで立っていて、怒っているような表情を浮かべて、何も言わずに此方を見ている。
少しだけ気後れしてしまうが、名前は大股でスネイプの元へ向かった。
「今日の罰則は掃除だ。
机の上と床、雑巾と箒を使って綺麗にしたまえ。
無論魔法ではなく自分の手でな。」
意地悪く笑むスネイプから、バケツと雑巾、箒にちり取りを受け取り、名前は素直に掃除を開始した。
汚くても、面倒でも、時間が掛かっても、名前は表情を変えずに、丁寧に掃除に取り組んでいる。
ポーカーフェイスが上手いのか、それともとんでもなく真面目なのか。
しばらく様子を見ていたスネイプは、やがて自分の机に備えられた椅子に腰掛けた。
机の溝に溜まった薬草のカスを、小さな箒を駆使して集めている名前を横目に、スネイプは自分の机で本を読み始める。
時折目だけを名前に向けて、また本に集中する。
名前は黙々と掃除を進めた。
教室内を一人で魔法を使わずに掃除するのは大変な作業だが、名前は頭の中に段取りがあるのか効率よく動いており、しかも丁寧で静かだ。
視界に名前が映らなければ、この教室にはスネイプ一人しかいないと思ってしまうほどに。
スネイプは本を閉じた。
「ミョウジ、何故今日の授業に遅刻したのかね?」
名前はゆっくりと顔を上げた。
スネイプを見て、視線を合わせたが、数秒で逸らしてしまう。
目を伏せて、俯きたいが、相手の手前そこまでは出来ないという様子だ。
授業中には微塵も見せなかった動揺が今は見受けられる。
その様子を見ても、スネイプは「弱点を見付けた」と笑わなかったし、突っかかろうともしない。
ただ見定めるように見据え、黙って返事を待った。
視線を泳がせる名前の柔らかな黒髪が、少し動いただけで好き勝手にピョンピョンと跳ねる。
動くものがあれば反射的に見てしまうものだ。
寝癖だらけのボサボサの髪の毛を見て、スネイプは不快そうに口を曲げた。
『…人を、医務室まで運んだ…です。』
「ほう、どこの寮生だったのかね?
名前は聞いたのかね?」
ゆるりと首を振る。
『スリザリンの、ネクタイをした…男子生徒でした。』
「…そうかね。後で確認させてもらおう。」
歯切れの悪い言葉だったが嘘を吐いている様子でもない。
本当の事を話したが言いにくい内容といった感じである。
会話が途切れた事で、名前はまた黙々と机を拭き始めた。
スネイプは本を読むのをやめたようだった。
名前の作業を見つめている。
眉間に皺を寄せながら。
「ミョウジ、」
またスネイプは名前を呼んだ。
名前は素直に返事をして、顔を上げてスネイプを見つめる。
無表情で涼しげな目元は一見とても淡白で冷酷だ。
射抜くような視線だが、黒目は従順に言葉を待っている。
名前が人に与える印象はちぐはぐだ。
どれが本当か分からない。
疑い深い者ほど名前を不気味に感じるだろう。
スネイプは椅子から立ち上がり、教壇を下りて、つかつかと名前の側へ歩み寄った。
目の前に立ったスネイプを、名前は黙って見詰め返す。
スネイプは上から下まで名前を見て、静かに口を開いた。
「少しは身なりを整えたらどうですかな。」
『………あの、頭のことですか。』
「自覚しているのなら直しておきたまえ。
君が良くとも周りがどう思うかはわからんのだぞ。」
『すみません…でも、直らないんです。』
「何?」
『直らないんです。………』
「………」
『………』
「………」
『………』
「………なら背筋だけでも伸ばしたまえ。
だらしなく見えますぞ。」
『………はい。』
素直に名前はすぐさま姿勢を正した。
慣れていないのか、不自然な姿勢だ。
スネイプは名前を見詰めて考えるように少し黙っていた。
本当に少しだけ。
すぐにまた口を開いて、終わったら道具をロッカーにしまい、後は帰っていいと言うと、真っ黒いマントを翻して机に戻った。
名前はまた素直に『分かりました』と返事をして、不自然な背筋のまま机を拭き終わり、雑巾を洗い、バケツをゆすいだあと、ロッカーに道具をしまって、荷物を持って出ていった。
