最終章
セラ
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以前の私ならば“応援する”とか何とか答えていたに違いない。そもそもピット君は、ナチュレちゃんを好きなのだと思い込んでいた。だからこそ、二人の間にある僅かな距離をもどかしく思いながらも、発展途上中なのだとウキウキしていたのだ。しかし現状は、果てしなく相違しており双方にその気持ちはなかった。それ所か、こちらに想いを示して来た。私としては狼狽するばかりだ。しかし、応援していたあの時と今の心境はまるで違っている。二人がピット君を取り合ってどちらかに傾けば……。それで彼が幸せならば喜んで祝福しよう。彼の未来が希望で満ち溢れているのならば、私は口出ししない。なのに胸の何処かで違う感覚に襲われている。今迄になかったパターンだ。彼の幸せを願いたいのに反発する自分もいる。この気持ちの変化は一体……。ナチュレちゃんに、複雑な感情を包み隠さず話した。祝福したいのに、そうしたくない意地悪な私。
『なんか……イヤかも……。』
「それが、セラの答えじゃ。」
「やっと、見つけましたね。セラ。」
恐らく二人は笑みを浮かべているだろう、雰囲気で分かる。答えがどうやら見つかったらしいが、随分はっきりしない。けれどもその譬え話に対して嫌悪感を抱いたのは確かだ。彼が選択した道程に口出しなぞ出来ないが、悲しい気持ちを引きずってしまいそう。可能ならば、許されるのならば、ずっとずっとピット君が私の隣に居てほしい。もしかして、私が探し求めていた答えはここにあったのか。
『パルテナ様。私、ピット君のところへ行ってきます。』
「ハイ。いってらっしゃい。」
『ナチュレちゃん!ありがとう!』
「礼には及ばぬ。」
複雑な感情が入り交じるが、それでもピット君へ伝えるべきだと思った。こうしては、いられない。スクッと立ち上がり、パルテナ様を置いて部屋を後にする。一刻も早く彼に伝えたくて、神殿内を直走る。今、ピット君は何処にいるのだろう。食堂?キッチン?入浴場?それか自室。どれもあり得る。早く伝えたいのに、この距離感が妙にもどかしい。
『ピット君ったら、肝心なときにいないんだから。』
「ピットなら鍛錬場にいますよ。食後の運動かしら。」
『ありがとうございます。パルテナ様。』
直走り、彼の姿を隈なく捜索するが何処にも見当たらない。と思っていたら鍛錬場にいる模様。懸命に神器を揮っているそうなのだ。お陰で捜索する手間が省けた。パルテナ様に感謝の意を唱えて、真っ直ぐ鍛錬場へ向かう。神殿内を走行中、すれ違い様イカロス達に身振り手振りで驚愕されてしまった。
「よかったのか、パルテナ。だいじなセラをピットに取られて。」
「まぁ、ピットがセラを泣かせたら承知しませんし。私がセラを守るのは変わりませんから。」
「まさかあのピットがのう。薄々気づいていたじゃろうが、お陰であやつは荒れておる。いずれピットから奪い返すつもりでいるじゃろうし。わらわもそのつもりじゃ。」
「ナチュレ?どうしました?」
「いや、なんでもない。(ときがきたら、白黒はっきりするじゃろう。)」
そんな会話が女神同士で繰り広げられていたとは露知れず、パルテナ様の助言通り鍛錬場へと急ぐ。ゲート同様大きな扉が聳え、その前に立ち尽くす。緊張感からか、心臓が早鐘の如く脈打っているのが伝達されて羞恥に支配されている。少々乱れてしまった髪を整え、意を決して大きな扉を開く。大扉ではあるが、パルテナ様の加護でなのか簡単に開く仕様になっている。大扉の中には神器を手に、汗をキラキラさせて鍛錬に励むピット君の姿があった。目の錯覚なのか。彼はこんなにキラキラしていただろうか。それとも気のせい?うんうん頭を捻っていれば鍛錬を中断させたピット君と目が合った。真剣な表情だ。戦闘時にも滅多に見せない顔。こちらに目線を向け、決して逸らさない。妙な沈黙が周囲に流れる。
『ピット君、あのね?ハナシがあるの。外で、話さない?』
鍛錬を中断させてしまった罪悪感に苛まれながらも少々頬を赤らめ、漸く伝えた。自身の提案を耳にしたピット君は、何の疑問も持たず素直な迄に首を縦に頷いたのを見逃さずホッと安堵の溜息をつく。不安だった。ここで拒まれたりしたら、どうしよう。考えたくもないが、負の感情にすら支配されてしまう私。ピット君はああして気持ちを伝えてくれたが、本当の想いなのだろうか。どうしてなのだろう。急に自信がなくなる。
