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あーあ。ほんと今日って最悪な1日。
嫌なこと全部詰め込まれたみたいなbad day。
おでこにぽちってにきびできてるし、髪型決まらないし朝ごはん食べ損ねるし、漢字が書けなかったし縄跳びがすねに直撃した。
「やぁーい!デカ女!」
「うるさい!でかくない!あんたが小さいんでしょ!」
「やべー!踏まれる踏まれる!」
「きゃあっ!?…ッ、Screw you!!」
そしていつもの男子にからかわれてスカートをめくられた。逃げ足だけは速い。
…私はでかくない。みんな「リカは小さいから」って助けてくれるもん。
なのに小学校にきたらこの扱い。男子はみんな子供すぎて嫌い。ランドセルも嫌い。…学校は、まだ少し苦手なの。
「ばいばい、リカ!」
「うん、ばいばーい!」
帰り道が一緒の最後の友達と別れて歩き始めた。なんか今日は疲れたな。帰ったらたぶんホリーさんがおやつを用意してくれてるはずだから、いっぱい食べてごろごろしよ。
「嘘でしょ……」
そう思っていたら、とたんに雨が降り始めた。確かに今日は空が暗くて、友達とも「雨降りそうだね」なんて言いながら帰ってきたけど。
「あーもぉーー」
小走りに雨に打たれながら進んでたけど、あっという間に勢いを増した雨は道もかき消す勢いだった。あまりに濡れるから反射的に近くのお店の軒下に入って身を守る。髪から水が垂れてくるし、気付いたら靴の中もびしょびしょだった。
『わかるよ。…僕も子供の頃、君と同じように感じていたことがある。だって僕以外にはハイエロファントは見えなかったんだから。両親にすらね…。けど、リカには僕たちがいる。だから大丈夫だよ。日本の学校にもすぐに慣れるさ…』
(大丈夫……。)
優しいのりくんの笑った顔を思い出しながら、両手に息を吹きかけた。雨のせいでずいぶん寒い。こんなに降ってたらみんなのところに帰れないよ。待ってたっていつ止むの。
急に不安になってきて、今日あった嫌なことを全部思い出した。こんなにがんばってるのに、いつまで耐えたらいいんだろう。
「疲れたなぁ……」
その場でしゃがみ込んだら靴下からじゅわって水がしみ出て気持ち悪い。帰らなきゃいけないんだからいつまでもこうしてるわけにはいかないのに、体はなかなか動いてくれなかった。
しばらくぼーっと雨の景色を眺めてたら、ふいに誰かに呼ばれた気がした。
声が聞こえたわけじゃないけど、それは形となって現れた。
(もしかして)
大きな黒い傘を差した男の人が、急ぎ足でこっちに向かってきている。ときどき何か探してるみたいに周りを見渡して。
見間違うわけなくて、私は反射的に立ち上がった。
「リカ!」
目と目が合って、今度は間違いなく名前を呼ばれた。真っ直ぐこっちに向かってくる承太郎を見た瞬間、私は耐えきれなくなってすぐに軒下から駆け出していた。
なんだかすごく不安で悲しかったから、思いっきり承太郎に抱きついて泣いちゃったのを誤魔化した。本当に安心した。
私を受け止めてくれた承太郎は持ってた傘を私の方に傾けて大きめに息を吐いた。
「やれやれだぜ。来てみたら案の定これだ…ここまで濡れる前に、どこかに避難してりゃ良かっただろーが」
「……。」
「ダークネスも使わなかったのか」
「……だって、見られたら変に思われる」
承太郎はやっぱりため息つきながらぐっと私の肩に回した腕に力を込めた。押し付けられてちょっと苦しい。私が濡れてるのが承太郎に移っていく分、あったかくなってほっとする。どんどん気が抜けて、離れたくなくなった。
「…ほんと、嫌な日だった。…来るならもっと早く来てほしかった」
「ふっ」
涙が次から次へと出てきて鼻声で訴えたら笑われた。
「なら、とっとと帰るか。これ以上機嫌を悪くされても困るしな」
「……自分で歩ける」
「そーかよ」
普通に担がれそうになったのでふんばって阻止した。
しゅんしゅん鼻をすすりながら歩く私に承太郎は何も言わなかったけど、片手で傘を持ったまま、もう片方の手は私を繋いで離さなかった。