出ていく名前の後ろ姿を、スネイプはチラリと見た。
針金のように華奢な後ろ姿だった。
「で、どうだった?」
一日の終わり、騒がしい夕食の時間、ロンが鴨胸肉のグリルを口いっぱいに頬張りながら、興味深そうに名前に聞いた。
ハリーも名前に目を向けた。此方もロンと同じく興味があるようだ。
教室から出ていく時は二人とも心配そうにしていたのに、少し面白がっているような雰囲気がある。
そんな好奇の目にさらされても、名前は無表情でもそもそとサラダを食べていた。
『罰則は掃除だった。』
「へーぇ、スネイプのことだから、もっとえげつないことさせるかと思ったけど、案外普通だなぁ。」
「ナマエ、何で今日遅刻したの?」
ハリーが聞いた。
名前はプチトマトを頬張ったまま一瞬固まり、
『人を、医務室まで運んだ。』
と、ボソボソと答えた。
ハリーはその『一瞬固まる』反応が引っ掛かり、怪訝そうに名前の顔を覗き込んだ。
名前は決して目を合わせない。
「嘘つかないでよ、ナマエ。」
『嘘では…』
「嘘じゃないって?じゃあ、ナマエ。
本当の事なら僕らに説明が出来るよな?」
『…………。』
ハリーとロンに詰められて、名前は助けを求めるように視線を泳がせた。
しかし食事に夢中な彼らは誰一人として気が付かない。
早々に降参した名前は項垂れる。
顔を上げて気合いを入れるように息を吸い、そしてゆっくりと後ろへ振り返った。
ロンとハリーも同じく振り返り、名前の視線を辿っていく。
すると、スリザリンの席から誰かが見ている事に気が付いた。
熱心に此方を───いや、名前を見つめている。
その熱心に見つめてくる者は、どう見てもガタイのいい男子生徒だった。
グリフィンドールとスリザリンは常に対立している。
なので、これだけ熱心に見つめてくるのも何かの対抗心からかと、ロンとハリーは最初は思った。
だがすぐに取り消した。
その男子生徒の目は潤み、頬は熱って赤く染まり、明らかに名前に恋する顔だったのだ。
ロンとハリーは見てはいけないものを見たような複雑な気分になり、食事の手が止まってしまった。
「あ…あれスリザリンのクィディッチチームのキャプテンだろ。五年生の…。
マーカス・フリント。」
「何でそんなやつがナマエのことを……あんな目で見てるんだろ?ナマエ、何かあった?」
『………
廊下の角でぶつかった。』
「ぶつかった?
ぶつかったら、怒るだろ。あんな…ヘンな目で見てはこないだろ。」
『ぶつかった時、…惚れ薬…持ってたから。』
「「………。」」
ハリーとロンは互いに顔を見合わせた。
この話があまり聞きたくない怪しい雲行になっていくように感じた。
(しかし興味ももちろんあった)
惚れ薬───使用した相手に恋させる薬だ。
名前の方は見るからに正気を保っており、マーカス・フロントは明らかに異常だ。
つまり話の流れを予想すると、誰に使う予定だったのかは分からないが、マーカス・フリント自身が惚れ薬を使ってしまった、ということになるだろう。
「そ、それで?」
『彼は手に薬を持っていた。理由は分からないけど…そのまま俺とぶつかって、手に持っていた薬が自分自身に振り掛かった。
俺は…平気だった、けど…。』
「…事故でフリントが惚れ薬を吸って、初めに見たのがナマエだった………つまり、」
「フリントはナマエに恋してる…。」
「………」
「………」
『………』
「………それで、フリントを医務室まで連れて行ったの?」
ハリーは嫌な想像を振り払って名前に聞いた。
『フリントの恋する乙女な姿』を想像し、フリントと名前の両者に惚れ薬が掛かっていたかもしれないもしもの未来まで想像してしまっていた。
それよりはずっとましだ。
きっと、最悪の事態は免れたはずだ。
名前はミルクを引き寄せながら頷いた。
サラダの皿の中身はキレイになくなっている。
呑気にミルクを注ぐ名前を見て、ロンは「お人好しだなあ」と呆れて言った。
