Love the darkness -3-
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なんだかやたらと朝日が眩しい、と思って薄目を開けたら、寝る前と景色が変わっていた。
「ぶふっ!ふははは!!お前らなんだその寝相〜っ?逆さまになってんじゃねーか!わはははは!!」
「逆さま?んん?…あれぇ〜??」
「おっもしれぇ〜!ふひひひひっ!」
目をこする私とこっちを指差して爆笑するポルナレフ。要領を得なくてぼーっとしてたら、横からぺちんと頭を叩かれた。承太郎だった。
「てめーふざけんな。人の顔を思いきり蹴りやがって……」
「???」
どーやら私は寝てる間に180度回転してしまったらしい。そしてそれに付き合って承太郎も反対を向いて寝ることになったって。
「なるほどな。寝てたらリカに顔を蹴られて目が覚めたと…うぷぷっ」
「上に乗ってきたかと思えばゴロゴロ回転し始めるんで、相当気味が悪かったぜ」
「ごめん……」
よほど疲れたのかしみじみため息をつく承太郎にさすがに申し訳なくなった。
おかしそうに私たちを見ていたポルナレフは話を聞きながらだんだん顔色を変え、今はかなり差し迫った険しい表情をしている。
「お前…承太郎、ちょっと待て。そりゃリカがお前の上で反対向きになったってことか?お前の頭の方にリカの足が来て、お前の足の方にリカの頭が……!?待て待て、まずいぞそれは。体勢的に…!」
「だから俺も逆を向いたんだぜ。…ったく、とんでもねぇ目に遭わされた……」
「そうだな…それは眠れん。いろんな理由で……」
「…ポルナレフ。さっきからなんか一言多い気がするな」
「………そっか?」
謎に見つめ合う2人を横目に私は近い窓から朝日を眺めていた。やっぱり昨日からなんか調子がおかしいなぁ。いくら寝相が悪くても、ぐるっと逆さまになることなんてある?てゆーか、私ってこんなに寝相悪かったんだ……。
「…自分の部屋で寝たらよかった…」
怪我人の承太郎を蹴ってしまった申し訳なさと自分の寝相にショックを受けて両手で顔を覆い隠す。承太郎がこっちをじっと見てるのが伝わってきた。
「…そうだな……次からは先にベッドに縛り付けておくことにするぜ」
「えっ?!お前そーいう趣味だったのか!」
「……冗談なんだが」
「………冗談だよなぁ」
また謎の見つめ合う時間を挟む2人。私はというと、頭も少しぼーっとするしいよいよ体調が悪いのかもと思い始めていたけれど…2人にそれを言うのはためらわれた。
ふらふらと体が引っ張られるような気がする。
「……私ジョセフのところに行ってこようかな」
「はぁ?」
とたんに顔を歪める承太郎。
昨日と同じでジョセフにくっついて甘えてたら楽かも。私自分で思ってるよりジョセフのこと好きなのかな?
「お前マジでおじいちゃん子だなー」ってポルナレフも笑ってる。
「そうみたい…。なんか元気出ないから、慰めてもらってくる」
「待ちな」
「うわぁっ」
後ろからぬっと太い腕がお腹に回って、強めに引かれてベッドに倒れた。一瞬ぎゅっとつぶった目を開けたら承太郎が私のお腹の上からこっちを上目遣いに睨んでた。ちょっと射抜かれるみたいに強い視線だった。
タックルなんてしてきて、夜の仕返しか?私は動揺して目を泳がせた。
「てめー昨日からじじぃが過ぎるぜ。わざわざ会いに行かなくてもほっときゃ勝手に出てくんだろ」
「…じじぃが、過ぎる…?」
むっとしてる承太郎の瞳を覗いたら、グリーンに染まった私は不思議そうにきょとんとした後じわじわと笑顔になった。
いや、だって、『じじぃが過ぎる』って言葉初めて聞いたから!
「あはは!何それ!その言い方おもしろすぎじゃない?!じじぃ過ぎって……私が、おじいちゃんに…なったみたい…ッ!ぷっ!あーはっはっはっは!!」
久々につぼったぁぁ…!
やばい、急に笑いすぎてお腹痛い。承太郎が上に乗ってるせいで余計苦しい。
「あははははは!もーダメ…っ。うふふふ!承太郎、おっ、おもしろすぎ……っ!!じじぃが、過ぎてるってっ…な、なに……?!」
「おまっ…へへへ、笑いすぎじゃねぇかぁ〜?うへへへへ」
あまりに私が笑うのでポルナレフも釣られて笑い始めている。
承太郎は相変わらずむすくれてるけど、それがちょっと照れてるようにも見えて、なんだかママに褒められた男の子みたいだった。また可愛く見えちゃって、頭なでなでしてあげようかと思ったぐらい。…笑っててそれどころじゃないけど。
「…元気が出たようでよかったじゃねーか。そんだけ笑ってりゃ腹も減るだろ…さっさと準備して出るぜ。過保護なじじぃが説教しに来る前にな」
「あはははやめてやめてひぃーーっ!!」
顎でおなかをぐりぐりして追い打ちかけてくる!なんだこいつ!今朝は悪ふざけがすごい。高校生なんだからそりゃそうかもしれないけど。
「やめっ、承太郎!無理もぉ無理ぃ〜っ!!はぁはぁ……っ、く、苦しい…!」
「誰がおもしろすぎるだと?」
「ご、ごめんなさい!」
「…よし、いいだろう。だいぶ気が晴れたぜ」
「はぁはぁはぁ……うぇっ」
ベッドの上でぐったりする私を見て承太郎は満足げににやりとしながら起き上がった。
「さ、顔でも洗うか」
「鬼かよ」
鼻歌でも歌い出しそうな軽快な足取りにポルナレフがドン引きしていた。承太郎の背中を涙目で見送りながら、もうジョセフ過ぎるのはやめようと心から思った。