第24章 三つの試練(後編)
セラ
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一抹の不安を拭い去るのは疎か徐々に増幅していく中で、それはまるでレゴブロックの如き上空から作り上げたであろう円形フィールドとその周囲を取り囲む装飾が次々に降って来てはがっしり形成された。肝心のディントスはラスボスとして試練の最後に構えているのかと思いきや、何故かフィールドの上位置にでーんと肘をついて横たわっているではないか。反射で苦笑い。あれでは、休日テレビを見つめリラックスして満喫迄しちゃっているお父さん否おじいちゃんだろう。ここだけの話だが、ピット君も時々あぁなるのを私は知っている。
……それは扠置き、あんな姿を見せておいて本当に試練が行われるのか疑わしい所だ。思いきりリラックスモードではあるけれど、ディントスには何か考えがあるのだろう。と思いたい。
「神器神 ディントス!!」
「ピットとやら。おぬしの力を見せてもらおうかの。」
『あれ?私は?』
「なに言ってるんだ!セラちゃんも一緒に決まってるだろう!!」
ピット君が私の代わりに透かさず反論してくれたけれど、ディントスがピット君だけに試練を受けさせる発言をした。この時点でディントスに思惑があるのではと大いに推察出来るが状況を飲み込めない私は首を傾げるのみ。まさかとは思うが、私は新しい神器を持つ試練さえ受ける資格のない天使なのだろうか。確かに彼に比べたら力量や能力で劣る部分があるかもしれないが、だからと言って試練を受けさせてくれないだなんて……あんまりだ。ピット君に助けてもらいながらも、彼の隣でずっと戦ってきた者としてはこの場で物申したい。
『ディントス!ピット君に比べたらそりゃあ 力もないし、戦闘力さえ劣るけど……でもこう見えていろいろがんばってるんだもん!私だって試練を受ける権利があるわ!!』
「……セラ……言いたいことはわかりますが、もう少しなかったのですか?」
「だもんって……まぁ、かわいいけどね!」
『だ、だってぇー。』
言い分がその場にそぐうものが見つからず、抽象的になってしまう。思案すれば良かったのだろうが、それよりも私だってピット君の隣に立ち立派に戦えるのだと証明する気持ちが勝っていた所為あんな物言いになってしまったのだ。まさか二人から指摘があるとは思わなかった。でも、この気持ちに嘘はない。仮にディントスが私に試練を受けさせてくれなくても今迄と変わらず彼の隣で戦う腹積もりである。
「なにを言っておる。だれもセラに試練を受けさせない とは言ってないじゃろう。」
『……へっ?』
「そうなのか。」
認めてくれないのならば強制的に認めさせる迄だと、戦闘準備万端に神器を構えていれば思わず拍子抜けしてしまうディントスからの反論。言われてみれば彼はピット君に伝えただけで、私の名前を出さなかっただけだ。けれどその調子では勘違いされても文句は言えないのではないかと思う。こちらが単に早とちりしただけだが、妙に腑に落ちない。ディントスもディントスだ。何故そんな言い方をしたのか。
これまた何か考えでもあるのかと首を捻っていれば、休日のお父さん状態であるディントスに手招きされているのに気付く。ピット君か、私か。ジェスチャーで彼に伝達し、返って来た答えは私に来てほしいだそうだ。今度は首を傾げつつも、ディントスの元へ翼をはためかせ向かう。一体、何用か。
「セラちゃん?!」
「セラ!いったい、どうしたのですか?!」
『いやいや。なんかね?ディントスに呼ばれたの。』
疑心がないと言えば嘘になるがそれよりも何故私が呼ばれたのかそっちが俄然気になってしまった。冥府軍の類ではないし、私を付け狙っている部類にも入らない。ディントスに関しては無害なのだ。情報開示が余りされていない手前、滅多なことは言えないがあのおじいさんが危害を加える気配は感じられない。冥府軍側の存在であるならば、パルテナ様だって力を借りようとは思わなかっただろう。
『ディントス。私にいったい、なんの用?』
「ふぉっふぉっふぉっ。ちかくで見れば見るほど、べっぴんさんじゃのう。」
『ディントスー?』
「そのためだけにセラちゃんを呼んだのか?!」
