Love the darkness -5-
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その日もブチャラティと偶然会ってカフェでおしゃべりしてから帰ってきた。(もちろん彼はここまで送り届けてくれた。)
滞在している高級ホテルのフロントに戻ると、スタッフに声をかけられる。
「ちょうどよかった。リカ・ウィンチェスター様。空条様よりお電話でございます」
「げっ」
「『げ』?」
「いえ…なんでも…ありません…。ありがとうございます……!」
見られているわけでもないのに大急ぎで電話を受け取る。
『今までどこに行っていた?』
これだよ。
開口一番に追求されてリカは急に疲労を感じた。出会って10年以上経つのにこの男は何も変わらない。変わらないどころか拍車をかけて身も心もがんじがらめにしようとしてくるのでもはや恐怖だった。
「学校が終わってから、友達とお茶してただけよ」
『友達?…名前は?』
「えーっと、エイヴリー」
『エイヴリー?…そりゃ男か?』
「どっちでも良くない?」
『良くないな。俺は男と遊ばせるためにお前をイタリアに行かせたわけじゃないからな』
「ちゃんと勉強してるって!」
『あやしいもんだぜ。語学留学もどこまで本当だかな。俺の予想じゃあ、露伴くんにイタリア語を話せるようにしてもらってから羽目を外しに行っただけってとこかな…』
リカは悔しげに押し黙った。
ネチネチ度合いの強いこの男は空条承太郎。
およそ12年前、エジプトでディオとの戦いを共に乗り越えた仲間である。
それからずっと、粘着質強めに愛されているのだ。そりゃあリカだって承太郎のことは愛しているけれど、こと女性関係においてジョースター家はいまいち信用できない。
(ジョセフは浮気していたし、承太郎は杜王町で再会したとき離婚調停中にも関わらず平気で口説いてきた。信じられない。小さな子供もいるのに。)
ほんと、杜王町で再会したのが運の尽きだった。
『スピードワゴン財団に監視させているからな。そのあたり良く考えてから行動するんだな』
「監視してればいいでしょ。悪いことしてないし」
『何をそんなに意地になってるのかは知らないが…海外に行きたいなら仕事についてくればいいだろう』
「ずぅっとそう言ってるけど、離婚した博士がぴちぴちの女子を連れ回してたらなんか噂されるよ。あらやだ若い子が好きなのね。愛人かしらって」
『それが何か問題か?関係ない奴らには言わせておけばいい』
「そんな関係ない人たちをまた戦いに巻き込むかもしれないよ」
『…リカ、エジプトの旅は終わったんだ。ディオはもういない。お前はいつも考えすぎている。だから眠れなくなったり妙な夢を見て取り乱したりするんだ。安眠したかったら早く戻ってきたほうがいいな』
リカは無意識に受話器を強く握りしめていた。承太郎は無責任だと思ったから。きっと自分ばっかり愛が深いと思ってる。
絞り出すように本音を漏らした。
「だって……杜王町で会ったときもそう言って…結局戦わなきゃいけなくなったじゃない…。承太郎だって、何度も死にそうになったでしょ?…怖いの。私はもう、承太郎に痛い思いしてほしくない。元気でいてほしい、から……。一緒にいるのが怖い…」
少しばかり沈黙が降りてから承太郎が息をついた。どうやら笑っているらしい。
『いいや、逆だね。エジプトでも、杜王町でも……一緒にいたから死なずに済んだ』
「…そうだといいけど…」
『俺のために泣くのはいいがそばにいないんじゃあな…。とにかく、助けが必要なときはいつでも連絡しろ』
「わかった」
『とはいえ、今日電話したのはこっちが助けてほしいからなんだが』
「え……何?」
意外な申し出に驚いていると、承太郎は康一くんの名前を出した。彼が1週間後イタリアにやってくるそうで。承太郎の話にリカは驚いた。
「…ディオって息子いたんだ……」
『胸焼けしそうな話だがな。詳しいことは康一くんから聞いてくれ。顔写真も渡してある』
「しおばなはるのくんね…。康一くんと、彼が危険人物じゃないかしばらく観察すればいいのね。オッケー、わかった」
『あくまで隠密にな。危険なことはするなよ』
「わかってるって」
あのディオがどうして食糧である女の人を生かして子供までもうけたのか、承太郎は全然理解できないみたいだった。
「でも、……ディオも元々は人間だったんでしょ?そういうこともあったのかもしれない。だって…あの日最後に妹と消えたときは少し…安心したように見えたもの。私には」
『………そうか』
死んじゃった今となっては分からないけど、私の妹とディオの間には確かに…絆があったように思える。
『…寂しくなったか?』
「帰らないからね」
ほんっとしつこい。むっと口をつぐんだ承太郎の顔が目に浮かんだ。
『ジョースターの身を受け継いでいるとしても、あのディオの息子だ。真面目にやれよ。康一と久々に会うからって羽目を外すな。例えば、ねずみがわんさかいる夢の国に2人で遊びに行ったりとか……』
「行かないよ。承太郎、今度連れて行って。承太郎と一緒に行きたい」
『……あの耳をつけるのだけはごめんだぜ』
普通に困ってた。おもしろいの。
