Crush on the darkness
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前日の夜なかなか寝付けなかったもので、ジョナサンは朝起きることが出来なかった。
小鳥たちが窓辺でちゅんちゅんと鳴いているのにも気付かず寝こけている。
「…おい、ジョナサン」
そっと肩を叩かれるもほとんど夢の中だ。
「ジョナサン。ジョナサン起きて」
肩を揺らされてやっと意識が現実に戻ってきた。目を開ける前にその聞きなれない声が誰のものなのか気付き、飛び起きた。
「うわぁ、アレックス!」
「おはよ」
「何故ここに!」
「ジョナサンがなかなか来てくれないから、こっちから来たんだよ」
「そ、そんな!今何時?!」
「9時」
「うわああああ!」
ジョナサンはベッドの上で頭を抱えた。
こんなに寝過ごしてしまって父さんにどやされるぞ!
それより何より、朝からアレックスを部屋に迎えに行って色々と計画を立てていたのが台無しになってしまった。ショックだしカッコ悪い。
「うぅぅ……ごめん。君を迎えに行くのに、昨日あんな勢いよく返事をしたのに」
「いいよ。実は俺もさっき起きた。ジョースターさんに挨拶しに行こう!」
アレックスはすっかり身支度を整えていたのでさっき起きたというのは嘘だろう。ラフな燕尾服姿がとても似合っている。
食卓で父さんに会ったときも「ジョナサンと部屋で話し込んでいた」と言ってくれて遅いのを怒られずに済んだ。優しい子なんだなぁ。
そしてそして、アレックスに家を案内してやりなさいと言われて、今日の勉強は休みになった!
「ほんっとうに広いな!」
屋敷の中と敷地内の庭を少し案内してロビーに帰ってきた。アレックスは少し疲れて息を乱しているけど、楽しそうに顔を上げた。
「こんなに広かったら、雨でも遊び放題だ」
「そうだよ!それで……昨日からずっと、君と何をしようか考えていたんだけど…」
遊びに誘うなんて照れてしまって、ジョナサンは鼻の頭を掻いて誤魔化した。
「その、…かくれんぼ、とか……屋敷の作りが覚えられるかなと思って…」
「かくれんぼ!いいなそれ!」
嬉しそうに破顔したアレックスは子供らしくて可愛かった。
それで、さっそく2人でかくれんぼを始めることにした。最初の鬼はジョナサンだ。
「このフロアだけだよ!中庭から手前までだから!」
「わかってるって!1分な!」
走り去っていくアレックスを見送りながらくるりと背を向けて数え始める。早く追いかけたくて1分がとても長かった。
「59……60っ!」
さて探すぞ。ジョナサンにはすぐにアレックスを見つける自信があった。何せ生まれた時からこの屋敷で育った自分と昨日来たばかりの彼とでは知識と経験が違いすぎる。
走りながらすれ違うメイドさんに「ぼっちゃまがんばって」とくすくす笑われた。
それから15分、ジョナサンはアレックスを探し続けた。
「い……いないっ!!」
不思議なことにこれまでジョナサンが隠れた場所のどこにも彼の姿は見つからなかった。思いつく限りのところを探し尽くして、ジョナサンは段々不安に襲われた。
(もしかして……決めてたのよりもっと遠くに行ってしまったのかも……もっ、もしや迷子になっているんじゃあ……!?)
そしてとても心細い思いをしているかもしれない。自分がかくれんぼなんかに誘ったせいで…。後悔と罪悪感が大きくなってきて、じわりとジョナサンの目に涙が溜まってきた。
廊下に1人しゃがみこんで目をこする。
「う、うぅぅ……」
「ばぁっ!!」
「おわぁーーーッッ!!?」
後ろから突然大きな声におどかされてジョナサンは飛び上がった。振り返るとアレックスが楽しそうに笑ってこっちを見ている。まるで夢か幻のようだった。
「全然来ないからこっちから来ちゃった。かくれんぼ、得意なんだ」
「アレックス……よ、よかったぁぁぁ」
「?」
ふふんと自慢げにしていたアレックスは、ジョナサンがその場に座り込んで顔をこすっていたのでやっと異変に気付いた。横にしゃがみ込んで幼いその顔を覗き込む。
「なんだよー泣いてんのか?」
「君がいなくなっちゃったかと思って……迷子になったんじゃあなくて良かった…ほんとに良かった…」
本気で胸を撫で下ろしているジョナサンを見て面食らった。あくまで遊んでいるつもりで、ちょっとおどかしてみようと思っただけだったのだ。
よほど安心したのかジョナサンはぽろぽろ涙をこぼしている。
「迷子になんかならないよ」
「うん」
「ありがとな。そんなに心配してくれて」
よしよしとアレックスの手がジョナサンの髪を撫でつけた。それはとても優しい感触で、ジョナサンの心にじんわりと温かいものが灯った。
「もー泣くなよ。せっかく遊んでるんだから」
「うん…ごめん」
「俺の方こそごめん!」
涙を拭いて鼻をすするジョナサンの手をアレックスが握りしめた。そのまま一緒にぷらぷら揺らして笑っている。
「優しいんだな、ジョナサンは」
僕なんかより君の方が優しいよ。
そう思ったけど、間近にある綺麗な顔を眺めていたらそれは言葉にならなかった。
「俺、ここに来て良かったよ。ジョナサンに会えたから」
「アレックス……」
「さぁ立って。かくれんぼは心配になっちゃうからもうやめよう。他に何かある?」
「あるよ!たくさん!こっちに来て」
手を繋いだまま2人で走った。
ジョナサンは時間の許す限りアレックスに自分のおもちゃやゲームを紹介した。
彼が喜んで笑ってくれるなら、なんでもしてあげたい。心の底からそう思った。
小鳥たちが窓辺でちゅんちゅんと鳴いているのにも気付かず寝こけている。
「…おい、ジョナサン」
そっと肩を叩かれるもほとんど夢の中だ。
「ジョナサン。ジョナサン起きて」
肩を揺らされてやっと意識が現実に戻ってきた。目を開ける前にその聞きなれない声が誰のものなのか気付き、飛び起きた。
「うわぁ、アレックス!」
「おはよ」
「何故ここに!」
「ジョナサンがなかなか来てくれないから、こっちから来たんだよ」
「そ、そんな!今何時?!」
「9時」
「うわああああ!」
ジョナサンはベッドの上で頭を抱えた。
こんなに寝過ごしてしまって父さんにどやされるぞ!
