第23章 決戦!ハデス(後編)
セラ
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「心拍停止!……これはひとりごと!!」
『やったぁぁ!』
あんなに苦戦を強いられていた。正直危ないとも思ったぐらいだ。だが、逆境にもめげず勝利を治めた私達。パルテナ軍として任務を全うした、誇らしい気持ちでいっぱいだ。
喜びをピット君と共に分かち合っていたのも束の間、ハデスの心臓が浄化された反動で大爆発を引き起こした。
「うぶぉっ!!」
『きゃぁっ!!』
大爆発に耐えられなかった天使二人は、いとも容易く身体は弾き飛ばされ宙にくるくるくると舞ってしまう。衝撃は少なく済んだが、今ので多少なりともダメージを受けてしまった。このままでは、私もピット君も危うい。ボスを倒しさえすれば道は開けてくれると信じていたが、そんなにうまくは行かないらしい。せめて、せめてピット君だけでも此処から脱出させなければ。そうは思うも身体は自由を失っている。
『(もう……ダメ、かな。)』
必死に抗うのも敵わず、次第に遠退く意識。これは夢……なのかな。誰かが私を離すまいと強く包み込んでくれている。なんて温かい感覚なのだろう。頭が意識をはっきり保てと信号を神経に流している。その信号に従うかの如く開こうとする瞼。だが思うようにいかない。その刹那、物凄い速度で私達をこの場から脱出させてくれる救世主の手。
「ぶァッ!!」
「衝撃波のおかげでやっと見つけたぜ。」
「ブラピ!」
『(ブラピ君……。)』
巨体なハデスの内側から何かが貫通した。目にも留まらぬ速さで裸眼で捉えるのは難儀するが、その正体が光の戦車であると分かった時には光の戦車を乗りこなすブラピ君が、意識が朦朧とする私を抱きかかえているピット君の手を引き、ハデスの体内から外へ無事救出してくれたのだ。もう少し遅かったら、ハデスの体内に取り込まれていたかもしれない。
「おかえりなさい!」
「痛いなもう!」
「転送!」
心臓が浄化されたのと光の戦車が身体を貫通した衝撃でハデスは痛みを訴え、無事救出された私達に向けて仕返しの意でだろう引っ掴もうとしたのだが、結局パルテナ様の機転の利かせでハデスの手中に落ちたりはしなかった。引っ掴もうとしたハデスの爪の隙間からひらひら垣間見えたのは天使の羽根のみ。危機一髪。私達はハデスと言う名の災難からうまく逃れるのに成功したのだ。
「あーいてて。ま、死にゃしないけどね。」
心臓を浄化してしまえば、ハデスを倒せるのでは。本気でその考えに至った迄は良かったが、ハデスの弱点ではなかった。心臓を浄化してもピンピンしていたあの立ち振る舞いがそれ等を全て物語っており、私達の戦いがまだ続くのだとそう予感している。
エンジェランドに無事帰還した。パルテナ様があの時、光の戦車に乗り込むブラピ君を差し向けてくれなかったら私達は帰還出来ず、あのままさ迷い続け挙げ句最悪な末路を辿っていただろう。そうならなくて良かった。心から安堵している。
『ブラピ君。ありが……』
「ピット!おまえ、いつまでセラを抱きしめているつもりだよ!さっさと離れろ!!」
「ふーん。ヤダね!ブラピに言われたって、ゼッタイ離すもんか!!」
「いい度胸してるじゃねぇか。」
「やるか!!」
『ありが………うるさぁぁぁぁい!!しずかにしなさぁぁぁぁぁい!!』
「「セラ(ちゃん)?!」」
『ふたりとも、ゴハン抜きにしてやる。』
「「それだけは……!!」」
礼を述べようとしたものの、エンジェランドに到着するなり口ゲンカを始めてしまうピット君とブラピ君。抱きかかえられている傍でのやり取りを間近で見つめ、我慢出来ず叫んでそっぽを向いてみたけれど慌てて私に弁明する二人が面白くて、暫くそうして様子を窺っていた。
(To be continued……)
一言思うのは、ピット君の声を四六時中聞いているヒロイン……羨まし。
です。あと作中にもありましたが、冥府神ハデスは強さ故に孤高な存在になってしまって様々な存在から一線引かれていたのではないかと勝手に想像してました。強ち間違いではなさそう。なぁんて。