『わ、私……先に行ってるね!』
「セラちゃん!」
挙げ句の果てに居た堪れなくなる。ソワソワした様子で彼の制止の声も聞かずに、鍛錬場を後にする私。取り残されたピット君の表情から伝達されたのは悲愴なもの。されども私は気付かなかったのだ。彼は私から否定の返事が返ってくるのだと想定し、密かに覚悟していたのを。
『なんか……イヤかも……。』
「それが、セラの答えじゃ。」
「やっと、見つけましたね。セラ。」
恐らく二人は笑みを浮かべているだろう、雰囲気で分かる。答えがどうやら見つかったらしいが、随分はっきりしない。けれどもその譬え話に対して嫌悪感を抱いたのは確かだ。彼が選択した道程に口出しなぞ出来ないが、悲しい気持ちを引きずってしまいそう。可能ならば、許されるのならば、ずっとずっとピット君が私の隣に居てほしい。もしかして、私が探し求めていた答えはここにあったのか。
『パルテナ様。私、ピット君のところへ行ってきます。』
「ハイ。いってらっしゃい。」
『ナチュレちゃん!ありがとう!』
「礼には及ばぬ。」
複雑な感情が入り交じるが、それでもピット君へ伝えるべきだと思った。こうしては、いられない。スクッと立ち上がり、パルテナ様を置いて部屋を後にする。一刻も早く彼に伝えたくて、神殿内を直走る。今、ピット君は何処にいるのだろう。食堂?キッチン?入浴場?それか自室。どれもあり得る。早く伝えたいのに、この距離感が妙にもどかしい。
『ピット君ったら、肝心なときにいないんだから。』
「ピットなら鍛錬場にいますよ。食後の運動かしら。」
『ありがとうございます。パルテナ様。』
直走り、彼の姿を隈なく捜索するが何処にも見当たらない。と思っていたら鍛錬場にいる模様。懸命に神器を揮っているそうなのだ。お陰で捜索する手間が省けた。パルテナ様に感謝の意を唱えて、真っ直ぐ鍛錬場へ向かう。神殿内を走行中、すれ違い様イカロス達に身振り手振りで驚愕されてしまった。
「よかったのか、パルテナ。だいじなセラをピットに取られて。」
「まぁ、ピットがセラを泣かせたら承知しませんし。私がセラを守るのは変わりませんから。」
「まさかあのピットがのう。薄々気づいていたじゃろうが、お陰であやつは荒れておる。いずれピットから奪い返すつもりでいるじゃろうし。わらわもそのつもりじゃ。」
「ナチュレ?どうしました?」
「いや、なんでもない。(ときがきたら、白黒はっきりするじゃろう。)」
そんな会話が女神同士で繰り広げられていたとは露知れず、パルテナ様の助言通り鍛錬場へと急ぐ。ゲート同様大きな扉が聳え、その前に立ち尽くす。緊張感からか、心臓が早鐘の如く脈打っているのが伝達されて羞恥に支配されている。少々乱れてしまった髪を整え、意を決して大きな扉を開く。大扉ではあるが、パルテナ様の加護でなのか簡単に開く仕様になっている。大扉の中には神器を手に、汗をキラキラさせて鍛錬に励むピット君の姿があった。目の錯覚なのか。彼はこんなにキラキラしていただろうか。それとも気のせい?うんうん頭を捻っていれば鍛錬を中断させたピット君と目が合った。真剣な表情だ。戦闘時にも滅多に見せない顔。こちらに目線を向け、決して逸らさない。妙な沈黙が周囲に流れる。
『ピット君、あのね?ハナシがあるの。外で、話さない?』
鍛錬を中断させてしまった罪悪感に苛まれながらも少々頬を赤らめ、漸く伝えた。自身の提案を耳にしたピット君は、何の疑問も持たず素直な迄に首を縦に頷いたのを見逃さずホッと安堵の溜息をつく。不安だった。ここで拒まれたりしたら、どうしよう。考えたくもないが、負の感情にすら支配されてしまう私。ピット君はああして気持ちを伝えてくれたが、本当の想いなのだろうか。どうしてなのだろう。急に自信がなくなる。
『わ、私……先に行ってるね!』
「セラちゃん!」
挙げ句の果てに居た堪れなくなる。ソワソワした様子で彼の制止の声も聞かずに、鍛錬場を後にする私。取り残されたピット君の表情から伝達されたのは悲愴なもの。されども私は気付かなかったのだ。彼は私から否定の返事が返ってくるのだと想定し、密かに覚悟していたのを。