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「ちょっと待って。なんか私全然結婚できないんだけど!」
リカはベッドの上に広げたモノポリーに怒っていた。
ディオからの刺客、【黄の節制(イエローテンパランス)】を承太郎が倒したその日の夜。
怪我してるんだから承太郎は安静にしておいた方が良いよねという流れで、リカと花京院が部屋に集まり、流れ者の少女アンもそこに混ざった。
あまり歳の差のないリカとアンは2人でいると良くはしゃぐもので、あれよあれよと高校生2人をトランプやウノに巻き込み…最終的に人生ゲーム、モノポリーに手を出したのだ。
「付き合っても付き合っても破局する…!なにこれ!呪われてる!?」
「うーん、そうだね。ここまで来ると呪いというか、なにか特殊な力が働いてる気がしないでもない…」
乾いた笑いを浮かべながら花京院は承太郎を見た。すっかり気が緩んでいるリカは気がついていないが、彼女の人生が上手くいっていないのは事あるごとに承太郎がリカのサイコロにちょっかいをかけているからだ。
スタープラチナの手だけ出現させて、瞬時にサイコロの目を操っている。
ちらちら非難めいた視線を向けるも犯人に効果はないようだ。
「………フッ。」
なんか笑ってるし怖い。
どういう感情でゲーム上のリカの恋愛模様を邪魔しているのだろう。寒気を感じた花京院の頬に冷や汗が浮かぶ。
「やりぃーっ!結婚して子供3人いる上に超大金持ちで上がりぃー!」
「なんでアンはそんな順風満帆なの?!」
「はぁぁ〜〜現実でもこうだったらなぁぁ〜」
大金持ちになりたいのはもちろん、結婚も……。アンは隣にいる承太郎をちらちら見上げながら頬を染めている。しかし満足げな承太郎の視線の先にはリカがいた。リカはモノポリーに必死だ。下を見たままプンスカとしている。
(何このカオス。)
思わずブフォ、と笑ってしまいながら花京院もコマを進めた。どうやら上がりだ。
「ああぁやばいやばい!のりくんも終わっちゃった!」
「さて…次は俺だな」
「3出ろ!離婚しろーっ!!」
コテンパンにリカの恋愛を壊すことに集中していた承太郎は特に感慨なく自分のサイコロを投げた。3になりそうだったのでスタープラチナで触って5にした。
「よし…家がもう一軒建ったぜ。別荘にするか」
「ねぇ!待って!もう上がっちゃうじゃん!せめて私が結婚するまで待ってよぉぉ!!」
「そんなもん待ってたらこのゲームは一生終わらねぇ」
「どういうこと!?」
食ってかかるが承太郎は顔をそらしたままリカを無視する。わざとらしい反応にリカはピンと来た。
「ねぇ承太郎!まさかなんかやってる!?スタープラチナとかで私の邪魔してないよね?!」
「………。」
「あやしっ!ちょっと待って!承太郎手ぇ使うの禁止!」
「ふざけてんのか。これでどーやってサイコロを投げりゃあいいんだよ」
横から突撃してきたリカに両手を押さえつけられて、反論するも動くことはしない承太郎。
リカの細い手なんて振りほどくの簡単なのに…。
花京院はこっそりとため息をついた。
リカはゲームに負けそうな上おちょくられていると思っていて涙目だ。承太郎がリカに好意を持っていて意地の悪いことをしているのだとしても、さすがに少しやりすぎじゃあないだろうか。
そろそろちゃんと止めに入ろうとして、外からドアをノックされる音に動きを止めた。
「承太郎、花京院…。ちょっと良いか。これからの予定について確認しておきたいんじゃが…」
少し開いたドアから顔を覗かせたのはジョセフだ。続いてポルナレフとアヴドゥルもベッドに集まっている子供達の姿を見つけた。
「お前らいないと思ったらゲームパーティかよぉ〜!なんでこの俺を誘わねーんだッ」
「リカ、それからアンもそろそろ寝る準備をしないか。子供はたっぷり睡眠時間を取らなきゃあな……」
「ちぇっ、子供扱いすんなよな」
口を尖らせるアンの隣で承太郎が最初に動き始めた。リカにこれ以上自分の不正を追及されずに済んだので、正直助かったと思っているのだ。
「ねぇっ!話が終わったら続きからだからね!」
「今言われたばかりだろう、リカ。ゲームはまた時間が空いたときにね。次は別のゲームにしようか」
サイコロを使わないやつだよ、と花京院に微笑まれてリカは不貞腐れながらも頷いた。どうやら全部分かっていそうな抜け目のない花京院に承太郎はやれやれと帽子をかぶり直して誤魔化すのだった。
「承太郎、絶対何かズルしてたよね!のりくんがいなかったら、絶対許してないんだから!」
ジョセフたちがドアのところで立ち話を始めたので、リカは相変わらずぷりぷりしながらベッドの上に散らばるカードやコマを片付け始めた。