ここ迄読んで下さってありがとうございました。
by虹
『やったぁぁ!』
あんなに苦戦を強いられていた。正直危ないとも思ったぐらいだ。だが、逆境にもめげず勝利を治めた私達。パルテナ軍として任務を全うした、誇らしい気持ちでいっぱいだ。
喜びをピット君と共に分かち合っていたのも束の間、ハデスの心臓が浄化された反動で大爆発を引き起こした。
「うぶぉっ!!」
『きゃぁっ!!』
大爆発に耐えられなかった天使二人は、いとも容易く身体は弾き飛ばされ宙にくるくるくると舞ってしまう。衝撃は少なく済んだが、今ので多少なりともダメージを受けてしまった。このままでは、私もピット君も危うい。ボスを倒しさえすれば道は開けてくれると信じていたが、そんなにうまくは行かないらしい。せめて、せめてピット君だけでも此処から脱出させなければ。そうは思うも身体は自由を失っている。
『(もう……ダメ、かな。)』
必死に抗うのも敵わず、次第に遠退く意識。これは夢……なのかな。誰かが私を離すまいと強く包み込んでくれている。なんて温かい感覚なのだろう。頭が意識をはっきり保てと信号を神経に流している。その信号に従うかの如く開こうとする瞼。だが思うようにいかない。その刹那、物凄い速度で私達をこの場から脱出させてくれる救世主の手。
「ぶァッ!!」
「衝撃波のおかげでやっと見つけたぜ。」
「ブラピ!」
『(ブラピ君……。)』
巨体なハデスの内側から何かが貫通した。目にも留まらぬ速さで裸眼で捉えるのは難儀するが、その正体が光の戦車であると分かった時には光の戦車を乗りこなすブラピ君が、意識が朦朧とする私を抱きかかえているピット君の手を引き、ハデスの体内から外へ無事救出してくれたのだ。もう少し遅かったら、ハデスの体内に取り込まれていたかもしれない。
「おかえりなさい!」
「痛いなもう!」
「転送!」
心臓が浄化されたのと光の戦車が身体を貫通した衝撃でハデスは痛みを訴え、無事救出された私達に向けて仕返しの意でだろう引っ掴もうとしたのだが、結局パルテナ様の機転の利かせでハデスの手中に落ちたりはしなかった。引っ掴もうとしたハデスの爪の隙間からひらひら垣間見えたのは天使の羽根のみ。危機一髪。私達はハデスと言う名の災難からうまく逃れるのに成功したのだ。
「あーいてて。ま、死にゃしないけどね。」
心臓を浄化してしまえば、ハデスを倒せるのでは。本気でその考えに至った迄は良かったが、ハデスの弱点ではなかった。心臓を浄化してもピンピンしていたあの立ち振る舞いがそれ等を全て物語っており、私達の戦いがまだ続くのだとそう予感している。
エンジェランドに無事帰還した。パルテナ様があの時、光の戦車に乗り込むブラピ君を差し向けてくれなかったら私達は帰還出来ず、あのままさ迷い続け挙げ句最悪な末路を辿っていただろう。そうならなくて良かった。心から安堵している。
『ブラピ君。ありが……』
「ピット!おまえ、いつまでセラを抱きしめているつもりだよ!さっさと離れろ!!」
「ふーん。ヤダね!ブラピに言われたって、ゼッタイ離すもんか!!」
「いい度胸してるじゃねぇか。」
「やるか!!」
『ありが………うるさぁぁぁぁい!!しずかにしなさぁぁぁぁぁい!!』
「「セラ(ちゃん)?!」」
『ふたりとも、ゴハン抜きにしてやる。』
「「それだけは……!!」」
礼を述べようとしたものの、エンジェランドに到着するなり口ゲンカを始めてしまうピット君とブラピ君。抱きかかえられている傍でのやり取りを間近で見つめ、我慢出来ず叫んでそっぽを向いてみたけれど慌てて私に弁明する二人が面白くて、暫くそうして様子を窺っていた。
(To be continued……)
一言思うのは、ピット君の声を四六時中聞いているヒロイン……羨まし。
です。あと作中にもありましたが、冥府神ハデスは強さ故に孤高な存在になってしまって様々な存在から一線引かれていたのではないかと勝手に想像してました。強ち間違いではなさそう。なぁんて。
ここ迄読んで下さってありがとうございました。
by虹
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