第23章 決戦!ハデス(後編)
セラ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
此処に二人しか居ないけれど、満場一致でハデスは倒さなければならないと決まった。誰も異論を唱えたりはしないだろう。唱えようがないけれど。だが、一つだけ気になっている。何分か前に、伝達されたあの悲しみはなんだったのだろう。孤高な存在でありながら、理解者が誰一人存在しない悲しみを……抱いているようには見えないから何かの間違いだろうが妙な気持ちに支配されたのだ。ピット君に話したら何時間説教されてしまうか分かったものじゃない。けれどハデスも道を踏み外さず、冥府の王として正しき行いをしてさえいれば倒さなくてならない決意を固められず穏便に済んだかもしれない。そう思わずにはどうしても居られないのだ。私の悪い癖である。あぁしていれば、こうしていれば。別の未来が待ち受けていたのではなんて淡い期待を抱いてしまう。無意味なのは充分分かっていながら。どうしてそういう気持ちに支配されてしまうのかは、絶対ハデスの所為だろう。それでも変えられはしないのだ。気をしっかり持ち直して目の前の敵に集中しよう。もしかすると、この心臓を倒しさえすればハデスの動きを抑制出来るのではないか。その可能性も否定出来ない。兎に角、あの心臓をどうにかする訳だがなかなか隙を作ってくれずこちらが苦戦を強いられている。心臓が分身を産み出すのは先程目撃したし、今も尚プリプリ動いているのだが何とこの偽物、十字方向に爆発を引き起こすのだ。これではまるで自爆。しかも自爆しといて、こちらのダメージを誘うまさに迷惑タイプ。この偽物と本物が合わされば最凶と化してしまうだろう。ならば、こっちにも考えがある。
『ピット君、私はニセモノを相手にするわ。ピット君はホンモノをおねがい!』
「セラちゃん!でもそれじゃあリスクが高くなっちゃうよ!」
『だいじょうぶ。私たちだもん。かならず、うまくいくよ。』
「……セラちゃん……。うん、僕たちだからね。」
ラビリンスの道筋を利用して、私は偽物を引きつけてピット君は本物を狙う。偽物と本物が最凶であるならば簡単な話、引き離してしまえばいい。偽物をうまく本物から引き離した私は、渾身の力を込めて打撃を加える。耐久力を失った偽物は自爆してしまうが、その身を守備するための奇跡だ。無論、飛翔の奇跡ではない。パルテナ様からの通信が途絶えている今、発動させるのは不可能だ。しかしパルテナ様からの支援が途絶えて、もしものためを思って用意していた奇跡がある。使用限度があり、限られているがそれでも使用する価値があるのだ。その名も“一瞬無敵”。一瞬だけ無敵状態にして自爆の被害を逃れるのだ。我ながら、良策。今回の任務に対する危険度を考えて、パルテナ様がこっそり与えてくれたのだ。一瞬無敵になった私は、自爆を逃れ本物の元へと急ぐ。時間が限られているからこそ、手っ取り早く本物へも攻撃を仕掛けておきたかった。ピット君は、本物の背後へと回り一定的にダメージを与えておく。やはり怒り狂って突進して来たが、ぎりぎり引き付けての回避に成功した。それでもまた、偽物を産み出している。
「あぁーうっとうしい!焦って追いかけ回さず先回りすることを考えよう。」
「『ニセモノには要注意!』」
「……ふたりで確認してみました!」
ダメージは蓄積出来ている。それでも耐久力は残っているだろう。もう一度先程行った作戦を実行するべく、動き出す。ラビリンスの壁を背にゆっくり偽物へ接近する私。素早く接近しては打撃コンボを見舞ってみせる。やはり自爆は免れないみたいだが奇跡のお陰でうまく立ち回れて、ダメージも少なく済んでいるみたいだ。あと、もう少し。ピット君は、本物に向けて打撃コンボしボコボコにして怒らせている。けれど、良き兆候だ。あんなに苦戦を強いられていたのがまるで嘘みたいに、二人の動きにキレがある。
