第24章 三つの試練(後編)
セラ
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「こ、ここは星賊船の上か?!」
「再現度高いじゃろう?」
「僕が見落としているようなところもしっかり作られている……。さすがにこれは、幻影じゃないのか?」
「いえ、そこに存在していますよ。それだけは間違いありません。」
触手がこちら目掛けて叩きつけて来るのを何とか躱し、照準を合わせ射撃を放つ。一本、二本……と次々に触手を落とし弱点を引き摺り出すべく奮闘する。余りにも精巧に作られており、感嘆する傍ら幻影ではないのか疑ってかかってみたがパルテナ様がその一説を否定する。一本の触手に気を取られて、もう一本の触手から攻撃を見舞おうとされていたのに反応がついつい鈍り、まさかのダメージを受けてしまう。この痛覚は正直、本物だ。疑う余地がない。ダメージを喰らわせたお返しをしてやる。あとの二本を同時に打ち倒すのは難儀するが、一本ずつならば必ず隙が出来るだろう。まずは一本へ狙いを定めて、遠距離から攻撃を仕掛ける。以前と比較して耐久力が少ないのか、一本更にもう一本と浄化するのに成功。あとは、頭部のみだ。
「そこの怪物は、そのクチでおぬしをすりつぶそうとしておる。幻かどうか、おぬしのカラダで実験してみてはどうじゃな?」「お断り申し上げる!!黙ってエサになるぐらいなら戦い抜いて道を切り開いてやるッ!!」
触手を全て落とされて漸く露になるクラーケンの頭部。以前戦った、攻撃方法は同等。それでいて食い意地が張っている。タコのエサだなんてそんなの言語道断だ。ウォーターレーザーで薙ぎ払い、こちらの体力を削ろうとするクラーケンであるが、甲板に付いている船首が今回もまた役に立ちそうである。素早くウォーターレーザーで薙ぎ払ってくるクラーケン。しかし船首を盾にして、どうにか難を逃れた。今度はこちらが反撃する番だ。
船首を出て、クラーケンの頭部に距離を詰めるべく動き出す。その際クラーケンは、両目から拡散させた高弾を放って来る。最後だけあって、やはり一筋縄ではいかない。それでも、攻撃の合間合間には隙が生まれるものだ。そこを読み取り、タイミングを計ればこちらに勝利と言う名の兆しが見えて来るってもの。だが、不思議な感覚だ。星賊に盗まれて取り返した三種の神器も、このフィールドであった。ディントスは知っていて、最後のボスにクラーケンを選んだのだろうか。あの神器神が何を考えているのか、本当に分からない。打って変わって水弾を放って来るクラーケン。攻撃の合間を狙って反撃したのが功を奏したのか、タコにも何処となく疲労が窺えるようになる。水弾をうまく躱し、得意の間合いで打撃コンボを嫌と言う程見舞い畳み掛ける僕。
「このタコサクめ!!」
「タコサク……?!」
その打撃コンボが効いたのか、クラーケンは耐えきれず水しぶきを上げ浄化されて行った。幾らコピーと言えども、耐久力はそんなに誇れるものではなかったらしく二、三度の反撃で決着が着けられたように思う。本来ならば隣にセラちゃんが居てくれて、共に勝利を喜んでくれていたのだろうが未だに彼女からの応答はない。
「全員倒したぞッ!さぁ、三種の神器を!」
「ところで、この章の題名はなんじゃったかのう。」
「んー……。たしか、【一つの試練】?」
「二つ少ないじゃろ?!」
頭の片隅には必ず彼女が居てくれている。だが、それでも話を進めなければならない。彼女もまた、僕とは相違した試練を受けているのだ。自分だって、負けていられない。その気持ちが大いに打ち勝つ中で、僕はディントスに三種の神器を要求する。戦いの序盤で説明された“3つの護り”を順に越えてその試練に耐えたのだが、彼の口振りからして三種の神器を与える気はないらしい。話が違うと異論は唱えられずに、目の前で見つめていた景色があっという間に変化する。またしても、見覚えのある風景だ。あれは……王の玉座。そして、おどろおどろしいフィールド。王の玉座付近で待機しているこれまた見慣れた人達。そこには……驚愕する程に……試練を受けていると信じて疑わなかった彼女、セラちゃんがその人物達と共に居たのだ。
・・・
「よう。」
「マグナ!そして……魔王ガイナス?!それに……セラちゃん?!」
少しの間離れて行動していただけなのにもう長い時間、年月離れていた感覚に陥る。疎遠になっていた旧友との再会、の時みたいな感覚と程良く感情が類似していると思う。少々大袈裟な表現だが。ピット君は、三人で固まっている私達を見るなり両眼を大きく見開かせ叫声を上げた。相当驚いているのだろう。それもその筈。ディントスから先程事情を説明されたが、私は彼とは相違する試練を受けているのだと適当にごまかしたのだそうだ。今も尚、その事情が虚偽のものとは露知れず信じ込んでここ迄来たピット君に罪悪感が押し寄せて来る。
