A rabbit in magicalland♣︎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
魔獣ミュージアムに行って、それからショッピングしてご飯を食べて。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
寮の門限もあるし宿題とか明日の準備とかもあってみんな忙しいので、少し早めに帰路に着く。
「…また誘うね」
「うん」
「また明日…」
「うん」
「あの…よかったらこれから一緒に宿題」
「私もう終わってるの」
「え、…そうなんだ」
「マッシュくん、がんばってね」
「がんばる。…ねぇ、レナちゃん。明日の授業、隣で受けても」
「いいよ」
「うん。…それじゃあ」
「おやすみなさい」
「……おやすみなさい」
最後にマッシュくんがうっすら微笑んでくれた気がして、嬉しくてしばらく手を振っていた。
ずっと手を振りかえしてくれるマッシュくんはフィンくんに引きずられていきながら、「宿題教えて」って平然としていて嫌がられていた。
「………『うさぎさん魔法』っ!」
みんなとお別れした後、お部屋で窓を開けて魔力を解放する。
杖がぼわわんとうさ耳になって、私は窓から飛び出した。建物の屋根や木を伝って森の中に入っていく。
思ったより早く帰ってこれたから、にんじん畑の様子を見に行こうと思ったのだ。
レインさんに頼んでおいたから水やりは大丈夫だと思うけど、なんとなく休日のルーティンでにんじんたちと過ごす時間がほしくて。
「あれっ?…レインさん」
畑につくと、お気に入りのお外用ベンチに見知った後ろ姿を見つけて驚いた。2色の頭はここに来ながら思い出していたレイン・エイムズその人だった。
もうお外暗いのに。こんな時間まで森でなにしてるんだろ?
私が地面に着地すると同時に振り向いたレインさんは、やっぱり嫌そうに眉間にしわをよせていた。
「……ずいぶん遅かったな」
「そうですか?レインさん、何故ここに…」
「忙しかったからな。水やりが遅くなったんだ」
ちらりと地面に突き刺さって整列しているにんじんたちを見る。地面は濡れてるような感じはしなかった。水やりしてからかなり時間が経ってる気がする。どうして嘘つくんだろ?
「…ありがとうございます。こんな時間に来てくれて」
不思議だったけど一応お礼を言いながら隣に座った。レインさんは私をうさ耳ふくめて上から下まで眺めてから「うさぎの世話があるからな」ってぼやいた。うさぎいっぱい飼ってるもんね。大変だよね。
「…どうだった魔獣博物館は?終わりまで見れたか?」
「楽しかったですよ!全部は見てませんけど!」
「そうだと思っていた。どうせ怖くて途中で外に逃げ出したとかだろう」
海ゾーンでの演出を思い出してまたゾッとした。体がすくむのをぐっとこらえて背筋を伸ばす。子供みたいに扱われて馬鹿にされるのが嫌だったから。
「逃げてないです。マッシュくんが守ってくれたし」
「……………。」
「?」
「……そうか」
何か含みたっっっぷりに見られて穴が開くんじゃないかと思った。
目を逸らしてつまんなさそうに頬杖ついたレインさんに今度は寂しくなってくる。
だから、それから私は1人でみんなと過ごした1日のことを話して聞かせた。
ドットくんとランスくんがスタンプラリーではしゃいでたこと。
ランスくんがアンナちゃんグッズを貸してくれたこと。
フィンくんとレモンちゃんが優しく気遣ってくれたこと。
高級赤にんじんをおっことして、マッシュくんが博物館を破壊しようとしたこと。
それからお買い物とご飯の話。
レインさんはときどき適当な相槌を打ちながら聞いてくれた。ほんとは聞いてなかったのかもしれないけど、とにかくずっと隣に座っていた。
「それで、最後にマッシュくんが大好きなシュークリーム屋さんに行って…」
