Deeply love with the darkness -4-
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「もうほんっっと無理!!私、金輪際ジョースター家の男は信用しないから!!!だいたいジョセフのおじいちゃんだって、恋人と私の親戚とどっちも好きだったっていうじゃない!!ほんと最悪だわ!!なんで今になってジョセフの浮気の話なんか聞かなきゃあいけないのよ!!ずっと寄り添ってきたスージーQを騙して最低よッ!!」
「待てリカ。話をちゃんと聞いていたか?今この町には危険が」
「来ないで!!承太郎…私に触れたら怒るからね!ううん、もっと離れて!!スタープラチナが届く範囲には近づかないで!!!」
「いいや、駄目だ。敵の能力が分からない以上、これからはお前を1人にするわけには行かないぜ」
「来ないでって言ってるでしょ!!……ダークネスッッ!」
今にも私を捕まえそうな承太郎にムカつきすぎて、私は隣にいた仗助の影の中にダークネスで沈み、少し離れた木の影に移動した。そこからさらに影を伝ってとにかく逃げた。
仗助や康一くんには私が一瞬で消えたように見えただろう。
今まで仗助には私のスタンド能力をひた隠しにしてきたけど、もうそんなのどーだっていい(悪いスタンド使いがいるらしいし)。
ジョースター家の男イコール女性にだらしないということを自分の中で確定させた私は、承太郎だけではなくジョセフにも裏切られた気持ちになって怒りで町を闊歩した。化粧品を衝動買いしてやった。
怒り通り越して悲しくなりつつとりあえず無言の帰宅。
「やぁおかえり。」
「あっ!!信用できない男がもう1人いたっ!」
「?」
のりくんが来ていた。私の力が暴走する等の緊急事態のために合鍵を持っている。
私はリビングに座ってるのりくんに詰め寄り、承太郎が来ることを知っていたんだろう、何故黙っていた、私はもう二度とジョースター家の男を信用しない、と承太郎にぶつけたセリフを同じようにわぁわぁとわめいた。
「え僕ちゃんと報告したじゃない」
「いつよ!?」
「4日ぐらい前、『リカ、君の来週の運勢教えてあげようか。ずっと会いたかった人に会えるんだそうだよ』って。」
「分かりにくすぎる!!!」
「なんか普通に話すと怒りそうだったから」
「その前に普通に聞き流しちゃってるから……!」
悪気があるのかないのか飄々としてるのりくん見てたら脱力してしまった。
私が大人しく肩を落としてるのを見てにこっと笑う。
「承太郎は元気そうだった?」
「え?のりくんまだ会ってないの?」
「だって今日着いたばかりだろう」
「のりくんも久々でしょ?会えばいいじゃない。杜王グランドホテルに泊まるって言ってたわよ」
意外だ。いの一番に待ち合わせして語り合ってそうだけど。
「…まぁ、僕も会ったら殴ってしまいそうなぐらいには怒っているからね」
妙に神妙そうに頷くのりくん。
そっか。のりくんも承太郎に怒ってるんだ。
そう思ったらなんか嬉しかったし気がおさまってきた。
「そう言えば、ヤバいスタンド使いがこの町にいるんだって!」
「それは知ってる」
「あ、そう……」
それから再び、ジョセフ浮気って最悪じゃない?しかも65のとき女子大生とって…ほんと無理なんだけど、とぐちぐち話してたらその時の子供が仗助だというオチまで思い出して私はさらに肩を落とした。今思うと完全に似てるよね、ほんと。でも普通はありえないからね、こんな現実。
「……その悪いスタンド使いさ、私とのりくんでやっつけちゃおうよ。そしたら承太郎すぐ帰るよね」
「ああ…うん、まぁ…そうかな。もちろん、僕も奴のことは探すつもりだよ」
「ほんと、早く捕まえなきゃ。ジョースター家と関わりたくない」
そっちが本音だろ。
そう言いたげにのりくんはやれやれと首を振っていた。
くれぐれも身の回りに気をつけるようにって私に言い聞かせて、のりくんは帰ってしまった。
とたんにぐるぐる色んな感情が押し寄せて落ち着かない。