「あらあらまぁまぁリカ!この雨で大変だったでしょう!」
「うん…でも途中で承太郎と会ったから平気」
玄関の扉が開く音でホリーさんが駆けてきた。すごく慌ててたので心配してくれてたのが伝わってくる。本当に帰ってきたって実感して、私もようやく表情が緩んだ。お家の中なら、どれだけ雨でも平気だもん。
承太郎は外で傘の水滴を落としている。
「心配してたのよぉ〜〜。ちらちら外を気にしてると思ってたら、雨が降り出したとたん承太郎が出てっちゃってぇ。やっぱり迎えに行っていたのね!無事に会えたんならよかったわぁぁ」
「おい…余計なことをべらべら喋るんじゃあねーぜ」
「ありがと、承太郎」
「ふん」
ぐしぐしと私の頭を撫で、承太郎は先に家の中に上がって行った。
「ほらほら、リカも早く靴を脱いで。靴下もね!それから、ランドセルはここに置いておいて」
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるホリーさん。
温かいリビングに入ってタオルで髪を拭いていたら、先にいなくなってた承太郎がお風呂を溜めてくれていた。
順番にお風呂に入ってほかほかしたら、承太郎がいつも通り後ろに座って髪を拭いたり整えてくれた。雨に打たれてすごく冷たくなっちゃってたから、一気にあったまってこのまま承太郎にもたれて寝ちゃいそう……。呼吸で胸が動いてるのも、心臓がどきどきしてるのも全部伝わってきて、すっごく眠たい…。
「リカ」
「なにー?」
「…そんなに嫌なら、学校なんざ行かなくても良いと思うがな」
「うん」
「こら!無責任なこと言わないの承太郎!」
お玉を持ったまま台所からホリーさんが声を張り上げ、怒られた承太郎はちょっとむっと眉間にしわを寄せていた。
後ろから私を抱え直して今度は少し小さな声で囁いた。
「良いことを教えといてやるよ。小学校は行かなくても卒業できるんだぜ」
「うふふ」
なんだかしつこくて笑っちゃった。まるで私のこと学校に行かせたくないみたいで。
きっと明日は大丈夫。
嫌なこと全部詰め込まれたみたいなbad day。
おでこにぽちってにきびできてるし、髪型決まらないし朝ごはん食べ損ねるし、漢字が書けなかったし縄跳びがすねに直撃した。
「やぁーい!デカ女!」
「うるさい!でかくない!あんたが小さいんでしょ!」
「やべー!踏まれる踏まれる!」
「きゃあっ!?…ッ、Screw you!!」
そしていつもの男子にからかわれてスカートをめくられた。逃げ足だけは速い。
…私はでかくない。みんな「リカは小さいから」って助けてくれるもん。
なのに小学校にきたらこの扱い。男子はみんな子供すぎて嫌い。ランドセルも嫌い。…学校は、まだ少し苦手なの。
「ばいばい、リカ!」
「うん、ばいばーい!」
帰り道が一緒の最後の友達と別れて歩き始めた。なんか今日は疲れたな。帰ったらたぶんホリーさんがおやつを用意してくれてるはずだから、いっぱい食べてごろごろしよ。
「嘘でしょ……」
そう思っていたら、とたんに雨が降り始めた。確かに今日は空が暗くて、友達とも「雨降りそうだね」なんて言いながら帰ってきたけど。
「あーもぉーー」
小走りに雨に打たれながら進んでたけど、あっという間に勢いを増した雨は道もかき消す勢いだった。あまりに濡れるから反射的に近くのお店の軒下に入って身を守る。髪から水が垂れてくるし、気付いたら靴の中もびしょびしょだった。
『わかるよ。…僕も子供の頃、君と同じように感じていたことがある。だって僕以外にはハイエロファントは見えなかったんだから。両親にすらね…。けど、リカには僕たちがいる。だから大丈夫だよ。日本の学校にもすぐに慣れるさ…』
(大丈夫……。)
優しいのりくんの笑った顔を思い出しながら、両手に息を吹きかけた。雨のせいでずいぶん寒い。こんなに降ってたらみんなのところに帰れないよ。待ってたっていつ止むの。
急に不安になってきて、今日あった嫌なことを全部思い出した。こんなにがんばってるのに、いつまで耐えたらいいんだろう。
