最終章
セラ
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「では、どうしたらよいのでしょう。あなたの意見を聞きましょう。」
「おれは……いや、待て。セラが話しかけてきている。」
「えぇぇぇ?!」
この流れで一方的だったが、騎士の意見に耳を傾けるべきだと考えに至る。情けをかける……この言葉が一番しっくり来るだろう。そう思っていたのだが、有ろうことかセラ本人から睡眠状態に陥りながらも、騎士へコンタクトを取っていると言うのだ。さすが、私の見込んだセラである。只では起きぬのか。しかし、これはチャンスだ。彼女の言葉で強情な騎士を納得させ、封印させてくれる流れへ一気に持っていけるかもしれない。セラは一体騎士になんて言うのだろう。
「……ハッ。セラらしいな。」
「セラは、なんて言っているのですか?」
「『私のことは心配しないで。』だとよ。」
「セラらしいですね。」
「……わかった。負けたよ。おれを封印してくれ、女神様。」
「後悔は、ないんですね。」
「ああ。」
様々なやり取りを繰り広げてきたが、漸くこの場を以て決着する。決着を左右したのは、セラの一言。これが決め手となる。私の見立ては間違っていなかったらしい。何を隠そうセラの一言で、騎士はあっさり引き下がった。あんなに強情な態度を見せていたのにも関わらずに、だ。主従関係。彼女の言葉で、騎士はすっかり戦意喪失させてしまった。良かったと言えばそうなのだが、会話をしてみて分かったのだ。騎士が完全に悪いとも一概には言えなかったのだと。彼は只、セラを外敵から守りたかっただけなのだ。世界を破滅へと導けるのに、そうしなかったのは何よりセラが大切だから。それ以外に力を発動させる根拠は、何処にもない。目の前で力無く笑っているセラの騎士を見つめ、そんな考えを次々過らせている。気の毒に思うが、ここは封印する選択のみだ。
「いきますよ。 封印の奇跡!」
もう二度と力を発動させないように。あなたの代わりに今度は私がセラを守ります。この思いを胸に、奇跡を起こす……然すれば具現化されていた彼は姿を失い、光の玉へと変化する。淡く輝いている光の玉に鎖が現れた。かと思えば錠前が鎖に取り付けられ光の玉はそのままセラの胴体へスッと入って行く。それはまるで一瞬一瞬の出来事に思えた。
これでセラはやっと、ピットとブラピと同じく普通の天使に戻れた。長年かけて来た願いは実現し、セラにとって本当の平和が訪れる…喜ばしい。この一言に尽きる。力を封印した反動でなのか、セラは未だに目を覚まさない。けれど、私はこの場で目撃してしまう。彼女が瞼を閉じながらも、両眼から涙を流していたのに。驚きの余り、両眼を見開く。悲しみの涙なのか、喜びの涙なのかは今の私には分からない。
『……。』
「セラ!目がさめましたか!」
暫くそうしてセラの様子を窺っていると、彼女の瞼が微かに動きゆっくり開かれた。次の瞬間、むくりと起き上がり虚ろな双眸で周囲を見回している。セラが無事に目覚めてくれた事実に対し、喜び故に彼女へと抱き着いてしまう。成功させるヴィジョンしか見えていなかったが、万が一セラが目覚めなければどうしよう等と不安に駆られていた部分もあったのだ。取越し苦労で終わったが失敗する可能性も確かにあった。
『パルテナ様、ありがとうございます。これで普通の天使に戻れました。』
「いえいえ。セラが話しかけてくれたおかげで、うまくいったのです。ところで、ひとつ気になるのですが……。」
『なんでしょう。』
「さっき、セラは眠りながら涙を流していました。あの涙は喜びからくるものですか?それとも、悲しみからくるものですか?」
未だ本調子ではないセラに、あれやこれや問い掛けるのは酷だと思ったがどおうしても聞いておきたかった。彼女が流した涙の意図は。一旦彼女から離れ、問い掛けてみる。問い掛けられた本人は、ハッとした顔を浮かべたと思いきや眉尻を下げて悲愴な表情を浮かべ胸の内を吐露した。
『ジブンでもよくわからないんです。やっと開放された弾みで喜ばしいのに同時になんだか寂しくもあって……ヘンですよね。』
「いいえ。私はそんな心優しいセラを、誇らしく思います。そのキモチを決して忘れないでください。」
『ハイ。パルテナ様。』
感情は抑えられず、セラは再度涙を流していた。その姿は誰が見ても美しく思うだろう。彼女は喜びと悲しみと言った複雑な感情をお抱えつつ、涙を流した。口には出さないが、セラらしい答えだ。お陰で納得の域に達する。
