第24章 三つの試練(前編)
セラ
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では、こちらへ不気味な音を立て接近しているオーン二体もそうなのだろうか。けれども幾ら作り出されたとは言え、能力は同一だろう。触れれば最後だ。ここは慎重に飛行しておきたい。周囲に浮遊している魔物達を強制的にどかし、オーンを回避すべく触れないように注意を払いながら何とか難関を突破した。しかし、これだけで終わるとも思えない。今から次々に私達へ襲い掛かって来るのだろう。ならば、とことん返り討ちにしてやろうじゃないか。
「試練を乗り越えれば 新しい神器を作ってくれるんですね。」
「おうっ。約束するわい。」
「だけど、どうかなー。三種の神器もあっさり壊されちゃったし。またあっさり壊されるんじゃあ……。」
『そうよねぇ。あんなにフォルムがキレイなのに、見事にバラバラだったもんね。』
「パルテナ、おぬしのところの天使たちは口が過ぎるのう。」
「すみません、うちのものが。」
「あ、ごめんなさい。悪気はありませんでした。」
『ごめんなさい。そういういつもりじゃあ……!』
「まぁええ。少しケツに火をつけてやるわい。」
何とかオーンを無事に乗り越えて、長廊下上空を飛行している。長廊下の脇側の至る所が損壊しており、その部分からモノアイとミックがこちらを睨みつけては攻撃を仕掛けて来た。いつもであったなら簡単に倒される所だが、今回は何処か勝手が違う。浄化に手間がかからない魔物達がディントスの手に寄って強化されているのだ。損壊している隙間から次々に攻撃して来るモノアイとミック。これもまた試練の内の一つなのだろうか。そもそもディントスの元へ辿り着かなければ話は始まらないだろう。私達が辿り着かなければ、私達は試練を行えず八方塞がりに終わる。最悪な展開に発展しかねないし、それでは元も子もない。取り敢えず強化されているモノアイとミックを素早く浄化し、真っ直ぐ突き進もうと思う。然う斯うしている間に飛翔の奇跡が切れそうだとか言う状況をもう二度と見たくはないのだ。
処々損壊している廊下が結構な度合いで気になるけれど、ディントスの設備不足だと勝手に自己解決させて終わりにした。いちいち気にしていたらきりがない、それが最大の理由だ。もしもディントスが雰囲気作りのためだとか言ってわざと損壊させている場合だってある。普通に考えてそこ迄するだろうか、なんて一瞬でも考えたけれどディントスならば有り得なくない。全て故意的なのかも等と思っている矢先、あんなに膨大であった廊下が途切れ、真っ暗闇な風景だけが自身の両眼に映る。此処は本当にディントスの根城だろうか。円球にあの長廊下。そして今度は真っ暗闇。こうも景色の変化が激しいものだろうか。
『えッ?!』
「あ、あれはッ!」
「撃剣ッ?!」
「おーふぉっふぉっふぉっ!単なる余興じゃよ。」
「さすがは神器の神!!」
真っ暗闇の中にぼうっと浮かび上がっていたのは……何と撃剣だった。しかも、無人。撃剣がひとりでに動き、こちら側へ打撃を喰らわせようと向かって来たのだ。この光景にはさすがに目を見張る。撃剣にまるで自分の意志が備わったのではと錯覚する程に機敏な動きなのだ。神器が意志を持って動き出したら、こんな感じなのだろうか。神器を自由自在に出来るのだから神器が言語を理解し、コミュニケーションを取るのも下手したら夢物語ではないかもしれない。
「セラちゃん!あぶない!」
『?!』
ピット君の危険を知らせる声が両耳に届き、間一髪で回避するのに成功した。安堵する私を見てか、ピット君も釣られて安堵している。これでもう神器に攻撃されないかと思ったのも束の間、ディントスがこれだけで終いにする訳がなく撃剣の次は射爪、最後は神弓と攻撃方法も様々だ。どうやらこの攻撃、回避する他危機を乗り越える手段はないらしい。幸いにも回避行動をするのに、神器が斬りつけた衝撃波を見つめ頼りにすれば難儀はしない。縦方向に斬りつける射爪、そして四方八方に斬りつけてくる神弓。その間を潜り抜ければ、きらきら瞬く満天の星達が視界に映った。いつもよりかは遠くかけ離れているみたいだが、これはこれで私は好きだ。なんて言ったって、趣向がある。けれど、その満天の星達に被さるかの如く上空からまるでブロック消しみたいに次々物体が降って来た。今度は何が始まるのだろう。物体が降って来てくれたお陰で、折角の気分が台無しだ。ディントスめ、これもまた試練の内の一つなのだろうか。物体は次々に形成し、最後には円形のフィールドが即座に出来上がった。上空からフィールドを呼ぶってどうなのだろう。ピット君もパルテナ様も口を挟まないが、神器の神って何でもありなのだろうか。理解し難い。
「よく来たのう!ささ、こっちに来るのじゃ。」
