Deeply love with the darkness -4-
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なんとなく、雨が降ったからまた悲しくなってしまった。
仗助のおじいちゃんがスタンド使いに殺されたなんて悪い夢だと思いたくて。
私は承太郎に聞きたかった。
私がいるからこんな悲しいことが起こるのかなって。スタンド使い同士は引かれ合う……私がいたら、またあの時みたいにたくさん人が傷付いて、死んじゃうんじゃないの?
ディオみたいな人が、また現れるんじゃないの?
そう考え始めたら怖くて体が勝手に震えてしまう。
居ても立っても居られなかった。
だって、仗助は家族を殺されて、仇のスタンド使いに狙われてる。朋子さんのことも避難させなきゃいけなくて、悲しい気持ちや寂しい気持ちをぐっと堪えて戦わなくちゃいけないのに。
私だけ来ちゃダメだ、家にいろなんて…出来るわけないよ。
でも、ほんとは分からなかった。仗助のためなのか、自分のためなのか。
1人でいるのが嫌だったから、会いたくて。
(……何よあいつ……??)
雨の中傘持ちダッシュで仗助の家まで行くと、風景の影が不自然なことに気が付いた。
家の近くの大きな木の影……。
木に隠れて、知らない男が双眼鏡を覗き込んでいる。それは仗助の家の方に向いていた。
嫌な予感と拒絶反応が同時に出て、私はすぐに両手で枠を作ってそこに男を納めた。カメラのポーズってやつ?
「ダークネスッ!!!」
「ぐぎゃあ!」
集めた木の影が男を弾き飛ばし、叫び声と共に男は地面に投げ出される。すぐにそばまで駆け寄った。
「あんた誰っ?ここで何してるの!」
「な、なんだテメー…!いででででっ!?」
今度は生垣の影で逃げないように締め上げた。
すぐに背中にバタバタとした足音が聞こえて、ちらりと目配せしたら承太郎と仗助がこっちにやってくるところだった。
「リカッ!そこから離れろ!そいつがスタンド使いだッッ!!」
ぐい、と承太郎が私の腕を掴んで引っ張った。
力が強くて簡単に体が傾いてしまう。
「それなら絶対離さない!!!」
承太郎の胸に庇われながら私はますますダークネスの力を強くする。仗助の怒りを思うと、こんなものじゃあ全然足りない。
「いいや…離しても平気だぜ、リカ…。こっちもちょうどそいつのスタンドを捕まえたところだからなぁ」
私の前でふくらんだビニール袋を見せてくれる仗助。それを振ったら捕まえてる男もがくがく揺れた。どういう仕組みか分かんないけど、こいつのスタンドが中に入ってるってことね!
ほっと安心したら力が抜けた。
目の前にある支えに掴まったら承太郎の腕だったのでちょっと焦る。けど同時に、心の底からもう大丈夫なんだって思えた。こんなに安らかに安心したのはこの町に来て以来だった。
それで、いつの間にか承太郎の腕をぎゅうって抱きしめてしまってたんだけど、いけないと思ってすぐに力を弱くしたの。
「…もういいってば。かばわなくて……」
ちらって顔を見上げたら、承太郎は私を胸に押し付けたままスタンド使いの犯人を睨み付けていた。
これは離してもらえない予感……。
その予感は的中して、私は承太郎に捕まったまま、奴が仗助の手により岩と同化し何故スタンド使いになったのかを語るのを聞いていた。
弓矢に貫かれてスタンド使いになったと言う男は、間違いなくディオの名前を口にした。
その瞬間、もう何年経つんだって話だけど…私の記憶はあの時の恐怖と愛しい気持ちと両方を蘇らせてしまって、心臓はバクバク破裂しそうだし、頭は痛いし、呼吸もしづらくなって倒れてしまいそうだった。
「…リカ。ディオの野郎がここにいるわけじゃあない。気を強く持つんだ」
「ん…。」
承太郎に抱きついて息を吸い込んだら、酷く安心するから…私はこれでやっと1人じゃあなくなったんだって…心配することないんだって思ってしまった。もう5年以上、承太郎がいなくても平気だったのに。
無関係の子供がアンジェロに人質に取られ、仗助が奴をさらに岩と一体化させて全てを終わらせたのは一瞬だった。
「…ディオって奴…一体何者なんスか?リカのその怯えよう…ただ事じゃあねぇよ」
「奴について話すのは今は得策じゃあないな。とにかくこいつを落ち着ける場所に連れて行かなくては…」
わーったよ、と不満そうに仗助がぼやいてるのを聞いて、やっとここから離れられると思うと段々落ち着いてきた。
「歩けるか、リカ」
聞いてくる承太郎に返事しようとして顔を上げた。歩けなかったらどうするつもりなんだろうとぼんやり考えてたら、口の横ぐらいに少し血が付いてるように見えたから。つい、怪我したのかな、大丈夫かなってそこに手のひらを当てて、親指でなでるようにした。
承太郎は一瞬驚いたみたいに目を大きくして、すぐに私の手の上に自分のを重ねてぎゅうと握り込んだ。
私も驚いて咄嗟に目を合わせたら、あの日夢に見た大きくなった私がキラキラしたグリーンの世界にはっきり映り込んでいた。
「…歩けないなら!俺がおぶって行・き・ま・す・よ!!」
ごほんごほんと大きな咳をしながら仗助が近付いてきたので、私は慌てて「歩けるよ」って承太郎の腕から抜け出たのだった。
承太郎がちょっと笑ってたのは、きっとアンジェロを捕まえられたからに違いない。
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