Crush on the darkness
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あ〜くそっ!
くそくそくそっ!
おもしろくないなぁ。
ディオが来てから毎日がどんどん楽しくなくなってきている。
ダニーのこともあるけれど、彼がやってきたその日の夕食に、アレックスと連れ立って食卓についたのを見たときからだ。
それから2人はたびたび僕をのけものにしてこそこそ何か話したり、2人で過ごしたりしている!
「なぁ、アレックス。この豆君が食べろよ。今はメイドがいないから…ほら!早くしろよっ」
「いいって言ってないのに俺の皿に移すなよ!優等生のディオ坊ちゃまがそんなことしていいのか!」
「控えめに言ってもこの豆の食感は最悪だ。こんなもの食べる奴らの気がしれないね」
「だから!俺もこれ嫌いなの!」
「……なんだと?」
今もそうだ。夕食に父さんが来るのを待ってる間、2人で何やら騒いでいる。
「それは大変だな。このままだとアレックス、君が大量に豆を残しているって状況になるよなぁ?」
「お前が増やしたんだよ!」
「なぁジョナサン。どうだろう、君が代わりに食べてやるっていうのは……。アレックスが叱られるのは可哀想だと思わないか?」
「え?!」
急ににやにや僕を見るディオ。
く、こいつ……僕もこの豆が嫌いだって知っててこんなことを……!
というか最初から自分が我慢して食べたら良かっただけなのに!
正直絶対嫌だと思ってちらりとアレックスを伺った。眉を下げて困り果てた様子で僕を見ている。大きな黒々とした目を潤ませてなんて可愛らしいんだ。アレックスと目を合わせてしまった時点で僕の負けだ。
「………半分入れなよ……。」
「ジョナサン……ほんとありがとな……優しくてマジで好きだよ」
(ぐぁぁ可愛い!)
嬉しくて悶えていたらアレックスはさっさと豆を僕の皿に移し替えていた。もはや豆のことなんかどうでも良くてアレックスを眺めていたら、むすっとしてディオがこっちを見ているのに気が付いた。
「………ふん」
「??」
露骨に顔をそらされたので不思議に思っていると、ちょうど父さんがやってきたので僕らは大人しく座り直した。
皿を見たら、アレックスの豆は半分より少し多めに僕の方に移されていた。
「……だからさ、あの……食べたらちょっと具合悪くなるみたいなんだ……。ほら、もしかしたら……合わない豆なのかなって……アレルギー?みたいな…」
食事の後で姿を見かけないなと思って探していたら、アレックスは厨房にいた。
こそこそコックに何か話している。しょぼんと不安げなアレックスにコックは慌てて小さな彼をなぐさめていた。
「それは大変だ…!私としたことが、栄養のためよかれと思い……ディオぼっちゃまもいつも残さず食べておりましたので…!」
違うぞ!豆を残さず食べていたのは僕だけだ!
「あっ」
心の中では大きな声で反論していたので物陰から少しばかり身を乗り出した。
そしたら、反対側の物陰にディオが隠れているのに気が付いた。
「ちっ……今いいところなんだ。大声出してバレるなよ、ジョナサン」
「わ、わかってるよ!」
何だって君まで盗み聞きなんてしてるんだ。
じとっと睨むもディオは奥にいるアレックスを見ていて僕のことは眼中にない。嫌な予感が全身を駆け巡る。もしかして、僕と同じでディオもアレックスのことを探していたのかもしれないと思ったからだ。
「それにしても」
コックが恐縮しながら口を開いた。
「少し安心いたしました。ディオ様もきっと、アレックス様には何でもお話しされているのでしょうね」
「「え」」
アレックスとディオの声が重なった。
「私どもには完璧なお方で…苦手なものなどないように見受けられますので……あの豆は別の食材に変えさせていただきます」
「あ、うん……いつもおいしく作ってくれてるのに、ごめん」
アレックスはどこかぽかんとしたまま厨房の奥に引っ込むコックを見送っていた。やがて目が覚めたようにくるりと体の向きを変えると、僕らのいる方にまっすぐ歩いてくる。厨房の出入り口なので当然だ。
