Love the darkness -3-
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ジョセフが復活して、私も承太郎も怪我の手当てを無事終えた。お医者さんが傷の深さの割に出血が少ないって驚いていて、私のスタンドで止血していたんだよって教えてあげたら感動してた。
それから、私たちよりも重症のポルナレフとのりくんにも会うことができた。
2人とも手術が終わったばかりでこんこんと眠っていた。
のりくんなんか、本当なら面会謝絶の重体のはずなのに骨折が想定より軽かったってお医者さんが言っていた。
ダークネスのおかげって言ったら言いすぎかもだけど、のりくんの手術が楽になったなら良かったって、本当に誇らしい気持ちになった。
やっと地に足がついた心地のその日の夜。
私は自分の病室を抜け出してこっそりのりくんのお部屋にお見舞いに来ていた。
余談だけど、その前にいちようポルナレフの様子も見に行ったよ。
『グオォ〜〜、グォォオ…ンガッ!…グォオ〜〜〜!!』
『……なんか元気そう』
布団を寝相で蹴り上げて気持ちよく寝てたので、安心して部屋を後にした。
ポルナレフとは真逆で、のりくんはさっき見たのとまったく変わらない。ぴくりとも動かない人形みたいで、真上を向いたままひたすら目を閉じていた。酸素の吸入器はついてるけど、息してるのかどうかわからないくらい。
「…のりくん…早く起きて…。勝ったんだよ、私たち…」
ベッド脇の椅子に座ってその手を握った。温かいとは言いがたい。
反応が欲しくてぎゅっと力を込めるけど、のりくんの手はぐったりしたまま。
その色のない表情を見ていたら、とたんに怖くなってきた。
のりくんがディオの能力の前に敗れ、貯水タンクに吹っ飛ばされて胸が変形し、血をたくさん吐いたところを思い出したからだ。脳裏にこびりついてるぐらいの鮮明な光景。
それがきっかけになって、頭の片隅に追いやっていた記憶が次々蘇ってきた。
仕事終わりの解放的な時間を楽しんでいた街の人たちが、たくさん無惨に死んでいたこと。叫び声と血の匂い。
それから……全身血まみれで戦い続けてた承太郎のこと。
消えた妹と帰ってこない仲間たち。
いつの間にか体が冷たくなって、私はガタガタ震えていた。
「のりくん…っ、早く、目を開けて…もう嫌なの…!死なないで……」
涙が滲んでぎゅっと両目を閉じた。
「……怖いよ……」
「リカ!」
低い声に呼ばれて、同時に肩を掴まれた。ほとんど無理やり後ろを向くことになったら、承太郎が眉間に深々しわを刻んで私を見下ろしていた。
「てめぇ、さっきから呼んでんだろーが」
「え、あ……ごめん、なさい」
下を向いて消えそうな声で答えた。目に溜まってた涙がぽたぽた太ももに落ちた。
「…やれやれ。こんなとこだろーと思ったぜ。部屋にいないと思ったら…」
トレードマークの帽子を脱いでいるせいか、承太郎の髪は乱れてるし、治療後のラフなTシャツを纏った両肩は大きく上下してる。
(……もしかして)
探してくれたのかな。
嬉しかったけどそんなことしたら傷が開いちゃうかもしれないのに。馬鹿みたい。
「眺めていても花京院は起きないだろうよ。こっちを見てた方が有意義かもしれねぇな」
「?」
「心拍数、血圧ともに安定…と」
承太郎がのりくんの頭上にある画面をコンコンノックしながら呟いた。画面からはピッピッと音がしていて、数字と心臓の鼓動のグラフが推移している。
「お前がそうしてちゃあ落ち着いて休めないだろうな」
「……でも、起きたとき誰もいなかったら寂しいよ」
「起きる前に自分がぶっ倒れるぞ」
「でも」
