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私、日本の小学校にやっと慣れてきたなって思ってしばらくして、すごく嫌なことがあったの。
帰り道に横断歩道ですれ違った男子たちがすごくはしゃいでた。
赤信号になるギリギリで追いかけっこみたいにじゃれ合いながら渡り終えて、なんか、1人が後ろに転んだの。
車に轢かれそうになってた。
だから私は……〈darkness〉を使ってその子を助けた。歩道に引っ張り上げてあげたんだ。
そのあとは知らない。無視して帰ったら次の日、変な噂が流れてた。
あのリカ・ウィンチェスターって外人は呪われてる。超能力が使えるんだ。あいつのせいで怪我した奴がいるんだって。
昨日の男子、ダークネスで引きずったせいで膝を擦りむいていたらしい。自分が危ないことしててああなったのに、自業自得でしょ。なのに、怪我だけ私のせいにするなんて…。
別のクラスの話だし、私にはちゃんと仲良しの友達もいたから気にしないようにした。
でも私のクラスまでわざわざ見に来る子たちも出てきて、気分は良くなかった。
「……届かない。承太郎、抱っこして」
「……。」
飾り付けられた大きなクリスマスツリーを前にして、私はこれまた大きな星のオブジェを抱えたまま後ろでゴロゴロしてる承太郎を振り向いた。意外そうに、そして嫌そうに顔をしかめている。
ホリーさんが仕入れた巨大なクリスマスツリーに大はしゃぎだった私が、「のりくんに見せたいからがんばって飾り付けしなきゃ!」って息巻いてからだった。ずっと不機嫌で変なの。
「…抱っこ」
星を抱きしめたままちょっと近づいてみる。逆に承太郎は私を避けるように少しのけぞった。
「ねぇ」
「ダークネスにさせりゃあいいだろ」
「それじゃあダメなの」
「……。」
なんとなく、学校で、私だけ仲間外れにされてるようなみんなの視線を思い出して下を向いた。
承太郎の深いグリーンの瞳が探るように私を見つめている。
「だってそれじゃ、…雰囲気出ないもん…。クリスマスなのに」
またちょっと無言で私を見つめてから、承太郎はそれは盛大にため息をついてのっそりと起き上がった。
「ねぇ、いいでしょ?ちょっと抱っ、……持ち上げてよ」
承太郎が目の前に立ったら、必然的に上を見上げなきゃいけない。顔を突き合わせたら何故だか恥ずかしくなってきて、抱っこって言えなかった。
「…なんて?」
「……上まで届かないから、星が飾れないの」
少し視線を上げるだけで、承太郎にはツリーのてっぺんが見えてるんだろう。
それから私を見下ろして、もう一度小さく息をついた。
「それで、俺にどうしろって?」
「こうやって、ちょっと後ろから持ち上げてよ」
「……。」
星を抱いたまま器用にジェスチャーしてみせたら、承太郎は相変わらず不服そうにしてる。
私は焦ったし、悲しい気持ちになった。学校でも嫌なことがあったのに、承太郎にまで嫌がられたら居場所なんてないじゃない。
涙目になっちゃったのを誤魔化すためにちょっと目頭に力を込めて承太郎をまっすぐ見上げた。
「………抱っこ、して」
何かを振り払うように眉間を押さえてから、承太郎が「やれやれだぜ」って呟いた。
私の頭を軽く掴むとツリーの方に180度方向転換させて、後ろでしゃがんでしっかり両脇の下を持ってくれる。
「お前、少しジャンプしろよ。弾みがないと重いからな」
「わかった!ここでいい?」
「もう少し前だ」
「…せー、のっ」
巨大なツリーを前にしてぴょん、と少しだけ跳んだら、ぐわっと視界が高くなった。
相変わらずすごい力持ち。
「あははっ!たか〜い!」
「早くしろよ」
「はぁい」
アトラクションを楽しむのも束の間、私はすぐに星をツリーのてっぺんに立てようと思って身を乗り出した。
ツリーの星を突き刺すところがちょっと遠かったから。
けど、それが良くなかったみたい。
私を持ち上げてた承太郎の手の位置がずれてしまったのがわかった。
「わ」
「!」
ずるずる落ちて行く私をかばいながら承太郎も体勢が低くなって、最終的に2人で床にほとんど倒れる羽目になってしまった。
「てめぇ…マジでふざけんなよ」
「あ、危なかったぁ〜…」
2人でほっと息をついた。顔を見合わせたらずいぶん近い。こういうとき、何故か承太郎は黙りこくって私をじっと見つめてくるからちょっと苦手。
「……スタープラチナ使わなかったのね」
先にありがとって言わなきゃだったかな。
ちょっと後悔しつつも、さっき『ダークネスを使え』って突っぱねられたのを自分が思ってるより根に持っていたのに気付いた。
承太郎は帽子を深く被り直して違う方を向いている。嫌味に気付かれたのかもしれない。
「……別に…良いと思うぜ。お前がスタンドを使いたくないってなら、それで。」
「……。」
「最近どうやら元気がねぇようだが、それがスタンドのせいなら…使わない方が良いのかもな」
分かってたんだ。承太郎…。
「いつまでもそうやってウジウジされてちゃあ、こっちまで気が滅入るぜ」
「だからってなんで、承太郎まで使わなくなっちゃうのよ」
「別にさっきのは、…使うまでもなかっただけの話だ」
「……。」
使わないって…その方が良いって……本気で言ってるのかな?
確かに、日本に戻ってから戦いなんてないし、ダークネスを見る機会は減ってるけど…。
(承太郎はSPW財団の仕事でディオの残党とか悪いスタンド使いをやっつけに行ったりしてるけど)
「私ウジウジしてないよ」
言い返しながら承太郎と目が合わせずにいる。
だってなんか不機嫌そうだけど、優しい顔してるから。学校での出来事、承太郎が知ってるかは知らないけど…心配してくれてるのが伝わってきた。
ちょっとだけディオのこと思い出したら、エジプトへの旅のことを思い出して、何度も何度も私たちのスタンドがお互いを助け合って守り合って絆を深めていったのが、瞼の裏に蘇った。承太郎はきっと、どれだけ辛いことがあってもスタープラチナと一緒に乗り越えていくだろう。
「…私、承太郎を守るためだったら、いつでもダークネスを使うからね」
咄嗟に本心が口から飛び出した。
承太郎はちょっと驚いたみたいで、ぱっと瞳を輝かせて私を見ると、私のが移ったみたいに小さく微笑んだ。
「そうかい。…まぁ、なら…仕方ねぇから俺もそうしてやるか…」
帽子の陰からにやりとしているのが見えて私も嬉しくなった。
学校で悩んでるのが急にすごくどうでも良くなって、すっきりした気分!
「あ!見て承太郎!クリスマスツリー!」
「ん」
やっと思い出して後ろのツリーを見上げたら、大きな星がちゃんとてっぺんで輝いている。
承太郎やジョセフ、ホリーさんの首の後ろにあるのと同じ形。
「私、星大好き」
「…。」
起き上がった承太郎が後ろから両腕を回してそっと私を閉じ込めた。
「描いてやろうか。ここに」
「ぎゃあ!痛い!!」
なんか首の付け根を噛まれたので、ダークネスで顔を押し返してやった。
「あれ?リカ…君、ここ赤くなっ……ちょっと事情を聞こうか承太郎…場合によっては僕のハイエロファントが君をしばき倒すことになるぞ…!」
後でツリーを見せるためにのりくんを呼んだら、私の首の歯型にドン引きしていた。
しばいていいよ。
