サボり魔と無痛の怪物
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訓練所で色んな人と組手をしていたら珍しくガープ中将が来て、相手をしてもらえた。結果はもちろん傷一つ付けることは出来ずボロボロに負けた。ガープ中将は「負けるかとヒヤヒヤしたわい!」と大笑いして帰っていった。おそらくガープ中将の中では傷を付けられると負けだと思っているのだろう。その事実に悔しく思いながら、いずれは青アザをつけてやると決意した。
医務室で組手で負った怪我を処置してもらい、医務室から出るとバッタリとおつるさんに出会った。おつるさんもまさか開けた途端に人がいると思わなかったようで、軽く驚きの声をあげた。
「あ、おつるさんお疲れ様です」
「おや、リアンかい。ちょうど良かった。アンタに用があったんだよ」
医務室のドア前から邪魔にならないようにおつるさんと廊下の端に捌ける。
「何の御用ですか?」
「さっきガープのやつに手合わせしたって聞いてね。運動して腹が減ったろうと思って菓子をやろうとココに来たんだ。ほら」
ガサリと菓子の袋を取り出して手渡される。あ、これはおつるさんがよくお茶飲む時に食べてるやつだ。
「え、わざわざありがとうございます」
「訓練するのはいいけど、程々にしときなね」
巻かれた包帯や絆創膏に湿布を見て警告された。武装色を覚えてからは怪我の数が昔に比べてぐっと少なくなったが、それでも皆口を酸っぱくして言う。耳にタコができるくらい、いや、もうできたぐらい聞いた。
「ゔ、善処します」
はい、と言わない私を見ておつるさんはため息を吐いた。
お昼ご飯を食べて、書類仕事もそこそこにおやつの時間になった。はた、と今日は逃走の連絡が入らないことに気付いた。ガープ中将は訓練の後仕事で船に乗って行った。では青キジ大将は?提出予定の書類を片手に様子を見に行くことにした。
「……こんな事言うのも失礼ですが、今日は真面目に仕事してて怖いです」
椅子に座って黙々と書類に向かう上司を見て夢かと錯覚する。あの青キジ大将が椅子に座って寝ずに、真面目に椅子に座って書類仕事をこなしているのだ。机の上に置かれた書類の山の数は依然として変わらないように見えるが一山ほど少ない。思わず、痛みを感じないのに頬を抓ったぐらいには驚いた。
「あらら……本当に失礼じゃないの……。おれの日頃の行いが悪いんだけどさ」
青キジは書類にペンを走らす手を止めて、頭を搔いて苦笑いをする。その通り、常日頃寝たりサボったり散歩と称して海に出たり……センゴク元帥が胃を痛めるわけだ。
「ま、今日は脱走も寝る気もサボる気もないから安心してよ」
また自分自身の頬を抓った。当たり前だが痛みはない。
「……俄然不安になったんですが」
「あー、あと何だっけな……。……そうだった」
机の広い引き出しを開くと紙袋を取り出した。
「はい。これリアンちゃんにあげる」
差し出された紙袋に怪訝な目を向けた。今日はやたら物を貰う。紙袋を受け取りながら疑問をぶつける。
「えぇ?急に何なんですか?……中身を見ても?」
「いーぜ。まァ……多分喜んでもらえると思うよ」
肘をつきながらこちらを見る青キジを不思議に思いながら、紙袋をガサと開いて見ると自分の好きなお菓子が箱で入っていた。
「……おっあっ、これは!」
「リアンちゃんの好きなお菓子。どう?」
驚いて大声を上げると、青キジはくつくつと笑った。紙袋両手に持ち上に掲げる。そのままぐるぐると紙袋ごと回る。最近は買いにも行けていなかったこともあり、嬉しさは倍増した。
「めちゃくちゃ嬉しいです!うわー、やった!」
「ははは、良かった良かった」
