✴︎本編✴︎
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広場で彼らを見つけた時、リカは大いに焦った。何故ならジョルノは腕から血を流しているし、ブチャラティにいたっては片腕がなくなっていたからだ。そして落ちた腕が地面に転がっている。
反射的にいろんなことを考えた。
ジョルノが何か決意の眼差しと共にブチャラティに向かっていくのを見て、リカは咄嗟に自分の両腕を彼らに向かって突き出した。
「もぉぉーーちょっとぉ!!やめなさぁぁーーーいッッ!!!」
「「?!!」」
声をかけられた2人は同時に顔を向け、そこにリカがいることに驚いた。それから、リカの背後に駐車してあった2台の車の影がむくむくと起き上がり、生き物の形になって突進してきたので更に驚いた。
リカが影をトドに変えて2人を襲わせたのだ!
「な、なんだ?!」
「うぐぅっ!」
「えっ!?」
ジョルノよりもリカの近くにいたブチャラティが普通に体当たりをくらい、それに気を取られている間にジョルノも軽く吹っ飛ばされた。
地面に転がる2人を追いかけてきたリカはもう涙目だ。
「喧嘩しないでよっ!なんで…ブチャラティ!私は休んでねって言ったのに!!なんで私より先にジョルノを見つけちゃってるの!!ジョルノも全然いないから、私途中からおばあちゃんたちに『ブチャラティ見ませんでしたか?!』って聞きながら来たんだからね!」
そうしたらすぐ見つかった。おばあちゃん包囲網すごい。
「こんなことになるならもっと早く2人のこと会わせてたらよかったッ!ジョルノの夢の話を聞いたら、絶対ブチャラティとも仲良くなれるのに!」
リカの怒りはまだまだおさまらない。圧倒されてジョルノもブチャラティもお互い顔を見合わせるばかりだ。
「始末するとか返り討ちにするとか絶対許さないから!!友達の友達は友達でしょ?!!2人とも私の友達だったら仲良くしてよ!!仲良く……っ!なれるのにぃぃ〜〜〜…!!」
「っ、待てリカ!お前とんだ勘違いをしているぞ…ッ!!」
くらくらする頭を押さえつつブチャラティは立ち上がろうとした。ジョルノとの戦いはすでに終わっていて、今しがたリカの言うジョルノの夢の話を聞いて和解したばかりだったのだ。
確かにお互い見た目がグロいことになっているので仕方がないかもしれないが、このままではリカが泣いてしまう。そう思うと自分のダメージなんてどうでも良くなって、早く彼女を慰めなくてはと体に力が湧いてくる。
しかしブチャラティより先に動くことのできる者がいた。ジョルノ・ジョバーナその人だ。
鼻先がくっつきそうなぐらい寄り添い、両手でそっとリカの手を包み込むのを見たブチャラティは衝撃を受けた。
「泣かないで、リカ…。僕たち喧嘩なんてしていませんから…!そりゃあちょっとは揉めましたけど、今しがた分かり合ったところなんです」
「え?…ほ、本当…?」
ジッパーでぐらぐらしていた体も戻り、頭へのダメージもブチャラティよりはマシだったジョルノは早かった。
元々ブチャラティに絡まれたときに(あれ…?こいつリカと知り合いなんじゃあないのか…?2人で空港にいたことにすごいキレてるぞ…!)と勘付いていたのだが、先ほどそれを確信した。康一もそうだが、この機にリカに近付く輩の心をへし折っておきたいのだ。
「あなたが言うなら誰とだって仲良くしますよ。けど…僕はあなたのことを友達じゃなくそれ以上だって思っているんだけど……別に構いませんよね?」
「で、でも…怪我してるし…!ブチャラティの腕が…っ!腕が……!」
狼狽えるばかりのリカはジョルノの言葉が耳から抜けていっている。それを内心せせら笑いながらブチャラティは気軽に短い腕を上げて見せた。
「こりゃ俺のスタンド能力だ。痛くもないし元に戻るから安心しろ」
「スタンドかぁー!良かったー!良かったぁぁ!!」
「それでお前にも聞きたいんだが…このアシカは…」
「トドだよ」
ブモー!と真横で鳴かれてブチャラティの肩が揺れる。2匹はドスドスと車の下に走って帰り、水面に飛び込むように車の影に戻った。
リカは少し罰の悪そうに肩をすくませた。
「私のスタンド」
「そんな…まさかリカにも…僕と同じような能力が…」
「ダークネスっていうの。…ジョルノ、怪我見せて」
「え。…っ」
今度はリカの方からジョルノの手を取った。袖をまくられたので腕の傷口が痛む。
