最終章
セラ
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「それに関しては、異論はありません。単刀直入に言います。セラのためにあなたを封印させてもらえませんか?」
「イヤだ、と言ったら?」
「あなたを容赦なく、封印します。」
「おぉ、こわい。目がマジだぜ?女神さんよ。」
力が実際に言語を話すかどうか問われたら、答えはノーだ。察しの通り、力に対して受け答えが出来る筈がない。これは私が奇跡に寄って、力の思いを具現化したもの。姿は具現化されたものだから、ピットに何処となく似ている。セラが第三者からの悪意で、危険に晒されれば膨大な力で難を回避して来た騎士だ。セラだけに服従し、セラだけを守る。主従関係。セラは夢にも思っていないだろう。そんな主従関係が生まれていようとは、微塵も。無理もない。何せ、力が一方的に服従しているのだから。筋金入りの鈍感で有名なセラが、まるで番犬の如く守備してもらえているのに気付くのは譬え天変地異が引き起こっても不可能だろう。私の言い分は聞かずとも、セラの言い分ならば従順に返事してしまいそうだ。ならば少々卑劣ではあるがこの関係性を逆手に取り、交渉術を適用させてみようか。
「セラはあなたが封印されるのを……心から望んでいるのですよ。」
「……なんだって?」
「その強力な力がセラの涙をさそった。長きにわたる戦いも終わって、あなたはいったい何に執着するのです?」
「愚問だな。おれにとって戦いなんざ、終わってねぇ。なにもかも、これからなんだよ。セラに近づくヤツらをこてんぱんにしてやらなきゃならねぇのさ。」
「その力で、ですか?」
「カンシャされるこそすれ、泣かれるのは納得がいかねぇ。おれは、セラを連れ去ろうとする悪いヤツらを排除していたというのに。」
余りにも本意が見えないやり取りに、思わず苦笑いを浮かべてしまう。これは、交渉術を適用して間違いないかもしれない。このままで行けば、あっちのペースに持って行かれてしまうのは目に見えている。エンジェランドや神殿を、力が発動して破壊されたら堪らない。最終の決戦が終わり漸く修復作業に取り掛かれたのに、これでは計画が全て丸潰れてしまう。力が発動されないように細心の注意を払いつつも、会話を発展させて行く。どうやら自身が編み出した交渉術は成功へと導かれたらしい。かと言って過信は未だせず、飽く迄平然を装う。相手にこちらの思惑を読まれる訳にはいかない。冷静に冷静に。相手がどうするのか先読みして、追い討ちをかける。交渉術も言わば普段の攻撃パターンと同じだ。どれだけ、相手の裏をかくか。自身の言動や行動でどれだけ相手の意表を突くのか……時にはそれ等も大事だ。攻撃の一手を読まれてしまえば、相手の裏をかく所かカウンターを喰らって自分にダメージ。それでは、意味がない。
本意が見えないセラの力は、私の言動に動揺を見せ始めた。自身の読みはどうやら的確であったらしい。それを証拠に、力はセラの心境に合点が行かず吐き捨てるように言い放った。騎士気取りの力に、守られているプリンセスのセラ。今の関係性を打ち砕くのは何だか良心が呵責されるがセラの為と思えば痛くも痒くもない。いつでも奇跡を発動させられるのだと態度で示してみたが、力にとっては脅しにもならなかった模様。それよりも、セラがマイナスな感情を抱いている事実にショックを受けているらしいのだ。
「あなたがセラを大切に思っているのは、よくわかりました。あなたのその役目、私たちに任せてみませんか?」
「女神さんと……あの、ピットってヤツか?」
「えぇ、そうです。」
「ダメだ、ダメだ。あいつは、信用ならねぇ。」
主に似て強情なのはこの力。思わず俳句で心境を詠ってみたが、最初の字余りが気になる。それは扨置き、力を封印する代わりに一つの提案を持ち掛けてみたのだが、これがなかなか肯定の返事をもらえない。困ったものである。セラの生命と連動しているのだから、当然感情の起伏も熟知している筈だ。セラの喜怒哀楽には逸早く気付き、誰よりも彼女に寄り添って騎士なりに慰めてくれていただろう。彼女の中に居続けていた結果なのか、動作や仕草がセラにそっくりだ。そんな騎士を納得させた挙げ句、封印させてくれるのだろうか。私に対しては段々認可して来ているが、ピットの名を出した途端渋り大きく首を左右に振る。ピットの日頃の行いが裏目に出たらしい。はっきり言って悪いが顔を赤く染めてセラに近付こうとしているのを傍で見てたら、いけ好かない存在だと認識されても弁明しようがないとも思う。セラとは打って変わって、こちらは警戒心の塊だ。あの筋金入りの鈍感の騎士ならば、相反するのも納得出来る気がする。
