最終章
セラ
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私達パルテナ軍は、史上最強であり最凶とも言える冥府の王ハデスへ最後の征戦をかけた。どちらが勝つのか、負けるのか甲乙つけがたい戦いの行く末はどう転ぶのか。見守る人間達はさぞ、生唾を飲み込んだだろう。飄々として弱点がないように思われたハデスに苦戦を強いられたものの、メデューサの登場と奮闘で場面は一気に分からなくなった。手に汗握る戦い。パルテナ様の奇跡とナチュレちゃんの助力のお陰もあって、私達は見事勝利と平和を同時に討ち取ったのだ。素晴らしい功績だと言っていい。異論を唱える者は居ないだろう。仮に居るのだとするのならば、強制的に賛成意見へと捻じ曲げてやる。それは扨置き、第三者から見てもピット君とパルテナ様の存在が誇らしい。格言う私も全力で戦い、頑張っていたと思う。これは……大乱闘なんとかブラザーズからお手紙が来てしまうのではないか?なぁんて期待を抱きつつ、一日一日を過ごしている。
最近のパルテナ軍は、エンジェランドはたまた神殿の修復作業で忙しなく動いている。それと、忘れてはならない冥府軍が過去に破壊した街だったり……パルテナ様が操られていた時代に我が軍が破壊した街も含まれているし、それは様々。今日は、神殿の修復作業で皆大忙しだ。けれど、心は晴れ晴れとしている。こんな気持ちは久し振りかもしれない。私はそんな皆とは裏腹に、皆が汚してしまった衣服を洗濯しては丁度干し終えた所。エンジェランドに射し込む光が眩しくて、空に手をかざし光を見つめてみる。その中を気持ち良さそうに小鳥達が和気藹々と飛行して行くのを見た。
「……セラちゃん……。」
そんな様子を壁の修復作業を近くで行っていたピット君に見られていたとは露知らず、暫しそうして平和な時間を噛み締めていた。
・・・
「隊長!……隊長!隊長!!」
「えっ?うわッ!!」
全世界に平和を齎した僕達は、今日も神殿の修復作業を全うしている。セラちゃんだけは、僕達の身の回りの世話がある為かその雑務で齷齪(あくせく)働き……今は洗濯物を干し終えたらしい。嬉々としながら空に手をかざし仰いでいる。そんな姿に時間も忘れ魅入ってしまったらしく、イカロスに呼ばれているのに気が付かなかった。驚きの余り、神殿の修復作業で使用していた脚立から物凄い音を立て転げ落ちてしまう。思い切り、背中を打ち付けてしまった。地味に痛い。近くに居るのにセラちゃんは僕に気付いた様子もなく、未だ空を仰ぎ続けている。不覚にもそんな姿にさえ見惚れてしまった、なぁんて言えそうもない。話は戻るが、身の回りの世話をしてくれている彼女にはいつも感心するばかりなのだ。イカロス達も手伝ってくれているし、僕も勿論手伝うが炊事、洗濯、掃除、ベッドメーキングに庭のお手入れも全部彼女が請け負ってくれている。それから、食器洗いに片付け。衣服の綻びさえ直してくれる。それなのに、愚痴一つ零さない。見上げた適材能力だ。それでいて、奉仕力が凄まじい。軍事力を上げる目的なのか、彼女をヘッドハンティングしたくなる気持ちも何処となく頷ける。
「隊長。だいじょうぶですか?」
「あぁ、まぁ。なんとか……。」
「まぁた副隊長でも見てたんでしょう?」
「そ、そんなことは、ない!」
「「(ウソだな……。)」」
「(ウソだけど。)」
脚立から転げ落ちた反動で、衣服に付着してしまった土埃を手で払い態勢を立て直す。再度、脚立に登り痛めた背中を手で擦りながら作業を再開。こんな痛み、普段の戦闘に比べたらどうってことはない。僕が脚立から転げ落ちないように注意を払い、数名のイカロスは脚立の足を支えてくれている。金槌を打ち付けるカンカーンという音が妙に耳へ届いた。
「イカロス。」
「なんでしょうか、隊長。」
「僕、言おうと思ってるんだ。セラちゃんに……好きだ、って。」
「……はっ?」
イカロス達から見たら、僕が自身の顔を赤面させていたのが直ぐに分かっただろう。僕の言葉を聞いて目をぱちくりさせながら、そのまま口を閉ざす面々。何を言い出すんだ、いきなり。イカロス達は決して口に出さないが、表情と態度で一目瞭然だ。僕だってもしも、客観的な立場であったならば同じ反応を示していただろう。イカロス達の気持ちも、何かを言いたげなのも同時に伝達されて思わず苦笑いを浮かべてしまったが、これは言わば決意表明みたいなものだ。自分はこれを主張して絶対にやり遂げるぞって第三者に告げて勇気づける一種の有言実行。暫しの沈黙が周囲に流れていたのだけれど、それ等を打ち消したのは何と……イカロスであった。