顔をしかめている間にリカはジョルノの傷口に手をかざしてダークネスを薄く貼り付けた。
透明感のある影のような膜が確かにジョルノの腕と一体化している。感覚のない絆創膏のような感じだ。
「痛みが無くなった…こんなことが」
「応急処置だよ。止血しかできないけど、治りは早くなるから…」
腕をひねって角度を変えて観察していたジョルノは、ふと間近のリカが俯いて目を伏せているのに気がついた。
リカはジョルノの手を握りしめたまま眉を下げてしょんぼりしている。やっぱりジョルノが傷ついている姿を見ると、承太郎や仗助の姿と重なって胸が痛んだ。良いスタンド使いばかりが周りに集まれば良いのに。
「ジョルノ……無茶しないでね…。ジョルノが痛い思いするの、嫌だから……」
つらそうに呟く姿は儚く、独りぼっちで震えている子猫のようで…今すぐ抱き上げて保護してあげなくてはとジョルノの庇護欲を掻き立てた。こんなにも愛しい存在がジョルノの夢と共にあり、しかも同じような力を持っているなんて…。ますます運命を感じてしまうのも当然だった。
く、と唇を噛み締めながら、ジョルノは沸き上がる情熱を抑え込んだ。
「……結婚……するしか…ない…ッ」
(何言ってんだこいつ)
ブチャラティは倒れている少年から自分の腕を元に戻し、少年の腕も元通りにくっつけていた最中であったが、『結婚』という単語は嫌にはっきり聞こえてきた。
しかしジョルノの傍にいたリカがあまりにもその言葉に無反応だったため聞き間違いかと思った。そうではなく幾重に渡る経験からスルースキルがすごいだけなのだが。
「リカ…念のために聞いておきたいんだが……いや、お前が俺に隠し事なんてしないことは分かってる。ただ、ジョルノが入団試験に受かり同じチームになったら……その、気を使うだろ?もしお前たちが…そういう仲だったなら」
「そういう?……さっき友達以上って言ってたから、親友とかかなぁ。ねぇジョルノ」
「え?…いや、ちょっと待ってくださいよ。親友?え?親友って……まさか僕の話全然聞いてないってことは……」
「………ふっ」
やはりジョルノはガキだ。そういうことに慣れているリカに良いように使われているだけなのだろう。
ブチャラティはやけにほっとした胸の内を誤魔化すために、そして新入りに現実を教えるために胸あたりのスティッキーフィンガーズのジッパーを開けた。
「喉乾いてないか?返すよ。ミルクティー」
「(ドラえもんみたい……)ありがとー。ブチャラティ飲んだ?どーせ全然休まないでジョルノを追いかけて来たんでしょ」
「お言葉に甘えて飲んださ。悪くはないな。甘すぎるけど」
「それがいいのに」
「あっ!ちょっと!!」
話しながら受け取ったペットボトルの蓋を開けてごくりとミルクティーを飲み込むリカ。ジョルノの入る余地はなかった。
これまで散々リカをナンパする輩を追い払ってきたジョルノだったが、全てを無に帰す2人の打ち解けたやりとりにショックを受けていた。
「傷に貼ってあるダークネス…半日ぐらいで消えちゃうから。様子見て行くなら病院行ってよね」
「え、ええ…」
「あとブチャラティ。ジョルノの入団試験の日が決まったら知らせてくれる?私これから友達のところに行かなくちゃだから」
「友達?友達ってお前……そりゃ男か?」
リカはジョルノとブチャラティがひとまず団結したのが分かってすっかり気を抜いていた。早く康一のところに行って一緒に遊びたい。
ついでに承太郎のことも思い出して、彼と同じようなセリフを放ったブチャラティに少し辟易した。女の子の保護者じゃないんだから。
「……どっちでも良くない?」
「良くはないです」
「良くはないかな」
息ぴったりの返事が返ってきたので、(もう仲良しじゃん)と思ったリカは2人を置いて帰路についたのだった。
反射的にいろんなことを考えた。
ジョルノが何か決意の眼差しと共にブチャラティに向かっていくのを見て、リカは咄嗟に自分の両腕を彼らに向かって突き出した。
「もぉぉーーちょっとぉ!!やめなさぁぁーーーいッッ!!!」
「「?!!」」
声をかけられた2人は同時に顔を向け、そこにリカがいることに驚いた。それから、リカの背後に駐車してあった2台の車の影がむくむくと起き上がり、生き物の形になって突進してきたので更に驚いた。
リカが影をトドに変えて2人を襲わせたのだ!