「いいか、この病室はスピードワゴン財団の信頼できる医師たちが24時間付きっきりで見守っているんだぜ。それ以上その体ででもでも言う気なら引きずってでも帰らせるがいいんだな」
「わかった、戻る」
圧が強すぎて即答した。
承太郎は満足そうに「よし」って頷いてから私の前に膝を付いた。
「来な。大方眠れなくなっちまったんだろう」
「うん」
「仕方ねぇから一緒に寝ることにするぜ」
「うん」
ちょっと両腕を広げた承太郎の胸にすりよった。首に手を回してしがみ付いたら、承太郎の髪の長いところが私の頬をくすぐった。
「…のりくん、明日も来るからね」
「……目を覚ましたら、すぐに知らせが来るだろうよ」
承太郎は私を持ち上げてから最後にちらりとのりくんを見て、病室を後にした。
その夜は承太郎の温かさと心臓の音を聞きながら眠りについた。
わかってるの。
小さく震える私の体をずっと撫でてくれてるのも。気を紛らわすために他愛のない話をずっと続けてくれるのも。耳元で聞こえてくる低くて落ち着いた声も大好き。
そしてそれらは全部気付かないぐらいにさりげなくて、私は承太郎がいたらいつだって安心して眠ることができる。安心して、両目を閉じることが。
「…おい。頭まで布団かぶって寝るのかよ」
「………隙間があったら怖いから」
ぶふって息を吐き出した承太郎に布団ごとぎゅうぎゅうに抱き込まれた。ちょっと苦しい。
「夜中に目を覚ましたそうだな、花京院」
「ああ……うん、まぁ…お医者さんがそう言うなら、そうなんだろうね」
「…念のために聞いておくが、そりゃ夜中の何時ぐらいのことかな。偶然俺もリカとここにいたんでな」
「君がリカに両手を広げて『来な』って言っていたとき」
「………。」
「仲良くやってるようでよかったよ」
「…てめぇ、最後に見た時は死んでただろうが」
「なんだろうね。なんだかあまり見ちゃいけないような気がして。寝たふりをしてしまって悪かったよ」
「………いや………。」
次の日の朝のりくんが起きたことを知らされた。ぐーすか一緒に寝ていた私と承太郎は部屋にやってきたお医者さんに怒られながら起こされたのだった。
それから、私たちよりも重症のポルナレフとのりくんにも会うことができた。
2人とも手術が終わったばかりでこんこんと眠っていた。
のりくんなんか、本当なら面会謝絶の重体のはずなのに骨折が想定より軽かったってお医者さんが言っていた。
ダークネスのおかげって言ったら言いすぎかもだけど、のりくんの手術が楽になったなら良かったって、本当に誇らしい気持ちになった。
やっと地に足がついた心地のその日の夜。
私は自分の病室を抜け出してこっそりのりくんのお部屋にお見舞いに来ていた。
余談だけど、その前にいちようポルナレフの様子も見に行ったよ。
『グオォ〜〜、グォォオ…ンガッ!…グォオ〜〜〜!!』
『……なんか元気そう』
布団を寝相で蹴り上げて気持ちよく寝てたので、安心して部屋を後にした。
ポルナレフとは真逆で、のりくんはさっき見たのとまったく変わらない。ぴくりとも動かない人形みたいで、真上を向いたままひたすら目を閉じていた。酸素の吸入器はついてるけど、息してるのかどうかわからないくらい。
「…のりくん…早く起きて…。勝ったんだよ、私たち…」
ベッド脇の椅子に座ってその手を握った。温かいとは言いがたい。
反応が欲しくてぎゅっと力を込めるけど、のりくんの手はぐったりしたまま。
その色のない表情を見ていたら、とたんに怖くなってきた。
のりくんがディオの能力の前に敗れ、貯水タンクに吹っ飛ばされて胸が変形し、血をたくさん吐いたところを思い出したからだ。脳裏にこびりついてるぐらいの鮮明な光景。
それがきっかけになって、頭の片隅に追いやっていた記憶が次々蘇ってきた。
