Love the darkness -3-
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変態おじさんのスタンド能力から解き放たれ、元の大きさに戻った私が最初にしたことといえば…タオル一枚のポルナレフを笑うことだった。
「あっはっはっは!危ないってポルナレフ〜!ギリギリじゃーん。はいっ、服あるよ」
「お前なぁ〜〜!先に着せとくとかあっただろーがっ!」
「だって赤ちゃんポルナレフ、じっとしてくれないんだもん。私もそれどころじゃなかったし……」
それどころじゃなかった間の出来事を思い出して承太郎の方を見た。
「……。」
頭が痛そうに片手で額を押さえてうなだれている。暗い路地裏にマッチしていた。よほどの出来事だったのだろう。
なんて声をかけたらいいのかわからずとりあえずタオルで隠しつつ服を着るポルナレフを見た。
そしたら、さらにその背後に女の人が立っていた。
「?!きゃああああ!!!露出狂ーーーーッッ!!!」
「えっ!?」
お尻丸出しのポルナレフに恐怖を感じたらしい。走って逃げていく女の人に虚しくポルナレフの手が泳いだ。
「ねぇぇぇ、ほんっとおもしろすぎるんだけど…っ!ポルナレフってほんとさぁー!」
あっはっはっはと草を生やす私。
ポルナレフは空を切る手を握りしめ、怒りに震えている。
「あの変態オヤジがぁぁ〜ッ!!ぜっっったいに許さねぇ!!あの野郎どこ行った?!このままじゃ腹の虫がおさまらねぇぜッ!!行くぜ承太郎!!」
そして着替えるや否や承太郎の襟首を引っ掴んでだばだーと大通りに2人で飛び出して行った。
執念深く逃げてた変態おじさんを2人で改めてボコボコにしたらしい。…ま、また襲われても困るしね…。
「あーーーーマジで疲れた……とりあえず、早くジョースターさんとアヴドゥルと合流しようぜ…」
ポルナレフの怪我は体が大きくなったらさほど大したことがなかったみたいで、ダークネスの軽い止血で大丈夫そうだった。
どーやら私たちを助けてくれたあのお姉さんと会ったみたいで、無事だったって教えてくれた。
アンニュイにため息をつくポルナレフを見て何か元気付けてあげたかったけど、承太郎が黙って首を横に振るのでやめといた。ポルナレフってほんっといい奴だよね。
「…お腹すいたね」
起きてから長いこと絶食させられてるので正直胃が限界だけど、敵と出会ったことを早く報告しなきゃだし、みんなでまたホテルに戻ることにした。
「……承太郎ってさぁ」
「……。」
斜め後ろから声をかけたら、承太郎の背中がちょっと『ギクリ』とした。いや、『ギクリ』って何よ。
ちょっと引っかかったけど構わず続けた。何故って?どうしても言わずにいられなかったのだ。7歳の私のときめきをどうしてくれる。
「なんでそんな仕上がりになっちゃったの?あんなに可愛くて王子様みたいだったのに…」
「はぁ?」
「残念だわ。ほんと残念……あの時の承太郎を見たら、誰もこんな風になるなんて思わないよ…。10年したら男の子ってこんなに怖くなっちゃうの?ねぇほんと…帰ったらホリーさんに謝った方がいいよ」
なんなら7歳のときの方がコミュ力高かったんじゃないだろうか…。
優しく宥めてくれて元気づけてくれて。この子とならずっと一緒にいたいなって思ったもんねー。
ちら、と私をかえりみる承太郎は苦々しく顔をしかめている。
「てめぇさっきのことそれ以上話したら…マジに朝飯は食わさねぇぞ」
「えっ!!」
「いや、もう昼飯か」
「なぁぁんでえええ!!」
あいつを倒すのにけっこう頑張ったよ!?