「スリザリンの生徒なんかほっとけばいいじゃないか、ナマエ。ホグワーツには沢山の人がいるんだぜ。君がわざわざ助けなかったって、誰かが見付けて助けたさ。
第一、今日はあの根暗教師スネイプの授業だったんだぞ。君の頭がよかったからあの場はしのげたものの、スネイプの気まぐれで何が起きたかわからないんだ…。
それにフリントだって、正気に戻ったらきっと君を殺しにくるぜ。自分のあんな姿見られちゃな。」
「ロンの言う通りだよ、ナマエ。
どうして放っておかなかったんだい?」
『………
くっついて離れなかった…。』
「………」
「………」
『………俺にも薬がくっついたかもしれない、から…一応取り除いてはもらった、けど…ハリーとロンは大丈夫…。……何ともない。』
「……ああ…うん…
それは、大丈夫だけど…」
「…うん…なんていうか…
……フリントはいつまでああなの?医務室で治してもらえなかったのかい?」
『…強い薬じゃないから、その内戻るって。』
「じゃあ………」
「しばらくあのまま?」
『……本当は話、しちゃいけないから…誰にも…秘密ね。』
「………」
「………」
「………君って、ナマエ………」
『………』
「……やっぱりあんまり、頭よくないかも…。」
ハリーは溜め息とともにそう呟いた。
口端にに生クリームをつけながらトライフルを食べる名前は、とても自分の置かれた状況に自覚があるようには見えなかった。
いよいよ名前は罰則を受けなければならない。
ハリーとロンは同情した目付きで、教室を出るまで何度も名前を心配そうに振り返って見ていた。
遠目から見ると薄暗い教室の中で名前は相変わらず猫背で、高い身長に涼しげな表情にも関わらず、哀愁を漂わせていた。
ハリーとロンは無償に名前が可哀想に思えてならなかった。
しかしいつまでもいるわけにはいかない。
二人は思い切って教室を後にした。
その二人の後に続き、一人、また一人とせいとwが退出していく。
教室から生徒が皆出ていくのを確認し、名前は教壇に向かった。
教壇ではスネイプが後手に手を組んで立っていて、怒っているような表情を浮かべて、何も言わずに此方を見ている。
少しだけ気後れしてしまうが、名前は大股でスネイプの元へ向かった。
「今日の罰則は掃除だ。
机の上と床、雑巾と箒を使って綺麗にしたまえ。
無論魔法ではなく自分の手でな。」
意地悪く笑むスネイプから、バケツと雑巾、箒にちり取りを受け取り、名前は素直に掃除を開始した。
汚くても、面倒でも、時間が掛かっても、名前は表情を変えずに、丁寧に掃除に取り組んでいる。
ポーカーフェイスが上手いのか、それともとんでもなく真面目なのか。
しばらく様子を見ていたスネイプは、やがて自分の机に備えられた椅子に腰掛けた。
机の溝に溜まった薬草のカスを、小さな箒を駆使して集めている名前を横目に、スネイプは自分の机で本を読み始める。
時折目だけを名前に向けて、また本に集中する。
名前は黙々と掃除を進めた。
教室内を一人で魔法を使わずに掃除するのは大変な作業だが、名前は頭の中に段取りがあるのか効率よく動いており、しかも丁寧で静かだ。
視界に名前が映らなければ、この教室にはスネイプ一人しかいないと思ってしまうほどに。
スネイプは本を閉じた。
「ミョウジ、何故今日の授業に遅刻したのかね?」
名前はゆっくりと顔を上げた。
スネイプを見て、視線を合わせたが、数秒で逸らしてしまう。
目を伏せて、俯きたいが、相手の手前そこまでは出来ないという様子だ。
授業中には微塵も見せなかった動揺が今は見受けられる。
その様子を見ても、スネイプは「弱点を見付けた」と笑わなかったし、突っかかろうともしない。
ただ見定めるように見据え、黙って返事を待った。
視線を泳がせる名前の柔らかな黒髪が、少し動いただけで好き勝手にピョンピョンと跳ねる。
動くものがあれば反射的に見てしまうものだ。
寝癖だらけのボサボサの髪の毛を見て、スネイプは不快そうに口を曲げた。
『…人を、医務室まで運んだ…です。』
「ほう、どこの寮生だったのかね?
