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家に帰ってジャンプを読んでたら、突然ドバーッと雨が降り始めた。
バケツをひっくり返したみたいな音に驚いて顔を上げる。見えるところが全部灰色になっていた。
「雨だぁ」
「あらやだ洗濯物!」
傘持ってなかったから、降る前に帰れてラッキー。リカがぽけーっとそう考えていると、真横をホリーが駆けていった。
「ま、待ってよ!」
リカも慌てて後に続き、雨の中洗濯物を取り込むホリーに傘を差してあげた。
「ありがとう、リカ」
「いいよこんなの。ホリーさん濡れなかった?」
「オフコース!あなたのおかげよ。干してた服はちょっと濡れちゃったけど」
お茶目に首をすくめるホリーと笑い合った。
改めて家の中に洗濯物を干し終わったら、雨は少し弱くなっていた。
温かいお茶を2人で飲みながら、ふとホリーが思い出したように呟いた。
「…承太郎、大丈夫かしらぁ」
そういえば、そろそろ帰ってくる時間。
(最近なんだかちゃんと勉強してるみたい。だいたい学校が終わって同じような時間に帰ってくる。)
「…大丈夫じゃない?」
「あの子神経質だから…雨に濡れるの嫌なんじゃないかしら」
「え………(全然気にしないで帰ってきそう)」
ホリーは相変わらず過保護である。
「そうだわ!タクシーで迎えに行ってあげましょう!」
「だめよホリーさん!そんなの嫌がるに決まってる!!」
もう「うっとおしいんだよッ!!」が聞こえてきた気がしてリカは焦った。
ぶんぶん首を横に振っていたら、しばらくしてホリーの2度目の「そうだわっ!」が炸裂した。
眩しい笑顔に嫌な予感がする。
「あー、見えてきたぁ」
大きな敷地の中の校舎を見上げながらリカは1人つぶやいた。
可愛いらしい薔薇模様の自分の傘を差し、片手には黒の大きめの傘を提げている。
これは承太郎の分。リカは雨の中学校まで彼を迎えに来ていた。
非常にるんるんのホリーに「絶対喜ぶ!絶対喜ぶ!!」と促されてこうしてやってきたのだ。ちなみに、危ないからという理由でホリーは自宅にタクシーを呼びつけ、リカを押し込んだ。いまいちおつかい感が薄れる。
(この辺で見てたらわかるかな…)
校門周りのお店の塀に隠れ、帰っていく生徒たちの中から目立つ承太郎の姿を探す。
傘を持ってる人と持ってない人は半々ぐらい。こんなに降るって言ってなかったから、天気予報ってあてにならない。
この時リカは気付いていなかったが、彼女自身もまたその見目麗しき存在感で非常に目立っていた。
「見ろよあの子……めちゃくちゃ可愛くね?」
「やばっ。…中学生?誰か待ってんのかな」
「え、声かけてみる?」
あちこちからそんな声が聞こえてきて、それと同時にリカがいることに気付いたのは現れた空条承太郎その人だった。
「ねぇ、JOJO!私の傘に入って!」
「あんたぬけがけしないでよ!JOJOは私と帰るのよぉ!」
「大きい傘持ってきたのよ!私のに入って!」
学校を出てからずっとついてくる女子たちが周りで揉めているが、もはや聞こえちゃいない。
おねだりされて買ってあげた傘(ちょろい)を使ってくれているのがまず嬉しいし、自分のために引きずるような大きな傘を持ってきてくれたのも嬉しいし、学校が終わると同時に会えたのも嬉しいし、何よりリカが自分のために雨の中やってきてくれたことがとんでもなく嬉しい承太郎。
「やぁリカ。驚いたなぁ!承太郎を迎えにきたのかい?」
ところがリカに1番に声をかけたのは爽やかな笑顔が眩しい花京院だった。おいぃぃぃい!!と心中穏やかではない承太郎を置いて、颯爽とリカのところに馳せ参じる。承太郎と同じくファンの女子たちを背中にくっつけながら。
「この雨の中大変だったろう。道に迷わなくてよかった」
「途中までタクシーできたの」
「あっはっは!なるほどね」
