第6章 黒いピット(後編)
セラ
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「居た!!」
「フン。しゃらくさい!」
どうやらピット君は、ブラピ君を見つけた様だ。向かって来る魔物達を浄化しながら、二人が戦う姿を見守っている。神器同士が搗ち合う音が凄まじい。魔物達を浄化し終えたら、私もピット君に加勢するつもりで居るけれど必要がないかもしれない。そう思わされる程に二人のバトルに圧倒された。二人共、隙のない攻撃で互いが互いを翻弄している。ブラピ君に打撃攻撃を受けそうになってもぎりぎりの所で躱し、射撃して来るピット君にブラピ君はその反撃を躱して……一瞬も見逃せない戦い。思わず時間を忘れ、魅入ってしまう。二人の戦いを両眼に焼き付けていると、私の視線に気付いたのか…ブラピ君と目と目がばっちり合った。一瞬垣間見せる彼の悲しそうな顔、両眼を大きく見開かせる私。次の瞬間、ピット君の打撃が彼の腹部にヒットした。一瞬だけ見せた彼の隙。痛みに歪めた彼の表情。
「くそっ!!」
「逃げた!!」
「大丈夫です。また別の場所に降りて来ますよ。噴水広場迄戻りなさい。ブラピは暗い所に潜り込んだ様です。地下かしら?」
『(ブラピ君…)』
何故、隙を作らず戦い合っていたブラピ君が突然一瞬にして、隙を作ってしまったのか……以前にも見せた悲しそうな顔をする意味は…?私の中に芽生えた微かな疑問。彼は私に一体…何を伝えようとしているの?
『(何とか話せないかな…)』
「セラちゃん!行こう!」
『う…うん…』
彼と…話をしたい。
「崩壊した神殿…でしょうか?」
噴水広場迄一旦戻り、魔物達が移動する後を追う。少し歩くと、物寂しくも何処か清らかな土地が視界に入る。此処に昔、神神が祀られていたのか…今は、荒れ果てておりそんな雰囲気は全くない。
「困った時には神に頼るが、裕福になると直ぐに忘れてしまう。人間とは勝手なものよ。セラ、お前もそう思うだろう?」
『えっ?!』
「メデューサ!お前と一緒にするな!」
『……そうかもしれないけど、私達神や天使も対して変わらないと私は…思うわ』
「…セラ…」
「…フン、まあ良いさ」
魔物を浄化していると、メデューサから同意を求められる。ブラピ君の事を考えていたからか、反応が遅れてしまったが私の思いを…ちゃんとメデューサに伝えた。面白くなさそうにメデューサは相槌を打つと、彼女はそのまま黙り込んでしまった。人々が勝手ではないと否定は出来ない、今迄そんな場面を幾度となく見つめて来た…でもそれは私達も一緒。神や天使にだって同じ事が言える。パルテナ様は、それでも人々を護っている…その為に戦ってくれている。私だって気持ちは同じ、だから今こうして神器を手中に戦闘を交えている…ブラピ君が人々に危害を加えると言うのなら、私だって容赦はしない。真っ直ぐに前を見据え、私とピット君はブラピ君が居ると思われる地下の神殿に向かう。地下と言うのもあって、またしても視界は良くない。
「来たな、ピット」
「待ち伏せか?!」
ピット君の前にブラピ君が姿を現す。冥府軍も入り込めない様な暗い暗い空間、何時攻撃を仕掛けられても良い様に神器を構えておく。視界が良くない中で見つめる二人のバトル。今度はピット君が少し押され気味になっている。
「ぐうぅ!!」
『ピット君!』
「ピット!」
ピット君がダメージを受けてしまった。どうやらブラピ君が手にしている神器で、思い切り懐に大打撃を受けてしまった様なのだ。急いで彼を援護しなければ…!!彼に近付こうと駆け出そうとするが、それは誰かの手に寄って遮られる。
「セラ」
『ブラピ…君……?』
急に誰かに腕を掴まれる。今、此の場所には私とピット君そして…ブラピ君しか存在していない。冥府軍は入って来ていないのだ。ピット君は今、ダメージを受け倒れている。だとすれば私の腕を掴んで遮れる人物は…一人しか居ない。
『ねぇ?!どうして貴方は悲しそうな顔をするの?!どうして、あの時私を助けてくれたの?答えて!!』
「…お前は…どうしてそんなに鈍いんだよ」
『え…?…………?!!!!!!ぐっ何で…………?』
「セラちゃ…!!セラちゃん!!!!」
「セラ!!セラ!!!」
彼に問い掛けようとした。どうしても知りたかった、彼の表情も彼の行動の意味も。けれど、彼は私が納得出来ない寧ろ、謎が深まる様な言葉を呟かれる。聞き返そうとした直後、腹部に衝撃が走る。その刹那、気が付いた。私が彼に殴られたと言う事実に。痛みに寄り、意識が遠くなる中で聞こえたピット君とパルテナ様の呼ぶ声。所持していた神器が力無く落ちる。瞼が閉じられるのを必死に堪えてみても適わなくて…私は彼の腕の中で意識を失った。
「そんなの……好きだからに決まってるだろ?」
「ブラピ!セラちゃんを離せ!!彼女は…彼女は…何も関係ない!!」
「関係ないって言えるのか?こいつは、俺達の心を乱している張本人なんだぜ?」
「彼女は何も知らないんだ!だから君の気持ちにも気付いて等いない!」
「うるさいんだよ。お前が何と言おうと俺はこいつを連れて行く」
「セラ!!」
「フン。しゃらくさい!」
どうやらピット君は、ブラピ君を見つけた様だ。向かって来る魔物達を浄化しながら、二人が戦う姿を見守っている。神器同士が搗ち合う音が凄まじい。魔物達を浄化し終えたら、私もピット君に加勢するつもりで居るけれど必要がないかもしれない。そう思わされる程に二人のバトルに圧倒された。二人共、隙のない攻撃で互いが互いを翻弄している。ブラピ君に打撃攻撃を受けそうになってもぎりぎりの所で躱し、射撃して来るピット君にブラピ君はその反撃を躱して……一瞬も見逃せない戦い。思わず時間を忘れ、魅入ってしまう。二人の戦いを両眼に焼き付けていると、私の視線に気付いたのか…ブラピ君と目と目がばっちり合った。一瞬垣間見せる彼の悲しそうな顔、両眼を大きく見開かせる私。次の瞬間、ピット君の打撃が彼の腹部にヒットした。一瞬だけ見せた彼の隙。痛みに歪めた彼の表情。
「くそっ!!」
「逃げた!!」
「大丈夫です。また別の場所に降りて来ますよ。噴水広場迄戻りなさい。ブラピは暗い所に潜り込んだ様です。地下かしら?」
『(ブラピ君…)』
何故、隙を作らず戦い合っていたブラピ君が突然一瞬にして、隙を作ってしまったのか……以前にも見せた悲しそうな顔をする意味は…?私の中に芽生えた微かな疑問。彼は私に一体…何を伝えようとしているの?