「おれは……いや、待て。セラが話しかけてきている。」
「えぇぇぇ?!」
この流れで一方的だったが、騎士の意見に耳を傾けるべきだと考えに至る。情けをかける……この言葉が一番しっくり来るだろう。そう思っていたのだが、有ろうことかセラ本人から睡眠状態に陥りながらも、騎士へコンタクトを取っていると言うのだ。さすが、私の見込んだセラである。只では起きぬのか。しかし、これはチャンスだ。彼女の言葉で強情な騎士を納得させ、封印させてくれる流れへ一気に持っていけるかもしれない。セラは一体騎士になんて言うのだろう。
「……ハッ。セラらしいな。」
「セラは、なんて言っているのですか?」
「『私のことは心配しないで。』だとよ。」
「セラらしいですね。」
「……わかった。負けたよ。おれを封印してくれ、女神様。」
「後悔は、ないんですね。」
「ああ。」
様々なやり取りを繰り広げてきたが、漸くこの場を以て決着する。決着を左右したのは、セラの一言。これが決め手となる。私の見立ては間違っていなかったらしい。何を隠そうセラの一言で、騎士はあっさり引き下がった。あんなに強情な態度を見せていたのにも関わらずに、だ。主従関係。彼女の言葉で、騎士はすっかり戦意喪失させてしまった。良かったと言えばそうなのだが、会話をしてみて分かったのだ。騎士が完全に悪いとも一概には言えなかったのだと。彼は只、セラを外敵から守りたかっただけなのだ。世界を破滅へと導けるのに、そうしなかったのは何よりセラが大切だから。それ以外に力を発動させる根拠は、何処にもない。目の前で力無く笑っているセラの騎士を見つめ、そんな考えを次々過らせている。気の毒に思うが、ここは封印する選択のみだ。
「いきますよ。 封印の奇跡!」
もう二度と力を発動させないように。あなたの代わりに今度は私がセラを守ります。この思いを胸に、奇跡を起こす……然すれば具現化されていた彼は姿を失い、光の玉へと変化する。淡く輝いている光の玉に鎖が現れた。かと思えば錠前が鎖に取り付けられ光の玉はそのままセラの胴体へスッと入って行く。それはまるで一瞬一瞬の出来事に思えた。
これでセラはやっと、ピットとブラピと同じく普通の天使に戻れた。長年かけて来た願いは実現し、セラにとって本当の平和が訪れる…喜ばしい。この一言に尽きる。力を封印した反動でなのか、セラは未だに目を覚まさない。けれど、私はこの場で目撃してしまう。彼女が瞼を閉じながらも、両眼から涙を流していたのに。驚きの余り、両眼を見開く。悲しみの涙なのか、喜びの涙なのかは今の私には分からない。
『……。』
「セラ!目がさめましたか!」
暫くそうしてセラの様子を窺っていると、彼女の瞼が微かに動きゆっくり開かれた。次の瞬間、むくりと起き上がり虚ろな双眸で周囲を見回している。セラが無事に目覚めてくれた事実に対し、喜び故に彼女へと抱き着いてしまう。成功させるヴィジョンしか見えていなかったが、万が一セラが目覚めなければどうしよう等と不安に駆られていた部分もあったのだ。取越し苦労で終わったが失敗する可能性も確かにあった。
『パルテナ様、ありがとうございます。これで普通の天使に戻れました。』
「いえいえ。セラが話しかけてくれたおかげで、うまくいったのです。ところで、ひとつ気になるのですが……。」
『なんでしょう。』
「さっき、セラは眠りながら涙を流していました。あの涙は喜びからくるものですか?それとも、悲しみからくるものですか?」
未だ本調子ではないセラに、あれやこれや問い掛けるのは酷だと思ったがどおうしても聞いておきたかった。彼女が流した涙の意図は。一旦彼女から離れ、問い掛けてみる。問い掛けられた本人は、ハッとした顔を浮かべたと思いきや眉尻を下げて悲愴な表情を浮かべ胸の内を吐露した。
『ジブンでもよくわからないんです。やっと開放された弾みで喜ばしいのに同時になんだか寂しくもあって……ヘンですよね。』
「いいえ。私はそんな心優しいセラを、誇らしく思います。そのキモチを決して忘れないでください。」
『ハイ。パルテナ様。』
感情は抑えられず、セラは再度涙を流していた。その姿は誰が見ても美しく思うだろう。彼女は喜びと悲しみと言った複雑な感情をお抱えつつ、涙を流した。口には出さないが、セラらしい答えだ。お陰で納得の域に達する。