やっぱり塀に隠れながらリカはおろおろしていた。周りの女子たちがどう見ても「誰この子!」「誰よこの子!」「この子誰なの!」と息巻いているからだ。わかっていたけど、他の人から見ても承太郎ものりくんもかっこいいんだなぁ。ファンがついてる。めんどくさい。
てゆーか、この大量に傘がある状況……私来なくても平気だったんじゃん。別に、承太郎も誰か好きな人に傘入れてもらえばいいのに…。
ちょっとむっとしてしまう。
「……のりくん傘使う?」
「えっ?!」
ちょっと反抗したくなってしまって、そばにいるのりくんに黒い大きな傘を手渡すようにした。花京院は傘こそ持っていなかったものの、リカがそれを渡す相手は間違いなく承太郎だろうと思っていたので驚いている。というかリカがなんとなくツンとしているので、巻き込まれたくないなぁと思いつつ承太郎を見た。すでに殺気立っていたので見なけりゃよかったと思った。
「…まぁ、それじゃあ有り難く貸してもらおうかな。こんなに降るとは思ってなかった」
何故僕はこの無粋な友人をついつい煽ってしまうのだろうか。普段はクールにしているけど、リカのこととなると目に見えて必死になるのが面白くてたまらないのである。
そして花京院は自分のそんな歪んだところも嫌いではなかった。黒い傘を受け取りリカが良く褒めてくれる笑顔を浮かべる。
「ありがとう、リカ」
「うん。一緒に帰ろ」
塀から少し身を乗り出して上目遣いに手を伸ばしてくるリカ。え、もうなんかめっちゃ可愛い。
リカは不機嫌になればなるほど理不尽に甘えてくるので、ついつい甘やかしてしまう花京院である。(承太郎にはやらないので余計に。)
2人の手が触れようとして、花京院のファンの女生徒が「いやーっ!」と頭を抱えた。
「待ちな。てめー花京院、さっきからこの俺を無視とは良い度胸してるじゃねぇか。その傘はうちのだぜ」
「いや、知ってるけど…リカが貸してくれるって言うから」
「てめーにその傘を貸したら俺はどうなる?ずぶ濡れで帰れってことかよ」
「傘ならいっぱいあるでしょ。順番待ちしてるよ」
予想通り絡んできた承太郎に女子たちを指差し容赦のないリカ。花京院は笑うのを堪えようとしたが無理だった。「ぶはっ」と息が漏れ、それを手で押さえる。
「のりくん帰ろっ。うちでゲームしよーよ!」
くつくつ笑っていて空いている方の手をリカが掴んだ。なんで承太郎はこんなに報われないんだ…リカが子供であるせいなのか何なのか、悪気はないんだろうがおもしろくて仕方がない。
しかし花京院の優越感は長くは続かなかった。
2人が手を繋いだ瞬間動き出した承太郎が、すぐさまリカを持ち上げ引き離したからだった。
「ぅわぁっ」
がしぃ!と脇の下を片腕で引き寄せられ両足が地面から離れる。リカはバランスを崩して傘を落としそうになった。しかしその小さな薔薇の傘は承太郎がしっかりと奪っている。
とん、と持ち上げた勢いのわりには優しく降ろされリカは承太郎を見上げた。ちょっと悔しそうに唇を引き締めて眉間に皺を寄せていた。
なんか怒られそう…と身をすくめたリカであったが、承太郎はしばらくリカを見つめると何も言わずに代わりにその肩を引き寄せたまま歩き始めた。承太郎はリカの小さな傘を差している。ぎゅうぎゅうに詰めても2人でギリギリだ。むしろ制服の端なんかちょっと濡れている。
「……恥だぜ。あいつらの傘になんか入ると思われたんならな」
「?」
ぼそっと上から聞こえてきたのでリカは顔を上げたけれど、承太郎は前を見ていたので目が合うことはない。だからリカは気付かなかった。
彼女の小さな傘に一緒に入るために、承太郎が少しばかり勇気を出したことを。
「行くぜ花京院。」
「おや、いいのかい?」
「……その傘はうちのだろーが」
距離感にいたたまれなくなったのか、承太郎がくるりと振り向いて花京院を呼んだ。もどかしいその心情を知る花京院はくすりと苦笑してから、二人の後を追いかけるのだった。
背中に女子の黄色い声を浴びながら。