今日レインさんとお話できなかった分を取り戻すように、私は夢中になっておしゃべりしていた。だいたいいつも、レインさんはうさぎたちのお世話、私はにんじん畑でのんびりしていて一緒に過ごしているものだから。
「…レナ」
「はい」
「話が長い」
「………。」
面白くないの。ちょっとは笑ったりしてくれてもいいじゃない。
おやつににんじん一本食べようかな。
「でも良かったです。レインさんがくれたにんじん、ちゃんと見つかって」
「……。」
ぶらぶらしてる足に視線を落としながらふと思い出してつぶやいた。
相変わらず視線を感じるので改めてお礼を言おうと顔を上げたら、急に辺りが真っ暗になったので驚いた。月が雲に隠れて月明かりが消えたんだろう。
「ひぇ」
思わず博物館での恐怖を思い出して体がびくってなった。同時に人肌が恋しくてちょっとレインさんの方に寄ったら、急に背中に腕が回された。暗い中でたくましくて温かい感触だけがやけにはっきりわかる。
ふるふるしてしまう私の体をレインさんの両腕が包んでいた。
「…馬鹿が。わざわざそんなところ行く必要なかっただろうに」
「す、すみません」
なんで謝ってしまったのか私にはわからなかった。ただ、優しいけど逃げられないくらいに強く抱きしめられて、その頬が私のうさ耳の根本にすり寄られて、ずいぶん気持ちが良いのだけははっきりわかる。
「…レナ。」
「………。」
「どこか出かけるときは、また俺に報告しろ」
「……うん」
震えが止まってきて、ほっとして目を閉じた。
ふとレインさんの腕の力がゆるんだので目を開けたら、雲が動いてまた月明かりが私たちを照らしていた。
離れても、まだその両腕の温かさが残っている。
レインさんは最後にぽんぽんと私のうさ耳の間をなでてやっぱりつまらなさそうに顔を逸らした。
「誰かれかまわずそんな調子じゃ困る」
「そ、そんなことない……レインさんにだけだもん」
「………。」
「え?!」
ゆっくりとベンチにぶっ倒れたレインさんに博物館とはまた違う怖さを感じた。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
寮の門限もあるし宿題とか明日の準備とかもあってみんな忙しいので、少し早めに帰路に着く。
「…また誘うね」
「うん」
「また明日…」
「うん」
「あの…よかったらこれから一緒に宿題」
「私もう終わってるの」
「え、…そうなんだ」
「マッシュくん、がんばってね」
「がんばる。…ねぇ、レナちゃん。明日の授業、隣で受けても」
「いいよ」
「うん。…それじゃあ」
「おやすみなさい」
「……おやすみなさい」
最後にマッシュくんがうっすら微笑んでくれた気がして、嬉しくてしばらく手を振っていた。
ずっと手を振りかえしてくれるマッシュくんはフィンくんに引きずられていきながら、「宿題教えて」って平然としていて嫌がられていた。
「………『うさぎさん魔法』っ!」
みんなとお別れした後、お部屋で窓を開けて魔力を解放する。
杖がぼわわんとうさ耳になって、私は窓から飛び出した。建物の屋根や木を伝って森の中に入っていく。
思ったより早く帰ってこれたから、にんじん畑の様子を見に行こうと思ったのだ。
レインさんに頼んでおいたから水やりは大丈夫だと思うけど、なんとなく休日のルーティンでにんじんたちと過ごす時間がほしくて。
「あれっ?…レインさん」
畑につくと、お気に入りのお外用ベンチに見知った後ろ姿を見つけて驚いた。2色の頭はここに来ながら思い出していたレイン・エイムズその人だった。
もうお外暗いのに。こんな時間まで森でなにしてるんだろ?
私が地面に着地すると同時に振り向いたレインさんは、やっぱり嫌そうに眉間にしわをよせていた。
「……ずいぶん遅かったな」
「そうですか?レインさん、何故ここに…」
「忙しかったからな。水やりが遅くなったんだ」
ちらりと地面に突き刺さって整列しているにんじんたちを見る。地面は濡れてるような感じはしなかった。水やりしてからかなり時間が経ってる気がする。どうして嘘つくんだろ?