結局お互い笑いながら電話を切った。あーあ。どうしよう。やっぱり声を聞いたら1番安心するから、そばにいたくなっちゃうな。
滞在している高級ホテルのフロントに戻ると、スタッフに声をかけられる。
「ちょうどよかった。リカ・ウィンチェスター様。空条様よりお電話でございます」
「げっ」
「『げ』?」
「いえ…なんでも…ありません…。ありがとうございます……!」
見られているわけでもないのに大急ぎで電話を受け取る。
『今までどこに行っていた?』
これだよ。
開口一番に追求されてリカは急に疲労を感じた。出会って10年以上経つのにこの男は何も変わらない。変わらないどころか拍車をかけて身も心もがんじがらめにしようとしてくるのでもはや恐怖だった。
「学校が終わってから、友達とお茶してただけよ」
『友達?…名前は?』
「えーっと、エイヴリー」
『エイヴリー?…そりゃ男か?』
「どっちでも良くない?」
『良くないな。俺は男と遊ばせるためにお前をイタリアに行かせたわけじゃないからな』
「ちゃんと勉強してるって!」
『あやしいもんだぜ。語学留学もどこまで本当だかな。俺の予想じゃあ、露伴くんにイタリア語を話せるようにしてもらってから羽目を外しに行っただけってとこかな…』
リカは悔しげに押し黙った。
ネチネチ度合いの強いこの男は空条承太郎。
およそ12年前、エジプトでディオとの戦いを共に乗り越えた仲間である。
それからずっと、粘着質強めに愛されているのだ。そりゃあリカだって承太郎のことは愛しているけれど、こと女性関係においてジョースター家はいまいち信用できない。
(ジョセフは浮気していたし、承太郎は杜王町で再会したとき離婚調停中にも関わらず平気で口説いてきた。信じられない。小さな子供もいるのに。)
ほんと、杜王町で再会したのが運の尽きだった。
『スピードワゴン財団に監視させているからな。そのあたり良く考えてから行動するんだな』
「監視してればいいでしょ。悪いことしてないし」
『何をそんなに意地になってるのかは知らないが…海外に行きたいなら仕事についてくればいいだろう』
「ずぅっとそう言ってるけど、離婚した博士がぴちぴちの女子を連れ回してたらなんか噂されるよ。あらやだ若い子が好きなのね。愛人かしらって」
『それが何か問題か?関係ない奴らには言わせておけばいい』
「そんな関係ない人たちをまた戦いに巻き込むかもしれないよ」
『…リカ、エジプトの旅は終わったんだ。ディオはもういない。お前はいつも考えすぎている。だから眠れなくなったり妙な夢を見て取り乱したりするんだ。安眠したかったら早く戻ってきたほうがいいな』
リカは無意識に受話器を強く握りしめていた。承太郎は無責任だと思ったから。きっと自分ばっかり愛が深いと思ってる。
絞り出すように本音を漏らした。
「だって……杜王町で会ったときもそう言って…結局戦わなきゃいけなくなったじゃない…。承太郎だって、何度も死にそうになったでしょ?…怖いの。私はもう、承太郎に痛い思いしてほしくない。元気でいてほしい、から……。一緒にいるのが怖い…」
少しばかり沈黙が降りてから承太郎が息をついた。どうやら笑っているらしい。
『いいや、逆だね。エジプトでも、杜王町でも……一緒にいたから死なずに済んだ』
「…そうだといいけど…」
『俺のために泣くのはいいがそばにいないんじゃあな…。とにかく、助けが必要なときはいつでも連絡しろ』
「わかった」
『とはいえ、今日電話したのはこっちが助けてほしいからなんだが』
「え……何?」
意外な申し出に驚いていると、承太郎は康一くんの名前を出した。彼が1週間後イタリアにやってくるそうで。承太郎の話にリカは驚いた。
「…ディオって息子いたんだ……」
『胸焼けしそうな話だがな。詳しいことは康一くんから聞いてくれ。顔写真も渡してある』
「しおばなはるのくんね…。康一くんと、彼が危険人物じゃないかしばらく観察すればいいのね。オッケー、わかった」
『あくまで隠密にな。危険なことはするなよ』
「わかってるって」
あのディオがどうして食糧である女の人を生かして子供までもうけたのか、承太郎は全然理解できないみたいだった。
「でも、……ディオも元々は人間だったんでしょ?そういうこともあったのかもしれない。だって…あの日最後に妹と消えたときは少し…安心したように見えたもの。私には」
『………そうか』
死んじゃった今となっては分からないけど、私の妹とディオの間には確かに…絆があったように思える。
『…寂しくなったか?』
「帰らないからね」
ほんっとしつこい。むっと口をつぐんだ承太郎の顔が目に浮かんだ。
『ジョースターの身を受け継いでいるとしても、あのディオの息子だ。真面目にやれよ。康一と久々に会うからって羽目を外すな。例えば、ねずみがわんさかいる夢の国に2人で遊びに行ったりとか……』
「行かないよ。承太郎、今度連れて行って。承太郎と一緒に行きたい」
『……あの耳をつけるのだけはごめんだぜ』
普通に困ってた。おもしろいの。
結局お互い笑いながら電話を切った。あーあ。どうしよう。やっぱり声を聞いたら1番安心するから、そばにいたくなっちゃうな。