「そーだっ!ホリーさんに電話しとかなきゃ!」
結局雨が酷くなったので、喫茶店でお茶して帰った。
バケツをひっくり返したみたいな音に驚いて顔を上げる。見えるところが全部灰色になっていた。
「雨だぁ」
「あらやだ洗濯物!」
傘持ってなかったから、降る前に帰れてラッキー。リカがぽけーっとそう考えていると、真横をホリーが駆けていった。
「ま、待ってよ!」
リカも慌てて後に続き、雨の中洗濯物を取り込むホリーに傘を差してあげた。
「ありがとう、リカ」
「いいよこんなの。ホリーさん濡れなかった?」
「オフコース!あなたのおかげよ。干してた服はちょっと濡れちゃったけど」
お茶目に首をすくめるホリーと笑い合った。
改めて家の中に洗濯物を干し終わったら、雨は少し弱くなっていた。
温かいお茶を2人で飲みながら、ふとホリーが思い出したように呟いた。
「…承太郎、大丈夫かしらぁ」
そういえば、そろそろ帰ってくる時間。
(最近なんだかちゃんと勉強してるみたい。だいたい学校が終わって同じような時間に帰ってくる。)
「…大丈夫じゃない?」
「あの子神経質だから…雨に濡れるの嫌なんじゃないかしら」
「え………(全然気にしないで帰ってきそう)」
ホリーは相変わらず過保護である。
「そうだわ!タクシーで迎えに行ってあげましょう!」
「だめよホリーさん!そんなの嫌がるに決まってる!!」
もう「うっとおしいんだよッ!!」が聞こえてきた気がしてリカは焦った。
ぶんぶん首を横に振っていたら、しばらくしてホリーの2度目の「そうだわっ!」が炸裂した。
眩しい笑顔に嫌な予感がする。
「あー、見えてきたぁ」
大きな敷地の中の校舎を見上げながらリカは1人つぶやいた。
可愛いらしい薔薇模様の自分の傘を差し、片手には黒の大きめの傘を提げている。
これは承太郎の分。リカは雨の中学校まで彼を迎えに来ていた。
非常にるんるんのホリーに「絶対喜ぶ!絶対喜ぶ!!」と促されてこうしてやってきたのだ。ちなみに、危ないからという理由でホリーは自宅にタクシーを呼びつけ、リカを押し込んだ。いまいちおつかい感が薄れる。
(この辺で見てたらわかるかな…)
校門周りのお店の塀に隠れ、帰っていく生徒たちの中から目立つ承太郎の姿を探す。
傘を持ってる人と持ってない人は半々ぐらい。こんなに降るって言ってなかったから、天気予報ってあてにならない。
この時リカは気付いていなかったが、彼女自身もまたその見目麗しき存在感で非常に目立っていた。
「見ろよあの子……めちゃくちゃ可愛くね?」
「やばっ。…中学生?誰か待ってんのかな」
「え、声かけてみる?」
あちこちからそんな声が聞こえてきて、それと同時にリカがいることに気付いたのは現れた空条承太郎その人だった。
「ねぇ、JOJO!私の傘に入って!」
「あんたぬけがけしないでよ!JOJOは私と帰るのよぉ!」
「大きい傘持ってきたのよ!私のに入って!」
学校を出てからずっとついてくる女子たちが周りで揉めているが、もはや聞こえちゃいない。
おねだりされて買ってあげた傘(ちょろい)を使ってくれているのがまず嬉しいし、自分のために引きずるような大きな傘を持ってきてくれたのも嬉しいし、学校が終わると同時に会えたのも嬉しいし、何よりリカが自分のために雨の中やってきてくれたことがとんでもなく嬉しい承太郎。
「やぁリカ。驚いたなぁ!承太郎を迎えにきたのかい?」
ところがリカに1番に声をかけたのは爽やかな笑顔が眩しい花京院だった。おいぃぃぃい!!と心中穏やかではない承太郎を置いて、颯爽とリカのところに馳せ参じる。承太郎と同じくファンの女子たちを背中にくっつけながら。
「この雨の中大変だったろう。道に迷わなくてよかった」
「途中までタクシーできたの」
「あっはっは!なるほどね」
やっぱり塀に隠れながらリカはおろおろしていた。周りの女子たちがどう見ても「誰この子!」「誰よこの子!」「この子誰なの!」と息巻いているからだ。わかっていたけど、他の人から見ても承太郎ものりくんもかっこいいんだなぁ。ファンがついてる。めんどくさい。
