第3章 ヒュードラーの首(前編)
セラ
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「ピット!セラ!急いで!」
突然パルテナ様から出陣命令が下った。一切詳細は不明、“後に話すから”以前にも聞き覚えのある言葉を付け足し、私達に神器を持たせ天界から空中へと飛ばす。
「どうしたんですか?!パルテナ様!!」
「冥府軍がエンジェランドに侵攻しています!」
『(あっ今回結構早めに状況を説明してくれたな…)って!そうじゃなくて!大部隊じゃないですか?!』
「メデューサの本気が窺えますね。」
「『そんな呑気な事を。』」
ピット君がパルテナ様に質問してくれたお陰で割と早めに状況を理解できた。パルテナ様が出陣命令を私達に出したのは大概冥府軍絡みだが例外もある。
天使の職務は何も冥府軍やその他の敵を打ち負かすだけではない…人々を守り、街の平和を約束するのは勿論…女神パルテナの使いとして人々に言伝したりする時だってある。
「そうでした、セラにまだ聞いておりません。」
『?』
「どうでした?今日の収穫は!」
迫り来る冥府軍からこちらに派遣された魔物達を浄化しつつ、少なからず嬉しそうなパルテナ様からされる質問に答える。“今日は大失敗でした”と。
端から聞いたら何の話をしているのか分からないと思う。隣で私達の会話を聞いているピット君も怪訝そうな顔をしている。それもその筈、だって私はピット君と違った任務内容を今の今までこなしていたのだから。
親衛隊長すら知らない任務内容、それは…“愛のキューピットになり、誰かと誰かの恋を応援すること”今日もなかなか想いを届けられない迷える子羊がいたので私が直々に地界に降り立ち、手助けをしてきた。
人の愛を守るのもパルテナ様の願いであり、思いでもある…それに応える為、私はこっそりパルテナ様から命を受け、冥府軍と戦う数時間前に任務をこなしエンジェランドに帰還したのである。
「そうですか、今日は愛を実らせる事が出来なかったんですね…人の愛とはやはり難しいものですね。」
『ガッカリしないで下さい、パルテナ様!実らないのもまた世の流れですよ。確かに私達の力不足だったのかもしれませんけど…』
「『……はぁ……』」
「力を落としている所悪いんだけど、戦いに集中しよう?」
肩を落とす私とパルテナ様。私達の姿を見、苦笑を浮かべるピット君。仮にも冥府軍がエンジェランドに攻めてきているのに余裕とも取れる表情で恋ばなをするのもなかなかシュールな図なのかもしれない。そこも私達らしくて個人的に言えばこういう空気感も割と好きだったりするのだけど。
「…キリがない!」
「そうですね。真面に相手していたのでは飛翔の奇跡が先に切れてしまいます。」
「指揮官は誰なんですか?!せめてそいつを叩けば…!!」
『(飛翔の奇跡が切れると聞いたら、いきなり寒気が…)』
飛翔の奇跡のデメリットを涼しい顔で言われ、寒気を感じてしまったのはこの私。
冥府軍をエンジェランドに侵攻させない様に片っ端から浄化していたのだが…メデューサが相当冥府軍を投入しているのか、次から次へと現れる。25年前の繰り返しになってほしくはないが、私達の体力にも限界がある。
『そっか!メデューサ直々に冥府軍を動かしているんじゃなくて、エンジェランドに攻める様に命令した指揮官が計画を実行している可能性が高いって訳ね!パルテナ様、どうなんです?』
「…それが…ヒュードラーらしいのですよ。」
「ヒュードラぁ?!ってあの首長龍ですよね。飛べるんですか?!」
『あの…どちら様ですか?』
「セラちゃん、会った事ないんだね?ヒュードラー」
『うん、初めて名前聞いた。』
メデューサ直々の部下は沢山居る。実際私が誘拐された時もメデューサが私の元に来た訳ではなく、メデューサの部下である人物が来た様に思える。記憶が曖昧なのか、思い出したくないと拒絶しているのか…定かではないが、一つ分かるのは変な喋り方をしていた様な気がした…只それだけだ。
自身の記憶が少々明快になった所で、パルテナ様が今回冥府軍をエンジェランドに飛ばした張本人の姿を見つける。勿論、私達もヒュードラーを見遣る…遠方で視界が狭いが確かに悠々と空中を浮遊する首長龍が存在していた。