「隊長……。がんばってください!我々は隊長を応援しております!」
「イカロス……ありがとう。」
「たとえ副隊長にフラレてもだいじょうぶです!気を落とさないで。当たって砕けろ、ですよ。」
「なんでフラレる前提なんだよ……。」
最近のパルテナ軍は、エンジェランドはたまた神殿の修復作業で忙しなく動いている。それと、忘れてはならない冥府軍が過去に破壊した街だったり……パルテナ様が操られていた時代に我が軍が破壊した街も含まれているし、それは様々。今日は、神殿の修復作業で皆大忙しだ。けれど、心は晴れ晴れとしている。こんな気持ちは久し振りかもしれない。私はそんな皆とは裏腹に、皆が汚してしまった衣服を洗濯しては丁度干し終えた所。エンジェランドに射し込む光が眩しくて、空に手をかざし光を見つめてみる。その中を気持ち良さそうに小鳥達が和気藹々と飛行して行くのを見た。
「……セラちゃん……。」
そんな様子を壁の修復作業を近くで行っていたピット君に見られていたとは露知らず、暫しそうして平和な時間を噛み締めていた。
・・・
「隊長!……隊長!隊長!!」
「えっ?うわッ!!」
全世界に平和を齎した僕達は、今日も神殿の修復作業を全うしている。セラちゃんだけは、僕達の身の回りの世話がある為かその雑務で齷齪(あくせく)働き……今は洗濯物を干し終えたらしい。嬉々としながら空に手をかざし仰いでいる。そんな姿に時間も忘れ魅入ってしまったらしく、イカロスに呼ばれているのに気が付かなかった。驚きの余り、神殿の修復作業で使用していた脚立から物凄い音を立て転げ落ちてしまう。思い切り、背中を打ち付けてしまった。地味に痛い。近くに居るのにセラちゃんは僕に気付いた様子もなく、未だ空を仰ぎ続けている。不覚にもそんな姿にさえ見惚れてしまった、なぁんて言えそうもない。話は戻るが、身の回りの世話をしてくれている彼女にはいつも感心するばかりなのだ。イカロス達も手伝ってくれているし、僕も勿論手伝うが炊事、洗濯、掃除、ベッドメーキングに庭のお手入れも全部彼女が請け負ってくれている。それから、食器洗いに片付け。衣服の綻びさえ直してくれる。それなのに、愚痴一つ零さない。見上げた適材能力だ。それでいて、奉仕力が凄まじい。軍事力を上げる目的なのか、彼女をヘッドハンティングしたくなる気持ちも何処となく頷ける。
「隊長。だいじょうぶですか?」
「あぁ、まぁ。なんとか……。」
「まぁた副隊長でも見てたんでしょう?」
「そ、そんなことは、ない!」
「「(ウソだな……。)」」
「(ウソだけど。)」
脚立から転げ落ちた反動で、衣服に付着してしまった土埃を手で払い態勢を立て直す。再度、脚立に登り痛めた背中を手で擦りながら作業を再開。こんな痛み、普段の戦闘に比べたらどうってことはない。僕が脚立から転げ落ちないように注意を払い、数名のイカロスは脚立の足を支えてくれている。金槌を打ち付けるカンカーンという音が妙に耳へ届いた。
「イカロス。」
「なんでしょうか、隊長。」
「僕、言おうと思ってるんだ。セラちゃんに……好きだ、って。」
「……はっ?」
イカロス達から見たら、僕が自身の顔を赤面させていたのが直ぐに分かっただろう。僕の言葉を聞いて目をぱちくりさせながら、そのまま口を閉ざす面々。何を言い出すんだ、いきなり。イカロス達は決して口に出さないが、表情と態度で一目瞭然だ。僕だってもしも、客観的な立場であったならば同じ反応を示していただろう。イカロス達の気持ちも、何かを言いたげなのも同時に伝達されて思わず苦笑いを浮かべてしまったが、これは言わば決意表明みたいなものだ。自分はこれを主張して絶対にやり遂げるぞって第三者に告げて勇気づける一種の有言実行。暫しの沈黙が周囲に流れていたのだけれど、それ等を打ち消したのは何と……イカロスであった。
「隊長……。がんばってください!我々は隊長を応援しております!」
「イカロス……ありがとう。」
「たとえ副隊長にフラレてもだいじょうぶです!気を落とさないで。当たって砕けろ、ですよ。」
「なんでフラレる前提なんだよ……。」
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