『(何とか話せないかな…)』
「セラちゃん!行こう!」
『う…うん…』
彼と…話をしたい。
「崩壊した神殿…でしょうか?」
噴水広場迄一旦戻り、魔物達が移動する後を追う。少し歩くと、物寂しくも何処か清らかな土地が視界に入る。此処に昔、神神が祀られていたのか…今は、荒れ果てておりそんな雰囲気は全くない。
「困った時には神に頼るが、裕福になると直ぐに忘れてしまう。人間とは勝手なものよ。セラ、お前もそう思うだろう?」
『えっ?!』
「メデューサ!お前と一緒にするな!」
『……そうかもしれないけど、私達神や天使も対して変わらないと私は…思うわ』
「…セラ…」
「…フン、まあ良いさ」
魔物を浄化していると、メデューサから同意を求められる。ブラピ君の事を考えていたからか、反応が遅れてしまったが私の思いを…ちゃんとメデューサに伝えた。面白くなさそうにメデューサは相槌を打つと、彼女はそのまま黙り込んでしまった。人々が勝手ではないと否定は出来ない、今迄そんな場面を幾度となく見つめて来た…でもそれは私達も一緒。神や天使にだって同じ事が言える。パルテナ様は、それでも人々を護っている…その為に戦ってくれている。私だって気持ちは同じ、だから今こうして神器を手中に戦闘を交えている…ブラピ君が人々に危害を加えると言うのなら、私だって容赦はしない。真っ直ぐに前を見据え、私とピット君はブラピ君が居ると思われる地下の神殿に向かう。地下と言うのもあって、またしても視界は良くない。
「来たな、ピット」
「待ち伏せか?!」
ピット君の前にブラピ君が姿を現す。冥府軍も入り込めない様な暗い暗い空間、何時攻撃を仕掛けられても良い様に神器を構えておく。視界が良くない中で見つめる二人のバトル。今度はピット君が少し押され気味になっている。
「ぐうぅ!!」
『ピット君!』
「ピット!」
ピット君がダメージを受けてしまった。どうやらブラピ君が手にしている神器で、思い切り懐に大打撃を受けてしまった様なのだ。急いで彼を援護しなければ…!!彼に近付こうと駆け出そうとするが、それは誰かの手に寄って遮られる。
「セラ」
『ブラピ…君……?』
急に誰かに腕を掴まれる。今、此の場所には私とピット君そして…ブラピ君しか存在していない。冥府軍は入って来ていないのだ。ピット君は今、ダメージを受け倒れている。だとすれば私の腕を掴んで遮れる人物は…一人しか居ない。
『ねぇ?!どうして貴方は悲しそうな顔をするの?!どうして、あの時私を助けてくれたの?答えて!!』
「…お前は…どうしてそんなに鈍いんだよ」
『え…?…………?!!!!!!ぐっ何で…………?』
「セラちゃ…!!セラちゃん!!!!」
「セラ!!セラ!!!」
彼に問い掛けようとした。どうしても知りたかった、彼の表情も彼の行動の意味も。けれど、彼は私が納得出来ない寧ろ、謎が深まる様な言葉を呟かれる。聞き返そうとした直後、腹部に衝撃が走る。その刹那、気が付いた。私が彼に殴られたと言う事実に。痛みに寄り、意識が遠くなる中で聞こえたピット君とパルテナ様の呼ぶ声。所持していた神器が力無く落ちる。瞼が閉じられるのを必死に堪えてみても適わなくて…私は彼の腕の中で意識を失った。
「そんなの……好きだからに決まってるだろ?」
「ブラピ!セラちゃんを離せ!!彼女は…彼女は…何も関係ない!!」
「関係ないって言えるのか?こいつは、俺達の心を乱している張本人なんだぜ?」
「彼女は何も知らないんだ!だから君の気持ちにも気付いて等いない!」
「うるさいんだよ。お前が何と言おうと俺はこいつを連れて行く」
「セラ!!」