仕事終わりの解放的な時間を楽しんでいた街の人たちが、たくさん無惨に死んでいたこと。叫び声と血の匂い。
それから……全身血まみれで戦い続けてた承太郎のこと。
消えた妹と帰ってこない仲間たち。
いつの間にか体が冷たくなって、私はガタガタ震えていた。
「のりくん…っ、早く、目を開けて…もう嫌なの…!死なないで……」
涙が滲んでぎゅっと両目を閉じた。
「……怖いよ……」
「リカ!」
低い声に呼ばれて、同時に肩を掴まれた。ほとんど無理やり後ろを向くことになったら、承太郎が眉間に深々しわを刻んで私を見下ろしていた。
「てめぇ、さっきから呼んでんだろーが」
「え、あ……ごめん、なさい」
下を向いて消えそうな声で答えた。目に溜まってた涙がぽたぽた太ももに落ちた。
「…やれやれ。こんなとこだろーと思ったぜ。部屋にいないと思ったら…」
トレードマークの帽子を脱いでいるせいか、承太郎の髪は乱れてるし、治療後のラフなTシャツを纏った両肩は大きく上下してる。
(……もしかして)
探してくれたのかな。
嬉しかったけどそんなことしたら傷が開いちゃうかもしれないのに。馬鹿みたい。
「眺めていても花京院は起きないだろうよ。こっちを見てた方が有意義かもしれねぇな」
「?」
「心拍数、血圧ともに安定…と」
承太郎がのりくんの頭上にある画面をコンコンノックしながら呟いた。画面からはピッピッと音がしていて、数字と心臓の鼓動のグラフが推移している。
「お前がそうしてちゃあ落ち着いて休めないだろうな」
「……でも、起きたとき誰もいなかったら寂しいよ」
「起きる前に自分がぶっ倒れるぞ」
「でも」
「いいか、この病室はスピードワゴン財団の信頼できる医師たちが24時間付きっきりで見守っているんだぜ。それ以上その体ででもでも言う気なら引きずってでも帰らせるがいいんだな」
「わかった、戻る」
圧が強すぎて即答した。
承太郎は満足そうに「よし」って頷いてから私の前に膝を付いた。
「来な。大方眠れなくなっちまったんだろう」
「うん」
「仕方ねぇから一緒に寝ることにするぜ」
「うん」
ちょっと両腕を広げた承太郎の胸にすりよった。首に手を回してしがみ付いたら、承太郎の髪の長いところが私の頬をくすぐった。
「…のりくん、明日も来るからね」
「……目を覚ましたら、すぐに知らせが来るだろうよ」
承太郎は私を持ち上げてから最後にちらりとのりくんを見て、病室を後にした。
その夜は承太郎の温かさと心臓の音を聞きながら眠りについた。
わかってるの。
小さく震える私の体をずっと撫でてくれてるのも。気を紛らわすために他愛のない話をずっと続けてくれるのも。耳元で聞こえてくる低くて落ち着いた声も大好き。
そしてそれらは全部気付かないぐらいにさりげなくて、私は承太郎がいたらいつだって安心して眠ることができる。安心して、両目を閉じることが。
「…おい。頭まで布団かぶって寝るのかよ」
「………隙間があったら怖いから」
ぶふって息を吐き出した承太郎に布団ごとぎゅうぎゅうに抱き込まれた。ちょっと苦しい。
「夜中に目を覚ましたそうだな、花京院」
「ああ……うん、まぁ…お医者さんがそう言うなら、そうなんだろうね」
「…念のために聞いておくが、そりゃ夜中の何時ぐらいのことかな。偶然俺もリカとここにいたんでな」
「君がリカに両手を広げて『来な』って言っていたとき」
「………。」
「仲良くやってるようでよかったよ」
「…てめぇ、最後に見た時は死んでただろうが」
「なんだろうね。なんだかあまり見ちゃいけないような気がして。寝たふりをしてしまって悪かったよ」
「………いや………。」
次の日の朝のりくんが起きたことを知らされた。ぐーすか一緒に寝ていた私と承太郎は部屋にやってきたお医者さんに怒られながら起こされたのだった。