Love the darkness -3-
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「ぇえ?君ほんとに10歳?ちっちゃめの15歳じゃなくてぇ??」
「15?ほんとにそう見える?」
「見える見える!両親ハリウッドスターかなんか?」
「違う」
さっきまで肉の芽に支配されてたとは思えないおちゃらけた態度でポルナレフが詰め寄ってくる。
目覚めて仲直りしたとたん女の人たちをかるーくナンパしてたし、根っからのイタリア人だな…。
『むむっ!旅に君のようなか弱いレディがいるとは……私が守ってあげよう…なんなら生涯に渡って…!』
とポルナレフが大げさに跪いたところで承太郎が私を脇に隠した。まだアブドゥルを追い詰めたシルバーチャリオッツの殺気を忘れられず、私も少し警戒してたのでほっとした。でも、ポルナレフは早く打ち解けようとがんばってくれてるみたいだし、たぶんやっぱり、悪い人じゃなさそう。
『正気に戻ったとたん正体を現しやがったな…。とんだロリコンのようだがこいつ旅に同行させて大丈夫なのか』
『ロリコンとはなんだ失礼な!……高校生ぐらいでしょ?』
『リカは10歳ですよ』
『ぬぁにぃ?!!』
気を遣って教えてあげた花京院さんがドン引きしつつ今に至る。
「10歳かぁ〜〜……!くぅう〜〜…!10歳はさすがに……駄目だよなぁぁ?」
「駄目って何?私何か駄目なの?」
「いや、違う。駄目なのは君じゃない」
「せめて15だったらなぁ!」
「15歳でも駄目ですよ…?!」
あ、ポルナレフと花京院さんけっこう仲良くなりそう。
盛り上がってる2人を承太郎の後ろから見ていたら、ついていけなくてちょっと悲しくなってきた。
「ねぇ、2人とも何言ってるの?私が10歳だから?10歳だったら駄目なの?」
「……。」
深々と眉間に皺を寄せてちらりと私を見てから、承太郎は急に怒った。
「てめぇら駄目駄目うるせぇんだよ!!『レオン』知らねーのか!」
ガルガルと声を張られたので驚いて体が固まる。え、何…レオンって。また私の知らない話。気付いたらみんなしーんとしてて、なんか花京院さんはきまずそうにしてた。
「いや待て。承太郎…それは方向性がちょっと」
「『レオン』ならもちろん知ってっけどよぉー……。っあーぁ!そういうことね!『真実の愛があれば歳の差なんて』ってやつ!」
ポルナレフはカラカラと笑ってるけど、私には話が余計に分からなくなった。なんなの急に…愛とか…。
「レオンって何?」
「……映画だぜ。お前にはまだ早ぇやつだ」
帽子のツバをギュッと下げた承太郎と目が合った。優しいけど突き刺さるみたいな視線だった。
「よぉし!俺は待つぞ!15になったら健全に!デートから始めようなーリカ!」
「え……やだ…だって私が15歳だったら、ポルナレフ完璧おじさんじゃん…」
「おじっ…!?」
「「わはははは!」」
ついにジョセフとアブドゥルの保護者コンビが笑い始め、よく分からないノリは終わりを迎えた。
「みんな私がわからないの知っててわざと話してる。ずるい」
「気にしなくていいよ」
移動しながらむすっとほっぺを膨らましてると、花京院さんが声をかけてくれた。
「承太郎は、10歳の君のことを駄目だって言われたくなかったのさ。それだけだよ」
「花京院てめー。無駄口叩いてんじゃねぇ」
前の方から承太郎に怒られたけど(地獄耳)、花京院さんは面白そうに小さく舌を出しただけだった。
「私も『レオン』見てみたい」
「うーん…そうだねぇ。この旅が終わったら承太郎に聞いてみたら」
「うん!」
返事してからみんなを追い越して承太郎の服を掴んだ。しがみついて寄り添ったら、承太郎はポッケに手を突っ込んだままちらりと私を見下ろした。
「歩きにくいんだよ」
文句を言いながらも歩くのを遅くしてくれたので、さっき怒ったのも花京院さんが言う通り、優しいからなんだろうってわかって嬉しくなった。