「イヤだ、と言ったら?」
「あなたを容赦なく、封印します。」
「おぉ、こわい。目がマジだぜ?女神さんよ。」
力が実際に言語を話すかどうか問われたら、答えはノーだ。察しの通り、力に対して受け答えが出来る筈がない。これは私が奇跡に寄って、力の思いを具現化したもの。姿は具現化されたものだから、ピットに何処となく似ている。セラが第三者からの悪意で、危険に晒されれば膨大な力で難を回避して来た騎士だ。セラだけに服従し、セラだけを守る。主従関係。セラは夢にも思っていないだろう。そんな主従関係が生まれていようとは、微塵も。無理もない。何せ、力が一方的に服従しているのだから。筋金入りの鈍感で有名なセラが、まるで番犬の如く守備してもらえているのに気付くのは譬え天変地異が引き起こっても不可能だろう。私の言い分は聞かずとも、セラの言い分ならば従順に返事してしまいそうだ。ならば少々卑劣ではあるがこの関係性を逆手に取り、交渉術を適用させてみようか。
「セラはあなたが封印されるのを……心から望んでいるのですよ。」
「……なんだって?」
「その強力な力がセラの涙をさそった。長きにわたる戦いも終わって、あなたはいったい何に執着するのです?」
「愚問だな。おれにとって戦いなんざ、終わってねぇ。なにもかも、これからなんだよ。セラに近づくヤツらをこてんぱんにしてやらなきゃならねぇのさ。」
「その力で、ですか?」
「カンシャされるこそすれ、泣かれるのは納得がいかねぇ。おれは、セラを連れ去ろうとする悪いヤツらを排除していたというのに。」
余りにも本意が見えないやり取りに、思わず苦笑いを浮かべてしまう。これは、交渉術を適用して間違いないかもしれない。このままで行けば、あっちのペースに持って行かれてしまうのは目に見えている。エンジェランドや神殿を、力が発動して破壊されたら堪らない。最終の決戦が終わり漸く修復作業に取り掛かれたのに、これでは計画が全て丸潰れてしまう。力が発動されないように細心の注意を払いつつも、会話を発展させて行く。どうやら自身が編み出した交渉術は成功へと導かれたらしい。かと言って過信は未だせず、飽く迄平然を装う。相手にこちらの思惑を読まれる訳にはいかない。冷静に冷静に。相手がどうするのか先読みして、追い討ちをかける。交渉術も言わば普段の攻撃パターンと同じだ。どれだけ、相手の裏をかくか。自身の言動や行動でどれだけ相手の意表を突くのか……時にはそれ等も大事だ。攻撃の一手を読まれてしまえば、相手の裏をかく所かカウンターを喰らって自分にダメージ。それでは、意味がない。
本意が見えないセラの力は、私の言動に動揺を見せ始めた。自身の読みはどうやら的確であったらしい。それを証拠に、力はセラの心境に合点が行かず吐き捨てるように言い放った。騎士気取りの力に、守られているプリンセスのセラ。今の関係性を打ち砕くのは何だか良心が呵責されるがセラの為と思えば痛くも痒くもない。いつでも奇跡を発動させられるのだと態度で示してみたが、力にとっては脅しにもならなかった模様。それよりも、セラがマイナスな感情を抱いている事実にショックを受けているらしいのだ。
「あなたがセラを大切に思っているのは、よくわかりました。あなたのその役目、私たちに任せてみませんか?」
「女神さんと……あの、ピットってヤツか?」
「えぇ、そうです。」
「ダメだ、ダメだ。あいつは、信用ならねぇ。」
主に似て強情なのはこの力。思わず俳句で心境を詠ってみたが、最初の字余りが気になる。それは扨置き、力を封印する代わりに一つの提案を持ち掛けてみたのだが、これがなかなか肯定の返事をもらえない。困ったものである。セラの生命と連動しているのだから、当然感情の起伏も熟知している筈だ。セラの喜怒哀楽には逸早く気付き、誰よりも彼女に寄り添って騎士なりに慰めてくれていただろう。彼女の中に居続けていた結果なのか、動作や仕草がセラにそっくりだ。そんな騎士を納得させた挙げ句、封印させてくれるのだろうか。私に対しては段々認可して来ているが、ピットの名を出した途端渋り大きく首を左右に振る。ピットの日頃の行いが裏目に出たらしい。はっきり言って悪いが顔を赤く染めてセラに近付こうとしているのを傍で見てたら、いけ好かない存在だと認識されても弁明しようがないとも思う。セラとは打って変わって、こちらは警戒心の塊だ。あの筋金入りの鈍感の騎士ならば、相反するのも納得出来る気がする。