「………いたの」
逃げ遅れた僕らはアレックスにすぐさま見つかった。嫌そうな半目で睨まれ冷や汗をかく。違うんだ。僕はすぐに立ち去ろうとしていたんだよ。なのに。
「…?ディオ、なんか顔赤くない?暑い?」
「そりゃあ…厨房だぞ。火のあるところは暑いに決まってるだろう」
アレックスに見上げられてディオは顔をそらすと、片手で口元を覆い隠した。そうだ。何故ディオは顔を赤らめているんだろう?この顔を見たせいで驚いて逃げ遅れてしまったんだ。
「珍しく気が利いたな。褒めてやってもいい」
「だろ?ニガニガ豆から解放されたっ」
うきうきと少し跳ねたアレックスはいたずらっ子みたいな笑顔でとても可愛らしかった。言うと怒るので言わないけれど。
壁にもたれて腕を組んでいるディオも、ちょっと意地悪そうに笑っていた。僕はまた胸の内に苦い味が広がったのを感じている。どうして…こうやって3人で過ごしていれば、きっと打ち解けていけるのに。一緒に住む3人で、仲良くしなくちゃいけないのに。
「言っとくけど、お前のためじゃないからな!いつもジョナサンが豆を押し付けられてかわいそうだからだよっ」
「俺はジョナサンの皿に豆を入れた覚えはないぞ。押し付けているのはお前だ」
「ぐっ…!ジョナサンは!お前と違って優しいから助けようと思うけど!お前のためになんかなんもしないからな!」
「そんなことはどうでもいい。結果豆を排除できたので褒めてやろうと言ってるんだ」
「いや、なんでそんな上からなの?常に」
「ぷっ」
思わず吹き出してしまった僕に2人の視線が突き刺さる。なんて単純なんだろうと思うけど、アレックスが僕のために大人と交渉してくれたんだと思ったら不思議なくらいに気分が晴れた。
僕が優しいんだとしたら、それは全部…アレックス、君のおかげだ。
「おいジョナサン。何笑ってる」
すぐさまディオが睨みを聞かせてきたので口を押さえるももう遅い。
結局笑いもおさまらないし僕は頭を掻いてごまかした。
「や、ごめんごめん。2人ともなんか必死だから…」
「必死だと?」
「必死じゃない!」
「「合わせてやってる」」
「あははははっ」
笑っていたら、なんだか上手くいくような気がしてきた。
アレックスがいてくれたら、きっとディオとも……。
廊下を通る使用人が不思議そうに僕らを見ているのに気が付いて、慌てて退散した。
くそくそくそっ!
おもしろくないなぁ。
ディオが来てから毎日がどんどん楽しくなくなってきている。
ダニーのこともあるけれど、彼がやってきたその日の夕食に、アレックスと連れ立って食卓についたのを見たときからだ。
それから2人はたびたび僕をのけものにしてこそこそ何か話したり、2人で過ごしたりしている!
「なぁ、アレックス。この豆君が食べろよ。今はメイドがいないから…ほら!早くしろよっ」
「いいって言ってないのに俺の皿に移すなよ!優等生のディオ坊ちゃまがそんなことしていいのか!」
「控えめに言ってもこの豆の食感は最悪だ。こんなもの食べる奴らの気がしれないね」
「だから!俺もこれ嫌いなの!」
「……なんだと?」
今もそうだ。夕食に父さんが来るのを待ってる間、2人で何やら騒いでいる。
「それは大変だな。このままだとアレックス、君が大量に豆を残しているって状況になるよなぁ?」
「お前が増やしたんだよ!」
「なぁジョナサン。どうだろう、君が代わりに食べてやるっていうのは……。アレックスが叱られるのは可哀想だと思わないか?」
「え?!」
急ににやにや僕を見るディオ。
く、こいつ……僕もこの豆が嫌いだって知っててこんなことを……!
というか最初から自分が我慢して食べたら良かっただけなのに!
正直絶対嫌だと思ってちらりとアレックスを伺った。眉を下げて困り果てた様子で僕を見ている。大きな黒々とした目を潤ませてなんて可愛らしいんだ。アレックスと目を合わせてしまった時点で僕の負けだ。
「………半分入れなよ……。」
「ジョナサン……ほんとありがとな……優しくてマジで好きだよ」
(ぐぁぁ可愛い!)
