第4章 死神の視線(前編)
セラ
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ゲートが開き、思い切り踏み込んで羽根を広げた。
「レッツどよん!」
羽根を広げ、飛び立った先は曇天の中だった。運悪く雨が降りそうな曇り空を見つめては少々顔を顰め、今から出陣するにはうってつけかと脳内でうまい具合に解決させた。言わずもがな私達は今から神器片手に冥府軍と戦うのだ。
「パルテナ様、今回の目標は何ですか?」
ピット君が私も同様に抱いていた疑問をパルテナ様にぶつける。彼女はまた例の如く私達に説明なしに…ピット君に関しては飛翔の奇跡を付け、空中へと追いやった。不思議な事に今回私は飛翔の奇跡を付けられず今、この瞬間も自力で飛んでいる状態にある。前回のヒュードラー戦で飛翔の奇跡を付けられていたか…記憶は定かではないが、はっきり言えるのは自力で飛べる行為がこんなにも喜びに満ち溢れるものとは思いも寄らなかった事。正直な話、飛翔の奇跡を付けられると羽根に重みが掛かる気がするのだ。やはり自力で飛べるなら、自由に飛び回れた方が良い。
「死神居ますよね、冥府軍の。」
「僕はあいつ、苦手ですねー…ワイワイ騒いで子死神呼んで。ああっ!!思い出しただけでイライラして来た!!もー!!」
『へぇ~死神…か…』
「そんなモンスターペアレンツの死神さんなのですが。」
「ハイ。」
『(んっ?モンスターペアレンツ?)』
伸び伸びとした表情で向かって来る冥府軍を順調に浄化していると、二人の会話から死神という単語が聞こえ耳を傾ける。今の会話を聞いていると、ピット君は死神という存在を快く思っていないらしい。手に持っている神器を振り回し、らしくもなく私の隣で嫌そうな顔を浮かべている。彼がここまで嫌悪する姿を見るのは案外珍しいのかもしれない…頭の隅で思う。死神がモンスターペアレンツなのか、突っ込み所満載の疑問がたちまち自身を支配していったが、パルテナ様が話そうとしている今回の目標が明らかに優先だろう。自分の中に流れている疑問はその後でも遅くはない。
「冥府の入口付近にある“死神の谷”に本拠地があるらしいんですよ。」
「ああ、そうですか。ふうん。でも別に僕等には関係ないんですよね?」
『(どんだけ嫌いなの、ピット君。)』
「……。」
二人の会話を横で聞きながら苦笑を浮かべた。会話から察するに私達はどうやら死神の谷に向かわなければならないらしい。だが、いつもはやる気のピット君は死神さんが相当嫌なのか…あろう事かパルテナ様に関係ない発言をする始末。苦笑を浮かべていた私は静かに溜め息を吐き出した。パルテナ様はピット君の問いに答えず無言を決め込んでしまう。パルテナ様が喋らなければ、ピット君も私も…当然口を閉ざしてしまう…私達の間に暫しの沈黙が続いた。
「分かりました!分かりましたよぉ!!何でわざわざそんな所に行くんですか??」
『(やっぱりピット君が先に折れちゃうのね。)』
「メデューサの配下、パンドーラを見つける為です。」
『パンドーラ…』
「災厄の邪神でしょうか。」
沈黙が守られている時点でピット君が先に折れるのは結果として目に見えていた。以前も話したと思うが、彼はパルテナ様にもましてや私にも口で勝てた前例がない。どんなに強がってみせても最終的にピット君が負けを認めてしまうのだ。再度苦笑を浮かべながら二人の会話に参加する。パルテナ様が私達に目的を話し始めた。
「彼女がいるトラップダンジョンは死神砦の魔力によって隠されています。どうしても見つからないんですよね、この“パルテナアイ”を持ってしても。」
『えっ?』
「パルテナ様、」
「『そんな能力ありましたっけ?』」
「いえ、言ってみただけですけど。」
「んがっ!!」
『……。(言ってみただけなんだ…)』
「とにかく、貴方達の役目は死神砦を攻略する事です!」
「『りょ…了解しました!!』」
パルテナ様も冗談を言ったりするんだなぁと頭の片隅で感想を述べながら、相も変わらず向かって来る冥府の軍勢を返り討ちにする。死神砦に着実に近付いているのか、敵の数も増加している様に思う。私達をよっぽど近付けさせたくないらしい、攻撃は止むことなく私達を襲う。無論只やられてしまう私達ではない、攻撃をひらりと躱しながら冥府軍を次々と浄化して行く。今、私達が飛行するのは辺り一面に広がる荒れ地、街は当たり前に見えずホッと胸を撫で下ろす。仮に人々の街や村がこの場所に存在していたのならきっと巻き込んでしまっていただろう。どんな理由があろうとも人々を傷付けて良い…という事にはならない。それこそメデューサの思惑通りになってしまう、頭の隅でそんな事を考えながら荒れ地の中を飛び回る。本当に安心した、ピット君の口から言わせてもらえば思う存分戦える。それを証拠に向かって来る冥府軍を力任せに薙ぎ払っている…苦笑を浮かべるしか方法が見つからなかった。