同じように散らばるトランプを拾い集めながら、アンが突然にやりとしてリカにこそこそと身を寄せる。気付いたリカも自然とアンに顔を近づけた。
「ねぇねぇっ、リカはタイプの人っていたりする?」
「えトム・クルーズ」
「…なーんだつまんないっ!ちなみにぃ〜、あたしはぁ〜〜…」
反射的に答えた憧れのスターをつまんない扱いされてショックを受けてしまったリカだったが、アンがもじもじとドアの方に目配せしているのですぐにピンときた。
「あ、ここにいる中でってこと?」
「うんうんうんうん!ちなみにあたしは承太郎!」
「ええ〜〜〜……」
アンって色々とたくましいなぁ〜。
感心しながらもリカは何かに巻き込まれたことを感じていた…。
何せ今まで、自分を守ってお世話してくれる保護者であるみんなのことをそんな風に考えたことなんてなかったのだ。
「「「「「…………。」」」」」
ちなみに女の子2人の大きなひそひそ話が聞こえているドア付近の連中はもはや明日からの予定どころではなかった。むさ苦しく一ヶ所に集まっているだけで、意識は完全にベッドの方に集中している。各々の謎のプライドによる戦いが、今まさに火蓋を切って落とされたのだった。
そしてそんなこと露ほども知らない2人のガールズトークに花が咲く。
「そもそも、なんでアンはそんなに承太郎好きなの?」
「え!いやかっこいいじゃん!優しいし!…あとちょっとワルなとこもいいよね!」
「でもさ、さっきのモノポリーめっちゃ必死だったよ。意地でも私を蹴落として勝ってやろうっていう性格の悪さがすごかったけど…。ウノのときも、ウノって言ってないことを光の速さで言ってくるし…。」
「リカほんと…信じられないぐらい結婚できてなかったもんね…」
「そーなのよ。しつこいし負けず嫌いだし根に持つし…みんななんか騙されてるんじゃない?」
そもそもかっこよくて優しいならのりくんもそうだよね。
リカの言葉にアンも大きく頷いた。
「花京院さん素敵よね」
「ほんとそうなのよ。お姫様ごっこするならのりくんが最高だよ!王子様すぎて全然現実に帰って来れないから。私この旅が終わったら、のりくんと一緒に王国作ろうと思ってるんだよね。一生優しくしてくれると思う。絶対」
「そんなにごっこ遊びに付き合ってくれるかはちょっと疑問だけど…」
「それで大臣がアヴドゥルで、途中で姫の心を揺さぶる貿易先の商人がポルナレフ」
「え?…えっ?」
「アヴドゥルに占ってもらったら国が永久に栄えそうでしょ…でも、平和すぎても飽きちゃうから、王子とタイプが違うチャラくて遊び人の一般人に浮気しちゃうの」
「ポルナレフさんはチャラくて遊び人ってこと?!」
「そう…遊びすぎて一周回って、浮世離れした純粋無垢な姫にのめり込んでしまうのよ」
「設定がけっこう凝ってる…どこかで聞いたみたいな話だけど…」
「ええと…それで、王子が嫉妬でダークサイドに落ちてしまうよね、きっと。ポルナレフに罪を着せて幽閉したり」
「花京院さんがダークサイドに?!いやこれ何の話してたんだっけ!!」
「………なんだっけ?」
妄想劇場へのツッコミに疲れたのか肩で息をするアン。頭を掻きつつ、へへへと笑って誤魔化して、リカは最初の会話を思い出した。そうそう、誰がタイプかって話で……。
「…そうだ、アン。いいもの見せてあげる」
「?」
そう言うと、リカはごそごそと服の胸辺りに手を入れて、ダークネスから一枚の写真を取り出した。それはリカの宝物で、いつも肌身離さず服の下でダークネスにしまい込んでいるものだ。
その白黒写真を覗き込んだアンは目を輝かせた。
「誰このイケメン!承太郎……じゃないわよね?」
「いいでしょ〜〜!この人はねぇ、若いときのジョセフだよっ!めちゃくちゃカッコいいでしょ!このちょっと悪戯な眼差しが!トム・クルーズみあってほんとに100点満点なの!」
手元の小さなジョセフと目が合い、リカは思わず写真をぎゅうと抱きしめた。
「ずっと持ってるの。この写真、大好きなんだぁ」
「リカ」
後ろから低く声をかけられて、リカとアンは同時に振り向いた。そこには妙に神妙そうな真顔のジョセフがいる。
「……おこづかいをあげよう。たくさん」
「えっなんで?」
突然すぎてまじまじジョセフを見上げたら、なんだかちょっと涙ぐんでるし、なんならアヴドゥルも涙ぐんでるし、花京院とポルナレフは2人で生温い微笑みを浮かべながら頷き合っていた。
「テメェ一生結婚なんざできなくさせてやる」
「?!?!?!」
ただ1人とんでもない殺気を放っている承太郎に訳もわからずビビり上げるリカであった。