名前は聞いたのかね?」
ゆるりと首を振る。
『スリザリンの、ネクタイをした…男子生徒でした。』
「…そうかね。後で確認させてもらおう。」
歯切れの悪い言葉だったが嘘を吐いている様子でもない。
本当の事を話したが言いにくい内容といった感じである。
会話が途切れた事で、名前はまた黙々と机を拭き始めた。
スネイプは本を読むのをやめたようだった。
名前の作業を見つめている。
眉間に皺を寄せながら。
「ミョウジ、」
またスネイプは名前を呼んだ。
名前は素直に返事をして、顔を上げてスネイプを見つめる。
無表情で涼しげな目元は一見とても淡白で冷酷だ。
射抜くような視線だが、黒目は従順に言葉を待っている。
名前が人に与える印象はちぐはぐだ。
どれが本当か分からない。
疑い深い者ほど名前を不気味に感じるだろう。
スネイプは椅子から立ち上がり、教壇を下りて、つかつかと名前の側へ歩み寄った。
目の前に立ったスネイプを、名前は黙って見詰め返す。
スネイプは上から下まで名前を見て、静かに口を開いた。
「少しは身なりを整えたらどうですかな。」
『………あの、頭のことですか。』
「自覚しているのなら直しておきたまえ。
君が良くとも周りがどう思うかはわからんのだぞ。」
『すみません…でも、直らないんです。』
「何?」
『直らないんです。………』
「………」
『………』
「………」
『………』
「………なら背筋だけでも伸ばしたまえ。
だらしなく見えますぞ。」
『………はい。』
素直に名前はすぐさま姿勢を正した。
慣れていないのか、不自然な姿勢だ。
スネイプは名前を見詰めて考えるように少し黙っていた。
本当に少しだけ。
すぐにまた口を開いて、終わったら道具をロッカーにしまい、後は帰っていいと言うと、真っ黒いマントを翻して机に戻った。
名前はまた素直に『分かりました』と返事をして、不自然な背筋のまま机を拭き終わり、雑巾を洗い、バケツをゆすいだあと、ロッカーに道具をしまって、荷物を持って出ていった。
出ていく名前の後ろ姿を、スネイプはチラリと見た。
針金のように華奢な後ろ姿だった。
「で、どうだった?」
一日の終わり、騒がしい夕食の時間、ロンが鴨胸肉のグリルを口いっぱいに頬張りながら、興味深そうに名前に聞いた。
ハリーも名前に目を向けた。此方もロンと同じく興味があるようだ。
教室から出ていく時は二人とも心配そうにしていたのに、少し面白がっているような雰囲気がある。
そんな好奇の目にさらされても、名前は無表情でもそもそとサラダを食べていた。
『罰則は掃除だった。』
「へーぇ、スネイプのことだから、もっとえげつないことさせるかと思ったけど、案外普通だなぁ。」
「ナマエ、何で今日遅刻したの?」
ハリーが聞いた。
名前はプチトマトを頬張ったまま一瞬固まり、
『人を、医務室まで運んだ。』
と、ボソボソと答えた。
ハリーはその『一瞬固まる』反応が引っ掛かり、怪訝そうに名前の顔を覗き込んだ。
名前は決して目を合わせない。
「嘘つかないでよ、ナマエ。」
『嘘では…』
「嘘じゃないって?じゃあ、ナマエ。
本当の事なら僕らに説明が出来るよな?」
『…………。』
ハリーとロンに詰められて、名前は助けを求めるように視線を泳がせた。
しかし食事に夢中な彼らは誰一人として気が付かない。
早々に降参した名前は項垂れる。
顔を上げて気合いを入れるように息を吸い、そしてゆっくりと後ろへ振り返った。
ロンとハリーも同じく振り返り、名前の視線を辿っていく。
すると、スリザリンの席から誰かが見ている事に気が付いた。
熱心に此方を───いや、名前を見つめている。
その熱心に見つめてくる者は、どう見てもガタイのいい男子生徒だった。
グリフィンドールとスリザリンは常に対立している。
なので、これだけ熱心に見つめてくるのも何かの対抗心からかと、ロンとハリーは最初は思った。
だがすぐに取り消した。
その男子生徒の目は潤み、頬は熱って赤く染まり、明らかに名前に恋する顔だったのだ。
ロンとハリーは見てはいけないものを見たような複雑な気分になり、食事の手が止まってしまった。
「あ…あれスリザリンのクィディッチチームのキャプテンだろ。五年生の…。
マーカス・フリント。」
「何でそんなやつがナマエのことを……あんな目で見てるんだろ?ナマエ、何かあった?」
『………
廊下の角でぶつかった。』
「ぶつかった?