「な、なんだ?!」
「うぐぅっ!」
「えっ!?」
ジョルノよりもリカの近くにいたブチャラティが普通に体当たりをくらい、それに気を取られている間にジョルノも軽く吹っ飛ばされた。
地面に転がる2人を追いかけてきたリカはもう涙目だ。
「喧嘩しないでよっ!なんで…ブチャラティ!私は休んでねって言ったのに!!なんで私より先にジョルノを見つけちゃってるの!!ジョルノも全然いないから、私途中からおばあちゃんたちに『ブチャラティ見ませんでしたか?!』って聞きながら来たんだからね!」
そうしたらすぐ見つかった。おばあちゃん包囲網すごい。
「こんなことになるならもっと早く2人のこと会わせてたらよかったッ!ジョルノの夢の話を聞いたら、絶対ブチャラティとも仲良くなれるのに!」
リカの怒りはまだまだおさまらない。圧倒されてジョルノもブチャラティもお互い顔を見合わせるばかりだ。
「始末するとか返り討ちにするとか絶対許さないから!!友達の友達は友達でしょ?!!2人とも私の友達だったら仲良くしてよ!!仲良く……っ!なれるのにぃぃ〜〜〜…!!」
「っ、待てリカ!お前とんだ勘違いをしているぞ…ッ!!」
くらくらする頭を押さえつつブチャラティは立ち上がろうとした。ジョルノとの戦いはすでに終わっていて、今しがたリカの言うジョルノの夢の話を聞いて和解したばかりだったのだ。
確かにお互い見た目がグロいことになっているので仕方がないかもしれないが、このままではリカが泣いてしまう。そう思うと自分のダメージなんてどうでも良くなって、早く彼女を慰めなくてはと体に力が湧いてくる。
しかしブチャラティより先に動くことのできる者がいた。ジョルノ・ジョバーナその人だ。
鼻先がくっつきそうなぐらい寄り添い、両手でそっとリカの手を包み込むのを見たブチャラティは衝撃を受けた。
「泣かないで、リカ…。僕たち喧嘩なんてしていませんから…!そりゃあちょっとは揉めましたけど、今しがた分かり合ったところなんです」
「え?…ほ、本当…?」
ジッパーでぐらぐらしていた体も戻り、頭へのダメージもブチャラティよりはマシだったジョルノは早かった。
元々ブチャラティに絡まれたときに(あれ…?こいつリカと知り合いなんじゃあないのか…?2人で空港にいたことにすごいキレてるぞ…!)と勘付いていたのだが、先ほどそれを確信した。康一もそうだが、この機にリカに近付く輩の心をへし折っておきたいのだ。
「あなたが言うなら誰とだって仲良くしますよ。けど…僕はあなたのことを友達じゃなくそれ以上だって思っているんだけど……別に構いませんよね?」
「で、でも…怪我してるし…!ブチャラティの腕が…っ!腕が……!」
狼狽えるばかりのリカはジョルノの言葉が耳から抜けていっている。それを内心せせら笑いながらブチャラティは気軽に短い腕を上げて見せた。
「こりゃ俺のスタンド能力だ。痛くもないし元に戻るから安心しろ」
「スタンドかぁー!良かったー!良かったぁぁ!!」
「それでお前にも聞きたいんだが…このアシカは…」
「トドだよ」
ブモー!と真横で鳴かれてブチャラティの肩が揺れる。2匹はドスドスと車の下に走って帰り、水面に飛び込むように車の影に戻った。
リカは少し罰の悪そうに肩をすくませた。
「私のスタンド」
「そんな…まさかリカにも…僕と同じような能力が…」
「ダークネスっていうの。…ジョルノ、怪我見せて」
「え。…っ」
今度はリカの方からジョルノの手を取った。袖をまくられたので腕の傷口が痛む。
顔をしかめている間にリカはジョルノの傷口に手をかざしてダークネスを薄く貼り付けた。