はしゃいでいたのも束の間、ハッと我に返って最初から胸の内にあった謎を問いかける。ガープ中将やおつるさんに黄猿大将ならたまにお菓子を貰うが、青キジ大将はそもそもお菓子を食べる所を見ない。精々ガープ中将とお茶する時に差し出される煎餅程度だ。
「でも、どうしていきなり?誕生日でもないですけど」
「んー……いつも頑張ってるリアンちゃんにご褒美、みたいな」
少々腑に落ちない回答をもらったが、このお菓子を貰ってもデメリットはない。
「……ありがたく頂きます!」
青キジ大将の部屋から出て、ついでにと渡された青キジの書類を持ってセンゴク元帥の部屋に向かう。
「リアンちゃん、リアンちゃ〜ん」
「はい、何でしょうか」
黄猿大将に呼び止められて足を止めて、振り返る。
「はいコレ、サカズキとわっしからね」
そう言うと、おもむろに手に持っていた紙袋を手渡される。赤犬大将と黄猿大将から?黄猿大将だけでなく赤犬大将からなんて私は一体何をしたのだろうか。
「は?え?私ってなんかやりましたっけ?」
「えぇ〜?今日は何月何日か覚えてないのか〜い?」
今日は金曜日で何月……年が明けたのは覚えている。それからあまり時間は経っていないとは思うから1月か2月。ダメだ、さっぱり分からない。
「……金曜日ってことは覚えてます」
「2月14日だよォ〜」
「2月……14日?」
思っていたより日付が進んでいたことと、何も理由が思いつかず、黄猿大将が教えてくれた日にちを復唱した。
「その様子だと何の日かも覚えてないようだねェ〜」
「うっ、すみません……」
「今日はねェ〜……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「すっかり頭から抜けてた!通りでみんな何かくれるわけか!」
「やっと気が付いたのね、リアンちゃん」
「あっ!青キジ大将!私の分今日は無理です!準備してないんで!」
「リアンか、丁度よかった。いつも脱走兵を捕まえてくれて感謝し……」
「元帥すみません!今日バレンタインって忘れてまして!」
「気にするな。こういうのは気持ちが大事だろう」
「元帥……!」
「センゴクさんその脱走兵っておれとガープさんですよね?!」
医務室で組手で負った怪我を処置してもらい、医務室から出るとバッタリとおつるさんに出会った。おつるさんもまさか開けた途端に人がいると思わなかったようで、軽く驚きの声をあげた。
「あ、おつるさんお疲れ様です」
「おや、リアンかい。ちょうど良かった。アンタに用があったんだよ」
医務室のドア前から邪魔にならないようにおつるさんと廊下の端に捌ける。
「何の御用ですか?」
「さっきガープのやつに手合わせしたって聞いてね。運動して腹が減ったろうと思って菓子をやろうとココに来たんだ。ほら」
ガサリと菓子の袋を取り出して手渡される。あ、これはおつるさんがよくお茶飲む時に食べてるやつだ。
「え、わざわざありがとうございます」
「訓練するのはいいけど、程々にしときなね」
巻かれた包帯や絆創膏に湿布を見て警告された。武装色を覚えてからは怪我の数が昔に比べてぐっと少なくなったが、それでも皆口を酸っぱくして言う。耳にタコができるくらい、いや、もうできたぐらい聞いた。
「ゔ、善処します」
はい、と言わない私を見ておつるさんはため息を吐いた。
お昼ご飯を食べて、書類仕事もそこそこにおやつの時間になった。はた、と今日は逃走の連絡が入らないことに気付いた。ガープ中将は訓練の後仕事で船に乗って行った。では青キジ大将は?提出予定の書類を片手に様子を見に行くことにした。
「……こんな事言うのも失礼ですが、今日は真面目に仕事してて怖いです」