突然パルテナ様から出陣命令が下った。一切詳細は不明、“後に話すから”以前にも聞き覚えのある言葉を付け足し、私達に神器を持たせ天界から空中へと飛ばす。
「どうしたんですか?!パルテナ様!!」
「冥府軍がエンジェランドに侵攻しています!」
『(あっ今回結構早めに状況を説明してくれたな…)って!そうじゃなくて!大部隊じゃないですか?!』
「メデューサの本気が窺えますね。」
「『そんな呑気な事を。』」
ピット君がパルテナ様に質問してくれたお陰で割と早めに状況を理解できた。パルテナ様が出陣命令を私達に出したのは大概冥府軍絡みだが例外もある。
天使の職務は何も冥府軍やその他の敵を打ち負かすだけではない…人々を守り、街の平和を約束するのは勿論…女神パルテナの使いとして人々に言伝したりする時だってある。
「そうでした、セラにまだ聞いておりません。」
『?』
「どうでした?今日の収穫は!」
迫り来る冥府軍からこちらに派遣された魔物達を浄化しつつ、少なからず嬉しそうなパルテナ様からされる質問に答える。“今日は大失敗でした”と。
端から聞いたら何の話をしているのか分からないと思う。隣で私達の会話を聞いているピット君も怪訝そうな顔をしている。それもその筈、だって私はピット君と違った任務内容を今の今までこなしていたのだから。
親衛隊長すら知らない任務内容、それは…“愛のキューピットになり、誰かと誰かの恋を応援すること”今日もなかなか想いを届けられない迷える子羊がいたので私が直々に地界に降り立ち、手助けをしてきた。
人の愛を守るのもパルテナ様の願いであり、思いでもある…それに応える為、私はこっそりパルテナ様から命を受け、冥府軍と戦う数時間前に任務をこなしエンジェランドに帰還したのである。
「そうですか、今日は愛を実らせる事が出来なかったんですね…人の愛とはやはり難しいものですね。」
『ガッカリしないで下さい、パルテナ様!実らないのもまた世の流れですよ。確かに私達の力不足だったのかもしれませんけど…』
「『……はぁ……』」
「力を落としている所悪いんだけど、戦いに集中しよう?」
肩を落とす私とパルテナ様。私達の姿を見、苦笑を浮かべるピット君。仮にも冥府軍がエンジェランドに攻めてきているのに余裕とも取れる表情で恋ばなをするのもなかなかシュールな図なのかもしれない。そこも私達らしくて個人的に言えばこういう空気感も割と好きだったりするのだけど。
「…キリがない!」
「そうですね。真面に相手していたのでは飛翔の奇跡が先に切れてしまいます。」
「指揮官は誰なんですか?!せめてそいつを叩けば…!!」
『(飛翔の奇跡が切れると聞いたら、いきなり寒気が…)』
飛翔の奇跡のデメリットを涼しい顔で言われ、寒気を感じてしまったのはこの私。
冥府軍をエンジェランドに侵攻させない様に片っ端から浄化していたのだが…メデューサが相当冥府軍を投入しているのか、次から次へと現れる。25年前の繰り返しになってほしくはないが、私達の体力にも限界がある。
『そっか!メデューサ直々に冥府軍を動かしているんじゃなくて、エンジェランドに攻める様に命令した指揮官が計画を実行している可能性が高いって訳ね!パルテナ様、どうなんです?』
「…それが…ヒュードラーらしいのですよ。」
「ヒュードラぁ?!ってあの首長龍ですよね。飛べるんですか?!」
『あの…どちら様ですか?』
「セラちゃん、会った事ないんだね?ヒュードラー」
『うん、初めて名前聞いた。』
メデューサ直々の部下は沢山居る。実際私が誘拐された時もメデューサが私の元に来た訳ではなく、メデューサの部下である人物が来た様に思える。記憶が曖昧なのか、思い出したくないと拒絶しているのか…定かではないが、一つ分かるのは変な喋り方をしていた様な気がした…只それだけだ。
自身の記憶が少々明快になった所で、パルテナ様が今回冥府軍をエンジェランドに飛ばした張本人の姿を見つける。勿論、私達もヒュードラーを見遣る…遠方で視界が狭いが確かに悠々と空中を浮遊する首長龍が存在していた。
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