透明感のある影のような膜が確かにジョルノの腕と一体化している。感覚のない絆創膏のような感じだ。
「痛みが無くなった…こんなことが」
「応急処置だよ。止血しかできないけど、治りは早くなるから…」
腕をひねって角度を変えて観察していたジョルノは、ふと間近のリカが俯いて目を伏せているのに気がついた。
リカはジョルノの手を握りしめたまま眉を下げてしょんぼりしている。やっぱりジョルノが傷ついている姿を見ると、承太郎や仗助の姿と重なって胸が痛んだ。良いスタンド使いばかりが周りに集まれば良いのに。
「ジョルノ……無茶しないでね…。ジョルノが痛い思いするの、嫌だから……」
つらそうに呟く姿は儚く、独りぼっちで震えている子猫のようで…今すぐ抱き上げて保護してあげなくてはとジョルノの庇護欲を掻き立てた。こんなにも愛しい存在がジョルノの夢と共にあり、しかも同じような力を持っているなんて…。ますます運命を感じてしまうのも当然だった。
く、と唇を噛み締めながら、ジョルノは沸き上がる情熱を抑え込んだ。
「……結婚……するしか…ない…ッ」
(何言ってんだこいつ)
ブチャラティは倒れている少年から自分の腕を元に戻し、少年の腕も元通りにくっつけていた最中であったが、『結婚』という単語は嫌にはっきり聞こえてきた。
しかしジョルノの傍にいたリカがあまりにもその言葉に無反応だったため聞き間違いかと思った。そうではなく幾重に渡る経験からスルースキルがすごいだけなのだが。
「リカ…念のために聞いておきたいんだが……いや、お前が俺に隠し事なんてしないことは分かってる。ただ、ジョルノが入団試験に受かり同じチームになったら……その、気を使うだろ?もしお前たちが…そういう仲だったなら」
「そういう?……さっき友達以上って言ってたから、親友とかかなぁ。ねぇジョルノ」
「え?…いや、ちょっと待ってくださいよ。親友?え?親友って……まさか僕の話全然聞いてないってことは……」
「………ふっ」
やはりジョルノはガキだ。そういうことに慣れているリカに良いように使われているだけなのだろう。
ブチャラティはやけにほっとした胸の内を誤魔化すために、そして新入りに現実を教えるために胸あたりのスティッキーフィンガーズのジッパーを開けた。
「喉乾いてないか?返すよ。ミルクティー」
「(ドラえもんみたい……)ありがとー。ブチャラティ飲んだ?どーせ全然休まないでジョルノを追いかけて来たんでしょ」
「お言葉に甘えて飲んださ。悪くはないな。甘すぎるけど」
「それがいいのに」
「あっ!ちょっと!!」
話しながら受け取ったペットボトルの蓋を開けてごくりとミルクティーを飲み込むリカ。ジョルノの入る余地はなかった。
これまで散々リカをナンパする輩を追い払ってきたジョルノだったが、全てを無に帰す2人の打ち解けたやりとりにショックを受けていた。
「傷に貼ってあるダークネス…半日ぐらいで消えちゃうから。様子見て行くなら病院行ってよね」
「え、ええ…」
「あとブチャラティ。ジョルノの入団試験の日が決まったら知らせてくれる?私これから友達のところに行かなくちゃだから」
「友達?友達ってお前……そりゃ男か?」
リカはジョルノとブチャラティがひとまず団結したのが分かってすっかり気を抜いていた。早く康一のところに行って一緒に遊びたい。
ついでに承太郎のことも思い出して、彼と同じようなセリフを放ったブチャラティに少し辟易した。女の子の保護者じゃないんだから。
「……どっちでも良くない?」
「良くはないです」
「良くはないかな」
息ぴったりの返事が返ってきたので、(もう仲良しじゃん)と思ったリカは2人を置いて帰路についたのだった。
