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「わぁーっ!寒いっ!」
「!」
学校行くのに家を出たら思ったより風が冷たくて、私は咄嗟に承太郎の長い学ランの背中をめくって中に隠れた。
ばさって大きな布が頭にかぶさって、これまた大きな背中にしがみつく。控えめに言って学ランの中はめちゃくちゃ暖かかった。
「とっとと出ろ。歩きづらいったらありゃしねぇ」
舌打ちしてずんずん歩いて行く承太郎を無視して背中にくっつき続けた。
前が見えなくても承太郎の動きと共に歩けば問題なし!
途中でのりくんに出会った。
「おはよう。……おや?承太郎、足が増えてるようだけど」
なんにも答えないままわざと足をじたばたしてみせたら、のりくんはうふふと笑ってた。
「言うことをこれっぽっちも聞きやしねぇ。リカ、俺は出てこいと言っているんだぜ。そもそもなんで半袖なんか着てやがる。今が何月かわかってねぇようだな」
「だって遊んでたらすぐ暑くなるんだもん」
クラスもまだ半分ぐらいの子たちが半袖だ。
寒いのなんか朝だけなのに、長袖とか上着とか着て行くなんて邪魔すぎる。どうせ今日も昼休みケイドロするんだから。
「花京院、何とかしろ」
「そうだなぁ。…僕の背中に移る?」
穏やかなのりくんの声と反対に承太郎が何故かぎくりとした。
「…そういう問題じゃねぇだろうが」
「え、どういう問題?」
「こいつを甘やかすなと言っているんだぜ」
「リカはまだ子供だし、別に良いんじゃあないですか」
「寒いの朝だけなのよ」
承太郎の足元しか見えないけど、のりくんが味方してくれてるのは分かったので、ぴょんぴょんと跳ねて同意した。
のりくんの優しい笑い声と重なって、女の人の声がする。
「あら可愛らしい!」
「ほら、空条さんとこの。いつ見ても仲良しねぇ〜〜〜!」
「承太郎くん、見た目はああだけど優しいのよぉ〜」
「ねぇ〜昔は『ママは僕が守る!』って言ってねぇ〜!」
少し離れたところからおばちゃんたちに名指しされて、承太郎の堪忍袋が破裂したらしい。
「リカてめぇ!良い加減にしろ!!離れろと言ってるだろーがッ!!」
お腹に回してた手を掴まれてついに引っ張り出されてしまった。
ほかほかの承太郎の背中から急に寒空の下に出てしまって、余計に寒い気がする。
「元気なのは良いけど、そろそろ上着を着ないともう冬だよ。リカが風邪を引いて会えなくなったら寂しいなぁ」
そう言うのりくんの顔がほんとにしょぼんと心配してくれてるみたいだったので、私は両腕を自分でこすりながら頷いた。
「明日から上着着る。のりくんが寂しくなったらかわいそうだから」
「それはありがとう」
だんだん冷えてくる手でのりくんの腕に掴まった。学ランを整えていた承太郎は心底鬱陶しそうな顔で先を歩く私たちを見送っていた。
「……おいリカ、こりゃなんだ?」
放課後になり、私より遅れて帰ってきた承太郎がさめざめとため息をついた。
それもそのはず、リビングがテーブルを中心に私の服でとっ散らかっているのである。
服を畳んでいた私は入り口付近の承太郎の方を見ないまま答えた。
「私冬服あんまり持ってないから、さっきホリーさんと買ってきたの。明日から上着着て行かないと、のりくんが心配するから」
「ああそうかい」
ずんずんリビングに入ってきた承太郎は、テーブルの近くにあった私の服の固まりをぽいっと投げてから、座って置いてあるみかんを食べ始めた。
テレビをつけて無言の背中に違和感を覚えたので、声をかける。
「私も食べたい」
「自分で取りな」
「…みかんの剥き方知らないの」
「騙されねーぞ。自分で食え」
「みかん取って」
「嫌だね」
仕方がないので持っていた長袖の服を畳んでから承太郎の正面まで移動した。
「全然言うこと聞いてくれない」
みかんを手に取る私に、承太郎はすでに剥いたのを1房自分の口に入れながら呆れ顔だ。
「どの口が言ってやがる。俺が今日何を学んだか教えてやろうか。てめーは花京院の野郎の言うことしか聞かねぇ。今月に入って俺もおふくろも散々温かくしろと言ってきたはずだぜ」
「……そうだっけ」
「…とっとと服を持って部屋に行きな」
きょとんとしてるとしっしと手で追い払われた。なんだか機嫌が悪いらしい。
せっせとみかんを食べる私の正面で、承太郎はテレビの方をじっと見ている。
…可愛い服いっぱい買ったから、一緒に見てほしかったのに。
(……謝った方がいいのかなぁ。)
思い出したら確かにここ最近、承太郎にいつまで半袖なんだ、いつから上着を着るんだって突っ込まれてた気がする…。
普段からスカートで暴れるなそれでも女かってちくちく言われてるから、あんまり気にしてなかったなぁ…。
「……。」
承太郎が怒ってるのってだいたい私のこと心配してくれてるからなんだよね。
みかんを食べ終わった私はいそいそとテーブルの下を這ってくぐり、承太郎の足の間から出て上に乗っかってやった。ぎゅううっと大きな胸に抱きついたらやっぱり暖かいし、心臓の音や息して動く体に安心する。
くっついて承太郎の匂いをたくさん吸い込んでから顔を上げた。
「服もだけど、こうしてるのが1番あったかいのよ」
「………。」
承太郎は片方の腕で私の腰を支え、片方の手で目元を押さえて黙りこくってしまった。
私の言ったこと、承太郎には分からなかったかな?
でも、嫌がられてはなさそうだったので、私は承太郎を椅子にしたまま教育番組にチャンネルを回したのだった。
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