ディントスからの促しにここは素直に従わなければ、目的遂行出来ない恐れがある。それは果てしなく困るし、次の戦いにも繋げない。ハデスを討ち倒すのなんて到底敵わない。冥府軍ではないし理不尽な試練はないと思うが、どうしても一抹の不安は拭い切れないのである。
(To be continued……)
「試練を乗り越えれば 新しい神器を作ってくれるんですね。」
「おうっ。約束するわい。」
「だけど、どうかなー。三種の神器もあっさり壊されちゃったし。またあっさり壊されるんじゃあ……。」
『そうよねぇ。あんなにフォルムがキレイなのに、見事にバラバラだったもんね。』
「パルテナ、おぬしのところの天使たちは口が過ぎるのう。」
「すみません、うちのものが。」
「あ、ごめんなさい。悪気はありませんでした。」
『ごめんなさい。そういういつもりじゃあ……!』
「まぁええ。少しケツに火をつけてやるわい。」
何とかオーンを無事に乗り越えて、長廊下上空を飛行している。長廊下の脇側の至る所が損壊しており、その部分からモノアイとミックがこちらを睨みつけては攻撃を仕掛けて来た。いつもであったなら簡単に倒される所だが、今回は何処か勝手が違う。浄化に手間がかからない魔物達がディントスの手に寄って強化されているのだ。損壊している隙間から次々に攻撃して来るモノアイとミック。これもまた試練の内の一つなのだろうか。そもそもディントスの元へ辿り着かなければ話は始まらないだろう。私達が辿り着かなければ、私達は試練を行えず八方塞がりに終わる。最悪な展開に発展しかねないし、それでは元も子もない。取り敢えず強化されているモノアイとミックを素早く浄化し、真っ直ぐ突き進もうと思う。然う斯うしている間に飛翔の奇跡が切れそうだとか言う状況をもう二度と見たくはないのだ。
処々損壊している廊下が結構な度合いで気になるけれど、ディントスの設備不足だと勝手に自己解決させて終わりにした。いちいち気にしていたらきりがない、それが最大の理由だ。もしもディントスが雰囲気作りのためだとか言ってわざと損壊させている場合だってある。普通に考えてそこ迄するだろうか、なんて一瞬でも考えたけれどディントスならば有り得なくない。全て故意的なのかも等と思っている矢先、あんなに膨大であった廊下が途切れ、真っ暗闇な風景だけが自身の両眼に映る。此処は本当にディントスの根城だろうか。円球にあの長廊下。そして今度は真っ暗闇。こうも景色の変化が激しいものだろうか。
『えッ?!』
「あ、あれはッ!」
「撃剣ッ?!」
「おーふぉっふぉっふぉっ!単なる余興じゃよ。」
「さすがは神器の神!!」
真っ暗闇の中にぼうっと浮かび上がっていたのは……何と撃剣だった。しかも、無人。撃剣がひとりでに動き、こちら側へ打撃を喰らわせようと向かって来たのだ。この光景にはさすがに目を見張る。撃剣にまるで自分の意志が備わったのではと錯覚する程に機敏な動きなのだ。神器が意志を持って動き出したら、こんな感じなのだろうか。神器を自由自在に出来るのだから神器が言語を理解し、コミュニケーションを取るのも下手したら夢物語ではないかもしれない。
「セラちゃん!あぶない!」
『?!』
ピット君の危険を知らせる声が両耳に届き、間一髪で回避するのに成功した。安堵する私を見てか、ピット君も釣られて安堵している。これでもう神器に攻撃されないかと思ったのも束の間、ディントスがこれだけで終いにする訳がなく撃剣の次は射爪、最後は神弓と攻撃方法も様々だ。どうやらこの攻撃、回避する他危機を乗り越える手段はないらしい。幸いにも回避行動をするのに、神器が斬りつけた衝撃波を見つめ頼りにすれば難儀はしない。縦方向に斬りつける射爪、そして四方八方に斬りつけてくる神弓。その間を潜り抜ければ、きらきら瞬く満天の星達が視界に映った。いつもよりかは遠くかけ離れているみたいだが、これはこれで私は好きだ。なんて言ったって、趣向がある。けれど、その満天の星達に被さるかの如く上空からまるでブロック消しみたいに次々物体が降って来た。今度は何が始まるのだろう。物体が降って来てくれたお陰で、折角の気分が台無しだ。ディントスめ、これもまた試練の内の一つなのだろうか。物体は次々に形成し、最後には円形のフィールドが即座に出来上がった。上空からフィールドを呼ぶってどうなのだろう。ピット君もパルテナ様も口を挟まないが、神器の神って何でもありなのだろうか。理解し難い。
「よく来たのう!ささ、こっちに来るのじゃ。」
ディントスからの促しにここは素直に従わなければ、目的遂行出来ない恐れがある。それは果てしなく困るし、次の戦いにも繋げない。ハデスを討ち倒すのなんて到底敵わない。冥府軍ではないし理不尽な試練はないと思うが、どうしても一抹の不安は拭い切れないのである。
(To be continued……)
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