涙目で頭を抱える私の横からポルナレフがにゅっと割り込んできた。
「いや、いやいやいや!お前らもーちょっとさっきのこと話した方がいいってぇ!ちゅーしてたんだぜっ!大事なことじゃねーかぁ」
そう。私たちは縮んだときは記憶がどんどんなくなっていっていたのに、元に戻ったら縮んだ間の記憶がちゃんとあったのだ。
「それは別にいいのよ。子供なら良くあることよ」
さっさっと手を振る私。承太郎とポルナレフは「うわぁ……」って感じでなんか引いていた。
「それより、なんでこの仕上がりに……7歳の承太郎、素敵だったのに」
「てめー、同じ言葉をそっくり返してやるぜ」
「わぁっ!もー!やめてよ〜」
ぐしぐしと髪のてっぺんをかき混ぜられた。ぐちゃぐちゃに絡まった髪で顔が隠れる私にポルナレフが笑ってる。
「確かに…天使のよーに可愛かったもんなぁ。こんなに生意気になるとは誰も思わねぇってか!」
「ふん」
承太郎は鼻を鳴らすとまた先を歩き始めた。
褒められたようなけなされたような…。でも、承太郎に可愛いって言われたことないし、ポルナレフに反論しないのがちょっと嬉しかったり。
照れてしまってそれを髪をいじって誤魔化した。
「でもさ、まさか素手であのおじさんをやっつけるなんて思わなかったよね。格闘技とか習ってた?」
「いや…水泳とかはやってた気もするがな…」
「ふぅん…よく殴れたね」
ということは、やっぱり芯の部分は変わってないってことかな。そうだよね。今だって頼れるし優しいもん。でも…7歳の承太郎……また会いたいなー。あの時だけは同い年だったのに。
つらつら考えながらふと見たら、承太郎が立ち止まって私を見てた。きらっと光るグリーンの瞳は、子供の時から変わっていない。7歳の彼と同じ輝きで私を映している。
「約束したんでな。…ああいうクソ野郎は俺がぶちのめさなきゃならねぇ。全員な」
スティーリー・ダンと戦った時のことを思い出した。あれって約束だったんだ。
承太郎はポケットに手を突っ込んで無粋にしてるけど、私は妙に納得してしまった。この人はきっと約束を破ったりしない。
それなら、7歳の承太郎が言ってた『約束』は?大人になったら結婚しようって言ってましたけど。
(…ま、ありえないけどね)
7歳同士だから成り立ったんだよ。きっと。
「なんだぁ?約束って」
「行くぜ」
きょとんとしてるポルナレフを置いて、承太郎はまた歩き始めた。
なんとなく、7歳の承太郎の勇気を讃えてあげたくなったので、小走りに追いついて手を握った。
「ありがとう、承太郎。あいつをやっつけてくれて」
「俺が殴る前からふらふらだったがな」
おかしそうに口角を持ち上げる承太郎はやっぱり得意げで嬉しそうだった。
掴んだ私の手を自分のと一緒にポッケに入れて、その中で指をさわさわされる。
くすぐったいので絡んだ時にぎゅって固定した。承太郎も同じようにしてくれた。
「約束ってなんだよ?結婚するやつ?」
「…やれやれ。無駄に記憶力の良い2歳児だぜ」
ポルナレフがにやにや絡んでくる。めんどくせぇからジジィに言うんじゃねーぞって承太郎が釘を刺した。
「あっ!!無事じゃったのかリカ!ううぅ、良かった…!本当によかったわい!!」
出会い頭にジョセフに突進された。
猛烈に抱きつかれて承太郎のポケットから手が離れる。
承太郎もポルナレフも、噂をすればなんとやらで驚いてちょっと挙動不審だった。
涙目のジョセフに聞いたら、砂漠のトイレで見たコンセントは敵のスタンドだったらしい。
散々な目にあったらしいアヴドゥルはアヴドゥルでポルナレフに泣きついていた。
「ほーらねっ!私があんなに寝相悪いわけないでしょ!敵のスタンドのせい!」
「ああ…なるほどな。腹が出てたのもよだれ垂らしてたのもスタンド攻撃だったってわけか」
「よ、よだれ?!……嘘でしょ…?!」
「……リカ、承太郎。ちょっと来なさい」
「「………。」」
結局昨日一緒に寝たのがバレて、また2人してジョセフに怒られた。戦いの直後だっていうのに体力鬼すぎ。