A rabbit in magicalland♣︎
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「……ぺぷしっ!!」
「なんだ今の音」
「ぺぷしっ!」
「あクシャミか」
廊下で鼻をすすってたらマッシュくんが後ろから覗き込んできた。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。ちょっと寒いねぇ、今日は」
「風邪じゃないの、普通に」
普通に風邪だった。
授業を受けて休憩時間になったとたん机にがっくり倒れ込んだ私を見て、フィンくんが「顔赤ぁっ!!?」と叫び、その瞬間マッシュくんがダッシュで医務室に連れてってくれた。お姫様抱っこだったのにそれを感じさせない速さだった。
「…なんで真冬に川で泳いだりなんか……」
ポイ、とベッドに放り込まれた私は今、上からマッシュくんの手のひらを額に感じている。
寒気がする中でマッシュくんの手はずいぶん温かく感じた。
「……私も…鍛えなくちゃと思って…マッシュくんと同じ、武闘派ですから…」
「僕、川で泳いだことあった?」
「重いもの持てないから…足を鍛えるなら水泳かなと思って……」
「うさぎ泳がないでしょ、冬の川で…」
「私うさぎじゃないんだけど…」
音が鳴った体温計を見てマッシュくんが「ダメだこりゃ」とつぶやく。ダメな体温だったらしい。
「寝てなさい」
「うん…。ありがと、マッシュくん…早く授業戻らなきゃ」
「え……??」
「…え…??」
戻らない気だったのかよ。
「仕方ありませんな…あとでシュークリーム持ってきてあげる」
「………。」
やれやれと立ち上がったマッシュくんのローブの裾を、無意識に握りしめていた。
風邪ひいちゃったことを自覚したら、ますますきつく感じるし、すごく不安で寂しかった。
マッシュくんは一瞬ビシッと固まってから、そろりそろりと椅子に座り直した。
「…えと……何かしてあげたいんだけど、どうしたらいいのかな」
「頭撫でて」
「えっ」
「ちゃんと寝るから…寝るまで、頭、なでてほしい」
「えっあの、そそそそそそれは」
「ダメ?さっきも、あったかかったから…」
「………。」
もうすぐマッシュくんがいなくなると思ったら寂しすぎて涙が浮かんできた。
すぐに大きくてすらっとした手が伸びてきて、私の頭にそっと触れた。
「…これでいい?」
なでなでしてくる指がとても優しくて、私は自然と目を閉じていた。
「うん……気持ちいい…」
「……。」
一瞬離れかけた手に薄く目を開けると、またすぐになでなでが始まってまた目を閉じる。体はだるいけど心地良くってすぐに睡魔が襲ってきた。
「…なんか、僕のどこかから『ムラッ』って聞こえた気が……」
「……すぅー、すぅー……」
「…気のせいか……あっ、撫でなきゃ…」
チャイムが聞こえて目を覚ました。
椅子に座ったままマッシュくんが寝ていて、私の髪が片側だけちょっと絡まっていた。
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