「…ありがとうございます。こんな時間に来てくれて」
不思議だったけど一応お礼を言いながら隣に座った。レインさんは私をうさ耳ふくめて上から下まで眺めてから「うさぎの世話があるからな」ってぼやいた。うさぎいっぱい飼ってるもんね。大変だよね。
「…どうだった魔獣博物館は?終わりまで見れたか?」
「楽しかったですよ!全部は見てませんけど!」
「そうだと思っていた。どうせ怖くて途中で外に逃げ出したとかだろう」
海ゾーンでの演出を思い出してまたゾッとした。体がすくむのをぐっとこらえて背筋を伸ばす。子供みたいに扱われて馬鹿にされるのが嫌だったから。
「逃げてないです。マッシュくんが守ってくれたし」
「……………。」
「?」
「……そうか」
何か含みたっっっぷりに見られて穴が開くんじゃないかと思った。
目を逸らしてつまんなさそうに頬杖ついたレインさんに今度は寂しくなってくる。
だから、それから私は1人でみんなと過ごした1日のことを話して聞かせた。
ドットくんとランスくんがスタンプラリーではしゃいでたこと。
ランスくんがアンナちゃんグッズを貸してくれたこと。
フィンくんとレモンちゃんが優しく気遣ってくれたこと。
高級赤にんじんをおっことして、マッシュくんが博物館を破壊しようとしたこと。
それからお買い物とご飯の話。
レインさんはときどき適当な相槌を打ちながら聞いてくれた。ほんとは聞いてなかったのかもしれないけど、とにかくずっと隣に座っていた。
「それで、最後にマッシュくんが大好きなシュークリーム屋さんに行って…」
今日レインさんとお話できなかった分を取り戻すように、私は夢中になっておしゃべりしていた。だいたいいつも、レインさんはうさぎたちのお世話、私はにんじん畑でのんびりしていて一緒に過ごしているものだから。
「…レナ」
「はい」
「話が長い」
「………。」
面白くないの。ちょっとは笑ったりしてくれてもいいじゃない。
おやつににんじん一本食べようかな。
「でも良かったです。レインさんがくれたにんじん、ちゃんと見つかって」
「……。」
ぶらぶらしてる足に視線を落としながらふと思い出してつぶやいた。
相変わらず視線を感じるので改めてお礼を言おうと顔を上げたら、急に辺りが真っ暗になったので驚いた。月が雲に隠れて月明かりが消えたんだろう。
「ひぇ」
思わず博物館での恐怖を思い出して体がびくってなった。同時に人肌が恋しくてちょっとレインさんの方に寄ったら、急に背中に腕が回された。暗い中でたくましくて温かい感触だけがやけにはっきりわかる。
ふるふるしてしまう私の体をレインさんの両腕が包んでいた。
「…馬鹿が。わざわざそんなところ行く必要なかっただろうに」
「す、すみません」
なんで謝ってしまったのか私にはわからなかった。ただ、優しいけど逃げられないくらいに強く抱きしめられて、その頬が私のうさ耳の根本にすり寄られて、ずいぶん気持ちが良いのだけははっきりわかる。
「…レナ。」
「………。」
「どこか出かけるときは、また俺に報告しろ」
「……うん」
震えが止まってきて、ほっとして目を閉じた。
ふとレインさんの腕の力がゆるんだので目を開けたら、雲が動いてまた月明かりが私たちを照らしていた。
離れても、まだその両腕の温かさが残っている。
レインさんは最後にぽんぽんと私のうさ耳の間をなでてやっぱりつまらなさそうに顔を逸らした。
「誰かれかまわずそんな調子じゃ困る」
「そ、そんなことない……レインさんにだけだもん」
「………。」
「え?!」
ゆっくりとベンチにぶっ倒れたレインさんに博物館とはまた違う怖さを感じた。
8/8ページ