「再現度高いじゃろう?」
「僕が見落としているようなところもしっかり作られている……。さすがにこれは、幻影じゃないのか?」
「いえ、そこに存在していますよ。それだけは間違いありません。」
触手がこちら目掛けて叩きつけて来るのを何とか躱し、照準を合わせ射撃を放つ。一本、二本……と次々に触手を落とし弱点を引き摺り出すべく奮闘する。余りにも精巧に作られており、感嘆する傍ら幻影ではないのか疑ってかかってみたがパルテナ様がその一説を否定する。一本の触手に気を取られて、もう一本の触手から攻撃を見舞おうとされていたのに反応がついつい鈍り、まさかのダメージを受けてしまう。この痛覚は正直、本物だ。疑う余地がない。ダメージを喰らわせたお返しをしてやる。あとの二本を同時に打ち倒すのは難儀するが、一本ずつならば必ず隙が出来るだろう。まずは一本へ狙いを定めて、遠距離から攻撃を仕掛ける。以前と比較して耐久力が少ないのか、一本更にもう一本と浄化するのに成功。あとは、頭部のみだ。
「そこの怪物は、そのクチでおぬしをすりつぶそうとしておる。幻かどうか、おぬしのカラダで実験してみてはどうじゃな?」「お断り申し上げる!!黙ってエサになるぐらいなら戦い抜いて道を切り開いてやるッ!!」
触手を全て落とされて漸く露になるクラーケンの頭部。以前戦った、攻撃方法は同等。それでいて食い意地が張っている。タコのエサだなんてそんなの言語道断だ。ウォーターレーザーで薙ぎ払い、こちらの体力を削ろうとするクラーケンであるが、甲板に付いている船首が今回もまた役に立ちそうである。素早くウォーターレーザーで薙ぎ払ってくるクラーケン。しかし船首を盾にして、どうにか難を逃れた。今度はこちらが反撃する番だ。
船首を出て、クラーケンの頭部に距離を詰めるべく動き出す。その際クラーケンは、両目から拡散させた高弾を放って来る。最後だけあって、やはり一筋縄ではいかない。それでも、攻撃の合間合間には隙が生まれるものだ。そこを読み取り、タイミングを計ればこちらに勝利と言う名の兆しが見えて来るってもの。だが、不思議な感覚だ。星賊に盗まれて取り返した三種の神器も、このフィールドであった。ディントスは知っていて、最後のボスにクラーケンを選んだのだろうか。あの神器神が何を考えているのか、本当に分からない。打って変わって水弾を放って来るクラーケン。攻撃の合間を狙って反撃したのが功を奏したのか、タコにも何処となく疲労が窺えるようになる。水弾をうまく躱し、得意の間合いで打撃コンボを嫌と言う程見舞い畳み掛ける僕。
「このタコサクめ!!」
「タコサク……?!」
その打撃コンボが効いたのか、クラーケンは耐えきれず水しぶきを上げ浄化されて行った。幾らコピーと言えども、耐久力はそんなに誇れるものではなかったらしく二、三度の反撃で決着が着けられたように思う。本来ならば隣にセラちゃんが居てくれて、共に勝利を喜んでくれていたのだろうが未だに彼女からの応答はない。
「全員倒したぞッ!さぁ、三種の神器を!」
「ところで、この章の題名はなんじゃったかのう。」
「んー……。たしか、【一つの試練】?」
「二つ少ないじゃろ?!」
頭の片隅には必ず彼女が居てくれている。だが、それでも話を進めなければならない。彼女もまた、僕とは相違した試練を受けているのだ。自分だって、負けていられない。その気持ちが大いに打ち勝つ中で、僕はディントスに三種の神器を要求する。戦いの序盤で説明された“3つの護り”を順に越えてその試練に耐えたのだが、彼の口振りからして三種の神器を与える気はないらしい。話が違うと異論は唱えられずに、目の前で見つめていた景色があっという間に変化する。またしても、見覚えのある風景だ。あれは……王の玉座。そして、おどろおどろしいフィールド。王の玉座付近で待機しているこれまた見慣れた人達。そこには……驚愕する程に……試練を受けていると信じて疑わなかった彼女、セラちゃんがその人物達と共に居たのだ。
・・・
「よう。」
「マグナ!そして……魔王ガイナス?!それに……セラちゃん?!」
少しの間離れて行動していただけなのにもう長い時間、年月離れていた感覚に陥る。疎遠になっていた旧友との再会、の時みたいな感覚と程良く感情が類似していると思う。少々大袈裟な表現だが。ピット君は、三人で固まっている私達を見るなり両眼を大きく見開かせ叫声を上げた。相当驚いているのだろう。それもその筈。ディントスから先程事情を説明されたが、私は彼とは相違する試練を受けているのだと適当にごまかしたのだそうだ。今も尚、その事情が虚偽のものとは露知れず信じ込んでここ迄来たピット君に罪悪感が押し寄せて来る。