ぶつかったら、怒るだろ。あんな…ヘンな目で見てはこないだろ。」
『ぶつかった時、…惚れ薬…持ってたから。』
「「………。」」
ハリーとロンは互いに顔を見合わせた。
この話があまり聞きたくない怪しい雲行になっていくように感じた。
(しかし興味ももちろんあった)
惚れ薬───使用した相手に恋させる薬だ。
名前の方は見るからに正気を保っており、マーカス・フロントは明らかに異常だ。
つまり話の流れを予想すると、誰に使う予定だったのかは分からないが、マーカス・フリント自身が惚れ薬を使ってしまった、ということになるだろう。
「そ、それで?」
『彼は手に薬を持っていた。理由は分からないけど…そのまま俺とぶつかって、手に持っていた薬が自分自身に振り掛かった。
俺は…平気だった、けど…。』
「…事故でフリントが惚れ薬を吸って、初めに見たのがナマエだった………つまり、」
「フリントはナマエに恋してる…。」
「………」
「………」
『………』
「………それで、フリントを医務室まで連れて行ったの?」
ハリーは嫌な想像を振り払って名前に聞いた。
『フリントの恋する乙女な姿』を想像し、フリントと名前の両者に惚れ薬が掛かっていたかもしれないもしもの未来まで想像してしまっていた。
それよりはずっとましだ。
きっと、最悪の事態は免れたはずだ。
名前はミルクを引き寄せながら頷いた。
サラダの皿の中身はキレイになくなっている。
呑気にミルクを注ぐ名前を見て、ロンは「お人好しだなあ」と呆れて言った。
「スリザリンの生徒なんかほっとけばいいじゃないか、ナマエ。ホグワーツには沢山の人がいるんだぜ。君がわざわざ助けなかったって、誰かが見付けて助けたさ。
第一、今日はあの根暗教師スネイプの授業だったんだぞ。君の頭がよかったからあの場はしのげたものの、スネイプの気まぐれで何が起きたかわからないんだ…。
それにフリントだって、正気に戻ったらきっと君を殺しにくるぜ。自分のあんな姿見られちゃな。」
「ロンの言う通りだよ、ナマエ。
どうして放っておかなかったんだい?」
『………
くっついて離れなかった…。』
「………」
「………」
『………俺にも薬がくっついたかもしれない、から…一応取り除いてはもらった、けど…ハリーとロンは大丈夫…。……何ともない。』
「……ああ…うん…
それは、大丈夫だけど…」
「…うん…なんていうか…
……フリントはいつまでああなの?医務室で治してもらえなかったのかい?」
『…強い薬じゃないから、その内戻るって。』
「じゃあ………」
「しばらくあのまま?」
『……本当は話、しちゃいけないから…誰にも…秘密ね。』
「………」
「………」
「………君って、ナマエ………」
『………』
「……やっぱりあんまり、頭よくないかも…。」
ハリーは溜め息とともにそう呟いた。
口端にに生クリームをつけながらトライフルを食べる名前は、とても自分の置かれた状況に自覚があるようには見えなかった。