私、やっと普通の平和な日常を手に入れたと思ってたのに。
今思うとジョセフや承太郎から離れても、結局仗助に寄りかかって生きてきたんだわ。心に安心感があったのも、ずっとジョースターの血を引く仗助と一緒にいたからなんだ。
結局魂ごと囚われてるような気になって、悲しくなってしまった。
泣いたらせっかく買った化粧品試してるのに台無し。
私は鏡の前でぐっと目に力を込めて耐えていた。
(信じないもん……。どうせ約束破って離れていくくせに)
気を取られたのは、コンコンと外から部屋をノックする音が聞こえたから。
顔を上げてきょろきょろしたら、やっぱり窓のところからコンコンと音がする。
何かなと思って近づいた。
「その…、リカ…俺だけどぉ」
(仗助。)
あれ?学校終わるの随分早いな。
そういえば今日入学式だったんだ。
私は何にも言わずに少し窓を開けて確認した。
仗助はヤンキー座りでしゃがんでそこにいた。窓枠より下にいるからぱっと見分からなかったじゃない。こっちに背中向けてるから、顔も見えないし。
「あのさぁ、承太郎さんってやっぱ、あの人だよなぁー?お前がこの町に来る原因になった、…海で泣いてたときの、あの人のことだよなぁぁ?」
「………。」
否定しても嘘だってバレバレだろうし、なんて返せばいいんだろう。
結局黙ったままにしていたら、仗助は気まずい空気をごまかすように首のところを掻いて息を吐いた。
「なんつーか、そのぉ…お前がいなくなった後で聞いたんだが…。お前も養子みたいなもんなんだってな…俺の親父?の」
「…うん。」
「とにかくよぉー、お前がすげぇ怒ってることはわかったよ。承太郎さんもしばらくはそっとしとくっつってたし、避けたいんなら協力するから安心してくれ。俺も別に…今さら親父がどうとか言われても困るしな。お前がわぁわぁ怒ってたとき、正直ちょっとスカッとしたんだ」
「……。」
「まいるよな、ほんと…。お前がもう信用しないっつってたジョースターの人間だったわけだ、俺は」
珍しく力のない声に私ははっとした。
私は自分のことばかりで、あの場に仗助を置いていってしまったけど…仗助だっていきなり自分の奇妙な境遇を知らされてショックだったに違いないのに。いきなり傷付けるようなことを言ってしまった。
ジョセフと承太郎の過去なんて、今ここにいる仗助には関係ないのに。
「ちょっと待ってて!」
「…リカ?」
早く仗助を元気付けてあげなきゃ。
私は窓から離れてリビングに戻り、引き出しに入れていた小箱を取り出した。実はちゃんと用意してたんだぁ。人生の節目の入学祝い!
仗助はやっと振り返って不思議そうにこっちを盗み見ている。
すぐに戻って顔のところに箱を突き出してやった。
「これあげる。高校入学、おめでとう」
「え?これ、俺に…?マジかよ」
「勉強がんばってね」
勉強はした方がいい。ジョースターの血統なら地頭は絶対良いはずだからね。
なにせあの承太郎が今や海洋博士だからね!
というわけで箱の中身は立派なメーカーの万年筆です。
わくわくその場で開けてくれるのやっぱり可愛いわよね。
「おお、むちゃくちゃかっけぇーなこれ!」
「今日は今からお祝いパーティね!」
嬉しい、大事にするって言ってくれる仗助の笑顔を見たら私も元気になる。
プレゼントを箱ごと鞄に突っ込んでた隙に窓から外に飛び降りた。
「おぉっと」
慌てて受け止めなくたって平気なのに、仗助は体勢を崩しながらも私の体を片腕で支えてくれる。いつも優しいから頼りたくなっちゃうんだよね。
でも今日は、その後もう片方の腕も背中に回ってぎゅってされたから、ちょっとびっくりした。
私は仗助を安心させたくて、耳元でそっと呟くの。
「仗助は仗助だからね。私、信用してる」
「……そりゃー良かった」
今度は仗助の吐息が私の耳をくすぐって、ちょっとぞくってしちゃった。
「…ほんと、良かった」
なんかいつもと違う人みたい。
離れて顔を覗き込んだら、いつも通りやんちゃな笑顔の仗助だった。
顔は全体的に赤かった。