「疲れたなぁ……」
その場でしゃがみ込んだら靴下からじゅわって水がしみ出て気持ち悪い。帰らなきゃいけないんだからいつまでもこうしてるわけにはいかないのに、体はなかなか動いてくれなかった。
しばらくぼーっと雨の景色を眺めてたら、ふいに誰かに呼ばれた気がした。
声が聞こえたわけじゃないけど、それは形となって現れた。
(もしかして)
大きな黒い傘を差した男の人が、急ぎ足でこっちに向かってきている。ときどき何か探してるみたいに周りを見渡して。
見間違うわけなくて、私は反射的に立ち上がった。
「リカ!」
目と目が合って、今度は間違いなく名前を呼ばれた。真っ直ぐこっちに向かってくる承太郎を見た瞬間、私は耐えきれなくなってすぐに軒下から駆け出していた。
なんだかすごく不安で悲しかったから、思いっきり承太郎に抱きついて泣いちゃったのを誤魔化した。本当に安心した。
私を受け止めてくれた承太郎は持ってた傘を私の方に傾けて大きめに息を吐いた。
「やれやれだぜ。来てみたら案の定これだ…ここまで濡れる前に、どこかに避難してりゃ良かっただろーが」
「……。」
「ダークネスも使わなかったのか」
「……だって、見られたら変に思われる」
承太郎はやっぱりため息つきながらぐっと私の肩に回した腕に力を込めた。押し付けられてちょっと苦しい。私が濡れてるのが承太郎に移っていく分、あったかくなってほっとする。どんどん気が抜けて、離れたくなくなった。
「…ほんと、嫌な日だった。…来るならもっと早く来てほしかった」
「ふっ」
涙が次から次へと出てきて鼻声で訴えたら笑われた。
「なら、とっとと帰るか。これ以上機嫌を悪くされても困るしな」
「……自分で歩ける」
「そーかよ」
普通に担がれそうになったのでふんばって阻止した。
しゅんしゅん鼻をすすりながら歩く私に承太郎は何も言わなかったけど、片手で傘を持ったまま、もう片方の手は私を繋いで離さなかった。
「あらあらまぁまぁリカ!この雨で大変だったでしょう!」
「うん…でも途中で承太郎と会ったから平気」
玄関の扉が開く音でホリーさんが駆けてきた。すごく慌ててたので心配してくれてたのが伝わってくる。本当に帰ってきたって実感して、私もようやく表情が緩んだ。お家の中なら、どれだけ雨でも平気だもん。
承太郎は外で傘の水滴を落としている。
「心配してたのよぉ〜〜。ちらちら外を気にしてると思ってたら、雨が降り出したとたん承太郎が出てっちゃってぇ。やっぱり迎えに行っていたのね!無事に会えたんならよかったわぁぁ」
「おい…余計なことをべらべら喋るんじゃあねーぜ」
「ありがと、承太郎」
「ふん」
ぐしぐしと私の頭を撫で、承太郎は先に家の中に上がって行った。
「ほらほら、リカも早く靴を脱いで。靴下もね!それから、ランドセルはここに置いておいて」
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるホリーさん。
温かいリビングに入ってタオルで髪を拭いていたら、先にいなくなってた承太郎がお風呂を溜めてくれていた。
順番にお風呂に入ってほかほかしたら、承太郎がいつも通り後ろに座って髪を拭いたり整えてくれた。雨に打たれてすごく冷たくなっちゃってたから、一気にあったまってこのまま承太郎にもたれて寝ちゃいそう……。呼吸で胸が動いてるのも、心臓がどきどきしてるのも全部伝わってきて、すっごく眠たい…。
「リカ」
「なにー?」
「…そんなに嫌なら、学校なんざ行かなくても良いと思うがな」
「うん」
「こら!無責任なこと言わないの承太郎!」
お玉を持ったまま台所からホリーさんが声を張り上げ、怒られた承太郎はちょっとむっと眉間にしわを寄せていた。
後ろから私を抱え直して今度は少し小さな声で囁いた。
「良いことを教えといてやるよ。小学校は行かなくても卒業できるんだぜ」
「うふふ」
なんだかしつこくて笑っちゃった。まるで私のこと学校に行かせたくないみたいで。
きっと明日は大丈夫。