Love the darkness -5-
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さっき彼女と別れてから3分と経っていないのだが、ブチャラティは腕の時計の確認作業をやめられなかった。
ここが自分の上司、パッショーネ幹部のポルポのいる刑務所前だからである。
結局リカを連れてきてしまった。
君の行動がパッショーネの利益になっている。一度礼がしたいそうだ。
そう言いくるめて…。リカは二つ返事で承諾してくれた。罪悪感がつのる。
(どっちだ…?!一体、ポルポは……!)
ブチャラティにはポルポがリカに組織への入団試験を受けさせようとしている嫌な予感があった。代理の者ではなく直接、素性の知らない日本からの留学生なんかに会うなんて。
きっと街を守るリカの暗躍を聞いて、便利な駒として組織に引き込もうとしているんだ。
(看守には話を通してある……もし、リカが火のついたライターを持って出てきたら……)
自分が全ての責任を取る!
ブチャラティはリカに対してずいぶんと前からそう決意していた。
少なからず組織に片足を突っ込ませてしまったのは自分なのだから。子供への麻薬の売買を…見て見ぬふりをしていた自分の……。
ブチャラティは心を明るくしてくれる彼女の笑顔を思い出していた。
(ライターは…俺のスティッキーフィンガーズでジッパーの中に保護し……守りきる!必ず……火は消さずに…!)
姿勢を正して刑務所の出口に目を凝らした。
本当は心配すぎて中で待ちたかったのだが、看守に『早く出ていきなさい』と追い出されてしまったのだ。
時計の秒針の動きがやたらと遅く感じる。
「!来たか……」
永遠のような30分が過ぎて、刑務所の分厚い扉が再び動き出した。
ゆっくりと軋みながら開いていくそこに飛び込みたい気持ちだったがぐっとこらえる。
扉から出てきてすぐ横にブチャラティがいることに驚いたのか、リカは小さく肩をびくつかせた。ひとまず彼女が無事に出てきたことにほっとする。
「えっ!ま、待っててくれたの?ブチャラティ」
「そりゃあ待つさ。…ポルポに何か渡されたか?」
労う余裕もなく聞いたら、リカは嬉しそうに握り込んでいた手を開いてみせた。
「見て見て〜!パッショーネのバッジもらっちゃったー」
「?!な、なんだって!まさか!」
思わずがっしと細い腕を掴んで確認する。
確かにそこにはブチャラティも持っている、パッショーネのメンバーの証である小さなバッジが。
「どうしてお前がこれを…一体何があったんだ…!?」
動揺するブチャラティをよそに、リカは思い起こすようにゆるゆると頭をもたげている。
「しばらく話してたらなんか盛り上がっちゃって…、この国にいる間は臨時で組織に入ってなさいって言われたの。試験のライターをもらったんだけど、受け取るときに倒れて火が消えちゃったのね。でも出てきたあいつ、私のスタンドとは相性残念だったから速攻倒してやったのよ。ポルポさんすごい喜んでた」
情報量が多すぎて頭が処理しきれない。いや、理解するのを拒否している。
しかしブチャラティはどこかで納得していた。リカと過ごしてこれまで数度、まさか彼女もそうなのではないかと疑ったことがあったからだ。
「…君も……スタンド使い…だったんだな…」
「そうじゃなかったからギャングとなんか喧嘩しないでしょ…普通に……」
言われてみれば確かに。
リカの体でキレたイカつい男たちに勝てるとは到底思えない。ようやくリカの不思議な存在に合点がいった。
それにしても…彼女のスタンド。どんな姿でどんな能力なのだろうか。聞いても教えてはくれないだろうが…。
「ブチャラティのチームに入れって言われた。あとでブチャラティにも連絡するって」
「そうか…よかった。パッショーネではチームで行動することになっているからな」