嬉しくて悶えていたらアレックスはさっさと豆を僕の皿に移し替えていた。もはや豆のことなんかどうでも良くてアレックスを眺めていたら、むすっとしてディオがこっちを見ているのに気が付いた。
「………ふん」
「??」
露骨に顔をそらされたので不思議に思っていると、ちょうど父さんがやってきたので僕らは大人しく座り直した。
皿を見たら、アレックスの豆は半分より少し多めに僕の方に移されていた。
「……だからさ、あの……食べたらちょっと具合悪くなるみたいなんだ……。ほら、もしかしたら……合わない豆なのかなって……アレルギー?みたいな…」
食事の後で姿を見かけないなと思って探していたら、アレックスは厨房にいた。
こそこそコックに何か話している。しょぼんと不安げなアレックスにコックは慌てて小さな彼をなぐさめていた。
「それは大変だ…!私としたことが、栄養のためよかれと思い……ディオぼっちゃまもいつも残さず食べておりましたので…!」
違うぞ!豆を残さず食べていたのは僕だけだ!
「あっ」
心の中では大きな声で反論していたので物陰から少しばかり身を乗り出した。
そしたら、反対側の物陰にディオが隠れているのに気が付いた。
「ちっ……今いいところなんだ。大声出してバレるなよ、ジョナサン」
「わ、わかってるよ!」
何だって君まで盗み聞きなんてしてるんだ。
じとっと睨むもディオは奥にいるアレックスを見ていて僕のことは眼中にない。嫌な予感が全身を駆け巡る。もしかして、僕と同じでディオもアレックスのことを探していたのかもしれないと思ったからだ。
「それにしても」
コックが恐縮しながら口を開いた。
「少し安心いたしました。ディオ様もきっと、アレックス様には何でもお話しされているのでしょうね」
「「え」」
アレックスとディオの声が重なった。
「私どもには完璧なお方で…苦手なものなどないように見受けられますので……あの豆は別の食材に変えさせていただきます」
「あ、うん……いつもおいしく作ってくれてるのに、ごめん」
アレックスはどこかぽかんとしたまま厨房の奥に引っ込むコックを見送っていた。やがて目が覚めたようにくるりと体の向きを変えると、僕らのいる方にまっすぐ歩いてくる。厨房の出入り口なので当然だ。
「………いたの」
逃げ遅れた僕らはアレックスにすぐさま見つかった。嫌そうな半目で睨まれ冷や汗をかく。違うんだ。僕はすぐに立ち去ろうとしていたんだよ。なのに。
「…?ディオ、なんか顔赤くない?暑い?」
「そりゃあ…厨房だぞ。火のあるところは暑いに決まってるだろう」
アレックスに見上げられてディオは顔をそらすと、片手で口元を覆い隠した。そうだ。何故ディオは顔を赤らめているんだろう?この顔を見たせいで驚いて逃げ遅れてしまったんだ。
「珍しく気が利いたな。褒めてやってもいい」
「だろ?ニガニガ豆から解放されたっ」
うきうきと少し跳ねたアレックスはいたずらっ子みたいな笑顔でとても可愛らしかった。言うと怒るので言わないけれど。
壁にもたれて腕を組んでいるディオも、ちょっと意地悪そうに笑っていた。僕はまた胸の内に苦い味が広がったのを感じている。どうして…こうやって3人で過ごしていれば、きっと打ち解けていけるのに。一緒に住む3人で、仲良くしなくちゃいけないのに。
「言っとくけど、お前のためじゃないからな!いつもジョナサンが豆を押し付けられてかわいそうだからだよっ」
「俺はジョナサンの皿に豆を入れた覚えはないぞ。押し付けているのはお前だ」
「ぐっ…!ジョナサンは!お前と違って優しいから助けようと思うけど!お前のためになんかなんもしないからな!」
「そんなことはどうでもいい。結果豆を排除できたので褒めてやろうと言ってるんだ」
「いや、なんでそんな上からなの?常に」
「ぷっ」
思わず吹き出してしまった僕に2人の視線が突き刺さる。なんて単純なんだろうと思うけど、アレックスが僕のために大人と交渉してくれたんだと思ったら不思議なくらいに気分が晴れた。
僕が優しいんだとしたら、それは全部…アレックス、君のおかげだ。
「おいジョナサン。何笑ってる」
すぐさまディオが睨みを聞かせてきたので口を押さえるももう遅い。
結局笑いもおさまらないし僕は頭を掻いてごまかした。
「や、ごめんごめん。2人ともなんか必死だから…」
「必死だと?」
「必死じゃない!」
「「合わせてやってる」」
「あははははっ」
笑っていたら、なんだか上手くいくような気がしてきた。
アレックスがいてくれたら、きっとディオとも……。
廊下を通る使用人が不思議そうに僕らを見ているのに気が付いて、慌てて退散した。