「レッツどよん!」
羽根を広げ、飛び立った先は曇天の中だった。運悪く雨が降りそうな曇り空を見つめては少々顔を顰め、今から出陣するにはうってつけかと脳内でうまい具合に解決させた。言わずもがな私達は今から神器片手に冥府軍と戦うのだ。
「パルテナ様、今回の目標は何ですか?」
ピット君が私も同様に抱いていた疑問をパルテナ様にぶつける。彼女はまた例の如く私達に説明なしに…ピット君に関しては飛翔の奇跡を付け、空中へと追いやった。不思議な事に今回私は飛翔の奇跡を付けられず今、この瞬間も自力で飛んでいる状態にある。前回のヒュードラー戦で飛翔の奇跡を付けられていたか…記憶は定かではないが、はっきり言えるのは自力で飛べる行為がこんなにも喜びに満ち溢れるものとは思いも寄らなかった事。正直な話、飛翔の奇跡を付けられると羽根に重みが掛かる気がするのだ。やはり自力で飛べるなら、自由に飛び回れた方が良い。
「死神居ますよね、冥府軍の。」
「僕はあいつ、苦手ですねー…ワイワイ騒いで子死神呼んで。ああっ!!思い出しただけでイライラして来た!!もー!!」
『へぇ~死神…か…』
「そんなモンスターペアレンツの死神さんなのですが。」
「ハイ。」
『(んっ?モンスターペアレンツ?)』
伸び伸びとした表情で向かって来る冥府軍を順調に浄化していると、二人の会話から死神という単語が聞こえ耳を傾ける。今の会話を聞いていると、ピット君は死神という存在を快く思っていないらしい。手に持っている神器を振り回し、らしくもなく私の隣で嫌そうな顔を浮かべている。彼がここまで嫌悪する姿を見るのは案外珍しいのかもしれない…頭の隅で思う。死神がモンスターペアレンツなのか、突っ込み所満載の疑問がたちまち自身を支配していったが、パルテナ様が話そうとしている今回の目標が明らかに優先だろう。自分の中に流れている疑問はその後でも遅くはない。
「冥府の入口付近にある“死神の谷”に本拠地があるらしいんですよ。」
「ああ、そうですか。ふうん。でも別に僕等には関係ないんですよね?」
『(どんだけ嫌いなの、ピット君。)』
「……。」
二人の会話を横で聞きながら苦笑を浮かべた。会話から察するに私達はどうやら死神の谷に向かわなければならないらしい。だが、いつもはやる気のピット君は死神さんが相当嫌なのか…あろう事かパルテナ様に関係ない発言をする始末。苦笑を浮かべていた私は静かに溜め息を吐き出した。パルテナ様はピット君の問いに答えず無言を決め込んでしまう。パルテナ様が喋らなければ、ピット君も私も…当然口を閉ざしてしまう…私達の間に暫しの沈黙が続いた。
「分かりました!分かりましたよぉ!!何でわざわざそんな所に行くんですか??」
『(やっぱりピット君が先に折れちゃうのね。)』
「メデューサの配下、パンドーラを見つける為です。」
『パンドーラ…』
「災厄の邪神でしょうか。」
沈黙が守られている時点でピット君が先に折れるのは結果として目に見えていた。以前も話したと思うが、彼はパルテナ様にもましてや私にも口で勝てた前例がない。どんなに強がってみせても最終的にピット君が負けを認めてしまうのだ。再度苦笑を浮かべながら二人の会話に参加する。パルテナ様が私達に目的を話し始めた。
「彼女がいるトラップダンジョンは死神砦の魔力によって隠されています。どうしても見つからないんですよね、この“パルテナアイ”を持ってしても。」
『えっ?』
「パルテナ様、」
「『そんな能力ありましたっけ?』」
「いえ、言ってみただけですけど。」
「んがっ!!」
『……。(言ってみただけなんだ…)』
「とにかく、貴方達の役目は死神砦を攻略する事です!」
「『りょ…了解しました!!』」
パルテナ様も冗談を言ったりするんだなぁと頭の片隅で感想を述べながら、相も変わらず向かって来る冥府の軍勢を返り討ちにする。死神砦に着実に近付いているのか、敵の数も増加している様に思う。私達をよっぽど近付けさせたくないらしい、攻撃は止むことなく私達を襲う。無論只やられてしまう私達ではない、攻撃をひらりと躱しながら冥府軍を次々と浄化して行く。今、私達が飛行するのは辺り一面に広がる荒れ地、街は当たり前に見えずホッと胸を撫で下ろす。仮に人々の街や村がこの場所に存在していたのならきっと巻き込んでしまっていただろう。どんな理由があろうとも人々を傷付けて良い…という事にはならない。それこそメデューサの思惑通りになってしまう、頭の隅でそんな事を考えながら荒れ地の中を飛び回る。本当に安心した、ピット君の口から言わせてもらえば思う存分戦える。それを証拠に向かって来る冥府軍を力任せに薙ぎ払っている…苦笑を浮かべるしか方法が見つからなかった。
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