それより何より、朝からアレックスを部屋に迎えに行って色々と計画を立てていたのが台無しになってしまった。ショックだしカッコ悪い。
「うぅぅ……ごめん。君を迎えに行くのに、昨日あんな勢いよく返事をしたのに」
「いいよ。実は俺もさっき起きた。ジョースターさんに挨拶しに行こう!」
アレックスはすっかり身支度を整えていたのでさっき起きたというのは嘘だろう。ラフな燕尾服姿がとても似合っている。
食卓で父さんに会ったときも「ジョナサンと部屋で話し込んでいた」と言ってくれて遅いのを怒られずに済んだ。優しい子なんだなぁ。
そしてそして、アレックスに家を案内してやりなさいと言われて、今日の勉強は休みになった!
「ほんっとうに広いな!」
屋敷の中と敷地内の庭を少し案内してロビーに帰ってきた。アレックスは少し疲れて息を乱しているけど、楽しそうに顔を上げた。
「こんなに広かったら、雨でも遊び放題だ」
「そうだよ!それで……昨日からずっと、君と何をしようか考えていたんだけど…」
遊びに誘うなんて照れてしまって、ジョナサンは鼻の頭を掻いて誤魔化した。
「その、…かくれんぼ、とか……屋敷の作りが覚えられるかなと思って…」
「かくれんぼ!いいなそれ!」
嬉しそうに破顔したアレックスは子供らしくて可愛かった。
それで、さっそく2人でかくれんぼを始めることにした。最初の鬼はジョナサンだ。
「このフロアだけだよ!中庭から手前までだから!」
「わかってるって!1分な!」
走り去っていくアレックスを見送りながらくるりと背を向けて数え始める。早く追いかけたくて1分がとても長かった。
「59……60っ!」
さて探すぞ。ジョナサンにはすぐにアレックスを見つける自信があった。何せ生まれた時からこの屋敷で育った自分と昨日来たばかりの彼とでは知識と経験が違いすぎる。
走りながらすれ違うメイドさんに「ぼっちゃまがんばって」とくすくす笑われた。
それから15分、ジョナサンはアレックスを探し続けた。
「い……いないっ!!」
不思議なことにこれまでジョナサンが隠れた場所のどこにも彼の姿は見つからなかった。思いつく限りのところを探し尽くして、ジョナサンは段々不安に襲われた。
(もしかして……決めてたのよりもっと遠くに行ってしまったのかも……もっ、もしや迷子になっているんじゃあ……!?)
そしてとても心細い思いをしているかもしれない。自分がかくれんぼなんかに誘ったせいで…。後悔と罪悪感が大きくなってきて、じわりとジョナサンの目に涙が溜まってきた。
廊下に1人しゃがみこんで目をこする。
「う、うぅぅ……」
「ばぁっ!!」
「おわぁーーーッッ!!?」
後ろから突然大きな声におどかされてジョナサンは飛び上がった。振り返るとアレックスが楽しそうに笑ってこっちを見ている。まるで夢か幻のようだった。
「全然来ないからこっちから来ちゃった。かくれんぼ、得意なんだ」
「アレックス……よ、よかったぁぁぁ」
「?」
ふふんと自慢げにしていたアレックスは、ジョナサンがその場に座り込んで顔をこすっていたのでやっと異変に気付いた。横にしゃがみ込んで幼いその顔を覗き込む。
「なんだよー泣いてんのか?」
「君がいなくなっちゃったかと思って……迷子になったんじゃあなくて良かった…ほんとに良かった…」
本気で胸を撫で下ろしているジョナサンを見て面食らった。あくまで遊んでいるつもりで、ちょっとおどかしてみようと思っただけだったのだ。
よほど安心したのかジョナサンはぽろぽろ涙をこぼしている。
「迷子になんかならないよ」
「うん」
「ありがとな。そんなに心配してくれて」
よしよしとアレックスの手がジョナサンの髪を撫でつけた。それはとても優しい感触で、ジョナサンの心にじんわりと温かいものが灯った。
「もー泣くなよ。せっかく遊んでるんだから」
「うん…ごめん」
「俺の方こそごめん!」
涙を拭いて鼻をすするジョナサンの手をアレックスが握りしめた。そのまま一緒にぷらぷら揺らして笑っている。
「優しいんだな、ジョナサンは」
僕なんかより君の方が優しいよ。
そう思ったけど、間近にある綺麗な顔を眺めていたらそれは言葉にならなかった。
「俺、ここに来て良かったよ。ジョナサンに会えたから」
「アレックス……」
「さぁ立って。かくれんぼは心配になっちゃうからもうやめよう。他に何かある?」
「あるよ!たくさん!こっちに来て」
手を繋いだまま2人で走った。
ジョナサンは時間の許す限りアレックスに自分のおもちゃやゲームを紹介した。
彼が喜んで笑ってくれるなら、なんでもしてあげたい。心の底からそう思った。