A rabbit in magicalland♣︎
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その日レイン・エイムズは森の散策に出かけていた。趣味のひとつ、野生のうさぎの観察に勤しむためである。野生の身軽な感じと警戒心のある感じもまた良い。
とびっきりの人参スティックを持参して、森の深くに進み、ちょうど良い倒れた木の幹に座り込んだ。
(……何も出てこない。)
しばらくして少し虚しくなってきた。
レイン・エイムズはうさぎが好きだが、うさぎの方はどうだろうか。
膝のあたりでつまんだままの人参が乾いている。
(……鳥の一羽も見当たらない。)
それからまたしばらくして、レインは同じ姿勢のまま疑問を持った。俺は一日使って一体何をしているんだろうか。にんじんを持った手がそろそろしんどいんだが。
「………帰るか。…ん?」
立ちあがろうとして顔を上げたレインが何かを見つけた。というか、目が合った。
「………。」
木の影からこちらの様子を伺っていたのは、ずいぶんと儚げな美少女だった。
薄いチェリーピンクの瞳はうさぎのように大きく、鼻も口もうさぎのように小さい。
肌は白うさぎのように白く、柔らかくウェーブした金の髪もところどころピンク色をしている。
そんな小動物のようなうさぎ耳の生えた少女がじっとレインを見つめているのだ。
(うさ、耳……耳……うさぎ…うさ耳……うさ耳だと?!!)
「……にんじん…。」
(にんじんって言った!)
そう。目の前にいるのは限りなくうさぎのような少女のようなうさぎのような何か。
ピクピクと長い耳を動かしてときどききょろりと辺りに視線をくばる様は完全にうさぎだった。いや、服も白いので完全に白うさぎ。
「……いや、気のせいだな」
そんなのいるわけない。
落ち着くために一度下を向いて深呼吸をする。
もう一度顔を上げたら、そのうさぎはより現実味を帯びていた。
(近付いてきている、だと……!!?)
なんとさっき隠れていた木より近い木の後ろに移動している。そしてそこに隠れながらちらちらとこちらを盗み見ていた。
「……いいなぁ…。」
何かがうらやましいらしい。
近付いてきたため少女の視線をより感じ、それが手元の人参に刺さっていることに気付いた。
混乱しているレインは自分が何をしてるのかわかってない。持っていたにんじんスティックをうさぎに与えるときと同じく少し差し出すようにした。
「……食うか?」
そんなわけあるか。心の底ではわかりきっているのに少女に小さく問いかける。
その瞬間、彼女のピンクの瞳がさらに大きくなり、とんでもなく輝いたのを見た。
それを見たレインの中で何かが音を立てて崩れてしまった。それは雷に打たれたかの衝撃である。
(かっ)
可愛い。とんでもなく可愛い。うさぎに匹敵、いや、そんなもんじゃない。世界に1匹のハイパーラヴリーうさぎだ。
そんなことを思っている間にそのうさぎはそろそろとレインに近付いて目の前でしゃがみ、なんとぱくりと差し出されているにんじんスティックをかじった。
パリパリと咀嚼して、ちらりとレインを見上げると嬉しそうに微笑んだ。
「すっごくおいしい。」
「うぐぅ!」
何故か胸を貫かれたごとくショックを受け、レインは咄嗟ににんじんと反対の手で胸を押さえる。
そんなことをしている間にハイパーラヴリーうさぎはレインの手から二口目のにんじんをかじっていた。
「…好きなのか。にんじん」
もっもっもっもっ……ごくん。にこり。
「大好き」
「?!?!?!」
もう駄目だ。自分の中からあらゆる常識が吹っ飛んでいくようだった。
レインの胸中など興味ない、と言わんばかりにうさぎはもっもっもっ、と口だけで一本めのにんじんを吸い込んでしまった。
そこにすかさずローブのどこかから2本目のにんじんスティックを差し出すレイン。
「…まだあるぞ」
うさぎ少女は今度はにんじんをレインから受け取り、隣にちょこんと座って両手でそれを持ってまた食べ始めた。
ぽりぽりもっもっ、と平和な音がする。
少し触れ合う温かさと花と日の匂い。
斜め下にある警戒心のない一回り小さな頭。近くで見る大きなうさ耳には上等な絨毯のような真っ白の毛が生え揃っていた。いや、なんでだ。
「ん」
思わず付け根からさわさわと触ってしまった。耳はちゃんと柔らかくて温かい。そしてなんという心地良い感触だろうか。
うさぎ少女は気持ち良さそうに目を閉じて身を委ねてくる。
ぷちん。
レインの中でついに何かが切れた。
まだにんじんを咥えている大きなうさぎを小脇に抱え、一目散に元来た道を引き返していった。
「……マックス。見ろ。珍しいうさぎを拾った」
「え?えっ?えっ?レイン…ちょ、…え?」
「綺麗な色をしてるだろう。少し食い意地はってるからエサ代はかさみそうだが」
「レ、レイン…それ」
「警戒心もなくふらふら近付いてきた。どのみち野生では生きていけないだろう。アルビノは体も弱いからな。仕方ないんで飼おうと思う」
「か、飼う……??!」
「この部屋じゃあ少し手狭か」
「いやそれ人ぉぉおーーーーーッッ!!!?」
学園生活で1番でかい声出た、とマックスはのちに語る。
そのうさぎは固有魔法の修行中のレナであり、魔法を解いたらうさ耳もしっぽも消えたので、レインは彼女を部屋で飼うのをやめた。
しかし今もそのうさ耳に囚われている。彼女がうさぎか人間か……レインの中でその結論はいまだに出ていないとか……いるとか。
とびっきりの人参スティックを持参して、森の深くに進み、ちょうど良い倒れた木の幹に座り込んだ。
(……何も出てこない。)
しばらくして少し虚しくなってきた。
レイン・エイムズはうさぎが好きだが、うさぎの方はどうだろうか。
膝のあたりでつまんだままの人参が乾いている。
(……鳥の一羽も見当たらない。)
それからまたしばらくして、レインは同じ姿勢のまま疑問を持った。俺は一日使って一体何をしているんだろうか。にんじんを持った手がそろそろしんどいんだが。
「………帰るか。…ん?」
立ちあがろうとして顔を上げたレインが何かを見つけた。というか、目が合った。
「………。」
木の影からこちらの様子を伺っていたのは、ずいぶんと儚げな美少女だった。
薄いチェリーピンクの瞳はうさぎのように大きく、鼻も口もうさぎのように小さい。
肌は白うさぎのように白く、柔らかくウェーブした金の髪もところどころピンク色をしている。
そんな小動物のようなうさぎ耳の生えた少女がじっとレインを見つめているのだ。
(うさ、耳……耳……うさぎ…うさ耳……うさ耳だと?!!)
