Crush on the darkness
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「なんかジョナサンいないんだけど」
「ああ、いないぞ奴なら明日の朝まで。ふふふふふ」
もうすぐ夜ごはんだぞーとジョナサンを呼びに行ったはずのアレックスは1人すごすごと広間に戻ってきた。
待ち構えていたかのごとく壁にもたれて不敵な笑みを浮かべているディオしかいない。
そう、アレックスを待ち構えていたのだ、このディオは。
「明日の朝まで?ハロウィンになっちゃうぞ」
毎年ハロウィンの前夜から当日はずっとジョナサンといることにしているアレックスに不安が付きまとった。
次の言葉が出てくるのは必然であり、ディオの思い通り。
「なんでいないんだ」
「おぼっちゃまはディナーの前にキッチンにあった高級菓子店の焼き菓子を食べてしまったのです…ジョースター卿のお客様の…それで罰として離れで勉学漬けとなってしまわれて」
「えぇーー……」
自分が教えてやりたかったのに出番を執事に奪われた。眉間にしわを寄せたディオであったがすぐに気を取り直す。
見るからに眉を下げて落ち込んでいるアレックスと明日の朝まで一緒にいるのだ。いつもの邪魔なジョナサンなしで。きっと途中からアレックスは元気を取り戻すだろう。なんせこのディオと2人きりだ。朝になって楽しく過ごしてるのを見せつけてジョナサンの心を折ってやったらすごく気分が良いだろう。
「困ったなー…ジョナサンがいないと困るんだよ、俺」
「ここしばらくハロウィンの準備がどうとか、ずっと話していたものなぁ。子供の行事になど興味はないが、この俺がジョナサンの代わりに手伝ってやろうじゃあないか」
「ディオじゃ代わりにならないよ」
「ぬっ」
なんだかんだ言いつつ、いつもどっちつかずの態度であるアレックスがここまで素で拒否してくるのは珍しい。
予定外にショックを受け、結局「ジョナサンめ!」と心の中で悪態をつくディオだった。
咄嗟に壁から離れてアレックスの目の前まで身を乗り出す。
「何故代わりにならないなどと思う?明日の買い出しか?菓子の仕分けか?屋敷の飾り付けでもするのか?…はっきり言おう。ジョナサンの奴より俺の方がよほどセンスがあるね」
「……そうかもしれないけど、そんなんじゃないよ…」
「おい、アレックス……」
ディオの横をすり抜けて、アレックスはしょんぼりしたまま広間を去ってしまった。しかし憂いを帯びた横顔もなんと美しいことか。それに見入っていたのでディオは引き止めるタイミングを失ったのだ。
「…なんだというんだ…くそっ!」
床を蹴ったら少し遠くで見ていた執事がくすりと笑ったのが聞こえたので、ディオは咳払いをしてから襟を整え、さっさと広間を後にした。