第2章 魔王とマグナ(後編)
セラ
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「因みに…ピットの心を読む事も出来ますよ?」
『(やっぱりエスパー?!)』
「…。えーと、ホントですか?」
「うっかりエッチな事やセラちゃんの事を考えない様にしなきゃとか思いましたね?」
「ホントに読まれてる?!」
“やっぱりエスパーなんじゃあ…”
パルテナ様とピット君の会話を聞き流し、再度思う。ピット君の心を言い当てるとはさすが我等のパルテナ様、恐るべしです。
せっかくだから彼女の助言通り宝物庫へと方向を変え、宝物庫だと思われる部屋に入っていく。確かに宝物庫にはそれなりに良い品が収納されている。
だが、簡単に取らせてくれる訳もなく隠れていたのか突如現れた魔物ボックン達が攻撃を仕掛けてくる。そんな状況下ではあるが、私達の口は全く閉ざされずに会話は繰り広げられている。(私がどうとか言っている気がするのは果して気の性か)
「嘘です。月桂樹で心を読む事なんて出来ませんよ。」
「やられたぁ…天使大敗北の巻。」
「分かり易すぎです、もっと精進なさい。」
『ってかピット君、こんな時にそんな事考えてたの?』
「ご…誤解だよ!セラちゃん!」
宝物庫から自分達が必要とするアイテム(神器等)を根刮ぎ懐に入れ、宝物庫を出ては大広間を駆け抜ける。
パルテナ様の言っていた月桂樹を通り過ぎ、向かって来る魔物達をダッシュ打撃、ダッシュ射撃で手っ取り早く浄化し、次のフロアに繋がる階段を駆け降りた。(思えば私達はモタモタしている暇なんてなかった。)
『パルテナ様?今ピット君は何を考えてますか?』
「そうですねぇ…。“魔王ガイナスを討伐したら、セラちゃんをデートに誘おっかな~”とかでしょうか?」
『…ぷっ!何ですか?それ?』
「思ってません!!そんな事!!」
「(あら?図星かしら?)」
今、私達が駆け降りている階段は中庭に通じる道らしい。(パルテナ様情報)まるでラビリンスみたいな居城で一歩間違えると迷ってしまいそうだが、パルテナ様が私達を天界からサポートしてくれるから迷わずに着実に進めている。
改めてパルテナ様の凄さに敬意を表していると中庭に出たのだろう。先程まで室内に居たから見受けられなかった光が見えた。
「あれは!!」
「人間…かしら?」
『えっ?!人間?!』
「何だ?天使か?いよいよ俺も死が近いのかねぇ?」
中庭に出て見た光景は、私達よりも早く魔王の城に乗り込んだ人間が冥府軍と互角に戦う姿だった。
私達の他にこの居城に乗り込めた人物が居る事実…驚きを隠せない。目立った武装をしている訳でもないのに巨大な剣を振りかざし、魔物に向かっている。
「あの人を援護しましょう。」
見た所私やピット君の援護がなくても、この男なら中庭に潜む冥府の魔物達を全て倒してしまいそうな勢いだが、パルテナ様の命とあらば高みの見物をしている訳にもいかない。私達も男の後に続く。
「冥府軍と互角以上に遣り合うなんて…パルテナ様、この人本当に人間ですか?」
「間違いなく人間ですね、純度100%」
『人間に見えないのが不思議です。』
“やはり援護なんていらないんじゃあ…?”
そう思う程、さっき出逢った男性の闘争力がまるで衰えていないのだ。けれどパルテナ様はこの男を人間だと言い切った。余りの強さに正直人間か疑ってしまうが、パルテナ様が言うんだ…間違いないだろう。
「二人で何コソコソ話してやがる。」
「あっすいません。僕はピット、女神パルテナの使い。」
『私はセラ、同じく女神パルテナの使い。魔王ガイナスを倒しに来たの。』
「何だ?お前等も分け前が欲しいのか?天使の癖にがめついな。」
「人間が懸けた賞金の事?いらないよ。只、皆の為にガイナスを倒す!それだけだ。」
ピット君は真っ直ぐに…魔王ガイナスを討伐するのは人々の為だと言い張った。私だって勿論同じ気持ちだ、今でも城外で冥府軍を打ち負かそうと必死に戦う人々の平和を…必死に戦う人々の帰りを待っている人々の平和を守りたいから。
これ以上誰かが傷ついたり、悲しんだりして欲しくない。神器を握る力が更に強くなる。
男は私達の真の目的が魔王に懸けた賞金ではないと知ると、簡単に信用する。もう少し疑心を持っていても良い筈なのだが…賞金目的ではないと分かったからだろうか…?
「話が早いなぁ…。良いの?良いのか?」
『微妙ね。』
「共同戦線と行こうぜ。三人で行った方が楽そうだしな。」
「パルテナ様、どう思います?」
「良いんじゃないかしら?どう見ても罠ではなさそうですし。」
「分かりました!とにかく魔王討伐ですね!!」
『(まぁ、目的は一緒だし…確かに三人で行った方が楽そうね。)』