「……にんじん…。」
(にんじんって言った!)
そう。目の前にいるのは限りなくうさぎのような少女のようなうさぎのような何か。
ピクピクと長い耳を動かしてときどききょろりと辺りに視線をくばる様は完全にうさぎだった。いや、服も白いので完全に白うさぎ。
「……いや、気のせいだな」
そんなのいるわけない。
落ち着くために一度下を向いて深呼吸をする。
もう一度顔を上げたら、そのうさぎはより現実味を帯びていた。
(近付いてきている、だと……!!?)
なんとさっき隠れていた木より近い木の後ろに移動している。そしてそこに隠れながらちらちらとこちらを盗み見ていた。
「……いいなぁ…。」
何かがうらやましいらしい。
近付いてきたため少女の視線をより感じ、それが手元の人参に刺さっていることに気付いた。
混乱しているレインは自分が何をしてるのかわかってない。持っていたにんじんスティックをうさぎに与えるときと同じく少し差し出すようにした。
「……食うか?」
そんなわけあるか。心の底ではわかりきっているのに少女に小さく問いかける。
その瞬間、彼女のピンクの瞳がさらに大きくなり、とんでもなく輝いたのを見た。
それを見たレインの中で何かが音を立てて崩れてしまった。それは雷に打たれたかの衝撃である。
(かっ)
可愛い。とんでもなく可愛い。うさぎに匹敵、いや、そんなもんじゃない。世界に1匹のハイパーラヴリーうさぎだ。
そんなことを思っている間にそのうさぎはそろそろとレインに近付いて目の前でしゃがみ、なんとぱくりと差し出されているにんじんスティックをかじった。
パリパリと咀嚼して、ちらりとレインを見上げると嬉しそうに微笑んだ。
「すっごくおいしい。」
「うぐぅ!」
何故か胸を貫かれたごとくショックを受け、レインは咄嗟ににんじんと反対の手で胸を押さえる。
そんなことをしている間にハイパーラヴリーうさぎはレインの手から二口目のにんじんをかじっていた。
「…好きなのか。にんじん」
もっもっもっもっ……ごくん。にこり。
「大好き」
「?!?!?!」
もう駄目だ。自分の中からあらゆる常識が吹っ飛んでいくようだった。
レインの胸中など興味ない、と言わんばかりにうさぎはもっもっもっ、と口だけで一本めのにんじんを吸い込んでしまった。
そこにすかさずローブのどこかから2本目のにんじんスティックを差し出すレイン。
「…まだあるぞ」
うさぎ少女は今度はにんじんをレインから受け取り、隣にちょこんと座って両手でそれを持ってまた食べ始めた。
ぽりぽりもっもっ、と平和な音がする。
少し触れ合う温かさと花と日の匂い。
斜め下にある警戒心のない一回り小さな頭。近くで見る大きなうさ耳には上等な絨毯のような真っ白の毛が生え揃っていた。いや、なんでだ。
「ん」
思わず付け根からさわさわと触ってしまった。耳はちゃんと柔らかくて温かい。そしてなんという心地良い感触だろうか。
うさぎ少女は気持ち良さそうに目を閉じて身を委ねてくる。
ぷちん。
レインの中でついに何かが切れた。
まだにんじんを咥えている大きなうさぎを小脇に抱え、一目散に元来た道を引き返していった。
「……マックス。見ろ。珍しいうさぎを拾った」
「え?えっ?えっ?レイン…ちょ、…え?」
「綺麗な色をしてるだろう。少し食い意地はってるからエサ代はかさみそうだが」
「レ、レイン…それ」
「警戒心もなくふらふら近付いてきた。どのみち野生では生きていけないだろう。アルビノは体も弱いからな。仕方ないんで飼おうと思う」
「か、飼う……??!」
「この部屋じゃあ少し手狭か」
「いやそれ人ぉぉおーーーーーッッ!!!?」
学園生活で1番でかい声出た、とマックスはのちに語る。
そのうさぎは固有魔法の修行中のレナであり、魔法を解いたらうさ耳もしっぽも消えたので、レインは彼女を部屋で飼うのをやめた。
しかし今もそのうさ耳に囚われている。彼女がうさぎか人間か……レインの中でその結論はいまだに出ていないとか……いるとか。