言わば信用に値する人物だ。そんな人物が私に個人的な接触を試みた意図は何なのだろう。彼に呼ばれる儘に、ディントスの近くに寄る。然すれば、彼から私の両手をぎゅっと握られ離すまいとされてしまう。さすがの私もこれには引き攣った笑みを浮かべてしまう始末。これは予想外の展開だ。それだけじゃなく、私の顔を覗き込んでいる。顔に何かついているのだろうか。こちらは別段気にしないが、端から見つめているピット君の表情が徐々に険しくなっていくのがチラリと見えて急激に体温が下がる思いをする。
……それは扠置き、あんな姿を見せておいて本当に試練が行われるのか疑わしい所だ。思いきりリラックスモードではあるけれど、ディントスには何か考えがあるのだろう。と思いたい。
「神器神 ディントス!!」
「ピットとやら。おぬしの力を見せてもらおうかの。」
『あれ?私は?』
「なに言ってるんだ!セラちゃんも一緒に決まってるだろう!!」
ピット君が私の代わりに透かさず反論してくれたけれど、ディントスがピット君だけに試練を受けさせる発言をした。この時点でディントスに思惑があるのではと大いに推察出来るが状況を飲み込めない私は首を傾げるのみ。まさかとは思うが、私は新しい神器を持つ試練さえ受ける資格のない天使なのだろうか。確かに彼に比べたら力量や能力で劣る部分があるかもしれないが、だからと言って試練を受けさせてくれないだなんて……あんまりだ。ピット君に助けてもらいながらも、彼の隣でずっと戦ってきた者としてはこの場で物申したい。
『ディントス!ピット君に比べたらそりゃあ 力もないし、戦闘力さえ劣るけど……でもこう見えていろいろがんばってるんだもん!私だって試練を受ける権利があるわ!!』
「……セラ……言いたいことはわかりますが、もう少しなかったのですか?」
「だもんって……まぁ、かわいいけどね!」
『だ、だってぇー。』
言い分がその場にそぐうものが見つからず、抽象的になってしまう。思案すれば良かったのだろうが、それよりも私だってピット君の隣に立ち立派に戦えるのだと証明する気持ちが勝っていた所為あんな物言いになってしまったのだ。まさか二人から指摘があるとは思わなかった。でも、この気持ちに嘘はない。仮にディントスが私に試練を受けさせてくれなくても今迄と変わらず彼の隣で戦う腹積もりである。
「なにを言っておる。だれもセラに試練を受けさせない とは言ってないじゃろう。」
『……へっ?』
「そうなのか。」
認めてくれないのならば強制的に認めさせる迄だと、戦闘準備万端に神器を構えていれば思わず拍子抜けしてしまうディントスからの反論。言われてみれば彼はピット君に伝えただけで、私の名前を出さなかっただけだ。けれどその調子では勘違いされても文句は言えないのではないかと思う。こちらが単に早とちりしただけだが、妙に腑に落ちない。ディントスもディントスだ。何故そんな言い方をしたのか。
これまた何か考えでもあるのかと首を捻っていれば、休日のお父さん状態であるディントスに手招きされているのに気付く。ピット君か、私か。ジェスチャーで彼に伝達し、返って来た答えは私に来てほしいだそうだ。今度は首を傾げつつも、ディントスの元へ翼をはためかせ向かう。一体、何用か。
「セラちゃん?!」
「セラ!いったい、どうしたのですか?!」
『いやいや。なんかね?ディントスに呼ばれたの。』
疑心がないと言えば嘘になるがそれよりも何故私が呼ばれたのかそっちが俄然気になってしまった。冥府軍の類ではないし、私を付け狙っている部類にも入らない。ディントスに関しては無害なのだ。情報開示が余りされていない手前、滅多なことは言えないがあのおじいさんが危害を加える気配は感じられない。冥府軍側の存在であるならば、パルテナ様だって力を借りようとは思わなかっただろう。
『ディントス。私にいったい、なんの用?』
「ふぉっふぉっふぉっ。ちかくで見れば見るほど、べっぴんさんじゃのう。」
『ディントスー?』
「そのためだけにセラちゃんを呼んだのか?!」
言わば信用に値する人物だ。そんな人物が私に個人的な接触を試みた意図は何なのだろう。彼に呼ばれる儘に、ディントスの近くに寄る。然すれば、彼から私の両手をぎゅっと握られ離すまいとされてしまう。さすがの私もこれには引き攣った笑みを浮かべてしまう始末。これは予想外の展開だ。それだけじゃなく、私の顔を覗き込んでいる。顔に何かついているのだろうか。こちらは別段気にしないが、端から見つめているピット君の表情が徐々に険しくなっていくのがチラリと見えて急激に体温が下がる思いをする。
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