Love the darkness -3-
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「JOJOって何?」
次の日の夜になって私はまた留置場のお兄さんに会いに来ていた。同じスタンド持ちでコントロールできてないのが心配だし、まだまだ助けてくれたお礼もしたりないような気がして。
そして何より、昨日警察官が言ってた『JOJO』って言葉が謎すぎて落ち着かなかったから。
「知るか。見ろ、テメェのおかげでただでさえ薄い布団に穴が空いちまったぜ」
ちょうどタバコに火を点けてたところだったらしく、私が真横に現れて座ってると驚いてタバコを落としてた。穴のふちが焦げてて臭い。
「ほら、見て。おばけ」
穴のところに顔をはめて布団をかぶってごまかしたら、お兄さんは「くだんねぇ」って顔を背けたけどなんか笑ってた。
留置場なんかにいるからよっぽど娯楽が少ないんだなぁ。
「お兄さん、かわいそう…」
「おいおい、勝手に上から俺を評価するんじゃねぇ。それに、『お兄さん』じゃなくて『空条承太郎』だ。『じょう』が続くから『JOJO』なんて呼ばれてる」
結局ちゃんと答えてくれた。お兄さんは雰囲気とは違って優しいしけっこう気さく。
「じょーたろうかぁ。…ねぇ、承太郎は私に悪霊のこと聞かないの?」
「お前に聞いてなんとかなるとは思えねぇ」
「そんなのわからないでしょ!いいよなんでも聞いて!」
「……いつから取り憑かれてる?」
「え…気付いたら……」
「どうやってコントロールしてる?」
「…なんとなく…」
「ほれ見ろ」
勝ち誇った顔の承太郎にむくれたらほっぺをぶす!っと指で突かれた。普通に痛い。
「そういや、お前この辺の人間じゃないな。お前みたいなのがいたらとっくに有名なはず」
「アメリカから来たよ」
「ほぉ…旅行か何かか?」
「旅行…かな?おじいちゃんが会いたい人がいるらしくて、ついてきたの」
「なるほどね」
ただし勝手にだけど。バレたらジョセフ怒るだろうなーと顔を思い出してたら、なんだか承太郎と似てる気がしてきた。
「承太郎も早く帰らないと、おうちの人が心配するよ」
「余計なお世話だ」
承太郎はつんとしてまたポケットからタバコを取り出した。
「たばこって臭いからきらい」
「……。」
くわえてた一本を離して、承太郎は少し考えるようにしてから深々ため息をついた。タバコをしまって代わりにジャラリとお金を手のひらに握ってる。
「おいリカ。明日なんだが、おつかいを頼まれてくれねぇか」
「おつかい?」
「ジャンプの発売日なんだ」
「ジャンプってなに」
「マンガ雑誌」
にやりとされて面食らった。承太郎、マンガ読むんだ。でもなんか、子供みたいで親しみが湧いた。
「…私マーベルが好き」
「知らねぇ」
小銭を受け取って、銀ピカとブロンズの枚数を教えてもらう。多めに渡されてる。
「アイスでも買いな」
「うわぁ、ありがとう!アイスクリーム大好き」
「ガキは単純でうらやましいぜ」
嫌そうな言葉とは反対にぽんぽん頭に手を乗せられている。甘やかされたので何かお礼しなきゃと思い、スタンドの中にジュースをしまってたのを思い出した。影に手を突っ込んでファンタを取り出す。
「これ飲んでいいよ」
「便利だな…」
戸惑いながら受け取る承太郎を見たらマジックが成功したみたいな気分になって嬉しかった。
明日も会えるし楽しみ!
「やけに嬉しそうじゃねぇか」
「うん!こんなに仲良くなったの承太郎が初めて。明日、ジャンプ買ってくるからね!」
「…頼んだぜ」
クールに帽子を深くかぶり直してるけど、承太郎も嬉しそうに微笑んでるように見えた。