「誘導性のある弾ならカベの上を越えて撃てるかもしれないな。なるべく前ダッシュ射撃を当てよう。威力が高いから。」
『たしかにそれなら、ダメージを受けなくてすむね。』
壁の向こう側へ離れている場所から射撃。しかも、前ダッシュ。妥協を許さないピット君もなかなかだ。仮に射撃を当てて、怒り狂って突進して来たとしても回避する余裕さえも生まれているから決死の覚悟で戦わなくても勝利の道が自ずと開けてしまう……と。盲点だった。様々な案が戦場に潜んでいるものだと思う。いろんな角度から見渡し、観察するのも大事な任務だ。
ピット君は、離れた場所から攻撃を仕掛けている。何と、驚愕ものだが実を言うと誘導性がある弾を撃てる性質に神器を装備していたのだ。私も実は、驚いている。二人で前ダッシュ射撃をあの心臓にぶち当てて、勝機を狙う。
『ピット君、私はニセモノを相手にするわ。ピット君はホンモノをおねがい!』
「セラちゃん!でもそれじゃあリスクが高くなっちゃうよ!」
『だいじょうぶ。私たちだもん。かならず、うまくいくよ。』
「……セラちゃん……。うん、僕たちだからね。」
ラビリンスの道筋を利用して、私は偽物を引きつけてピット君は本物を狙う。偽物と本物が最凶であるならば簡単な話、引き離してしまえばいい。偽物をうまく本物から引き離した私は、渾身の力を込めて打撃を加える。耐久力を失った偽物は自爆してしまうが、その身を守備するための奇跡だ。無論、飛翔の奇跡ではない。パルテナ様からの通信が途絶えている今、発動させるのは不可能だ。しかしパルテナ様からの支援が途絶えて、もしものためを思って用意していた奇跡がある。使用限度があり、限られているがそれでも使用する価値があるのだ。その名も“一瞬無敵”。一瞬だけ無敵状態にして自爆の被害を逃れるのだ。我ながら、良策。今回の任務に対する危険度を考えて、パルテナ様がこっそり与えてくれたのだ。一瞬無敵になった私は、自爆を逃れ本物の元へと急ぐ。時間が限られているからこそ、手っ取り早く本物へも攻撃を仕掛けておきたかった。ピット君は、本物の背後へと回り一定的にダメージを与えておく。やはり怒り狂って突進して来たが、ぎりぎり引き付けての回避に成功した。それでもまた、偽物を産み出している。
「あぁーうっとうしい!焦って追いかけ回さず先回りすることを考えよう。」
「『ニセモノには要注意!』」
「……ふたりで確認してみました!」
ダメージは蓄積出来ている。それでも耐久力は残っているだろう。もう一度先程行った作戦を実行するべく、動き出す。ラビリンスの壁を背にゆっくり偽物へ接近する私。素早く接近しては打撃コンボを見舞ってみせる。やはり自爆は免れないみたいだが奇跡のお陰でうまく立ち回れて、ダメージも少なく済んでいるみたいだ。あと、もう少し。ピット君は、本物に向けて打撃コンボしボコボコにして怒らせている。けれど、良き兆候だ。あんなに苦戦を強いられていたのがまるで嘘みたいに、二人の動きにキレがある。
「誘導性のある弾ならカベの上を越えて撃てるかもしれないな。なるべく前ダッシュ射撃を当てよう。威力が高いから。」
『たしかにそれなら、ダメージを受けなくてすむね。』
壁の向こう側へ離れている場所から射撃。しかも、前ダッシュ。妥協を許さないピット君もなかなかだ。仮に射撃を当てて、怒り狂って突進して来たとしても回避する余裕さえも生まれているから決死の覚悟で戦わなくても勝利の道が自ずと開けてしまう……と。盲点だった。様々な案が戦場に潜んでいるものだと思う。いろんな角度から見渡し、観察するのも大事な任務だ。
ピット君は、離れた場所から攻撃を仕掛けている。何と、驚愕ものだが実を言うと誘導性がある弾を撃てる性質に神器を装備していたのだ。私も実は、驚いている。二人で前ダッシュ射撃をあの心臓にぶち当てて、勝機を狙う。