「これで前よりは堂々と一緒にいれるね」
「!……」
柔らかなリカの笑顔はとても可愛らしい。
色々と聞かなければならないことはあるが、彼女とさらに打ち解けた感覚がしてブチャラティはひとまずその身が無事であることを喜んだ。
そうだ。これからは…。
一緒に仕事が出来る。そばにいて堂々と彼女を守ることができるのだ…同じ組織の仲間として。
ブチャラティは横に立つリカの肩に手を置いて一緒に歩き出した。
「日本からの留学生が組織に入るなんて前代未聞だぞ。一体ポルポと何を話したんだ?」
「何って…えーっとね、……まぁ、私の今までのスタンド人生とか…?い、色々よ!」
「なるほど…。それは是非俺にも聞かせてほしいな」
「えっ!?だ、だめ!だめよ…ブチャラティには」
「?何故?」
急に年相応にきょとんとするブチャラティにリカは焦った。ポルポとの会話を知られるわけにはいかない。
(矢が他にもあるかもしれないし…スタンド使いがそんなにいるなら調べなきゃだし…DIOの残党がいるかもしれないし……)
最初は麻薬を広めている頭さえ叩けばいいと思っていた。けれどこの国であの矢を見た今、どうしても組織に入っていた方が都合が良かったのだ。リカは必死だった。
(なんであんなこと言っちゃったんだろ…)
ポルポに組織への憧れを語るも鼻で笑われ、パッショーネ日本支部を作るという夢も一蹴され、追い詰められていた。
『実はブチャラティと結婚するつもりなので、私はずっとこの国にいます!』
追い詰められて放った一言がだいぶウケた。ポルポは涙が出るぐらいひとしきり笑ってから、リカが入団試験を受けることを承諾したのだった。
(矢のこと、財団に連絡しとかなきゃ…でも承太郎にバレたら強制送還されそう……どうしようかなぁ……)
「リカ…おい、リカ!聞いてるのか?」
「わわわはいっ!!」
訝しげにブチャラティがリカの顔を覗き込んでいた。結婚とか言った手前余計に恥ずかしい。ブチャラティはむすっとため息をついていたが、顔を赤くしているリカを見ると小さく笑った。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休むといい。明日からパッショーネについて説明をしてやるから…それと、他のチームメンバーにもお前のことを紹介しなくちゃあな」
「他のチームメンバー…そっか!楽しみ!」
「少しカフェで休もう。それからホテルまで送るよ」
「………この旦那は最高すぎる」
「は?」
小声で呟いたらまた顔を近づけてきたので、リカはブチャラティを避けて先に歩き始めた。
スピードワゴン財団に組織の話をするのは、もう少し先にしようと思った。
ここが自分の上司、パッショーネ幹部のポルポのいる刑務所前だからである。
結局リカを連れてきてしまった。
君の行動がパッショーネの利益になっている。一度礼がしたいそうだ。
そう言いくるめて…。リカは二つ返事で承諾してくれた。罪悪感がつのる。
(どっちだ…?!一体、ポルポは……!)
ブチャラティにはポルポがリカに組織への入団試験を受けさせようとしている嫌な予感があった。代理の者ではなく直接、素性の知らない日本からの留学生なんかに会うなんて。
きっと街を守るリカの暗躍を聞いて、便利な駒として組織に引き込もうとしているんだ。
(看守には話を通してある……もし、リカが火のついたライターを持って出てきたら……)
自分が全ての責任を取る!
ブチャラティはリカに対してずいぶんと前からそう決意していた。
少なからず組織に片足を突っ込ませてしまったのは自分なのだから。子供への麻薬の売買を…見て見ぬふりをしていた自分の……。
ブチャラティは心を明るくしてくれる彼女の笑顔を思い出していた。
(ライターは…俺のスティッキーフィンガーズでジッパーの中に保護し……守りきる!必ず……火は消さずに…!)