てゆーか、この大量に傘がある状況……私来なくても平気だったんじゃん。別に、承太郎も誰か好きな人に傘入れてもらえばいいのに…。
ちょっとむっとしてしまう。
「……のりくん傘使う?」
「えっ?!」
ちょっと反抗したくなってしまって、そばにいるのりくんに黒い大きな傘を手渡すようにした。花京院は傘こそ持っていなかったものの、リカがそれを渡す相手は間違いなく承太郎だろうと思っていたので驚いている。というかリカがなんとなくツンとしているので、巻き込まれたくないなぁと思いつつ承太郎を見た。すでに殺気立っていたので見なけりゃよかったと思った。
「…まぁ、それじゃあ有り難く貸してもらおうかな。こんなに降るとは思ってなかった」
何故僕はこの無粋な友人をついつい煽ってしまうのだろうか。普段はクールにしているけど、リカのこととなると目に見えて必死になるのが面白くてたまらないのである。
そして花京院は自分のそんな歪んだところも嫌いではなかった。黒い傘を受け取りリカが良く褒めてくれる笑顔を浮かべる。
「ありがとう、リカ」
「うん。一緒に帰ろ」
塀から少し身を乗り出して上目遣いに手を伸ばしてくるリカ。え、もうなんかめっちゃ可愛い。
リカは不機嫌になればなるほど理不尽に甘えてくるので、ついつい甘やかしてしまう花京院である。(承太郎にはやらないので余計に。)
2人の手が触れようとして、花京院のファンの女生徒が「いやーっ!」と頭を抱えた。
「待ちな。てめー花京院、さっきからこの俺を無視とは良い度胸してるじゃねぇか。その傘はうちのだぜ」
「いや、知ってるけど…リカが貸してくれるって言うから」
「てめーにその傘を貸したら俺はどうなる?ずぶ濡れで帰れってことかよ」
「傘ならいっぱいあるでしょ。順番待ちしてるよ」
予想通り絡んできた承太郎に女子たちを指差し容赦のないリカ。花京院は笑うのを堪えようとしたが無理だった。「ぶはっ」と息が漏れ、それを手で押さえる。
「のりくん帰ろっ。うちでゲームしよーよ!」
くつくつ笑っていて空いている方の手をリカが掴んだ。なんで承太郎はこんなに報われないんだ…リカが子供であるせいなのか何なのか、悪気はないんだろうがおもしろくて仕方がない。
しかし花京院の優越感は長くは続かなかった。
2人が手を繋いだ瞬間動き出した承太郎が、すぐさまリカを持ち上げ引き離したからだった。
「ぅわぁっ」
がしぃ!と脇の下を片腕で引き寄せられ両足が地面から離れる。リカはバランスを崩して傘を落としそうになった。しかしその小さな薔薇の傘は承太郎がしっかりと奪っている。
とん、と持ち上げた勢いのわりには優しく降ろされリカは承太郎を見上げた。ちょっと悔しそうに唇を引き締めて眉間に皺を寄せていた。
なんか怒られそう…と身をすくめたリカであったが、承太郎はしばらくリカを見つめると何も言わずに代わりにその肩を引き寄せたまま歩き始めた。承太郎はリカの小さな傘を差している。ぎゅうぎゅうに詰めても2人でギリギリだ。むしろ制服の端なんかちょっと濡れている。
「……恥だぜ。あいつらの傘になんか入ると思われたんならな」
「?」
ぼそっと上から聞こえてきたのでリカは顔を上げたけれど、承太郎は前を見ていたので目が合うことはない。だからリカは気付かなかった。
彼女の小さな傘に一緒に入るために、承太郎が少しばかり勇気を出したことを。
「行くぜ花京院。」
「おや、いいのかい?」
「……その傘はうちのだろーが」
距離感にいたたまれなくなったのか、承太郎がくるりと振り向いて花京院を呼んだ。もどかしいその心情を知る花京院はくすりと苦笑してから、二人の後を追いかけるのだった。
背中に女子の黄色い声を浴びながら。
「そーだっ!ホリーさんに電話しとかなきゃ!」
結局雨が酷くなったので、喫茶店でお茶して帰った。