Crush on the darkness
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「ほんっと馬鹿だなー」
呆れた半笑いでアレックスが手を伸ばす。
ジョナサンとディオが殴り合いの喧嘩をしたらしい。
消毒の綿でディオの顔に触れたら、傷に染みたのかディオは息を詰めて露骨に顔を逸らした。
「エリナに手を出したお前が悪いよ」
先にジョナサンの部屋にお見舞いに行ったら、怒りと悔しさで涙を浮かべながら事の顛末を教えてくれたのだ。
ディオが殴られるのは当然だ。
ジョナサンを慰めてからディオの様子も見に行こうとしたら、彼の手当てを途中で断られたらしいメイドが困っていたので、救急セットを受け取り今に至っている。
「もうエリナに近付くなよ。家族じゃなかったら絶交してる」
「お前は俺の家族じゃあない」
「まぁそうだけど。…こっち向いてくれる?」
ベッドに座るディオはすごく嫌そうに顔を向けてくれた。
今度こそ頬の傷を消毒をしてガーゼを貼り付ける。よしよしと上から頬を少し撫でたら、ディオは思い切り眉間に皺を寄せながらも不思議そうにアレックスを見つめている。
「…人のものを盗るのは良くないだろ」
「別にあの女が欲しかったわけじゃあないさ」
アレックスは興味があるのかないのか「ふぅん」と空返事をするだけで、脱脂綿やピンセットを救急箱に片付けるのに集中している。
向かい合って座っていると、すぐにでも触れられる距離にいる。いとも簡単にディオを咎める赤い唇を黙らすことは出来ずにいる。
どんな温度でどんな感触がするんだろう。あの女とは何か違うのだろうか。
「…お前は身内に甘いな。特にジョナサンの奴には」
「ジョナサン良い奴だからな」
「このディオが悪いと言ったな。それならジョナサンにも殴られる理由がある。あそこまで激昂するほどエリナを愛していながら奴はお前にキスをした。純朴そうなふりをしているが一途とは言いがたい身勝手な男だ」
「……。」
「偉そうに誇りだなんだのと俺を殴る権利など奴にはない」
早口に言い捨ててディオはアレックスから顔を逸らした。
静かになってしまったので流し目で様子を見たら、アレックスはきょとんと瞳を大きくしてこちらを見ていたが、やがて少しだけ嬉しそうに目を細めて微笑んだ。その瞬間他の景色などディオの目には映らなくなる。
本当は分かっている。ジョナサンがどれだけエリナという娘に夢中であろうとも、そういったものを凌駕して惹かれてしまう存在なのだ。このアレックスという少年は。
「…ジョナサンが俺にキスしたのを、怒っていてくれたのか」
「……??」
咄嗟にディオにはアレックスが何を言ったのか分からなかった。それでも反射的に「そうだ」と答えるのは癪が過ぎたため、「どうだって良い。貴様らなんか変態同士お似合いだ」と憎まれ口を叩く。
アレックスは相変わらずにこにことしているので、腹が立って小突いてやった。
仕返しに傷の所を叩いてくるので部屋を追い出す。
アレックスの足音が遠ざかるほどに、ディオの脳裏に先ほどの笑みが強く蘇った。
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