姿勢を正して刑務所の出口に目を凝らした。
本当は心配すぎて中で待ちたかったのだが、看守に『早く出ていきなさい』と追い出されてしまったのだ。
時計の秒針の動きがやたらと遅く感じる。
「!来たか……」
永遠のような30分が過ぎて、刑務所の分厚い扉が再び動き出した。
ゆっくりと軋みながら開いていくそこに飛び込みたい気持ちだったがぐっとこらえる。
扉から出てきてすぐ横にブチャラティがいることに驚いたのか、リカは小さく肩をびくつかせた。ひとまず彼女が無事に出てきたことにほっとする。
「えっ!ま、待っててくれたの?ブチャラティ」
「そりゃあ待つさ。…ポルポに何か渡されたか?」
労う余裕もなく聞いたら、リカは嬉しそうに握り込んでいた手を開いてみせた。
「見て見て〜!パッショーネのバッジもらっちゃったー」
「?!な、なんだって!まさか!」
思わずがっしと細い腕を掴んで確認する。
確かにそこにはブチャラティも持っている、パッショーネのメンバーの証である小さなバッジが。
「どうしてお前がこれを…一体何があったんだ…!?」
動揺するブチャラティをよそに、リカは思い起こすようにゆるゆると頭をもたげている。
「しばらく話してたらなんか盛り上がっちゃって…、この国にいる間は臨時で組織に入ってなさいって言われたの。試験のライターをもらったんだけど、受け取るときに倒れて火が消えちゃったのね。でも出てきたあいつ、私のスタンドとは相性残念だったから速攻倒してやったのよ。ポルポさんすごい喜んでた」
情報量が多すぎて頭が処理しきれない。いや、理解するのを拒否している。
しかしブチャラティはどこかで納得していた。リカと過ごしてこれまで数度、まさか彼女もそうなのではないかと疑ったことがあったからだ。
「…君も……スタンド使い…だったんだな…」
「そうじゃなかったからギャングとなんか喧嘩しないでしょ…普通に……」
言われてみれば確かに。
リカの体でキレたイカつい男たちに勝てるとは到底思えない。ようやくリカの不思議な存在に合点がいった。
それにしても…彼女のスタンド。どんな姿でどんな能力なのだろうか。聞いても教えてはくれないだろうが…。
「ブチャラティのチームに入れって言われた。あとでブチャラティにも連絡するって」
「そうか…よかった。パッショーネではチームで行動することになっているからな」
「これで前よりは堂々と一緒にいれるね」
「!……」
柔らかなリカの笑顔はとても可愛らしい。
色々と聞かなければならないことはあるが、彼女とさらに打ち解けた感覚がしてブチャラティはひとまずその身が無事であることを喜んだ。
そうだ。これからは…。
一緒に仕事が出来る。そばにいて堂々と彼女を守ることができるのだ…同じ組織の仲間として。
ブチャラティは横に立つリカの肩に手を置いて一緒に歩き出した。
「日本からの留学生が組織に入るなんて前代未聞だぞ。一体ポルポと何を話したんだ?」
「何って…えーっとね、……まぁ、私の今までのスタンド人生とか…?い、色々よ!」
「なるほど…。それは是非俺にも聞かせてほしいな」
「えっ!?だ、だめ!だめよ…ブチャラティには」
「?何故?」
急に年相応にきょとんとするブチャラティにリカは焦った。ポルポとの会話を知られるわけにはいかない。
(矢が他にもあるかもしれないし…スタンド使いがそんなにいるなら調べなきゃだし…DIOの残党がいるかもしれないし……)
最初は麻薬を広めている頭さえ叩けばいいと思っていた。けれどこの国であの矢を見た今、どうしても組織に入っていた方が都合が良かったのだ。リカは必死だった。
(なんであんなこと言っちゃったんだろ…)
ポルポに組織への憧れを語るも鼻で笑われ、パッショーネ日本支部を作るという夢も一蹴され、追い詰められていた。
『実はブチャラティと結婚するつもりなので、私はずっとこの国にいます!』
追い詰められて放った一言がだいぶウケた。ポルポは涙が出るぐらいひとしきり笑ってから、リカが入団試験を受けることを承諾したのだった。
(矢のこと、財団に連絡しとかなきゃ…でも承太郎にバレたら強制送還されそう……どうしようかなぁ……)
「リカ…おい、リカ!聞いてるのか?」
「わわわはいっ!!」
訝しげにブチャラティがリカの顔を覗き込んでいた。結婚とか言った手前余計に恥ずかしい。ブチャラティはむすっとため息をついていたが、顔を赤くしているリカを見ると小さく笑った。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休むといい。明日からパッショーネについて説明をしてやるから…それと、他のチームメンバーにもお前のことを紹介しなくちゃあな」
「他のチームメンバー…そっか!楽しみ!」
「少しカフェで休もう。それからホテルまで送るよ」
「………この旦那は最高すぎる」
「は?」
小声で呟いたらまた顔を近づけてきたので、リカはブチャラティを避けて先に歩き始めた。
スピードワゴン財団に組織の話をするのは、もう少し先にしようと思った。