椅子に座って黙々と書類に向かう上司を見て夢かと錯覚する。あの青キジ大将が椅子に座って寝ずに、真面目に椅子に座って書類仕事をこなしているのだ。机の上に置かれた書類の山の数は依然として変わらないように見えるが一山ほど少ない。思わず、痛みを感じないのに頬を抓ったぐらいには驚いた。
「あらら……本当に失礼じゃないの……。おれの日頃の行いが悪いんだけどさ」
青キジは書類にペンを走らす手を止めて、頭を搔いて苦笑いをする。その通り、常日頃寝たりサボったり散歩と称して海に出たり……センゴク元帥が胃を痛めるわけだ。
「ま、今日は脱走も寝る気もサボる気もないから安心してよ」
また自分自身の頬を抓った。当たり前だが痛みはない。
「……俄然不安になったんですが」
「あー、あと何だっけな……。……そうだった」
机の広い引き出しを開くと紙袋を取り出した。
「はい。これリアンちゃんにあげる」
差し出された紙袋に怪訝な目を向けた。今日はやたら物を貰う。紙袋を受け取りながら疑問をぶつける。
「えぇ?急に何なんですか?……中身を見ても?」
「いーぜ。まァ……多分喜んでもらえると思うよ」
肘をつきながらこちらを見る青キジを不思議に思いながら、紙袋をガサと開いて見ると自分の好きなお菓子が箱で入っていた。
「……おっあっ、これは!」
「リアンちゃんの好きなお菓子。どう?」
驚いて大声を上げると、青キジはくつくつと笑った。紙袋両手に持ち上に掲げる。そのままぐるぐると紙袋ごと回る。最近は買いにも行けていなかったこともあり、嬉しさは倍増した。
「めちゃくちゃ嬉しいです!うわー、やった!」
「ははは、良かった良かった」
はしゃいでいたのも束の間、ハッと我に返って最初から胸の内にあった謎を問いかける。ガープ中将やおつるさんに黄猿大将ならたまにお菓子を貰うが、青キジ大将はそもそもお菓子を食べる所を見ない。精々ガープ中将とお茶する時に差し出される煎餅程度だ。
「でも、どうしていきなり?誕生日でもないですけど」
「んー……いつも頑張ってるリアンちゃんにご褒美、みたいな」
少々腑に落ちない回答をもらったが、このお菓子を貰ってもデメリットはない。
「……ありがたく頂きます!」
青キジ大将の部屋から出て、ついでにと渡された青キジの書類を持ってセンゴク元帥の部屋に向かう。
「リアンちゃん、リアンちゃ〜ん」
「はい、何でしょうか」
黄猿大将に呼び止められて足を止めて、振り返る。
「はいコレ、サカズキとわっしからね」
そう言うと、おもむろに手に持っていた紙袋を手渡される。赤犬大将と黄猿大将から?黄猿大将だけでなく赤犬大将からなんて私は一体何をしたのだろうか。
「は?え?私ってなんかやりましたっけ?」
「えぇ〜?今日は何月何日か覚えてないのか〜い?」
今日は金曜日で何月……年が明けたのは覚えている。それからあまり時間は経っていないとは思うから1月か2月。ダメだ、さっぱり分からない。
「……金曜日ってことは覚えてます」
「2月14日だよォ〜」
「2月……14日?」
思っていたより日付が進んでいたことと、何も理由が思いつかず、黄猿大将が教えてくれた日にちを復唱した。
「その様子だと何の日かも覚えてないようだねェ〜」
「うっ、すみません……」
「今日はねェ〜……」
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「すっかり頭から抜けてた!通りでみんな何かくれるわけか!」
「やっと気が付いたのね、リアンちゃん」
「あっ!青キジ大将!私の分今日は無理です!準備してないんで!」
「リアンか、丁度よかった。いつも脱走兵を捕まえてくれて感謝し……」
「元帥すみません!今日バレンタインって忘れてまして!」
「気にするな。こういうのは気持ちが大事だろう」
「元帥……!」
「センゴクさんその脱走兵っておれとガープさんですよね?!」